ガジェライダー環境到来 大寒波の時代

2018年12月17日

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【前書き】

 【第5期の歴史18 制限改訂2007/3/1 インフレ環境の一時収束】の続きになります。特に、この記事では前中後編の中編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

【当時の環境 2007年3月1日】

 制限改訂によって前期環境を席巻していたパワーカード群に規制の手が入り、当時のメタゲームは根本から姿を変えることになりました。

 これまでメタゲームの頂点にあった【エアゴーズ】系デッキは軒並み解体に向かい、また【チェーンバーン】や【未来オーバー】などの地雷デッキも勢力を大幅に縮小させています。さらに、逆風に見舞われつつもメタの一角に踏みとどまっていた【お触れホルス】も「デビル・フランケン」を失ったことで遂に立ち行かなくなり、おおむね現役を退いていった形です。

 既存勢力の大半が表舞台を去っていく中、その空白を埋めるように新たな勢力が台頭します。

 

【ガジェット】の復権 トップメタ筆頭

 この時の改訂によって最も強く追い風を受けたのは、かねてより有力アーキタイプとして名を馳せていた【ガジェット】でした。

 前期環境においてはゲームスピードの加速についていくことができず、中堅の立ち位置を抜け出せないまま雌伏の時代を過ごしていたデッキです。しかし、上位陣の多くが姿を消したことで一転してトップメタ筆頭の地位に返り咲き、以降は主流デッキの代表格としてトーナメントシーンで結果を残していくことになります。

 この躍進の陰には、弱点であった「マインドクラッシュ」が制限カード行きとなっていたことも大きな後押しとなっていました。

 相方の「ダスト・シュート」はノータッチの状況でしたが、それでも同色のガジェットを根こそぎ落とされるといった危険なシチュエーションが減ったことは非常に有難く、ハンデスに対してある程度のゆとりが生まれた格好です。

 これは「ダスト・シュート」がハンデスカードとしては少なからず制約を抱えたカードだったことも関係しています。

 例えば複数枚のガジェットが手札に存在するというシチュエーションにおいて、魔法・罠カードにも対応する「マインドクラッシュ」であれば最低限の働きが期待できましたが、「ダスト・シュート」の場合はほとんど無力に近いほどに効力が下がってしまうからです。根本的に「ダスト・シュート」自体がゲーム後半では腐りやすい性質を持っていたこともあり、これまでと比べてハンデスパッケージの使用感がかなり悪化してしまっていたことは否めません。

 とはいえ、それでも引き続き3積み必須に近い採用率はキープしており、また、そうした状況を成立させてしまうほどには強力なカードでもありました。実際、半年後の2007年9月には「ダスト・シュート」も制限カード行きとなっています。

 しかし一方で、少なくとも【ガジェット】の台頭を抑えきれない程度には弱体化していたことも事実だったと言えるでしょう。

 

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【光と闇の竜】の台頭 そして2強環境へ

 そんな【ガジェット】に次ぐ形で環境の表舞台に躍り出たのは、誕生直後から密かに期待を集めていた【ライダー】系デッキです。

 コンセプトを一言にまとめるなら、光と闇の竜」を切り札に据えた【生け贄召喚】の一種であり、型によって【帝コントロール】や【バブーン】、さらには【デステニー】系といった要素を標準的に取り入れることで知られます。というより、「光と闇の竜」に特化しようとしてもデッキスペースが余ってしまうため、その隙間を埋める形で他デッキのギミックを流用した結果、純構築以上に安定した立ち回りの実現に成功したアーキタイプだったとも言えるでしょう。

 実際のメタゲームでの活躍については、上述の通りおおむね【ガジェット】と首位争いを繰り広げるという形に収まっていました。

 しかし、これはよく誤解されることなのですが、この【光と闇の竜】というデッキは【ガジェット】に対して明確な形で有利を取れていたわけではありません。むしろ、どちらかというと不利な部分も多く目立ち、少なくとも「勝てて当然」といった認識はかなりの誇張表現です。

 元々「光と闇の竜」はチェーン2以降の除去を素通ししてしまうという抜け道を抱えており、フリーチェーンのカードを多用してくる相手は比較的苦手としています。これは「炸裂装甲」などの使用タイミングが限られたカードも例外ではなく、例えば「炸裂装甲」を2枚連続で撃たれた場合などは除去を防ぎ切れません。

