制限改訂2008年9月 ブリュループ及び【ドグマブレード】の崩壊など

2019年3月7日

【前書き】

 【第6期の歴史8 トラゴエディアが強かった時代 最強のワンキル対策カード】の続きとなります。ご注意ください。

 「トラゴエディア」の参戦によってワンキルに対するカウンターが増え、結果的にゲームスピードが少なからず低速化を迎えました。当時猛威を振るっていた「大寒波」に対抗できる数少ない手段の一つだったこともあり、環境レベルでは準必須級のカードと見なされていた時期もあったほどです。

 有力な新人の参入を受けて環境が揺れ動く最中、続く9月の制限改訂によってメタゲームが大きく方向を変えることになります。

 

制限改訂 2008年9月1日

 2008年9月1日、遊戯王OCGにおいて24回目となる制限改訂が行われました。

 禁止カードに指定されたカードは以下の43枚です。

混沌の黒魔術師(エラッタ前) 制限
D-HERO ディスクガイ(エラッタ前) 制限
次元融合 制限
早すぎた埋葬 制限
ヴィクトリー・ドラゴン -
混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前) -
カオス・ソーサラー -
カオス・ソルジャー -開闢の使者- -
キラー・スネーク(エラッタ前) -
黒き森のウィッチ(エラッタ前) -
サイバーポッド -
サウザンド・アイズ・サクリファイス -
処刑人-マキュラ(エラッタ前) -
聖なる魔術師 -
月読命 -
デビル・フランケン -
同族感染ウィルス -
ファイバーポッド -
魔導サイエンティスト -
八汰烏 -
悪夢の蜃気楼 -
いたずら好きな双子悪魔 -
王家の神殿(エラッタ前) -
押収 -
苦渋の選択 -
強引な番兵 -
強奪 -
強欲な壺 -
心変わり -
サンダー・ボルト -
蝶の短剣-エルマ -
天使の施し -
ハーピィの羽根帚 -
ブラック・ホール -
突然変異 -
遺言状 -
王宮の勅命(エラッタ前) -
現世と冥界の逆転(エラッタ前) -
第六感 -
刻の封印 -
破壊輪(エラッタ前) -
ラストバトル! -
リビングデッドの呼び声 -

 

 制限カードに指定されたカードは以下の56枚です。

サイバー・ドラゴン 準
魔導戦士 ブレイカー 禁止
名推理 無制限
モンスターゲート 無制限
異次元からの帰還 無制限
異次元の女戦士 -
E・HERO エアーマン -
カードガンナー -
クリッター(エラッタ前) -
スナイプストーカー -
魂を削る死霊 -
ダンディライオン -
ドル・ドラ -
深淵の暗殺者 -
N・グラン・モール -
封印されしエクゾディア -
封印されし者の左足 -
封印されし者の左腕 -
封印されし者の右足 -
封印されし者の右腕 -
風帝ライザー -
マシュマロン -
冥府の使者ゴーズ -
メタモルポット -
森の番人グリーン・バブーン(エラッタ前) -
黄泉ガエル -
大嵐 -
オーバーロード・フュージョン -
巨大化 -
高等儀式術 -
サイクロン -
地砕き -
死者蘇生 -
地割れ -
スケープ・ゴート -
洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前) -
団結の力 -
手札抹殺 -
ハリケーン -
光の護封剣 -
封印の黄金櫃 -
未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前) -
リミッター解除 -
レベル制限B地区 -
おジャマトリオ -
グラヴィティ・バインド-超重力の網- -
激流葬 -
死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前) -
聖なるバリア -ミラーフォース- -
ダスト・シュート -
血の代償 -
停戦協定 -
転生の予言 -
光の護封壁 -
マインドクラッシュ -
魔法の筒 -

 

 準制限カードに指定されたカードは以下の14枚です。

裁きの龍 無制限
召喚僧サモンプリースト 無制限
ダーク・アームド・ドラゴン 無制限
ファントム・オブ・カオス 無制限
レスキューキャット(エラッタ前) 無制限
生還の宝札 無制限
連鎖爆撃 制限
抹殺の使徒 制限
暗黒のマンティコア -
ネクロフェイス -
闇の仮面 -
おろかな埋葬 -
月の書 -
魔法石の採掘 -

 

