エクシーズ召喚システム実装 マスタールール2への移行

2019年7月2日

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【前書き】

 【第7期の歴史11 制限改訂2011/3 【旋風BF】年貢の納め時】の続きになります。ご注意ください。

 2011年3月の改訂によるカードプール調整の結果、当時の環境がトップメタ界隈を中心に大きく揺れ動きました。とりわけ【旋風BF】の衰退はメタゲームに対して多大な影響をもたらしており、逆に言えばこれまで【旋風BF】の存在が恒常的に環境の柱を担っていたことが窺えます。

 最大勢力を欠いた状態で環境が推移していく折、その同月中に遊戯王OCGにおける新ルールが実装されることになります。

 

マスタールール2の概要

 2011年3月19日、これまでの標準ルールであった「マスタールール」が廃止され、代わりに「マスタールール2」が新たに制定されました。これ以降、2014年3月までのおよそ3年間に渡って適用されることになるルールであり、それに伴い商品名称も「遊戯王ファイブディーズ」から「遊戯王ゼアル」へと引き継がれています。

 ただし、ルール面の変更はそれほど行われておらず、根本的には前ルールとほぼ同じ形式のままという扱いでした。最大の違いという意味ではもちろんエクシーズ召喚の実装が該当していますが、それ以外の変更は下記で触れている「起動効果のルール変更」に限られていたと言っても過言ではないでしょう。

 

起動効果のルール変更 ならず優先権ならず

 「ならず者傭兵部隊」というモンスターが存在します。

 自身をリリースしてモンスター1体を除去する起動効果を持ったモンスターであり、遊戯王前半期を中心に猛威を振るった過去を持つことで知られます。とはいえ、ここで重要なのはそうしたカードの強さではなく、単に起動効果を持ったモンスターであるという事実です。

 例として、「ならず者傭兵部隊」を手札から召喚し、起動効果を発動するという手順を取るケースを考えます。

 これまでのルールでは上記のプレイを取った場合、ならず者傭兵部隊」を召喚した直後にターンプレイヤーに優先権が回ってくる扱いになっていました。よって相手が「月の書」などを伏せていたとしても割り込むタイミングが存在しなかった(※)ということであり、実質的には起動効果持ちのモンスターは今日における召喚誘発に近い使用感を持っていたと言えます。

(※これが俗に言う「ならず優先権」であり、優先権はよく分からなくてもこれだけは知っておくべきと言われていたほどの重要ルールです)

 つまり、この時のルール変更は簡単に言うと上記の優先権ルールを丸々削除してしまうような話だったということであり、事実上は起動効果持ちのモンスター全てに対する疑似的なエラッタ修正だったとも考えられます。

 当然、この変更によって引き起こされた影響は決して小さなものではなく、「カオス・ソーサラー」や「氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前)」などの実戦級モンスターも大きく使用感が変わってしまうことになりました。特に「カオス・ソーサラー」はこれまで高く評価されていた「カウンターを踏まない限りほぼ確実に除去を通せる」という強みを失ってしまったため、従来のようにセットカードを踏ませつつ除去をこなす切り込み要員としての運用は難しくなっています。

 一方、「月の書」などのフリーチェーンカード、また「奈落の落とし穴」を筆頭とする召喚反応系の罠カードは逆に強化されており、上記モンスター群に対しては一転して非常に刺さるようになりました。実際にこのルール変更の影響からか直前の2011年3月では「月の書」が制限カードに規制強化されており、更にはこれ以降「月の書」の採用率が爆発的に高まるといった出来事も起こっています。

 

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エクシーズ召喚 「レベル4が2体……」の概念

 このように、起動効果に関するルール改訂はOCG環境に対しても多大な影響をもたらしましたが、やはり当ルールにおける最大の関心がエクシーズ召喚システムに集中していたことは間違いありません。

 エクシーズ召喚はシンクロ召喚と比べて特殊なルールが設けられており、またいくつかの例外的な処理を含む召喚法でもありますが、大まかには「同レベルのモンスターを素材として行う特殊召喚の一種」という形に表現できます。いわゆる「レベル4が2体……」という台詞で有名な召喚法(※)であり、今日においてもOCG環境を定義づけているメジャーな召喚法の一つです。

(※詳しくはwikiに書いてある通りです)

 つまり、召喚法を利用するためにチューナーを必要としたシンクロ召喚と違い、特別な専用構築を取ることなく召喚法の恩恵に与れるという利点が存在します。デッキによってはメインデッキを全く弄らずにエクシーズモンスターを採用することも不可能ではなく、ある意味ではシンクロ召喚以上にゲームバランスを激変させたシステムだったと言えるでしょう。

 

当初は大人しかったエクシーズモンスター 全体的に地味な性能

 とはいえ、その分エクシーズモンスターそのもののカードパワーは抑え気味にデザインされる傾向にあったため、シンクロ召喚実装時のような大混乱が発生することはありませんでした。

 むしろ激動のシンクロ世代を乗り越えたプレイヤーの間では性能が控えめすぎると言われることも多く、逆の意味での調整ミスが懸念されていた時期すらあったほどです。実際、2011年時点では「No.39 希望皇ホープ」を筆頭に、「ジェムナイト・パール」「インヴェルズ・ローチ」などが環境の最前線で奮闘しているような世界だったため、下手にエクシーズ召喚を狙うより素材で殴った方が強い場面も少なくなかったという背景があります。

 もっとも、「創造の代行者 ヴィーナス」を擁する【代行天使】など、エクシーズ召喚を追い風として受けたアーキタイプも決して少なくありません。

 中でも「血の代償」と【ガジェット】のシナジーを基盤とする【代償ガジェット】の躍進は凄まじいものがあり、当時の選考会ではこの派生型にあたる【TG代償ガジェット】が代表の一角を射止めたほどです。2011年環境では間違いなくエクシーズ召喚システムを最も上手く使いこなしていたアーキタイプであり、逆に言えばエクシーズ召喚を強みとして取り込めたという事実こそが躍進に繋がったとも言えるでしょう。

 つまり、当時のエクシーズ召喚は「一見すると地味だが、使いこなせれば強力な武器になる」という理想的なバランスの召喚法だったということであり、デフレ気味のカードパワーとは裏腹にメタゲームに対して及ぼしていた影響は極めて多大です。かつてのシンクロ全盛期のように大々的に環境を席巻することはありませんでしたが、内部的には環境の流れを裏から牛耳っていたと言っても過言ではないモンスター群だったのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 マスタールール2の概要については以上です。

 基本的な部分はマスタールールからの据え置きという形で移行が進んでいましたが、起動効果に関するルール変更、さらにはエクシーズ召喚システムの実装など、OCG環境の常識をひっくり返す大規模な改訂も行われています。しかし、それによってゲームバランスが更なる高度化を迎えたことも間違いなく、遊戯王OCGはカードゲームとして一層の発展を遂げていくことになりました。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。