【スーパードローライダー(SDL)】の歴史・時代ごとのデッキレシピまとめ
【前書き】
【スーパードローライダー(SDL)】の大まかな歴史・時代ごとのデッキレシピについてまとめています。メタゲームやデッキ概要の解説については下記のリンクをご参照ください。
2008年9月(成立直後)
モンスターカード(22枚) | |
---|---|
×3枚 | 虚無魔人 |
D-HERO ディアボリックガイ | |
D-HERO Bloo-D | |
光と闇の竜 | |
×2枚 | ダーク・アームド・ドラゴン |
ダーク・グレファー | |
闇・道化師のペーテン | |
×1枚 | E・HERO エアーマン |
ゾンビキャリア | |
マジック・ストライカー | |
冥府の使者ゴーズ | |
魔法カード(17枚) | |
×3枚 | 増援 |
デステニー・ドロー | |
トレード・イン | |
闇の誘惑 | |
×2枚 | おろかな埋葬 |
×1枚 | 大嵐 |
死者蘇生 | |
洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前) | |
罠カード(1枚) | |
×3枚 | |
×2枚 | |
×1枚 | 死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前) |
エクストラデッキ(15枚) | |
×3枚 | |
×2枚 | ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前) |
ダークエンド・ドラゴン | |
氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前) | |
×1枚 | ギガンテック・ファイター |
キメラテック・フォートレス・ドラゴン | |
スターダスト・ドラゴン | |
デスカイザー・ドラゴン | |
ブラック・ローズ・ドラゴン | |
ミスト・ウォーム | |
メンタルスフィア・デーモン | |
蘇りし魔王 ハ・デス | |
レッド・デーモンズ・ドラゴン |
【スーパードローライダー】は「光と闇の竜」を始めとした各種制圧モンスターをゲーム最序盤に設置し、その優位を保ったままゲームを押し切ることを狙うコンボ系ビートダウンの一種です。デッキ名の通り分類上は【ライダー】系に属していたデッキですが、そちらと違い下級モンスターによるビートダウンを行うことはほぼなく、とにかく制圧モンスターを素早く着地させることに特化していたという特徴があります。
ただし、上記のコンセプトを掲げていたのはごく初期の頃だけであり、将来的には下記の【シンクロダーク】型に変遷を遂げています。理由についてはいくつかありますが、一言で言えば【シンクロアンデット】の流行に伴うワンキル環境(※)に適応したことによる結果です。
(※詳しい背景は下記の記事で解説しています)
ともあれ、この「大型10枠以上」という無茶なコンセプトを支えていたのが「闇の誘惑」「デステニー・ドロー」「トレード・イン」の【ドロー三種の神器】であり(※)、その2つを取って【スーパードロー】+【ライダー】と呼ばれていました。
(※そのため、実質的には「闇の誘惑」の誕生を受けて成立したと言っていいアーキタイプです)
制圧モンスターの選択については基本的には自由ですが、当時は「D-HERO Bloo-D」「虚無魔人」の2種類がよく採用されていました。「D-HERO Bloo-D」の方は「デステニー・ドロー」「トレード・イン」の両者に対応することから、「虚無魔人」は単純に特殊召喚メタが優秀だったことから、それぞれ声がかかったという経緯です。
実際、【シンクロアンデット】などのシンクロデッキ相手には「虚無魔人」を置ければ安定して勝つことができたため、当時の環境においてはある種のメタデッキとして機能していたところもあります。考えようによっては戦闘破壊から守る必要がない「フォッシル・ダイナ パキケファロ」のようなものであり、本質的には【メタビート】の防御カードをドローエンジンと展開サポートに置き換えたようなデッキだったとも言えるでしょう。
逆に言えば、盤面制圧に失敗した場合には永続メタを設置できなかった【メタビート】並に苦しい状況に陥ってしまうということでもあるため、安定性に関してはかなり厳しい課題を抱えていたことは否めません。その上、当然のことながら純正の【メタビート】に対しても不利がついているなど、根本的にトーナメント向けのデッキではなかったことは確かです。
もちろん、上述したように少なからず光る部分を持っていたことも事実ですが、やはり一定数のゲームを手札事故だけで落としてしまうリスクは看過できるものではなく、この頃の【スーパードローライダー】が地雷デッキの域を抜け出せない状況にあったことは間違いないでしょう。
