【超古深海王シーラカンス】が極悪TODデッキだった時代

2019年7月4日

【前書き】

 【第7期の歴史13 シューティング・クェーサー・ドラゴン爆誕 【ジャンド】環境トップへ】の続きになります。特に、この記事では前後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

【シーラカンス】デッキ大幅強化 環境の一角に

 「シューティング・クェーサー・ドラゴン」の存在を追い風として受けた中堅勢力、それは【シーラカンス】と呼ばれるシンクロデッキの一種でした。

 元々は海外環境で発祥した【魚シンクロ】を土台として成立したデッキであり、2010年9月2011年3月環境においては【ガエルシンクロ】の後継デッキとして研究が進んでいたアーキタイプです。「黄泉ガエル」「フィッシュボーグ-ガンナー」を軸にした「フォーミュラ・シンクロン」供給ギミックのほか、型によっては邪帝ガイウス」などの上級帝や「光と闇の竜」を搭載することで【帝コントロール】や【ライダー】系のようにも振る舞えるなど、多彩な強みを持つことから一定の人気を博していました。

 何より、デッキ名にもなっている「超古深海王シーラカンス」は文字通りデッキコンセプトを象徴する重要なキーカードであり、これを通すことさえできればゲームの方向性を決定付けるだけの爆発的なアドバンテージが約束されます。水属性最強のチューナーである「フィッシュボーグ-ガンナー」がこのリクルートに対応していることも「超古深海王シーラカンス」の有用性を高め、「オイスターマイスター」などを絡めた連続シンクロからワンキルに持っていくことも難しいことではありません。

 しかし、これまでの【シーラカンス】はその展開力の適切な変換先を持っておらず、折角の展開力が宝の持ち腐れになってしまうというある種贅沢な悩みを抱えていました。見た目の上では派手に連続シンクロを決めているように見える一方、実態は高打点モンスターを並べているに過ぎず、最上級モンスター+手札コストという重い投資に見合うリターンを得ることができなかったのです。

 かつての海外環境においては「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」という最高のゴール地点が用意されていましたが、この時期は制限カードである「氷結界の龍 トリシューラ」を除けば適任がいなかったため、大型を使う場合は「スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン」などで妥協するしかなかったという背景があります。

 こうした袋小路の状況に颯爽と現れた「シューティング・クェーサー・ドラゴン」の存在がどれだけ革命的であったのかは言うに及ばず、【シーラカンス】というデッキはこれによって完成に至ったと言っても過言ではないでしょう。

 

後攻ワンキルと先攻制圧という2つの勝ち筋

 また、この時に【シーラカンス】が得たものは「シューティング・クェーサー・ドラゴン」それ自体だけには限りません。これまでは基本的に後攻ワンキル一辺倒のデッキと言われていましたが、これ以降は先攻1ターン目からの盤面制圧という新たな勝ち筋を見出すことに成功しています。

 例えば、「封印の黄金櫃」と「D・D・R」の2枚によって下記のような展開を行うことが可能です。

 

①:「封印の黄金櫃」で「超古深海王シーラカンス」を除外し、「D・D・R」で帰還させる。

 

②:「超古深海王シーラカンス」の効果で「フィッシュボーグ-ガンナー」1体、「オイスターマイスター」2体、「メタボ・シャーク」1体をリクルートする。(レベル4非チューナーの魚族で代用可)

 

③:「フィッシュボーグ-ガンナー」と「メタボ・シャーク」で「TG ハイパー・ライブラリアン」をシンクロ召喚する。

 

④:「フィッシュボーグ-ガンナー」を墓地から蘇生する。

 

⑤:「フィッシュボーグ-ガンナー」と「オイスターマイスター」で「アームズ・エイド」をシンクロ召喚する。(効果で1ドロー)

 

⑥:「オイスターマイスター」の効果でオイスタートークンを特殊召喚する。

 

⑦:「アームズ・エイド」を適当なモンスターに装備してフィールドを空ける。

 

⑧:「フィッシュボーグ-ガンナー」を墓地から蘇生する。

 

⑨:「フィッシュボーグ-ガンナー」とオイスタートークンで「フォーミュラ・シンクロン」をシンクロ召喚する。(効果で2ドロー)

 

⑩:「フォーミュラ・シンクロン」と「オイスターマイスター」で「TG ハイパー・ライブラリアン」をシンクロ召喚する。(効果で1ドロー)

