実は弱点だらけ? 2007年の【デミスドーザー】全盛期の現実

2018年12月21日

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【前書き】

 【第5期の歴史19 ガジェライダー環境到来 大寒波の時代】の続きになります。特に、この記事では前中後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

2007年環境の中堅勢力たち

 【ガジェット】【光と闇の竜】という二大勢力によってメタゲームの方向性が定まった2007年3月環境でしたが、その細部に及ぶまでが完全に固まっていたわけではありません。トップデッキらに追いつこうと背後から迫る勢力はいくつか存在しており、デッキ調整、メタ選択などの研究が盛んに行われています。

 

地雷デッキ代表 【デミスドーザー】の影

 そうした勢力のうち、最も注目を集めていたのは【デミスドーザー】と呼ばれるワンショット系デッキでした。

 2006年末販売のレギュラーパックから現れた「高等儀式術」をキーカードとする【儀式召喚】の一種であり、強力な全体除去効果を持つ「終焉の王デミス」を切り札に据えたデッキです。しかし、参入直後は複数の要因により強さを発揮できる土壌が整っておらず、おおむねカジュアル向けとの評価に甘んじていたデッキでもあります。

 とはいえ、そのポテンシャルの高さは当初から認められており、2007年初頭には【デミスドーザー】のひな形に近いものは完成に至っていました。その直後に制限改訂による環境のデフレから相対的に脚光を浴び、間もなく地雷デッキとして知名度を上げていったというのが大まかな経緯です。

 ただし、この時期に限れば環境レベルにおいては中堅勢力に過ぎず、あくまでも地雷デッキの域を出ていなかったことは否定できません。

 単純な話、元々【デミスドーザー】自体が弱点の多いデッキであり、地力勝負では【ガジェット】や【光と闇の竜】と対等に渡り合うことは困難でした。それを考慮した上でのワンショット特化構成という結論でもあったのですが、逆に言えばそのワンショットに失敗すればまず勝ち目はありません。

 さらに、ワンショットを狙う際には「巨大化」や「突然変異」などを用いた不可逆なアクションを要求されるため、一度プランが崩れた場合の立て直しも基本的には不可能です。また、堅実にアドバンテージを稼いでいくタイプの戦い方もできない以上、中長期戦に持ち込まれたが最後ずるずると盤面差が生じていくことは避けられないでしょう。

 つまり、この時期に【デミスドーザー】で戦おうとする場合、一度しかないワンショットのチャンスを逃せば負け、なおかつ時間をかけすぎても負け、という苦しいゲームを常に強いられることになります。もちろん、ぎりぎりのところで寄り切りが成立するケース、あるいは運が良ければ二度、三度とワンショットのチャンスが巡ってくるケースもありますが、ほとんどの場合は巻き返しの利かない1発勝負に臨むことになるのです。

 また、さらに悪いことに、この時期はワンショットの露払いのお供「ハリケーン」も制限強化を受けており、安全に伏せ除去を行うこと自体が難しくなっていた事情もありました。

 もちろん、「終焉の王デミス」自体が伏せ除去能力を備えているため、「炸裂装甲」などの攻撃汎用罠を苦にしない強みを持っているのは確かです。しかし、「奈落の落とし穴」などの召喚反応罠には道連れの形を取られてしまう(※)など、ワンショット系デッキとしては厳しい面が目立ちます。

(現在のルールでは効果の発動すらできませんが、当時は召喚直後に起動効果を発動できました)

 この補完として「王宮のお触れ」が採用されるなどの動きこそありましたが、あまり噛み合ったカード選択ではなく、やや苦し紛れ的な対応だったというのが現実です。類型カードである「大寒波」もデッキコンセプトの都合上採用できず、結局のところ「デミスが通るかどうかが全て」といった評価を下されていたことは否めません。

 こうした欠点はトーナメントシーンにおいては厳しいハンデとして伸しかかります。よって実際のところ、後攻1キルデッキとしての脅威度はかつての【未来オーバー】ほどには及ばなかったのではないでしょうか。

