神獣王バルバロス誕生 専用デッキ【スキドレバルバ】の成立

2019年1月9日

【前書き】

 【第5期の歴史24 ライオウが最強のメタビモンスターだった頃】の続きになります。ご注意ください。

 遊戯王前半期を代表するメタビモンスター「ライオウ」が誕生し、その参入直後から多くの実績を残していくことになりました。サイドデッキはもちろんメインからの採用も少なくなく、またたく間に環境における立ち位置を明確にしていった格好です。

 にわかに勢いづく【メタビート】界隈でしたが、そこに再びの衝撃が走ったのは同月中のことでした。

 

神獣王バルバロス スキルドレインの永遠の相棒

 2007年8月中旬、限定パックである「LIMITED EDITION 10」の配送が開始されました。新たに8種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2894種類に増加しています。

 限定パックゆえに収録枚数は少なめですが、その分内容は中々に充実したパックです。原作アニメ出身のカード群ながら実戦級のカードも多く、「青氷の白夜龍」など環境レベルで採用実績を残したカードも見られます。

 また、ファンアイテムとして人気の高い「混沌幻魔アーミタイル」が現れたのもこの時です。あらゆる意味で噛み合わないスペックからネタにされることも多いモンスターですが、それが逆に愛される理由にもなっており、愛好家の間では今なお専用デッキが組まれることも少なくありません。

 しかし、そんな中でも最も多くの注目を集めていたのは、やはり間違いなく「神獣王バルバロス」だったのではないでしょうか。

このカードは生け贄なしで通常召喚する事ができる。その場合、このカードの元々の攻撃力は1900になる。3体の生け贄を捧げてこのカードを生け贄召喚した場合、相手フィールド上のカードを全て破壊する。

 妥協召喚モンスターの1体で、レベル8の最上級モンスターでありながら生け贄無しで召喚可能という特性を持っています。これだけなら「可変機獣 ガンナードラゴン」などと同格のスペックに過ぎませんが、「神獣王バルバロス」の強みは妥協召喚時であっても攻撃力1900をキープできるという点に他なりません。

 単純に考えても「ヂェミナイ・エルフ」などの事実上の上位互換に当たるほか、多くの最上級バニラとは比べるのも酷と言えるほどの性能差が開いています。最上級モンスター最大の弱点である手札事故の問題がほぼ解消されているため、普通にアタッカーとして使うだけでもそこそこ有用なカードです。

 とはいえ、やはり「神獣王バルバロス」の真価は「スキルドレイン」とのシナジーにこそ秘められていると言えるでしょう。

 妥協召喚モンスターは妥協召喚後にフィールドを離れる、裏側表示になる、効果が無効になるなどにより、ステータスが元々の数値にリセットされるという性質があります。つまり、「スキルドレイン」の影響下では「神獣王バルバロス」は攻撃力3000の下級モンスターという怪物に変貌、往年の【生け贄無し最上級】を疑似的に再現することができるのです。

 このコンボを活かしたデッキの総称が【スキドレバルバ】であり、広義では【メタビート】に含まれるアーキタイプとして広く浸透していくことになりました。

 一方、後半の全体除去効果は3体分の生け贄を要求される(発動条件が非常に重い)こと、また神の宣告」などで召喚を無効にされると悲惨なことになるといった理由もあり、こちら目当てに使われることはあまり多かったとは言えません。

 一応、【ライダー】系デッキなどに隠し味としてピン挿しされるケースがなかったわけではありませんが、あくまでも一戦力としての起用にとどまっていた印象です。

 逆に言えば、環境レベルでも一戦力として使われる程度には優秀なモンスターだったということでもあり、ロマン的な外見に反してアタッカー兼フィニッシャーとしても十分に実用に耐えうる性能だったことも間違いないでしょう。

 