 

⑪:「オイスターマイスター」の効果でオイスタートークンを特殊召喚する。

 

⑫:「フィッシュボーグ-ガンナー」を墓地から蘇生する。

 

⑬:「フィッシュボーグ-ガンナー」と「超古深海王シーラカンス」で「スターダスト・ドラゴン」をシンクロ召喚する。(効果で2ドロー)

 

⑭:「フィッシュボーグ-ガンナー」を墓地から蘇生する。

 

⑮:「フィッシュボーグ-ガンナー」とオイスタートークンで「フォーミュラ・シンクロン」をシンクロ召喚する。(効果で3ドロー)

 

⑯:「フォーミュラ・シンクロン」1体と「TG ハイパー・ライブラリアン」2体で「シューティング・クェーサー・ドラゴン」をシンクロ召喚する。(差し引き3枚のハンド・アドバンテージ)

 

 上記の展開により、合計9ドローしながら「スターダスト・ドラゴン」と「シューティング・クェーサー・ドラゴン」を揃い踏みさせられるため、ほとんどの場合そのままゲームエンドに持ち込むことができます。もちろん、ドローしたカードによっては更に強固な盤面を築くことも不可能ではなく、2011年出身のデッキとは思えないほど凶悪な制圧布陣を敷くことが可能でした。

 ちなみに、リクルート対象は必ずしも上記のパターンに限らないため、同型デッキと比べて手札に引きたくないカードを引いて困るケースが比較的少ないという利点もあります。さらには「強欲なウツボ」の存在によってささやかながら事故パターンをケアすることもできるなど、とにかく展開系デッキとしては非常に恵まれていたアーキタイプです。

 また、【シーラカンス】自体の型も1通りにはとどまらず、従来の【ガエル】の流れを汲んだスタンダードなシンクロデッキタイプや、【生け贄召喚】のギミックを取り入れて半ビートダウンデッキにシフトしたタイプ、あるいは「スター・ブラスト」や「無の煉獄」などを積んで完全に「超古深海王シーラカンス」の召喚に特化したタイプなど、様々な派生構築が考案されていました。

 【シーラカンス】の現役中においても最も盛り上がっていた時代の一つであり、この瞬間こそが【シーラカンス】最大の全盛期だったと言えるのではないでしょうか。

 

致命的な妨害耐性のなさ 奈落激流警告で詰み

 このように、「シューティング・クェーサー・ドラゴン」という最高のパートナーを得たことで大きく躍進を遂げた【シーラカンス】でしたが、残念ながらその勢いが長続きすることはありませんでした。

 理由は非常にシンプルで、デッキコンセプトの中核が「超古深海王シーラカンス」による展開力に強く依存している関係上、これに対する妨害が致命的に刺さるという明確な弱点を抱えていたからです。

 メジャーなところでも「奈落の落とし穴」「激流葬」「神の警告」などが軒並み刺さるほか、「D・D・R」ルートの場合は「サイクロン」「砂塵の大竜巻」でもあっさり初動を潰されてしまいます。それ以外にも、「封印の黄金櫃」に対する「ダスト・シュート」「マインドクラッシュ」や、「王宮の弾圧」「フォッシル・ダイナ パキケファロ」などの特殊召喚メタカード、あるいは「次元の裂け目」に始まる各種墓地メタカードに至るまで、【シーラカンス】が天敵とするカードは挙げればきりがありません。

 もちろん、【ガエル】型や【ライダー】型の場合は「超古深海王シーラカンス」に頼らず動くことも一応は可能ですが、だからと言って「超古深海王シーラカンス」抜きで勝てるかというと難しい面もあります。結局のところ、超古深海王シーラカンス」そのものはどこまで行ってもハイリスクハイリターンなカードでしかないため、シューティング・クェーサー・ドラゴン」を手に入れただけでは【シーラカンス】の構造的な欠陥を解消するには至らなかったのです。

 この対策として「トラップ・スタン」などの露払いカードが積まれることもありましたが、それだけで上記の問題点を十分にケアできていたとは到底言えません。折り悪く環境的に「盗賊の七つ道具」が流行していたことも向かい風となり、時間経過により【シーラカンス】が次第に環境の隅へと追いやられていくのは避けられないことでした。

