ファントムオブカオスがパワーカードだった頃

2019年1月14日

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【前書き】

 【第5期の歴史29 【光と闇の竜】と【帝コントロール】が環境を支配していた時代】の続きになります。ご注意ください。

 2007年9月の制限改訂によって勢力図が【ライダー】系デッキに塗り替わり、以降の環境は「光と闇の竜」を中心としたメタゲームが展開されていくことになりました。丁度【ガジェット】がメタビート軸にコンセプトを変遷させていたこともあり、全体的に中速~低速のゲームスピードへと移行していった格好です。

 その一方で、【デミス】系などの地雷的な脅威も少なからず残っているなど、中々込み入ったゲームバランスが成立していたことが窺えます。

 にわかに複雑化を見せる環境を尻目に、9月末販売のゲーム同梱カードから有力な新人が現れることになります。

 

ファントムオブカオス参戦 全盛期は2008年

 2007年9月27日、ゲームソフト「遊戯王デュエルモンスターズGX TAG FORCE 2」と、その攻略本が販売されました。ゲーム同梱カードから3種類、書籍同梱カードから1種類、計4種類の新規カードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2903種類に増加しています。

 種類は少ないながら内容は非常に豪華で、中でも「魔宮の賄賂」は遊戯王前半期を代表するカウンター罠と言っても過言ではありません。流石に現在ではあまり見かけないマイナーカードですが、一時期は規制が懸念されるほどの使用率を叩き出していたこともある名カードです。

 とはいえ、やはり最大の目玉カードは「ファントム・オブ・カオス」だったと言えるでしょう。

自分の墓地に存在する効果モンスター1体を選択し、ゲームから除外する事ができる。このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、このカードはエンドフェイズ時まで選択したモンスターと同名カードとして扱い、選択したモンスターと同じ攻撃力とモンスター効果を得る。この効果は1ターンに1度しか使用できない。このモンスターの戦闘によって発生する相手プレイヤーへの戦闘ダメージは0になる。

 少々ややこしいテキストですが、まとめると「墓地の効果モンスター1体の効果・ステータスを一時的にコピーする」メリット効果と、「このカードは相手に戦闘ダメージを与えられない」というデメリット効果の2つを持ったモンスターです。遊戯王OCGの中でもかなり知名度の高いカードであり、それに恥じない強さも併せ持つ優良カードとして知られます。

 そのため、ここでは詳しい使い方などについては解説を省きますが、その汎用性の高さから現役時代は非常に幅広いデッキで採用実績を残していました。有名どころとしては、第5期後期では【ダムドビート】の補助パーツとして、続く第6期ではその派生デッキである【レスキューシンクロ】でも準必須級パーツ扱いを受けていたほどです。

 他方では、【ライトロード】における4枚目以降の「裁きの龍」としてもしばしば声がかかっており、「ファントム・オブ・カオス」がOCGでも最高峰のコピーモンスターと言われる所以が見えてきます。実際、一時期はデッキに大型モンスターが入るならとりあえず採用候補に名前が挙がるという勢いを持っていたことさえありました。

 

【ファンカスノーレ】出張セット

 そんな「ファントム・オブ・カオス」の最高の相方として知られるカード、それこそが「天魔神 ノーレラス」です。

このカードは通常召喚できない。自分の墓地の光属性・天使族モンスター1体と闇属性・悪魔族モンスター3体をゲームから除外した場合のみ特殊召喚する事ができる。1000ライフポイントを払う事で、お互いの手札とフィールド上のカードを全て墓地へ送り、自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 これ自体は2007年2月に現れていたカードですが、召喚コストの条件が厳しく非常に重いこと、その割に自滅の危険があるハイリスクなカードであることなどが重なり、当初は実戦レベルの性能とは思われていませんでした。

 しかし、「ファントム・オブ・カオス」によってそうした弱みがある程度解消され、これまでの今一つという評価を盛り返しています。それを受けて開発されたギミックが【ファンカスノーレ】であり、そこからいくつかの派生デッキを生み出すまでに至ったというのが大まかな事の経緯です。

 ギミックとあるように、【ファンカスノーレ】はそれ自体が一つのデッキというわけではなく、現在で言う「出張」のように相性の良いデッキに搭載される外付けギミックという扱いを受けていました。よって基本的には決まった構築などはなく、下記に示す通りいくつかの型に分かれています。

 

【ノーレゾーク】の成立 【デミスドーザー】第2形態

 【ファンカスノーレ】の中でも最も古い型として知られるのは、俗に【ノーレゾーク】と呼ばれるデッキです。

 【ノーレゾーク】は【高等儀式術】の、あるいは【デミスドーザー】の派生デッキの一つで、ざっくり言うとデビルドーザー」の関連ギミックを「天魔神 ノーレラス」用に置き換えたような構成が取られています。