 翻って【ガジェット】は第5期における罠デッキの筆頭であり、「炸裂装甲」「万能地雷グレイモヤ」「奈落の落とし穴」はもちろん、時には「神の宣告」などのカウンターすらも積んでくるような相手です。さらに、この時期特有の傾向として「ダスト・シュート」や「マインドクラッシュ」などのハンデスカードも仮想敵として立ち塞がります。

 具体的には、

 

①:チェーン1に「ダスト・シュート

 

②:チェーン2に「光と闇の竜」の誘発

 

③:チェーン3に「炸裂装甲

 

 となった場合、チェーンブロックの解決は

 

④:チェーン3の解決、「炸裂装甲」で「光と闇の竜」が除去

 

⑤:チェーン2の解決、「光と闇の竜」の効果は不発

 

⑥:チェーン1の解決、「ダスト・シュート」は通常通り処理される

 

 という形となるため、実質カード1枚分の消費で「光と闇の竜」を落とされてしまうことになるからです。

 こうした弱点は【ガジェット】側にも見抜かれており、その結果「収縮」や「エネミーコントローラー」といった速攻魔法カードが採用率を上げていくという流れにも繋がっていました。同様に、「光と闇の竜」に強い「死霊騎士デスカリバー・ナイト」が使われるケースも格段に増加し、実際に当時の選考会の上位入賞リストには大抵これが3積みされていたほどです。

 

迫りくる大寒波時代 【ガジェット】を鉄くずに

 こうした【ガジェット】全盛期とも言える時代に待ったをかけた存在、それこそが「大寒波」という魔法カードでした。

 これまでは知る人ぞ知るマイナーカード、というより知っていても誰も使わない微妙カードという位置付けにあった存在です。しかし、これが【ガジェット】のメタとして極めて有力であることが判明した瞬間、一気に環境屈指のパワーカードとして名を馳せることになります。

 当然のことながら、この「大寒波」は【光と闇の竜】においても新戦力として取り入れられました。上述の通り、素の状態ではやや厳しめの相性差を付けられていた格好でしたが、これを得たことで非常にゆとりのあるゲームプランを立てられるようになったからです。

 例えば、自分が「巨大ネズミ」を手札に握っており、さらに相手フィールドには「イエロー・ガジェット」が存在するという盤面に遭遇したケースを考えます。

 この場合、相手の手札には「グリーン・ガジェット」が存在するため、1ターン待ってから「巨大ネズミ」で相打ちを取るというのが流れとしては理想でしょう。しかし、これは相手の妨害がないことを前提とした上振れ狙いのプレイングであり、多くの場合悪手とされるリスクの高い選択でもあります。

 ところが、「大寒波」の存在はその前提を容易に確定的なものへと変えてしまいます。つまり、通常は裏目を引きやすいリスキーなプレイングを積極的に選び取っていけるようになるのです。

 これはサイドから「ハイドロゲドン」などを使う際にも非常に有用で、強力なメタカードを安定運用することによって二重の優位性を築けます。

 もちろん、メインコンセプトである「光と闇の竜」との相性も決して悪くはありません。通常、「大寒波」は自分も魔法・罠カードを使いにくくなるデメリットを抱えていますが、元々「光と闇の竜」自体が魔法・罠で守るタイプのモンスターではないため、デッキ構築に無理が生じにくいという強みを持っていたからです。

 つまり、【光と闇の竜】はまさしく「大寒波」を最も効果的に使いこなせるアーキタイプに他ならず、やがては【寒波】系デッキの筆頭としての地位を確立していきました。

 

【後編に続く】

 2007年3月以降の環境におけるトップメタ級勢力についての話は以上です。

 ゲームバランスのデフレによって【ガジェット】と【光と闇の竜】が台頭し、環境は次第に低速化の道を歩むことになりました。もちろん、どちらも中速ながらデッキパワーは十二分に高く、前期環境とはまた別の方向で高度なゲームが繰り広げられています。

 しかし、当時の環境で存在感を示していたのは上記2デッキだけではありません。最上位陣には及ばないものの、いわゆる中堅として後を追いかける複数の勢力が頭角を現していました。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。