 

【TOD】戦法への移行 ライフゲインによる逃げ切り

 苦しい局面の中、【シーラカンス】は遂に【TOD】戦法への移行という苦肉の策を持ち出すことになります。

 もちろん、第4期頃に騒動を起こしたマッチキルデッキほど露骨なタイム・オーバー・デスを狙うわけではありませんが、考え方としてはそれに近いコンセプトを土台としていました。具体的には、エキストラターンもしくはエキストラデュエルにもつれ込むことを前提に「レインボー・ライフ」などのライフゲインカードをサイドに用意し、そのまま逃げ切りを狙うというのが大まかなプランにあたります。

 

ドゥローレン継承ループ 実質マッチキルの恐怖

 その戦い方をサポートするのが「氷結界の虎王ドゥローレン」と「継承の印」を利用したループギミックです。

 氷結界の虎王ドゥローレン」はかつて「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」や「マスドライバー」などの射出ループに悪用されていた過去があり、その巻き添えで準制限カード指定を余儀なくされている状況が続いていました。しかし、そうしたカードに対処が入ったことで問題ないと判断されたためか、直前の2011年3月の改訂で無制限カードに釈放されていたという経緯が存在します。

 とはいえ、射出台がなくなったところで継承ループそのものが崩壊したわけではない以上、これが何らかのコンボに悪用されるのは時間の問題です。そして案の定、3月以降の環境においては【シーラカンス】のTOD戦法を支えるギミックとして悪用されることになります。

 通常、OCGのルールでは意味のないループは不適切なプレイとして禁止されていますが、例えば氷結界の龍 トリシューラ」をループさせて相手の手札を全ハンデスするというのは「適正なプレイ」に該当(※)します。よってこれを応用することでエキストラターンへの突入に大きく近づくことができ、実質的なマッチキルの成立に持ち込めるという理屈です。

(※流石に墓地まで全て除外しようとするとジャッジ案件になる可能性が高いですが、場合によってはそれも認められることはあったようです)

 何より、最大の問題はループに必要なパーツを集めるために無限ドローを決めるというのも「適正なプレイ」に該当するということで、これがあったからこそ【シーラカンス】がTODの一種に変貌を遂げてしまったと言っても過言ではありません。

 具体的には、「TG ハイパー・ライブラリアン」を立てた上で「氷結界の虎王ドゥローレン」を何度も往復させ、大量の手札をかき集めてからトリシュループに入るといったグレーゾーンのプレイが成立してしまう弊害が発生します。なおかつ、このループがあくまでも勝利のための手順とされる以上、これに対する問題指摘が逆に「対戦相手をせかす」行為に該当する可能性があったというのが事態をややこしくしていたと言えるでしょう。

 

複雑すぎるループ手順 無数のルート分岐

 ちなみに、このトリシュループ完了までの手順を簡単にまとめると下記のようになります。

 

①:「超古深海王シーラカンス」の効果で「フィッシュボーグ-ガンナー」1体と「オイスターマイスター」3体をリクルートする。

 

②:「フィッシュボーグ-ガンナー」と「オイスターマイスター」で「アームズ・エイド」をシンクロ召喚する。

 

③:「オイスターマイスター」の効果でオイスタートークンを特殊召喚する。

 

④:「アームズ・エイド」を「超古深海王シーラカンス」に装備させてフィールドを空ける。

 

⑤:「フィッシュボーグ-ガンナー」を墓地から蘇生する。

 

⑥:「フィッシュボーグ-ガンナー」とオイスタートークンで「フォーミュラ・シンクロン」をシンクロ召喚する。(効果で1ドロー)

 

⑦:「フォーミュラ・シンクロン」と「オイスターマイスター」で「TG ハイパー・ライブラリアン」をシンクロ召喚する。

 

⑧:「オイスターマイスター」の効果でオイスタートークンを特殊召喚する。

 

⑨:「フィッシュボーグ-ガンナー」を墓地から蘇生する。

 

⑩:「フィッシュボーグ-ガンナー」とオイスタートークンで「フォーミュラ・シンクロン」をシンクロ召喚する。(効果で2ドロー)

 

⑪:「フォーミュラ・シンクロン」と「オイスターマイスター」で「神海竜ギシルノドン」をシンクロ召喚する。(効果で1ドロー)

 