 

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事故率も高い【デミスドーザー】

 また、上記のような構造的な問題のほか、事故率の高さという単純明快な壁も大きな課題として立ち塞がります。

 これは「高等儀式術」を利用するデッキ全般に言えることですが、デッキ内に通常モンスターというノイズを少なからず含む以上、一定数のゲームで手札事故を起こしてしまうことは絶対に避けられません。後攻1キルギミックを内蔵する【デミスドーザー】はその傾向がさらに顕著であり、最悪何もせずにゲームを落としてしまうというのも決して珍しいことではなかったのです。

(これを揶揄する「2オバグ・3セクトナイト」というスラングは特に有名でした)

 この問題については6月のストラクチャーデッキから「トレード・イン」を獲得したことで一応の改善を見せましたが、逆にこれを得るまでは相当苦しいボトルネックを抱えていた印象はあります。

 ただし、それ以前にも【デミスドーザー】が一部界隈で結果を残していた(3月~4月頃)ことも事実ではあるため、場所によって【デミスドーザー】への警戒度に差があったのではないか、というのが個人的な推測です。

(「奈落の落とし穴」や罠系ハンデスなどの対策が知られていない場合、「終焉の王デミス」を止めるのが難しくなるため)

 とはいえ、こうした知名度面の影響は時間経過によって誤差の範疇に沈み込みます。元々「奈落の落とし穴」や罠系ハンデスが汎用カードとして知られていたということもあり、【デミスドーザー】への対策が進んでいくのはそう遅いこそではなかったのではないでしょうか。

 

スナイパー&ガンナー パワーカードの流行

 その他、【デミスドーザー】からは少し離れた、またデッキではなくカード単位の話にはなりますが、スナイプストーカー」「カードガンナー」らが流行し始めたのもこの頃でした。

 これらは高いカードパワーを持ち合わせていながら、【エアゴーズ】全盛期に参入してきたせいで長らく不遇の立ち位置にあったカードです。しかし、制限改訂でカードプールに調整が入ったことで相対的に立場を回復し、間もなく環境屈指の有力カードとして頭角を現していくことになります。

 ちなみに、この2枚はそれぞれ有用性の方角が異なっており、採用率は「スナイプストーカー」が、採用枚数は「カードガンナー」が勝るという奇妙な関係を示していたことでも有名です。

 「スナイプストーカー」はその汎用性の高さからどのようなデッキにも採用される可能性がありましたが、その代わり手札コストの関係で採用枚数は1~2枚に抑えられる傾向にありました。

 一方、「カードガンナー」は3積みか不採用のどちらかというタイプのカードであり、デッキによっては全く採用しないというケースも少なくありません。具体例としては、召喚権の面で競合しやすい【ガジェット】や、「D-HERO ディアボリックガイ」を使わないタイプの【光と闇の竜】などでは採用を見送られるケースが多かったと言えます。

 いずれにしても、上記2枚のカードがこの時期の環境に顔を頻出させていたことは確かです。それを示すように半年後の2007年9月の改訂では同時に制限カード指定を受けており、そのことからも当時のメタにおける影響力の強さが窺えるのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 前記事、前々記事と合わせて、2007年3月の改訂で起こったおおよその変化については以上です。

 インフレ環境の一時収束、そしてそれに伴う【ガジェット】【光と闇の竜】の台頭により、これ以降のメタゲームは緩やかに中速環境へと進んでいくことになります。しかし、同時に【デミスドーザー】というワンショット系デッキも存在感を示しており、一筋縄ではいかないゲームバランスが成立していました。

 ただし、厳密にはこの時点で全ての勢力が出揃っていたわけではありません。

 例えば【チェーンバーン】などは規制により弱体化していますが、研究の進展によってメタの一角として踏みとどまっています。また【サイカリバー】などの【グッドスタッフ】系デッキもちらほらと顔を見せているなど、総じて群雄割拠の様相を呈している環境が訪れていたと言えるでしょう。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。