「光と闇の竜」参戦 【ライダー】系デッキの成立

2018年11月23日

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【前書き】

 【第5期の歴史11 デステニー・ドローが汎用ドローソースとして出張されていた時代】の続きになります。ご注意ください。

 「デステニー・ドロー」の参入によって【デステニー】系列のアーキタイプが成立し、【デステニーブレード】や【デステニービート】として環境に顔を出すようになりました。

 中には【デステニーキャンセラー】などの変わり種のデッキも見られ、当時のカードプールにおける条件の緩いドローソースの強さが浮き彫りになってくるようです。もっとも、「デステニー・ドロー」を汎用ドローソースにまで押し上げたのは「E・HERO エアーマン」の功績でもあり、結局は「エアーマン強すぎ問題」という結論に集約してしまう話だったとも言えるでしょう。

 そんな折、後々の環境で2大勢力の一角として台頭することになる大型新人が現れます。

 

ライト&ダークネス 略してライダー

 2006年11月2日、「遊☆戯☆王GX(第1巻)」が販売され、その書籍同梱カードとして1種類の新規カードが誕生しました。遊戯王OCG全体のカードプールは2552種類に増加しています。

 ここで誕生した大型新人、それは「光と闇の竜」という最上級モンスターでした。

このカードは特殊召喚できない。このカードの属性は「闇」としても扱う。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にする。この効果でカードの発動を無効にする度に、このカードの攻撃力と守備力は500ポイントダウンする。このカードが破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。自分フィールド上のカードを全て破壊する。選択したモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。

 非常にテキストが複雑かつ長いため、所見では大抵読むのを躊躇してしまうような効果です。それどころか、テキストにすら書かれていない煩雑な特殊裁定を多数含んでいる始末であり、いわゆるプレイヤー泣かせのカードとしても良く知られているのではないでしょうか。

 とはいえ、カードの性能は前書きにあるように、将来的には環境有数のトップデッキとして君臨するほどには強力です。

 効果の内容を要約すると下記の通りとなります。

 

①:効果が発動(魔法・罠はカードの発動のみ)した時、自身の攻撃力・守備力を500下げ、その発動を無効にする。(破壊はしない)

 

②:自身が破壊され墓地へ送られた時、自分フィールドのカードを全て破壊し、墓地から任意のモンスター1体を蘇生する。

 

 ①の無効化効果は先にステータス低下処理が入るため、ステータスが下げられない場合はもちろん、効果解決時にフィールドに存在しなくなった場合なども不発となります。ただし、いくつか特殊裁定が設けられているため必ずしもそうなるとは限らないのですが、基本的には最大4回分の無効化能力を備えていると考えて差し支えないでしょう。

 欠点としては、自分・相手問わずどんな効果でも見境なく無効化してしまう扱いにくさが挙げられます。また、テキストには書かれていませんが同一チェーン上では一度しか誘発しないという特殊裁定も出ているため、スペルスピード2以上のカードには容易く処理されてしまう抜け道も抱えています。

 しかし、それを踏まえてもノーコストで広範囲の行動を抑制できるのは十二分に強烈な制圧効果です。特に現在ほど除去手段が豊富でなかった第5期当時の場合、状況次第ではこれ1枚で詰んでしまうケースも少なくありませんでした。

 一方、②の蘇生効果は強みにも弱みにも転がる能力で、後続を蘇生する優秀な戦線維持効果にも、自分フィールドを更地にしてしまう自滅効果にもなり得ます。とはいえ、これもプレイングによってカバーできる弱点であり、上手く使いこなせばメリットだけを享受するのは難しいことではないでしょう。

 

当初はロマンカード扱い 重くてすぐ落ちる

 このように、「光と闇の竜」が非常に高いカードパワーを秘めたモンスターであることは間違いありませんが、実はこのカードも当初から高い評価を受けていたわけではありません。

 というのも、もはや耳にタコができるような話ではありますが、当時はインフレによって環境が高速化していたため、光と闇の竜」のような重いモンスターは召喚することさえ困難だったからです。