 無制限カードに緩和されたカードは以下の5枚です。

D-HERO ディアボリックガイ 準
光と闇の竜 準
増援 準
魔導師の力 準
王宮のお触れ 準

 

 以上が当時コナミから下された裁断となります。

 変動22枚、うち規制強化が14枚、規制緩和が8枚となっており、制限改訂としては平均的な枚数変動と言えるでしょう。【シンクロ召喚】システムの実装から初回となる改訂であることを踏まえてか、致命的な箇所を潰しつつも手探りの部分が随所に見られる試験的な調整内容です。

 

ブリュループへの規制

 「氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前)」を絡めたループコンボへの対処として、「早すぎた埋葬」「D-HERO ディスクガイ(エラッタ前)」の2枚が禁止カード指定を受けています。

 「早すぎた埋葬」は単純に使っても優秀な蘇生カードでしたが、「氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前)」の誕生以降はセルフバウンスによる蘇生ループコンボが非常に緩い条件で狙えるようになり、汎用蘇生カードとして許される枠組みからは明らかに逸脱していました。

 さらに、「アームズ・ホール」の存在によりサーチも簡単に行えたため、もはやカードプールに存在すること自体が多大な悪影響を及ぼすと判断された結果でしょう。

 一方、「D-HERO ディスクガイ(エラッタ前)」もまた上記ループに組み込まれて悪用されるケースは少なくありませんでしたが、こちらは後述の【ドグマブレード】に対する規制も兼ねていました。

 加えて、カードプールの増加によって誕生当時よりも蘇生手段が各段に豊富になっており、特定のコンボだけでなくそもそも普通に使うだけでも危険という領域に踏み込んでいたため、このタイミングで禁止カード行きという決定に向かったのではないでしょうか。

 

 「混沌の黒魔術師(エラッタ前)」「次元融合」の2枚が禁止カードに、「名推理」「モンスターゲート」の2枚が制限カードに、それぞれ規制強化されました。

 前者2枚はもちろん、後者2枚も【ドグマブレード】の中核をなしていた重要なギミックであり、これらに対する規制強化は非常に致命的と言うほかありません。エンドカードである「マジカル・エクスプロージョン」はノータッチの状況でしたが、周りのエンジンを念入りに潰されたことで先攻1キルデッキとしては完全崩壊を迎えた格好です。

 他方では、【推理ゲート】ギミックの崩壊によって【ダークガイア】や、【エアブレード】の後継デッキとして細々と開発されていた【デステニーブレード】などの中堅デッキが巻き添えを受けて壊滅しています。

 遊戯王OCGではよくある出来事と言ってしまえばそうですが、やはり愛好家にとっては複雑な決定となってしまったことは否めない話です。

 

 「レスキューキャット(エラッタ前)」「召喚僧サモンプリースト」の2枚が準制限カード指定を受け、【レスキューシンクロ】のメインギミックに少なからず綻びが生じています。

 さらに、【レスキューシンクロ】と特に相性が良かった「ダーク・アームド・ドラゴン」も同様に準制限カード行きとなるなど、圧力をかけつつも様子見を入れた改訂だったと言えるでしょう。

 その他、やや方向性を変えた【レスキューシンクロ】への規制としては、「ファントム・オブ・カオス」が準制限カード指定を受けていたことも全くの無関係ではありません。

 しかし、元々「ファントム・オブ・カオス」は「召喚僧サモンプリースト」のリクルート先としてピン挿しされる構築が主流だったため、この決定は事実上ほぼ無意味な規制(※)となっていました。

(※実際、この半年後の2009年3月の改訂ではあっさり無制限カードに釈放されています)

 

【ライトロード】への規制

 【ライトロード】最強の切り札として猛威を振るっていた「裁きの龍」が準制限カード指定を下されました。

 カードパワーの高さの割には若干甘い規制ですが、発売時期が近いこと、また当時の【ライトロード】自体が環境では2番手の立ち位置にあったことなどが重なり、このようなワンクッション置いた決定に繋がったものと思われます。

 もちろん、「裁きの龍」の枚数が減ったことで順当にデッキパワーを落としていたことは事実ですが、デッキコンセプト的に「創世の預言者」などでサルベージすることも難しくなかったため、見た目ほど大きくは弱体化しなかったのではないでしょうか。

 