スキドレ型【メタビート】の隆盛

 このように、アタッカーとしてもそれなりの評価を受ける一方、何より「スキルドレイン」とのシナジーが広く認知されるに至った「神獣王バルバロス」ですが、実は純粋に【スキドレバルバ】というデッキそのものが環境で活躍していたわけではありません。

 どちらかというと出張ギミックとして声がかかる傾向にあり、【スキドレバブーン】や【メタビート】のサブプランとして搭載されることが多かった印象です。これは「スキルドレイン」1本にコンセプトを絞ってしまうとデッキの地力が不足しがちになることが主な理由で、他のギミックと併用することで不足分を補おうとした結果だったとも言えるでしょう。

 こうした派生形のうち、最高の相性を誇っていたデッキこそが他ならぬ【メタビート】でした。

 元々【メタビート】自体がメタ系の永続罠を多用するコンセプトを掲げていること、また環境の変化によってモンスター効果重視のゲームバランスに移行していたことなどが上手く噛み合い、これ以降は【メタビート】の必須ギミックに近い扱いを受けるまでになっています。

 実際、【メタビート】を組むならとりあえず6枚セットで積んでいいと言われていた時期すらあり、文字通り一時期は【メタビート】≒【スキドレバルバ】という認識を受けていたと言っても過言ではありません。

 ちなみに、「スキルドレイン」を使うからといってメタ系モンスターが採用されないわけではなく、基本的にはアンチシナジーは気にせずに併用されることがほとんどでした。もちろん、「スキルドレイン」の影響下ではメタ効果は発揮できなくなりますが、スキルドレイン」を張れているならバニラ状態でも良しとするという考え方によるものです。

(ただし、「ライオウ」など一部のリリース効果は使用できるため、稀に自己リリース系モンスターで固めた構成が取られることもありました)

 とはいえ、【メタビート】が本格的に活躍し始めるのは2008年に入って以降の話であり、この頃はまだそれほど大きな勢力だったわけではありません。どちらかというと【パキケガジェット】の後を追うような形で環境入りしてきた印象は強く、実質的には第6期のシンクロ全盛期環境が主戦場だったのではないでしょうか。

 

妥協召喚モンスターを裏側守備表示で出すとどうなるか?

 ちなみに、「神獣王バルバロス」に限った話ではありませんが、妥協召喚モンスターを裏側守備表示で妥協召喚した場合はやや奇妙な挙動を示すことでも知られます。

 具体的には、セット状態の間は元々のステータス(攻撃力3000)を参照する一方、表側表示になった瞬間に妥協召喚時のステータス(攻撃力1900)に変化する、というものです。

(つまり、「神秘の中華なべ」などを使う際に影響してくるルールです)

 しかし、このルールは第5期当時の時点ではあまり明確に固まっておらず、特殊裁定や調整中の処理がいくつも含まれていました。

 例えば、上記の「神秘の中華なべ」の処理も現在と異なっており、裏側守備表示のままであっても半減した数値を参照するという裁定でした。その一方で、ステータスはなぜか元々の数値として扱うことになっており、「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」などには破壊されるというルールです。

 また、スキルドレイン」が存在するかどうかでも処理が異なる場合がある(無い場合もある)など、中々にジャッジを困らせるカードだったことは否定できません。最悪の場合、いつの間にか裁定が変わっているということすら珍しくなく、これを使う場合はあらかじめルールを確認しておく必要がありました。

 上述の通り、【スキドレバルバ】自体がトーナメントシーンでも出張が多いギミックだったこともあり、何かとトラブルを起こしがちなイメージがついて回っていた曰くつきのカードです。

 

【まとめ】

 「神獣王バルバロス」、また【スキドレバルバ】についての話は以上となります。

 参入直後から汎用アタッカーの1体として注目を集め、【ライダー】系や【帝コントロール】などを中心に使用感を試されています。しかし、最大の活躍の場は【メタビート】にこそ用意されており、ビートダウン向けの性能に反してメタデッキ側での使用が多かったモンスターでもありました。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。