ブラック・ローズ・ドラゴン誕生 全て壊すんだ合戦環境の到来

2019年3月4日

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【前書き】

 【第6期の歴史5 ゴヨウ・ガーディアン全盛期 エラッタ前は禁止級の性能?】の続きになります。ご注意ください。

 「ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前)」という怪物の誕生により「ゴヨウライン」の概念が成立し、このラインを下回る多くの大型モンスターが信頼性を大きく低下させることになりました。同じく6シンクロの巨頭である「氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前)」と合わせてエクストラの必須枠となり、それに伴って他の6シンクロはほぼ存在意義を失ってしまったほどです。

 第6期の水準を露骨に上回るパワーカードの参戦にメタゲームが混乱する中、再び環境に激震が走ったのは7月中旬のことでした。

 

ブラロ全盛期 大嵐とブラホが1枚になったカード

 2008年7月19日、レギュラーパック「CROSSROADS OF CHAOS」が販売されました。新たに80種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは3362種類に増加しています。

 第6期出身パックとしては珍しく、全体的にコンボ要素の強いカード群で収録枠が占められており、単体で強いパワーカードは数枚しか含まれていません。その代わり「伝説の白石」など専用デッキでキーカードを務めるカードや、「御前試合」「魔法族の里」といったメタ要素の強いカードを輩出していたことで知られます。

 とはいえ、やはり環境レベルで注目を受けていたのは「単体で強いパワーカード」の方であり、中でも「ブラック・ローズ・ドラゴン」の誕生は極めて大きな衝撃をもって受け止められたのではないでしょうか。

このカードがシンクロ召喚に成功した時、フィールド上に存在するカードを全て破壊する事ができる。
1ターンに1度、自分の墓地に存在する植物族モンスター1体をゲームから除外する事で、相手フィールド上に存在する守備表示モンスター1体を攻撃表示にし、このターンのエンドフェイズ時までその攻撃力を0にする。

 素材縛りのない7シンクロとしては史上2体目(※)となるモンスターであり、そして第6期出身の7シンクロとしては「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」に次ぐパワーカードとして知られます。禁止カード指定の経験こそありませんが、全盛期には「エクストラに用意されていて当然」という価値観さえ生まれていたほどの存在です。

(※同じタイミングで「サイコ・ヘルストランサー」が現れています。また、1体目は「X-セイバー ウルベルム」であり、第6期初頭環境では7シンクロの穴埋め要員としてそれなりに使われていました)

 1つ目の効果は単純明快、「シンクロ召喚時にフィールドのカードを全て破壊する」というもので、もはや説明のしようがないほどシンプルに強い全体除去効果と言えるでしょう。事実上「ブラック・ホール」と「大嵐」が1枚になったようなモンスターであり、条件さえ整えばいつでも出せることを踏まえればある意味それ以上に使い勝手が良いとすら言える脅威のリセットカードです。

 ただし、当時のカードプールでは7シンクロを1:1交換以下の消費で出す方法は数少なく、さらに「ブラック・ローズ・ドラゴン」を出す過程で召喚権を含む展開手段を使い切ってしまうケースが多かったため、安易にシンクロ召喚を狙っても逆に不利に陥りやすいという欠点も抱えていました。

 しかし、そうした弱点を考慮しても凄まじいカードパワーを持っていたことは変わらず、上述の通り間もなくエクストラの必須枠を務めるようになっています。これによりメタゲームどころかプレイングにまで影響が及ぶほどの大規模なゲームバランスの変動が発生しており、影響力そのものに関して言えば「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」にさえ比肩するものがあったのではないでしょうか。

 一方、後半のステータスダウン効果は発動コストとして植物族の墓地除外を要求されること、また大抵の場合リセットに巻き込まれるため効果を発動する機会がそもそもないといった要因が重なり、当初はあまり評価されていない「隠された効果」だったことは否めません。

 しかし、一時期【植物族】関連のシンクロ出張ギミックが流行した環境ではそこそこ有用な効果と再認識されるに至っており、単なるリセットカードに終わらない活躍を見せていたことは取り上げるべき実績の一つに数えられるでしょう。

 

「ブラロケア」の概念 バックは2伏せまで

 とはいえ、やはり「ブラック・ローズ・ドラゴン」の真骨頂が全体除去効果にこそ秘められていたことは明らかです。

 結果として、これ以降の環境では「7シンクロの素材が揃う≒全体除去が飛んでくる」という価値観が広まっており、フィールドにカードを溜め込むこと自体にリスクがあると考えられるようになりました。それによりセットカードを安易に伏せるプレイングは悪手とされ、基本的には2伏せまでに抑えるべきであるという定石が生まれています。