⑫:「オイスターマイスター」の効果でオイスタートークンを特殊召喚する。

 

⑬:「フィッシュボーグ-ガンナー」を墓地から蘇生する。

 

⑭:「フィッシュボーグ-ガンナー」とオイスタートークンで「フォーミュラ・シンクロン」をシンクロ召喚する。(効果で2ドロー)

 

 ここまでがループ突入前のドロー加速ルートであり、以降は「レベル・スティーラー」「継承の印」「浮上」「鬼ガエル」「スター・ブラスト」「簡易融合」のうち何をどの組み合わせで引いたかによってルートが分岐します。

 ここでは一番シンプルな「レベル・スティーラー」を単独でドローしたパターンを考えます。

 

①:「フォーミュラ・シンクロン」と「TG ハイパー・ライブラリアン」で「パワー・ツール・ドラゴン」をシンクロ召喚する。

 

②:「パワー・ツール・ドラゴン」で「継承の印」をサーチする。

 

③:「継承の印」で「オイスターマイスター」を墓地から蘇生する。

 

④:「レベル・スティーラー」を手札コストに「フィッシュボーグ-ガンナー」を墓地から蘇生する。

 

⑤:「フィッシュボーグ-ガンナー」と「神海竜ギシルノドン」で「氷結界の虎王ドゥローレン」をシンクロ召喚する。

 

⑥:「氷結界の虎王ドゥローレン」のレベルを下げて「レベル・スティーラー」を墓地から蘇生する。

 

⑦:「氷結界の虎王ドゥローレン」の効果で「レベル・スティーラー」「継承の印」「超古深海王シーラカンス」「パワー・ツール・ドラゴン」「アームズ・エイド」をバウンスする。

 

⑧:「レベル・スティーラー」を手札コストに「フィッシュボーグ-ガンナー」を墓地から蘇生する。

 

⑨:「フィッシュボーグ-ガンナー」と「氷結界の虎王ドゥローレン」(レベル5)で「氷結界の虎王ドゥローレン」をシンクロ召喚する。

 

⑩:「氷結界の虎王ドゥローレン」のレベルを下げて「レベル・スティーラー」を墓地から蘇生する。

 

⑪:「継承の印」で「フォーミュラ・シンクロン」を墓地から蘇生する。

 

⑫:「氷結界の虎王ドゥローレン」の効果で「レベル・スティーラー」「継承の印」をバウンスする。

 

⑬:「レベル・スティーラー」を手札コストに「フィッシュボーグ-ガンナー」を墓地から蘇生する。

 

⑭:「フィッシュボーグ-ガンナー」と「氷結界の虎王ドゥローレン」(レベル5)で「氷結界の虎王ドゥローレン」をシンクロ召喚する。

 

 これで「氷結界の虎王ドゥローレン」を「継承の印」で蘇生できる体制が整うため、ようやく継承ループの土台が成立したことになります。しかし、土台ができただけでトリシュループはまだ成立していないため、ここから「TG ハイパー・ライブラリアン」による無限ドローで必要なパーツを集めていかなければなりません。

 パターンはいくつかありますが、ここではシンプルに「継承の印」2枚目をドローすることを狙います。

 

①:「フォーミュラ・シンクロン」と「オイスターマイスター」で「TG ハイパー・ライブラリアン」をシンクロ召喚する。

 

②:「オイスターマイスター」の効果でオイスタートークンを特殊召喚する。

 

③:「フィッシュボーグ-ガンナー」を墓地から蘇生する。

 

④:「フィッシュボーグ-ガンナー」と「氷結界の虎王ドゥローレン」で「パワー・ツール・ドラゴン」をシンクロ召喚する。(効果で1ドロー)

 

⑤:「継承の印」で「氷結界の虎王ドゥローレン」を墓地から蘇生する。

 

⑥:「パワー・ツール・ドラゴン」のレベルを下げて「レベル・スティーラー」を墓地から蘇生する。

 

⑦:「氷結界の虎王ドゥローレン」の効果で「レベル・スティーラー」「継承の印」「パワー・ツール・ドラゴン」をバウンスする。

 

⑧:「レベル・スティーラー」を手札コストに「フィッシュボーグ-ガンナー」を墓地から蘇生する。

 

⑨:④に戻る。(「継承の印」をドローするまでループ)

 