2008年11月 【シンクロダーク】型
モンスターカード(21枚) | |
---|---|
×3枚 | ダーク・グレファー |
D-HERO ディアボリックガイ | |
×2枚 | クレボンス |
ジャンク・シンクロン | |
ゾンビキャリア | |
ダーク・アームド・ドラゴン | |
D-HERO ダッシュガイ | |
トラゴエディア | |
×1枚 | E・HERO エアーマン |
サイコ・コマンダー | |
冥府の使者ゴーズ | |
魔法カード(18枚) | |
×3枚 | 緊急テレポート |
増援 | |
大寒波 | |
デステニー・ドロー | |
闇の誘惑 | |
×2枚 | |
×1枚 | 大嵐 |
死者蘇生 | |
ハリケーン | |
罠カード(1枚) | |
×3枚 | |
×2枚 | |
×1枚 | 死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前) |
エクストラデッキ(15枚) | |
×3枚 | |
×2枚 | ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前) |
ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前) | |
ダークエンド・ドラゴン | |
氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前) | |
×1枚 | ギガンテック・ファイター |
スターダスト・ドラゴン | |
デスカイザー・ドラゴン | |
ブラック・ローズ・ドラゴン | |
メンタルスフィア・デーモン | |
蘇りし魔王 ハ・デス | |
レッド・デーモンズ・ドラゴン |
そんな【スーパードローライダー】の全盛期は、かの悪名高いワンキルカード「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」の参入とともに訪れています。
ただし、従来のコンセプトそのままの形で環境上位に浮上していたわけではなく、上記サンプルレシピのようにシンクロ召喚ギミックに特化した構築にシフトしていました。この頃になると「D-HERO Bloo-D」や「虚無魔人」はおろか、「光と闇の竜」ですら採用されない構築が主流になっており、もはや【ライダー】でも何でもないデッキと化してしまっています。
大まかな経緯については下記の通りです。
①:「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」の誕生によって【シンクロ召喚】要素が濃くなる。
②:召喚権が競合しやすい「虚無魔人」がデッキから抜ける。
③:重さの割に「ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前)」などで簡単に戦闘破壊される「D-HERO Bloo-D」が抜ける。
④:それにより撃ちにくくなった「トレード・イン」が抜ける。
⑤:手札に引いてしまった大型の処理が難しくなり、「光と闇の竜」の枚数が減る。
⑥:空いたスペースに更に【シンクロ召喚】要素が入り、大型を用意する利点がなくなる。
⑦:「光と闇の竜」が抜ける。
このように、当初はデッキのキーカードとされていたはずのカードが順番にデッキから抜けていっており、最後には全く別のデッキと化してしまっています。いわゆる「ライダーレスライダー」で有名になった時代であり、しばしば「ライダーなのにライダーが入っていないデッキ」などという揶揄を受けていました。
実際のコンセプトは現在で言うところの【シンクロダーク】に近い構成に仕上がっており、事実上はその開祖とも言えるデッキです。当時の環境では【シンクロアンデット】が最大のライバルとなっていましたが、こちらは「ジャンク・シンクロン」を採用することで7シンクロへのアクセスをさらに容易にしていたという強みがあります。
なおかつ、この時期は無制限カードだった「増援」によって安定して手札に引き込むことができたため、ことスピードにおいては間違いなく環境最速と言えるワンキル力を持っていました。
というより、これ以降のゲームスピードが急激に加速した理由の7割は【スーパードローライダー】の存在にあったと言っても過言ではありません。実際、当時の【シンクロアンデット】で「緊急テレポート」ギミックが必須と言われるようになったのも【スーパードローライダー】の速度に対抗するためだったという背景が存在します。
いずれにしても、2008年末~2009年初頭環境における「相手のワンキルに対抗するために自分が先にワンキルする」という末期的な価値観を生み出した元凶が【スーパードローライダー】だったことは間違いないでしょう。
