オネスト降臨 「ダメステいいっすか」の恐怖

2019年1月21日

【前書き】

 【第5期の歴史36 【ライトロード】2008年の旅 裁きの龍が壊れカードだった頃】の続きになります。特に、この記事では前中後編の中編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

オネスト誕生 コンバットトリックの革命児

 レギュラーパック「LIGHT OF DESTRUCTION」から現れた最大の大型新人、それは「オネスト」という1体の下級モンスターでした。

自分のメインフェイズ時に、フィールド上に表側表示で存在するこのカードを手札に戻すことができる。
また、自分フィールド上に表側表示で存在する光属性モンスターが戦闘を行うダメージステップ時にこのカードを手札から墓地へ送る事で、エンドフェイズ時までそのモンスターの攻撃力は、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力の数値分アップする。

 遊戯王OCGの【光属性】を代表する非常に有名なモンスターであり、またその名声に劣らない高いスペックを備えるパワーカードとして今なお知れ渡っている存在です。性質そのものはコンバット・トリックカードの一種に過ぎませんが、そのポテンシャルは単なる戦闘補助の枠組みに収まり切るものではありません。

 具体的な強さや使用法については最早語られ尽くしているため、この場で改めて取り上げることはしませんが、遊戯王で【光属性】を語る上では欠かすことのできないカードと言えます。それどころか遊戯王OCGにおける戦闘補助カードの常識を一変させたと言っても過言ではなく、まさにコンバット・トリックの革命児にあたる存在です。

 そんな「オネスト」を【光属性】最強格の打点強化カード足らしめる要素は、一言で言えば「存在アドバンテージ」の大きさに他ならないでしょう。

 つまり、「オネスト」というカードが環境に存在するという事実そのものが強みになっているということであり、現在で言うところの「誘発ケア」を相手に意識させられる点が最大の武器にあたります。

 

オネストが強すぎると言われた時代

 問題は、これが2008年という古の時代に誕生してしまったことにあったのではないでしょうか。

 今でこそ半ば常識と化している「誘発ケア」という概念ですが、この頃は妨害と言えばセットカード、それも「奈落の落とし穴」「次元幽閉」などの各種罠カードがその大半を占めている時代でした。逆に言えば、だからこそ「D.D.クロウ」や「冥府の使者ゴーズ」などの数少ない例外がカードパワー以上の高評価を受けていたとも言えます。

 ともあれ、そのようなゲームバランスの最中にあった当時において、「オネスト」の存在はまさしくオーパーツそのものでした。感覚的には手札から撃てる「炸裂装甲」に近く、属性サポートカードという制約があるにしろ、当時の水準で許されるような性能ではありません。

 もちろん、これほどのパワーカードが注目されないはずがなく、間もなく「オネスト」は【光属性】における必須カードの立ち位置を確立していくことになります。

 また、こうした「オネスト」全盛期の背景には、当時の【光属性】筆頭デッキである【ライトロード】の台頭も強烈な後押しとなっていました。

 さらに、こうした影響はデッキ単位ではなくカード単位にも及んでおり、最盛期には「新規カードが光属性というだけで注目される」という価値観すら生まれてしまったほどです。にもかかわらず、誕生から2年にも渡って無制限カードに居座っていたという経緯があり、そうした現役時代の長さもまた「オネスト」というカードが恐れられる要因を担っていたと言えるでしょう。

 

最終的には制限カードに しかしそれでも使われる強さ

 ちなみに、「オネスト」は2010年3月に準制限カードに規制されているのですが、その後もしばらくはトーナメントレベルでの活躍が続いており、中でも【代行天使】時代における活躍は目覚ましいものがありました。

 というより、初期の【代行天使】(※)が環境入りを果たした理由の一端が「オネスト」の存在にあったことは間違いなく、文字通りの意味で【光属性】絡みのデッキ全てに影響を及ぼしていたと言っても過言ではない存在です。

(※とはいえ、ストラク販売直後はエクシーズ召喚が未実装だったため、流石に全盛期ほどの勢いはありませんでした)

 最終的に「オネスト」が制限カードにまでなった理由は、こうした単体のカードとしては異常とも言える影響力の大きさが強く関係していたと言えます。属性サポート、それも分類上は戦闘補助に位置するカードがこれほどの規制を受けた例は数少なく、そのことが逆に当時の「オネスト」の脅威を物語っていたのではないでしょうか。

