制限改訂2011年9月 「開闢」制限復帰 【カオス】の復活

2019年7月11日

【前書き】

 【第7期の歴史18 レスキューラビット全盛期 【エヴォル】環境上位へ(大嘘)】の続きとなります。ご注意ください。

 「レスキューラビット」「エヴォルカイザー・ラギア」の2枚によって【兎ラギア】が成立し、やがては【次元ラギア】としてトーナメントシーンに姿を見せるようになりました。2011年~2012年を代表する4軸デッキの一つであり、エクシーズ環境の先駆けとなった強力なアーキタイプです。

 エクシーズ界隈が徐々に活性化を迎える中、続く9月に当時の環境を大きく揺るがす制限改訂が入ることになります。

 

制限改訂 2011年9月1日

 2011年9月1日、遊戯王OCGにおいて30回目となる制限改訂が行われました。

 禁止カードに指定されたカードは以下の52枚です。

フィッシュボーグ-ガンナー 無制限
メンタルマスター 制限
ハリケーン 制限
王宮の弾圧 制限
イレカエル -
ヴィクトリー・ドラゴン -
混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前) -
キラー・スネーク(エラッタ前) -
黒き森のウィッチ(エラッタ前) -
ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前) -
混沌の黒魔術師(エラッタ前) -
サイバーポッド -
サウザンド・アイズ・サクリファイス -
処刑人-マキュラ(エラッタ前) -
聖なる魔術師 -
ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前) -
月読命 -
D-HERO ディスクガイ(エラッタ前) -
デビル・フランケン -
同族感染ウィルス -
ファイバーポッド -
魔導サイエンティスト -
八汰烏 -
レスキューキャット(エラッタ前) -
悪夢の蜃気楼 -
いたずら好きな双子悪魔 -
王家の神殿(エラッタ前) -
押収 -
苦渋の選択 -
強引な番兵 -
強奪 -
強欲な壺 -
心変わり -
サンダー・ボルト -
次元融合 -
生還の宝札 -
洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前) -
大寒波 -
蝶の短剣-エルマ -
天使の施し -
ハーピィの羽根帚 -
早すぎた埋葬 -
マスドライバー -
突然変異 -
遺言状 -
王宮の勅命(エラッタ前) -
現世と冥界の逆転(エラッタ前) -
死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前) -
第六感 -
刻の封印 -
破壊輪(エラッタ前) -
ラストバトル! -

 

 制限カードに指定されたカードは以下の65枚です。

カオス・ソルジャー -開闢の使者- 禁止
真六武衆-シエン 無制限
TG ハイパー・ライブラリアン 無制限
デブリ・ドラゴン 準
フォーミュラ・シンクロン 無制限
ローンファイア・ブロッサム 準
大嵐 禁止
原初の種 無制限
紫炎の狼煙 無制限
貪欲な壺 無制限
E・HERO エアーマン -
オネスト -
剣闘獣ベストロウリィ -
クリッター(エラッタ前) -
ゾンビキャリア -
ダーク・アームド・ドラゴン -
ダンディライオン -
深淵の暗殺者 -
N・グラン・モール -
ネクロフェイス -
氷結界の龍 トリシューラ -
氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前) -
封印されしエクゾディア -
封印されし者の左足 -
封印されし者の左腕 -
封印されし者の右足 -
封印されし者の右腕 -
BF-月影のカルート -
BF-疾風のゲイル -
マシュマロン -
冥府の使者ゴーズ -
馬頭鬼 -
メタモルポット -
ライトロード・サモナー ルミナス -
異次元からの埋葬 -
インフェルニティガン -
おろかな埋葬 -
緊急テレポート -
黒い旋風 -
高等儀式術 -
死者蘇生 -
スケープ・ゴート -
精神操作 -
増援 -
月の書 -
手札抹殺 -
光の援軍 -
ブラック・ホール -
未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前) -
名推理 -
モンスターゲート -
闇の誘惑 -
リミッター解除 -
レベル制限B地区 -
六武の門 -
ワン・フォー・ワン -
異次元からの帰還 -
神の宣告 -
激流葬 -
聖なるバリア -ミラーフォース- -
ダスト・シュート -
停戦協定 -
転生の予言 -
光の護封壁 -
マジカル・エクスプロージョン -

 

 準制限カードに指定されたカードは以下の18枚です。

召喚僧サモンプリースト 制限
トラゴエディア 制限
ネクロ・ガードナー 制限
氷結界の虎王ドゥローレン 無制限
デステニー・ドロー 制限
光の護封剣 制限
マインドクラッシュ 制限
リビングデッドの呼び声 制限
カードガンナー -
大天使クリスティア -
D-HERO ディアボリックガイ -
王家の生け贄 -
連鎖爆撃 -
魔法石の採掘 -
おジャマトリオ -
神の警告 -
奈落の落とし穴 -
魔法の筒 -