 当改訂の1ヶ月ほど前から急速に勢力を拡大していた【シンクロアンデット】への規制の一環として、「生還の宝札」が準制限カードに指定されています。

 かつて先攻1キルデッキのキーカードとして一世を風靡したものの、カードプールの整備が進んで以降は長らくマイナーカードの位置付けにあったカードですが、【シンクロアンデット】を筆頭に相性の良いデッキが増加したことで次第に注目度が上がっていたため、ここで遂に規制強化の道を歩み始めた形です。

 しかし、その一方で「D-HERO ディアボリックガイ」の無制限カード化によって肝心の【シンクロアンデット】が強化を受けるなど、若干ちぐはぐな印象が見える改訂だったことは否めません。

 そのため、この時の「生還の宝札」に対する規制は【シンクロアンデット】を名指ししたものではなく、どちらかと言うと「生還の宝札」自体のカードパワーが危険視されつつあったことが主因だったのではないでしょうか。

 

サイバードラゴンへの規制

 「サイバー・ドラゴン」が制限カードに規制強化されています。

 「キメラテック・フォートレス・ドラゴン」の素材としてはもちろん、レベルの高さや召喚条件の緩さから8シンクロへのアクセス手段としても重宝されていたため、2008年3月の改訂から引き続き規制強化の道を進んだ格好です。

 その一方で、融合素材の関係から「サイバー・エンド・ドラゴン」どころか「サイバー・ツイン・ドラゴン」すら正規の方法では出せなくなるなど、【サイバー・ドラゴン】にとっては踏んだり蹴ったりの状況も訪れています。この時期のカードプールでは代用カードも「プロト・サイバー・ドラゴン」しか存在しなかったため、事実上ほぼ構築不能に近い苦境に陥ってしまうことになりました。

 

汎用パワーカードの規制緩和

 汎用パワーカードからの規制緩和として、「魔導戦士 ブレイカー」が再び制限カードに復帰を果たしています。

 2007年3月に禁止カードに、2007年9月に制限カードに、2008年3月に禁止カードにと反復横跳びを繰り返していた流動的な問題児でしたが、ここでようやく制限カードに腰を落ち着けています。

 しかし、シンクロ全盛期の当時においては以前ほどの活躍は見込めなくなっており、環境レベルでは採用率が振るわない状況が続くことになりました。

 一方、戦士族最強のサポートである「増援」の無制限カード化など、メタゲームに対して多大な影響をもたらした規制緩和も起こっています。

 2002年5月1日に準制限カードとなってから6年以上不動の立場にあったカードであり、これが唐突に完全釈放を迎えたことは非常に驚くべき出来事です。上記項目で触れた「D-HERO ディアボリックガイ」の規制解除も追い風となり、【スーパードローライダー】を筆頭に様々なシンクロ系デッキにおける潤滑油の役割を果たしていくことになりました。

 

【チェーンバーン】への規制緩和

 【チェーンバーン】のキーカードである「連鎖爆撃」が準制限カードに規制緩和されています。

 2007年3月に制限カードに指定されて以来、長らくその位置にあり続けたカードですが、【チェーンバーン】を含めバーンデッキ全般が衰退していたことを受けてか、遂に規制緩和に動いた形です。

 しかし、その後は10年以上経過する現在に至るまで準制限カードのまま微動だにしておらず、これ以上の規制緩和を行う予定は今のところないというのが公式のスタンスなのかもしれません。

 

海外環境の影響による規制

 「異次元からの帰還」が制限カードに指定されています。

 遊戯王OCGでも最強クラスの帰還カードであり、実際に環境での活躍もあったパワーカードですが、この時期に限って言えばあまり使われていなかったため、あえて規制が必要なカードだったわけではありません。

 しかし、海外環境では「闇の誘惑」を筆頭に、「ダーク・グレファー」「堕天使ゼラート」などの強力な【闇属性】関連カードが猛威を振るっており、そのエンドカード枠として「異次元からの帰還」が多用されていたため、それに追従する形で規制が入った形です。

 実際、この2週間後には上記のカード群が来日する予定だったこともあり、あらかじめ手を打っておくという意味では頷ける決定だったのではないでしょうか。

 

【後編に続く】

 こうしたカードプールの大規模な変動により、これ以降のメタゲームも大きく様変わりしていくことになります。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

Posted by 遊史