 現在ではゲームバランスのインフレもあって環境で姿を見かける機会は減っていますが、それでも活躍の場が完全に消えたわけではなく、【光属性】系列デッキの動きによっては今後急浮上する可能性も大いに見受けられる名カードです。

 

旧裁定オネストのややこしいルール

 そんな「オネスト」というカードですが、これに関連した「ルール面のややこしさ」の問題を切り離すことはできません。なぜなら、この時期の「オネスト」は現在と裁定が異なっており、ダメージ計算「時」においても効果を使用することができたからです。

 通常、多くの戦闘補助カードはダメージ計算「前」にしか使用できないため、発動タイミングさえ適正であれば何個でもチェーンブロックを生成できます。例えば「オネスト」をチェーン1で発動した場合、そのチェーンブロックの解決後に2枚目の「オネスト」を改めてチェーン1で発動するといったプレイ(※)が成立するのです。

(※つまり、無理にチェーンを一度に組む必要はありません)

 しかし、ダメージ計算時には原則として一度しかチェーンブロックを組めないため、上記のプレイは成立しなくなります。チェーンブロックの解決後にはそのまま戦闘に入ってしまい、2枚目の「オネスト」を発動するタイミングがそもそも存在しないためです。

 かと言って相手の「オネスト」にチェーンする形で自分が「オネスト」を撃ったとしても、チェーンの逆順処理(※)によって自分の「オネスト」は無駄になってしまいます。

(※つまり、先に「オネスト」を撃たれた時点でその戦闘には勝てなくなります)

 これらをまとめると、オネスト」はダメージ計算前は後出し有利となる一方、ダメージ計算時には先出し有利の関係となるということが分かります。こうした流動的な処理こそが「オネスト」がややこしいと言われていた理由であり、またプレイヤーに対して「ダメージステップは複雑」という認識を植え付けたとも言えるでしょう。

 

「ダメステいいっすか」をしてはいけない

 ちなみに、記事タイトルにもある「ダメステいいっすか」という言葉ですが、これは当時における「やってはいけないプレイ」の代表格として有名でした。

 これだけではダメージステップのどのタイミングで発動したかが不明瞭になってしまい、相手のモラルによっては不利なタイミングを押し付けられる(※)可能性があったからです。そのため、正確には「ダメージ計算入っていいですか」と明言しなければなりません。

(※つまり、ダメージ計算前に発動したことにされてしまうリスクが存在します)

 一方、この応用テクニックとして「相手に優先権があり、かつ光属性モンスター同士で戦闘を行う場合」において、相手の「オネスト」を釣り出すためにブラフで「ダメージ計算入っていいですか」と尋ねるプレイングなども存在していました。上述の通り、ダメージ計算時に限り「オネスト」が先撃ち有利となるため、「こちらがオネストを持っていると誤認させ、相手のオネストを無意味に先撃ちさせる」という駆け引きが成立するからです。

 もちろん、何度もやると効果が薄くなり、また何より対戦相手に迷惑なので、マッチ中に1回やるかやらないか程度の頻度で仕掛けるのが効果的でしょう。仮に使用されなくとも、悩む間があれば相手が「オネスト」を握っている可能性が高くなり、また相手が「多少無理をしてでも戦闘破壊を通したい状況」に置かれていることが分かるなど、多くの情報アドバンテージ(※)を取ることができます。

(※逆に、このブラフを相手に利用される危険もありますが、そこまで深読みするのは泥沼なのでやめた方が無難です)

 「オネスト」の処理の複雑さを利用したテクニックであり、上手く使いこなすことができればブラフをアドバンテージに変換することさえできるなど、あらゆる意味で通常のカードとは異なる枠組みにあったカードと言えるでしょう。

 

【後編に続く】

 「オネスト」についての話は以上です。

 その革新的な効果によって多くのプレイヤーから注目を集め、間もなく【光属性】を象徴するカードの1枚としての地位を築き上げることになります。その高評価は長らく揺らぐことはなく、今なお知名度に関して言えば遊戯王でも上位に入るカードなのではないでしょうか。

 そんな「オネスト」を輩出した「LIGHT OF DESTRUCTION」ですが、当パック出身の目玉カードはこれだけではありません。それどころか前記事の【ライトロード】を含め、ある意味では当パックがもたらした最大の出来事と言える変化も訪れていたのです。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。