 

 無制限カードに緩和されたカードは以下の7枚です。

裁きの龍 準
魂を削る死霊 準
オーバーロード・フュージョン 準
巨大化 準
サイクロン 準
グラヴィティ・バインド-超重力の網- 制限
ゴッドバードアタック 準

 

 以上が当時コナミから下された裁断となります。変動29枚、うち規制強化が13枚、規制緩和が16枚となっており、規制枚数よりも緩和枚数の方が多いという珍しい改訂です。

 しかし、禁止・制限リスト全体の枚数はむしろ増加しており、無制限カードからの規制入りが特に目立った改訂でもありました。

 

【六武衆】への規制

 当時の環境トップであった【六武衆】への規制として、「真六武衆-シエン」「紫炎の狼煙」の2枚が同時に制限カード指定を受けています。

 半年前の2011年3月の改訂で「六武の門」が制限カードとなり、大幅に弱体化していたアーキタイプですが、それでもなお2011年当時の環境デッキとしてはトップクラスのデッキパワーを持っていました。

 さらに、伏せ環境に対する「六武衆-ヤイチ」の採用を基本に、【ジャンクドッペル】【暗黒界】などに対してサイドから「次元の裂け目」を無理なく用意できること、「増援」によって「サイファー・スカウター」「ドッペルゲンガー」などのサイドカードを実質1枚増しでカウントできること、何よりミラーマッチ対策の「パペット・プラント」を有効に使えることなど、メタゲーム面においても非常に多くの優位点を備えているデッキでした。

 結果として、群雄割拠と言われた環境でありながら終始トップメタに君臨し続けるという快挙を成し遂げており、もはやこれ以上の放置はできないということでキーカード2種の更なる規制という厳しい決定に向かったものと思われます。【六武衆】の環境入りから都合2シーズンでの出来事であり、その迅速な対応からも当時の環境における【六武衆】の脅威度が垣間見えるのではないでしょうか。

 これにより、以降の【六武衆】は従来通りの構築を取ることが難しくなり、「六武衆の荒行」を取り入れて【荒行六武衆】に派生するなどの対策によって生存を図ることになります。

 

【ジャンクドッペル】への規制

 同じく、当時の環境において高い使用率を誇った【ジャンクドッペル】への規制として、「TG ハイパー・ライブラリアン」を筆頭とする各種キーカードに規制が入っています。

 【ジャンド】を象徴する「TG ハイパー・ライブラリアン」「フォーミュラ・シンクロン」の2枚が無制限から、強力なシンクロサポートギミックであった「デブリ・ドラゴン」「ローンファイア・ブロッサム」の2枚が準制限から、それぞれ制限カードに規制強化されました。いずれも当時の【ジャンクドッペル】においては必須枠のポジションにあったカードであり、これらを同時に失ったことは非常に深刻なダメージだったと言うほかありません。

 加えて、疑似サルベージカード兼ドローエンジンとしてよく採用されていた「貪欲な壺」も制限カード行きとなるなど、単純な規制枚数そのものに関しては上記の【六武衆】をも上回っています。これは上記カード群が【ジャンクドッペル】以外でも使われる準汎用カードだったことも関係していたと思われますが、それを踏まえても【ジャンクドッペル】への強い圧力が見られた改訂だったと言えるでしょう。

 これにより、以降の【ジャンクドッペル】は「TG レシプロ・ドラゴン・フライ」を採用せざるを得ないほどに構造的な無理を抱えることとなり、次第にトーナメントシーンにおける存在感を喪失させていくことになります。

 

無限ループ系コンボへの規制

 他方では、【シーラカンス1キル】などの無限ループ搭載デッキに対する規制も見られます。

 「超古深海王シーラカンス」を通しさえすれば高確率でワンキルに持っていける爆発力もさることながら、何より「氷結界の龍 トリシューラ」を絡めたTOD戦略が各種諸問題を噴出させており、通常のゲームバランスとは別の領域で脅威を振り撒いていました。そのため、それを成立させていた「継承ループ」を潰す目的で「氷結界の虎王ドゥローレン」が準制限カードとなったほか、そもそもの原因である「フィッシュボーグ-ガンナー」も一気に禁止カード行きを宣告されています。

 これにより、【シーラカンス】はTODデッキとしてはもちろん、従来のシンクロデッキとしての強みすら失ってしまうこととなり、環境デッキとしては事実上の解体を余儀なくされることになりました。これは上述の「TG ハイパー・ライブラリアン」「フォーミュラ・シンクロン」の規制も無関係ではなく、根本的に「超古深海王シーラカンス」を使う意義そのものが薄れてしまったことによる結果です。