 正確に言うと「ブラック・ローズ・ドラゴン」の誕生以前にも似たような定石はいくらでも存在しましたが、これほどコンスタントに全体除去が飛んでくる環境は過去に例がなく、その圧倒的な遭遇率の高さから「ブラロケア」として定着したというのが大まかな経緯です。

 逆に相手が3伏せ以上をしている場合はほぼ確実に「神の宣告」などのカウンターが伏せられていると考える必要があったため、相手のバックの枚数からセットカードの内訳が推測できるというゲームバランスが成立していました。

 他方では、剣闘獣の戦車」を擁する【剣闘獣】が相対的に評価を高めるといった細かな変化も起こっています。

 フィールドに【剣闘獣】モンスターを置いておくだけで「ブラック・ローズ・ドラゴン」を牽制できたため、読み合いの面でかなりの優位に立つことができたというのが主な理由です。元々【剣闘獣】自体がメタデッキ的なコンセプトを掲げていることもあり、シンクロ召喚の準備段階(※)でも妨害を狙いやすかったという強みもあります。

(※具体的には「サイバー・ドラゴン」への「奈落の落とし穴」や、「緊急テレポート」への「魔宮の賄賂」などはほぼ決め打ちでいいと言われていました)

 しかし、現実問題「ブラック・ローズ・ドラゴン」を完全に対策し切ることは難しく、またデッキによってはそもそも対策のしようがないという不健全なゲームバランスが生まれていたことは否定できません。

 その結果、2009年9月の改訂では「ブラック・ローズ・ドラゴン」が制限カード指定を受け、安易な全体除去の濫用に歯止めがかかることになりました。それでも1枚は使用できるため「ブラロケア」が必要な点は変わっていませんが、二の太刀を受けることがないというだけでも一定の抑止効果はあり、この瞬間をもって一旦「ブラック・ローズ・ドラゴン」の全盛期が終わりを迎えたと言えるでしょう。

 ちなみに、同じタイミングで「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」も禁止カード行きを宣告されていたため、この改訂を境に7シンクロの層がかなり薄くなってしまうという事態も起こっています。

 一応、素材縛りがある7シンクロとしては「アーカナイト・マジシャン」などが存在していましたが、汎用枠は相変わらず「X-セイバー ウルベルム」が一番ましというようなレベルだったため、これ以降は7シンクロ枠が「ブラック・ローズ・ドラゴン」1枚のみという極端な構成も散見されるようになったほどです。

 

第7期環境でも活躍 しかし現在では苦しい立場に

 その後も「ブラック・ローズ・ドラゴン」の脅威が去ることはありませんでしたが、環境の変化やカードプールの増加もあって以前ほど致命的な脅威ではなくなったためか、1年後の2010年9月の改訂で無制限カードに規制解除されるという結末を迎えています。

 しかし、規制解除された後も現役時代が過ぎ去ったわけではなく、むしろ複数枚の採用が許されるようになったことで再び勢いを取り戻すことに成功しています。流石に全盛期ほどの猛威を振るうことこそありませんでしたが、時期的に【デブリダンディ】などのシンクロデッキが頭角を現していたこともあり、引き続きエクストラの必須枠として名を馳せていました。

 一方、やはり時代の流れによって相対的にカードパワーが衰えつつあったことも否定はできず、実際にシンクロ時代が終わりを迎えるとともに環境からは姿を消しています。現在では相互互換カードが増加したことや、そもそもゲームバランスのインフレによって全体除去の需要自体が落ちていることなどが重なり、採用率は決して高いとは言えないのが実情です。

 とはいえ、それでも「ブラック・ローズ・ドラゴン」のリセットカードとしての有用性そのものが失われたわけではない以上、デッキによっては今なお採用圏内に入る色あせない名カードと言えるのではないでしょうか。

 

【後編に続く】

 「ブラック・ローズ・ドラゴン」についての話は以上です。

 2008年当時としてはオーバーパワーな全体除去効果を持ったカードであり、実際に参入直後から7シンクロの必須枠として環境を席巻しています。その結果、誕生からおよそ1年後の2009年9月の改訂では制限行きとなっていますが、一時期は禁止カード行きの噂すら出ていたほどのパワーカードです。

 しかし、当パック出身のパワーカードは「ブラック・ローズ・ドラゴン」だけではありません。

 具体的には、それ1枚だけで新たなアーキタイプをいくつも生み出してしまうほどの途轍もない怪物が現れていたのです。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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