新召喚法「シンクロ召喚」導入 引退騒動のような何かの勃発
【前書き】
【第5期の歴史39 制限改訂2008/3 「死者蘇生」制限復帰 3年半ぶりの現世】の続きとなります。ご注意ください。
2006年5月~2008年3月のおよそ2年間続いた第5期が終了し、新たに第6期がスタートしました。前回までの世代交代と異なり、用語変更にまで切り込んだ大規模なルール改訂が行われており、文字通り時代を一新させるような瞬間だったと言っても過言ではありません。
マスタールールの制定です。
マスタールールとは
マスタールールとは遊戯王OCGのルールのうち、2008年3月~2011年3月の間に適用されていたものを指します。これまでの新エキスパートルールに代わって導入された新たなルールであり、新召喚法の実装を始め大規模な規格の変更があったことで有名です。
前ルールである新エキスパートルールとの違いは下記の通りとなっています。
①:メインデッキの枚数が40枚~60枚の範囲になった。(これまでは40枚以上であれば上限なし)
②:エクストラデッキの枚数が15枚までになった。(これまでは上限なし)
③:サイドデッキの枚数が15枚「以下」になった。(これまでは15枚丁度のみ)
④:一部用語の変更(生け贄→リリース/生け贄召喚→アドバンス召喚/融合デッキ→エクストラデッキ)
⑤:新召喚法「シンクロ召喚」の導入
いずれも広範囲に影響が及んでいるルール改訂ですが、特にデッキ枚数に絡んだ変更は非常に大きな出来事と言うほかありません。これまではその気になればメインデッキ999枚、融合デッキ255枚などという面白タワーデッキを組むことも理論上は可能でしたが、マスタールール移行後はそういったことはできなくなった形です。
シンクロ召喚 召喚法の革命
とはいえ、マスタールール最大の目玉はやはり【シンクロ召喚】の実装だったのではないでしょうか。
シンクロモンスター
星6/地属性/戦士族/攻撃力2600/守備力800
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
上記はシンクロモンスター最初期組の1体、「大地の騎士ガイアナイト」のカードテキストです。「チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上」とあるように、一見してこれまでにない特殊な召喚条件を与えられていることが分かります。
仕組みは非常にシンプルで、カードに記されているシンクロ素材をフィールドに揃え、合計レベルがそのシンクロモンスターと等しくなるように墓地へ送るという召喚手順です。これは「次元の裂け目」の全体除外下など「モンスターを墓地へ送れない状況(※)」であっても妨害されず、そのまま素材を除外してシンクロ召喚を行えるルールとなっています。
(※墓地へ行かないトークンについても同様です)
その際、ごく一部の例外を除きチューナーと呼ばれる特殊な分類のモンスターが必要になるため、当時のアニメではこれを指して「チューニング」という言葉が用いられていました。
チューナー・通常モンスター
星3/地属性/戦士族/攻1600/守200
上記はチューナー最初期組の1体、「チューン・ウォリアー」のカードテキストです。通常モンスターであることに加えてチューナーという特性を併せ持っており、上記の例では「チューナー以外のレベル3のモンスター」と合わせることで「大地の騎士ガイアナイト」をシンクロ召喚できます。
結論を先に言ってしまえば、この【シンクロ召喚】というシステムはまさしく遊戯王OCGというゲームに革命をもたらすことになりました。
分かりやすい例として、自分フィールドに「クリッター(エラッタ前)」が、手札に「フロストザウルス」「チューン・ウォリアー」のいずれか1枚が存在するという状況を考えます。
この場合、「フロストザウルス」を召喚すればそのまま上級打点が場に出るだけですが、「チューン・ウォリアー」の方はレベル6のシンクロモンスターが特殊召喚されることになります。これは要するに「自身をリリースすることでシンクロモンスターを特殊召喚できる上級モンスター」をアドバンス召喚したのとほぼ同じ状況なのですが、こちらは「場に出るモンスターが自由自在に選択可能」というおかしな状況が成立していることが分かります。
これを「フロストザウルス」に置き換えた場合、「このカードはデッキの任意のレベル6モンスターといつでも交換できる」と書いてあることに等しく、まさにこれまでの遊戯王の常識を完全に覆すような話です。この時期はまだカードプールも狭く、実戦級の【シンクロ召喚】を構築することは難しい状況でしたが、間もなく【レスキューシンクロ】などの強力なシンクロデッキが台頭していったことからも当時の【シンクロ召喚】の反則的な性能が窺えるのではないでしょうか。
シンクロ召喚と引退の関係について
そんな【シンクロ召喚】に絡んだ曰くつきの話題として、「シンクロ召喚のせいで引退者が続出した」という噂が囁かれている時期があったことにも触れておきます。
これは上述のような【シンクロ召喚】というシステム自体に対する風評もそうですが、最大の要因はマスタールール制定直後から立て続けに凶悪なシンクロモンスターが現れてしまった失敗にこそあるでしょう。
具体的には、「氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前)」や「ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前)」、そして「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」といった往年の禁止カードのことであり、実際これらが第6期環境を荒廃させたことは間違いありません。
言うなれば第10期現在で言うところの「サモン・ソーサレス」や「水晶機巧-ハリファイバー」と同等かそれ以上の極悪カードが世代突入直後から猛威を振るっているような時代だったため、これに嫌気がさした一部の層が引退という手段に出てしまったのも無理はない話です。
とはいえ、エクシーズ召喚やペンデュラム召喚、そしてリンク召喚が導入された時にも程度の差はあれ引退騒動は起こっており、何もシンクロ召喚に限った話というわけではありません。逆に言えば、新召喚法が実装される度に似たような話題が持ち上がっている(※)印象はあるため、そもそも気にしても仕方がないのではないかというのが個人的な見解です。
(※これについては開発側も半ば諦めている、というより匙を投げている節がありますが……)
その一方で、引退したはずのプレイヤーがいつの間にか戻ってきているということも珍しくなく、ある意味こうした引退騒動は決闘者の習性のようなものなのかもしれません。
【まとめ】
第6期突入直後の出来事については以上となります。
新ルールであるマスタールールの制定、そして新召喚法【シンクロ召喚】の導入など、2年前とは打って変わって大規模な激動があった世代です。丁度この頃からゲームスピードのインフレが加速していったこともあり、名実ともに時代の変わり目と言える瞬間だったのではないでしょうか。
ここまで目を通していただき、ありがとうございます。
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