【レスキューシンクロ】の一時後退と【シンクロアンデット】の台頭

2019年3月8日

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【前書き】

 【第6期の歴史9 制限改訂2008/9 ブリュループ及び【ドグマブレード】の崩壊など】の続きになります。特に、この記事では前後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

【レスキューシンクロ】の弱体化

 2008年9月の改訂で最も大きなダメージを負った主流デッキは【レスキューシンクロ】でした。

 単純に考えてもデッキの初動パーツが6枚から4枚に目減りしているため、動き出しにかなり大きな不安が生まれてしまったことは否めません。この時期の【レスキューシンクロ】は良くも悪くも「レスキューキャット(エラッタ前)」「召喚僧サモンプリースト」からの展開力に強く依存しており、これらが引けなければ「サイバー・ドラゴン」や「X-セイバー エアベルン」で殴る程度しかすることがなかった(※)からです。

(※これらをシンクロ素材として温存する場合、それすらせずにドローゴーすることも少なくありませんでした)

 そのため、これ以降は「巨大ネズミ」などの各種リクルーターを取り入れることで安定性の補強を図っていますが、これらは即効性がない上に除去で潰されやすく、あまり満足のいくカード選択ではありませんでした。それ以外の細かな調整も規制による弱体化を補うほどの効力は得られず、やはり環境上位からは転落を余儀なくされてしまったことは否定できません。

 そこで【レスキューシンクロ】が目を付けたのがライオウ」「王宮の弾圧」といったメタ要素の強いカード群であり、デッキコンセプトの一部をメタ側に寄せることで生存を図った格好です。

 「王宮の弾圧」は多くのギミックとアンチシナジーが発生しますが、「大寒波」があればこれを無視して動けるため、相性は悪いものの致命的というほどではありません。単純なデッキパワーだけでは【シンクロアンデット】に勝てない中で見出した数少ない活路であり、総合的にはメタにも噛み合った的確なカード選択だったのではないでしょうか。

 ただし、この時期の「王宮の弾圧」は効果の一部が調整中となっており、あらかじめ審判に確認を取っておかなければまともに使用できないという致命的な欠陥を抱えていました。

 具体的には、特殊召喚効果を持つモンスターのそれ以外の効果、つまり「BF-疾風のゲイル」のステータス半減効果などを無効にできるかどうかがプレイヤー同士では判断できなかったため、一時期は遊戯王黎明期さながらの混乱(※)が巻き起こったほどです。

(※「王宮の弾圧」の裁定を問い合わせるとカードによって異なるため個別に問い合わせるようにと言われ、個別に問い合わせると今度は調整中とたらい回しにされる状況でした)

 ちなみに、「六武衆の師範」のサルベージ効果はなぜか無効にできる裁定となっており、そうした特殊裁定の乱発もまた混乱を助長する結果に繋がっていたのではないでしょうか。

 

 一方、制限改訂の強い追い風を受けたデッキとしてはやはり【シンクロアンデット】の名前が筆頭に挙がります。

 影響のあった規制は実質「生還の宝札」の準制限カード化だけであり、メインギミックに関しては完全にノータッチという状況でした。それどころか「D-HERO ディアボリックガイ」の規制解除によって逆に強化されている状態だったため、【レスキューシンクロ】を押しのけて間もなく環境トップに台頭しています。

 さらに、この2週間後には「闇の誘惑」という強力なドローソースも獲得しており、まさに盤石の地位を築き上げていたと言っても過言ではありません。総合的なデッキパワーでは間違いなく当時最強のデッキであり、使用率に関しても相当の割合を占めていたのではないでしょうか。

 とはいえ、墓地に強く依存する関係でメタが刺さりやすいという弱点もあったため、いわゆる1強環境に至るほどには支配的な立ち位置ではありませんでした。また、この後を追うように現れた【スーパードローライダー】には速度面で後れを取るケースが多く、単純な地力の高さだけでは勝てない環境が成立していたことは確かです。

 この対策として【シンクロアンデット】が取ったのが「デッキの更なる高速化」という手段であり、とにかくゲームを早く終わらせることでメタを無視して強引に勝つという非常に攻撃的なプランを持ち出しています。この流れを強烈に後押ししていたのが「ブラック・ローズ・ドラゴン」や「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」といった凶悪な7シンクロの存在であり、結果として「下手に搦め手を用いるよりも攻め続ける方が勝率が高い」という乱暴な結論が導き出されてしまっています。