 具体的には、「高等儀式術」用のバニラ枠を「デーモン・ソルジャー」「レッド・サイクロプス」などの闇属性の悪魔族と入れ換え、「デビルドーザー」の代わりに「天魔神 ノーレラス」を採用するという形です。光属性の天使族モンスターは「センジュ・ゴッド」「マンジュ・ゴッド」らによって無理なく工面できるため、ギミックの多さに反してコンセプトは思いのほか安定しています。

 特に、【デミスドーザー】の弱点であった「巻き返しの難しさ」という問題が「天魔神 ノーレラス」によって補われているメリットは見逃せません。どれほど不利な状況であっても逆転の芽が残るというのは単純明快な強みであり、また逆にリスクを恐れず積極的にアクションを起こせるという副次的な効能もあります。

 このように、【ノーレゾーク】が高いポテンシャルを秘めたデッキだったことは確かなのですが、残念ながらメタゲームにおいては少数勢力の位置付けにあったことは否めません。

 というのも、上述の通り【ノーレゾーク】は【高等儀式術】を下敷きとしているため、基本的にはカード1枚からは展開が行えないデッキです。つまり、「天魔神 ノーレラス」のリセット効果を撃った後は高確率でドローゴー状態が続くということであり、結局ずるずると不利に追い込まれていくケースがどうしても散見されます。

 要するに【ノーレゾーク】というデッキは「安定してノーレラスを出せるが、出しても大抵不利になる」という構造的な欠陥を抱えており、コンセプトとしてはかなりちぐはぐな面があったことは否定できません。

 実際、本家である【デミスドーザー】ほどに知名度を獲得することはなく、それほど長生きしないうちに自然消滅を迎えてしまった印象です。最後は【デミスドーザー】への規制に巻き込まれる形で構築すら不可能となってしまうなど、何かと不遇な扱いを受けていたデッキでもありました。

 

【ノーレ1キル】の脅威 【シンクロアンデット】の派生

 上述の通り、第5期中においてはあまり見せ場のなかった【ファンカスノーレ】ですが、将来的には【シンクロアンデット】への出張ギミックとして一時期猛威を振るうことになります。

 【シンクロ召喚】のギミックを含むことからも分かるように、第5期当時ではなく第6期突入以降、特に2008年9月環境において開発が進んだデッキです。元々【シンクロアンデット】は「馬頭鬼」「ゾンビキャリア」などの墓地から動けるカードを多数抱えているため、ある程度下準備を整えておけば「天魔神 ノーレラス」の全体リセットを苦にしない復帰力を備えています。

(「ゾンビキャリア」の手札コストは「天魔神 ノーレラス」の1ドローで補完できるため、ほぼ問題にはなりません)

 そのため、こちらの【ファンカスノーレ】は初期型の【ノーレゾーク】と違い、全体リセット後はほぼ確実にゲームセットに持ち込むことができました。仮に決め切れない場合であってもリソース差で圧倒することは容易く、文字通り全体リセット効果が必殺技として機能するのが最大の魅力と言えるでしょう。

 また、この型は【シンクロアンデット】ではなく【アンデ1キル】や【ノーレ1キル】と呼ばれることも多く、そうした背景からも当デッキが本質的にはワンキル系に属していたことが分かります。実際に当時のトーナメントシーンでも地雷的に一定の成績を残しており、主流には乗らないまでも独特の存在感を放っていました。

 とはいえ、構成上「天魔神 ノーレラス」の素の召喚が狙えない以上、純粋な【シンクロアンデット】にとっては関連パーツがノイズとなることは否めません。またギミック自体もややオーバーキル気味であることなどが重なり、最終的には【ノーレゾーク】同様に環境からはフェードアウトしてしまっています。

 もちろん、【ノーレゾーク】と比較すればデッキの完成度が上がっていたのも事実ですが、それも【シンクロアンデット】自体の土台の強さによるところが大きく、つまるところ「それなら最初から純構築でいい」という結論が出てしまうことは避けられなかったのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 「ファントム・オブ・カオス」についての話は以上となります。

 これ自体がパワーカードでありながら、「天魔神 ノーレラス」との組み合わせによる【ファンカスノーレ】ギミックとしても名を馳せるなど、非常に高いポテンシャルを持ち合わせていたカードです。しかし、【ファンカスノーレ】として残した実績は言われているほどには多くはなく、実質的にはコンボカードではなく汎用カードの枠組みにあったモンスターだったと言えるでしょう。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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