 この手順により2枚目の「継承の印」を引き込んだ後、トリシュループに入ります。

 

①:「継承の印」2枚で「氷結界の虎王ドゥローレン」「フォーミュラ・シンクロン」をそれぞれ墓地から蘇生する。

 

②:「氷結界の虎王ドゥローレン」の効果で「継承の印」2枚と「TG ハイパー・ライブラリアン」「パワー・ツール・ドラゴン」をバウンスする。

 

③:「フォーミュラ・シンクロン」と「氷結界の虎王ドゥローレン」とオイスタートークンで「氷結界の龍 トリシューラ」をシンクロ召喚する。

 

④:「氷結界の龍 トリシューラ」のレベルを下げて「レベル・スティーラー」を墓地から蘇生する。

 

⑤:「継承の印」2枚で「氷結界の虎王ドゥローレン」「フォーミュラ・シンクロン」をそれぞれ墓地から蘇生する。

 

⑥:「氷結界の虎王ドゥローレン」の効果で「継承の印」2枚と「氷結界の龍 トリシューラ」をバウンスする。

 

⑦:「フォーミュラ・シンクロン」と「氷結界の虎王ドゥローレン」と「レベル・スティーラー」で「氷結界の龍 トリシューラ」をシンクロ召喚する。

 

⑧:④に戻る。(相手の手札がなくなるまでループ)

 

 上記の展開ルートにより、実質的には「超古深海王シーラカンス」1枚から高確率でトリシュループに突入できるということになります。見ているだけで頭が痛くなるような長々としたループですが、実際のところ回す側も慣れるまでは頭痛必至という非常に複雑な展開ルートです。

 上述の通り、「超古深海王シーラカンス」を召喚した時点ではどのルートをどう辿るかはまだ決まっていないため、どれを引いてもいいように最初から全てのルートを暗記しておく必要があります。なおかつ、状況によっては「フィッシュボーグ-ガンナー」の手札コストを払えないといったアクシデントが起こる場合もあるため、チェイン・コンボの要領でアドリブの判断(※)が要求されることも少なくありません。

(※そしてTODを狙うという性質上、長考は基本的に許されません)

 つまり、ドロー内容によっては散々ソリティアを披露した挙句のループ失敗という醜態を晒すことも十分に起こり得る話だったため、デッキが回り切るまでは勝てるかどうかが分からないという不安定さを抱えていました。しかし、これが災いして見ている側にも勝機があるためにジャッジを呼ぼうに呼べないという謎の心理ゲームが発生することも多く、とにかく通常のゲームバランスとは別の場所で脅威を振り撒いていたデッキです。

 

結局は終始苦しい立場 最終的には禁止制限行きに

 とはいえ、こうした対策を講じたところで【シーラカンス】のそもそものデッキパワーの低さが解消されたわけではなかった以上、メタゲームにおける立ち位置は依然苦しいままだったことは否めません。また、対人問題を引き起こしやすいTOD戦法に手を染めてまで【シーラカンス】を選択するプレイヤーもそれほど多くはなかったため、ある程度環境が煮詰まってくる頃にはほぼほぼ自然淘汰を迎えていた印象はあります。

 最終的には、2011年9月の改訂でフィッシュボーグ-ガンナー」が一気に禁止カードに、さらに「氷結界の虎王ドゥローレン」が準制限カードになったことでギミックが崩壊し、環境からは完全に姿を消すことになりました。同じタイミングで「TG ハイパー・ライブラリアン」「フォーミュラ・シンクロン」などが制限行きになっていたことも重なり、従来の【シーラカンス】としても生存の見込みがなくなってしまった形です。

 環境デッキとしては何とも言えない末路であり、末期の姿と合わせてしばらくはダーティーなイメージが付き纏うことは避けられないデッキだったのかもしれません。

 

【まとめ】

 「超古深海王シーラカンス」及び【シーラカンス】についての話は以上です。

 直前までは中堅勢力の一角として研究が進んでいたアーキタイプでしたが、「シューティング・クェーサー・ドラゴン」を手に入れたことで大幅に躍進を遂げ、間もなく環境デッキの一角に躍り出ることに成功しています。しかし、派手な外見に反して多くの弱点を抱えていたために終始苦しい立場にあり、最後にはTOD戦法に望みを託すしかなくなってしまったグレーなデッキでもありました。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。