 この時期に「緊急テレポート」が流行したことにもこうした側面があり、構図としては環境の高速化が更なる環境の高速化を招いてしまった格好です。

 

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【メタビート】の奮闘

 とはいえ、【シンクロアンデット】が複数のメタが刺さる脆弱性を抱えていたこと自体は間違いなく、これにメタを張ったデッキがいくつも試されていくことになります。

 純正の【メタビート】はもちろんのこと、上記の【レスキューシンクロ】のように主流デッキ側がメタカードを使う例もあり、これ以降のメタゲームが次第に複雑化の一途を辿っていたことは確かです。

 

【次元剣闘獣】 墓地メタビの筆頭

 中でも有名なのは、「次元の裂け目」を取り入れて墓地メタを張った【次元剣闘獣】と呼ばれる型でしょう。

 元々【剣闘獣】は墓地利用をあまり積極的に行うデッキではなく、利用するとしても「E・HERO プリズマー」辺りが精々だったため、多少構築を弄るだけでも【墓地メタビ】にシフトすることは容易でした。というより、【剣闘獣】自体が罠メタビの一種である以上、極端な話「異次元の裂け目」を積むだけで【墓地メタビ】になると考えても差し支えはありません。

 しかし、同じく全体除外カードの筆頭である「マクロコスモス」は基本的には採用されないなど、他の【墓地メタビ】ほど墓地メタに特化していたわけではないことも窺えます。これはデッキスペース的な兼ね合いはもちろんですが、単純に複数枚引くと弱いこと、また「剣闘獣の戦車」を除外されると戦いにくいためといった理由がありました。

 とはいえ、「大寒波」を筆頭とする致命的な天敵の存在、また「緊急テレポート」からの「ブラック・ローズ・ドラゴン」などで容易に布陣を崩されるといった脆弱性もあり、実際の環境における立ち位置はおおむね中堅クラスに落ち着いています。【剣闘獣】そのものの地力の高さもあり、デッキの完成度は決して低くはありませんでしたが、やはり【シンクロアンデット】の脅威に真っ向から立ち向かうのは厳しかったというのが実情です。

 

【光アンデット】 実質光メタビ

 次点で有名な【メタビート】としては、【光属性】と【アンデット族】の複合である【光アンデット】が挙げられます。

 【光属性】要素を混ぜる利点はほぼ「オネスト」「ライオウ」の存在に起因しており、【光アンデット】はこれらを3枚積むところから構築が始まっていたと言っても過言ではありません。特に「大寒波」の影響下でも効力を維持できる点が非常にありがたく、攻めにも守りにも使える万能札として活躍していたカードです。

 一方、【アンデット族】側は通常の【シンクロアンデット】とは大きく異なるカード選択が取られています。「ピラミッド・タートル」などの「王宮の弾圧」をすり抜ける展開手段はその基本ですが、それ以外にも「闇竜の黒騎士」をメインから採用している(※)など、【シンクロアンデット】への強いヘイトが見える構成に仕上がっていました。

(※ただし、「オネスト」に対応する1900打点のアンデット族というだけでも最低限の強さはあったため、完全に腐ることはないという意味でメイン採用が取られていた側面もあります)

 また、デメリットアタッカーである「邪神機-獄炎」を標準搭載する都合もあり、型によっては「スキルドレイン」が積まれることも少なくありませんでした。上記の【レスキューシンクロ】らと違ってメインギミックの段階から【メタビート】に比重を置いている形であり、実質【アンデット族】の姿を借りた【光メタビ】とも言えるデッキです。

 とはいえ、勢力の大きさそのものは【次元剣闘獣】と五分五分の状況に収まっていたことは否めません。メタカードに多くのスペースを割いている関係上、能動的にアドバンテージを稼ぐ手段が「馬頭鬼」程度しか残されていないため、上手くメタが刺さらない相手にはデッキパワー格差で押し切られてしまうケースが多かったことが主な要因と言えるでしょう。

 しかし、それでも【シンクロアンデット】の対抗馬として注目を受けていたことは変わらず、これ以降の環境では有力デッキの一角として存在感を示していくことになります。

 

【まとめ】

 前記事と合わせて、2008年9月の改訂で起こった大まかな出来事は以上となります。

 ブリュループや【ドグマブレード】が解体されたことを筆頭に、メタゲームにも少なくない影響が生まれた動きの多い改訂です。【レスキューシンクロ】の一時後退を受けての【シンクロアンデット】の躍進、そしてそれに伴うメタデッキの進退など、様々な範囲に波及する大規模な改訂だったと言えるのではないでしょうか。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。