こうした環境での暴走の結果、続く2009年3月の改訂では【スーパードローライダー】に対する厳しい規制が入ることになります。具体的には、「増援」「緊急テレポート」「ゾンビキャリア」が制限カードに、「D-HERO ディアボリックガイ」「デステニー・ドロー」「闇の誘惑」が準制限カードとなり、これまでのような高速シンクロデッキとして振る舞うことは事実上不可能となりました。
その後は同じく当改訂で弱体化した【シンクロアンデット】とコンセプトを併合し、【ダークアンデット】に派生することで一応の命脈を保っています。しかし、その【ダークアンデット】も最終的には【ダークモンスター】型の構成にシフトしてしまった以上、実質的にはこの時の改訂を最後に自然消滅を迎えていたと言えるでしょう。
とはいえ、「闇属性を主軸にしたシンクロデッキ」というコンセプトは後世の【シンクロダーク】に引き継がれており、アーキタイプのひな形としての役割を担った原型的なデッキでもあります。また、将来的には第9期中頃において環境デッキとして大々的に復活を果たすなど、並のデッキ以上に広い範囲で存在感を示していたデッキだったのではないでしょうか。
【まとめ】
【スーパードローライダー】の大まかな歴史・時代ごとのデッキレシピについては以上です。
環境全体の流れについては下記リンクをご参照ください。
ディスカッション
コメント一覧
ジャンク・シンクロンで7シンクロにアクセスしやすいとありますが、上のサンプルデッキだとチューナー以外のレベル2モンスターがいない気がします。7シンクロはどんな手順で呼び出すのでしょうか
コメントありがとうございます。
ジャンク・シンクロンのレベルは3ですので、レベル4モンスターと合わせれば7シンクロに繋がります。
記事拝読させていただきました。
SDLから派生したシンクロダークの強みは増援と2種ドロソによる安定感とDDBへのアクセス、メインからゴーズだけでなくトラゴを採用できることですね。(今でも遊戯王WCS2009のソフトで回すことがあります)
終末の騎士を採用することが多いシンクロアンデに対し、増援からアクセス可能なダグレやエアーマンをエンジンにしていることで、メタビの閃光の追放者やワンフーに強いのも使いやすい点だと思います。(デビルガイをピン差ししてもライオウに対処したいタイミングでサーチが効かないのは悲しいですが)
寒波下での動きもシンクロアンデより自由が効くので、先行寒波から3ターン目に8000を削り切ることがすごく得意に感じます。(モンスターを一体棒立ちさせるだけで、猫はダムドが絡めないと8000を削り切れず、シンクロアンデは初手でディアボから8000削るルートのパーツが揃っていてもブリュの的が足りなくなり、結果的にミラーでダグレとジャンクロンとディアボorゾンキャリとダグレのssコストの4枚を素引きで揃えられていなければ3ターン目は迎えられます)
反面、ディアボリックガイのリソースを回復できないので死デッキのコストにディアボリックガイを使ってもこちらの展開リソースが欠け、シンクロアンデの終末ゴブゾンなどは落とせず馬頭鬼は落ちる点、闇の誘惑のコストにディアボリックガイを使いにくい点などはこのデッキの弱い部分かなと。
この時代は先行有利ではあるものの先行展開は不利になる独特のバランスで環境が成り立っていたので今でも研究すると面白くあります。
有意義な記事をありがとうございます。
コメントありがとうございます。
08年9月環境は寒波DDBワンキル環境と揶揄されることも多いですが、端から見るだけでは分からない奥深さもあったように思います。と言っても、私自身そこまでやり込めていたかというとあまり自信はないですが、トラゴに関しては3000にできるかどうかが1つの焦点になっていたようなイメージはあります。
(ただメンタルスフィアが出てきて緊テレが確定して絶望したりも……)
返信ありがとうございます。
トラゴの守備力3000は対シンクロアンデだとそれなりに信頼感がありましたね。ただミラーの場合はジャンクロン展開ルートを辿ると、ジャンクロンとダグレとディアボリックガイが墓地に落ちていてギガンテックの打点が3100となり、ギガンテック、DDB、任意の星8シンクロという盤面が作られるため、緊テレがなくとも次のターンは来なかったり…。
ギガンテック、レッドデーモンズの並びならギガンテックの攻撃力が3000の場合でも、攻撃表示のトラゴはギガンテック、守備表示のトラゴはレッドデーモンズ、というように分担処理が可能なので、メンタルスフィアでトラゴ処理をすることは少なかった感覚です。
懐かしさから少々蛇足気味になってしまいました。
改めて当時を感じられる貴重な記事をありがとうございます。