 しかし、それ以上に致命的だったのは、「そもそも召喚できても簡単に処理される」という厳しい現実だったのではないでしょうか。

 最大のネックはやはり「冥府の使者ゴーズ」の存在です。これを相手が手札に握っているだけで「光と闇の竜」の信頼性は自動的に一段階低下します。

 「光と闇の竜」の無効化効果は文字通り無効にするだけであり、カードの破壊までは行いません。従って「冥府の使者ゴーズ」は効果の発動を無効にされながらも延々と手札に居座り続けるため、ダイレクトアタックのたびにステータスが勝手に目減りしていく構図へと陥ります。

 もちろん、相手がそのまま何も動かずにいることは流石にあり得ませんが、単純にカード消費なしで無効化回数を1~2回減らされるというのは額面以上のダメージです。何より、相手側が特に意識しなくてもこの状況が成立してしまうことが少なくないのが問題で、多くの局面で実質攻撃力2300スタートを切るリスクを負う羽目になります。

 また、上記の「冥府の使者ゴーズ」ほどではありませんが、「E・HERO エアーマン」も厳しい仮想敵の1体です。

 「E・HERO エアーマン」の攻撃力は1800、さらにはそれ自体が誘発効果を持つため、実質2300の時点で相打ち圏内に入ってしまいます。これはつまり1度の効果無効によって下級ラインに落ちてしまうということに等しく、「特殊召喚不可の最上級モンスター」という高級品を用意するコストに釣り合っているとは到底言えません。

 一応、蘇生効果の存在から完全に損な取引とはなりませんが、やはり維持してこそというモンスターではあり、少なくとも得をしているとは言い難いのが現実でしょう。

 こうした逆風の環境で「光と闇の竜」を活躍させることを狙うのは、端的に言って非常に難しい挑戦です。苦労して「光と闇の竜」を召喚したはいいものの、直後に「冥府の使者ゴーズ」を踏んで攻撃力2300、そのまま返しに「E・HERO エアーマン」を置かれて相打ち、といった形で即落ちしてしまうことも珍しいとは言えません。

 そうしたリスクを負ってでも「光と闇の竜」を使いたい、と考えるプレイヤーもいないわけではありませんでしたが、おおよそのところは「ロマンカード」という認識の強いカードだったのではないでしょうか。

 

【バブーンライダー】成立の兆し

 そんな「光と闇の竜」ですが、上述の通りカード自体の人気は漫画の影響もあってか非常に高く、この頃から既に専用デッキが考案されています。

 この組み合わせとして最初に持ち上がったのが【バブーン】との複合型で、そのまま名前を繋げて【バブーンライダー】もしくは【バブライダー】と呼ばれるアーキタイプです。

 基本の動きは【バブーン】を下敷きに、「素早いモモンガ」などのリクルーターを「光と闇の竜」の生け贄に充てることを狙います。この際、可能であれば「怒れる類人猿」などをあらかじめ墓地に落としておき、死亡時の蘇生効果で釣り上げて「森の番人グリーン・バブーン(エラッタ前)」を構える、というのが理想的な展開パターンの指標となるでしょう。

 これは事故率の観点から見ても合理的な選択で、コンセプトの複合によって「片方のギミックが動けば戦える」という理屈が成り立つのが魅力です。例えば上記の例の場合、「森の番人グリーン・バブーン(エラッタ前)」を握っていなくても「光と闇の竜」を置くことができ、その間にデッキを掘り進めるという中間的な選択を取ることができます。

 制限改訂によって弱体化した【バブーン】側の視点でもこの状況は非常に都合がよく、やがてはここに「大寒波」を取り込んで【寒波バブライダー】として一世を風靡することになりました。

 とはいえ、この時期の【バブライダー】は【ライダー】というよりも、【アンデバブーン】に「光と闇の竜」を追加したもの、といった趣が強かったことは否めません。将来的に【アンデット】要素がほぼ抜けてしまうことを考慮しても、これが【バブライダー】に含まれるかどうかは意見が分かれるところなのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 「光と闇の竜」に関する話は以上です。

 重い召喚条件に見合った強さを備えた優良カードであり、将来的には【ガジェット】と勢力を二分するほどのシェアを獲得するに至ります。一方で、このカードですら参入当初は評価に恵まれていなかったというのは、この時期のインフレ環境を象徴しているようでもあり、やはり重く受け止めるべき事実ではあったのかもしれません。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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