 同様に、【サイキック族】全般のループエンジンであった「メンタルマスター」も禁止カードとなっています。こちらは【シーラカンス】とは違い環境レベルでの実績はごく少数にとどまっていました(※)が、それでも「ガスタの静寂 カーム」を絡めた無限ドローなどが問題視されることは多く、将来的な影響も見据えての早めの禁止措置という扱いだったのではないでしょうか。

(※ただし、一応「サイ・ガール」「寡黙なるサイコプリースト」を用いたクェーサールートなどもあったため、完全に環境と無縁だったというわけではありません)

 

「カオス・ソルジャー -開闢の使者-」の制限復帰

 かつて【カオス】の中核を務めた「カオス・ソルジャー -開闢の使者-」が衝撃の制限復帰を遂げています。

 第3期環境の暗黒期を象徴する【カオス】の切り札の片翼にして、第4期においても【開闢スタン】を成立させたほどのOCG屈指のパワーカードであり、この突然の現役復帰は非常に大きな騒動となりました。単純なカードパワーだけを見ても当時最強クラスのモンスターだったことに加え、下位種である「カオス・ソーサラー」がリアルタイムで活躍している中での復帰だったという事実も騒動の拡大に寄与していたと言えます。

 実際、復帰早々から【TG代行天使】や【ジャンクドッペル】などで採用実績を残しており、かつての強さが全く衰えていないことを実績として示していました。むしろ「エフェクト・ヴェーラー」や【TG】などの過去にはなかった【カオス】の種を獲得して強化されていた面もあり、これが【TG】出張ギミック流行の一端となっていたことは間違いありません。

 とはいえ、初期の頃と比べてOCGのゲーム性は遥かに深まっており、カード1枚でゲームが決まってしまうような大味なバランスではなくなっていたことも事実です。よって「カオス・ソルジャー -開闢の使者-」の現役復帰も見た目ほど危険な話ではなく、結果としては丸く収まった良改訂となっていました。

 その他、「カオス・ソルジャー -開闢の使者-」に絡んだ話としては、同改訂で「原初の種」が制限カードに指定されたことが挙げられます。

 単体では変則的なサルベージカードに過ぎない性能ですが、「マクロコスモス」などの全体除外カードを利用すれば2枚で無限ループが組めるため、そうした事態を防止する目的での規制強化だったものと思われます。しかし、実際のところ「原初の種」が何らかの問題を引き起こすことは考えにくく、当時においてもかなり不自然な規制であると言われていました。

 なおかつ、この規制状況はなんと現在においてすら動いておらず、遊戯王に時折見られる謎改訂の一つとして話題になることも少なくないカードです。

 

凶悪なパワーカードへの規制・緩和

 当時の環境で猛威を振るっていた「ハリケーン」「王宮の弾圧」の2枚が禁止カード指定を下されています。

 「ハリケーン」は当時の伏せ環境到来の一因にもなったパワーカードの筆頭であり、手軽かつ対策困難なワンキルパーツとしてゲームバランスを崩壊させていました。2011年3月の前改訂で禁止カードとなった「大寒波」の代替カードとしても多用されており、デッキによってはこれを安定して使うために「封印の黄金櫃」が投入されることさえあったほどです。

 結局、「通れば勝ち」でありながら「通らないことが基本ない」という凶悪カードと化していた現実があり、このタイミングでの禁止カード入りは極めて妥当な話だったと言えます。

 一方、「王宮の弾圧」は純粋に制圧カードとして極めて強力であり、これ1枚で事実上ゲームが終わってしまうというシチュエーションを頻発させていました。【墓地BF】などの「王宮の弾圧」を無視できるデッキではもちろん、【六武衆】などの主流デッキ側においてすら使われる状況が続いており、当初の「【メタビート】の専用カード」という扱いからは完全に逸脱していたことは否めません。

 事実上、先攻時に引ければそれだけで大幅に有利になれるカードであり、なおかつその傾向が今後ますます強まっていくことは明らかだったため、この瞬間をもって永久禁止カードの仲間入りを果たした形です。その後は今日に至るまで禁止カードの位置を動いておらず、エラッタなしでの現役復帰はまずあり得ないと断言していいカードでしょう。

 他方では、上記の「ハリケーン」と入れ替わりで「大嵐」が制限復帰したことも大きな出来事に数えられます。

 純粋なカタログスペックでは「ハリケーン」を上回るカードですが、総合的には「ハリケーン」と比べてバランスの取れているカードであったため、以降2015年1月に再び禁止カードとなるまで伏せ除去の代表格として名を馳せていくことになります。

 

【後編に続く】

 こうしたカードプールの大変動により、以降のメタゲームも大きく様相を変化させていくことになります。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

Posted by 遊史