インヴェルズ・ローチ全盛期時代 2011年のシンクロキラー

2019年7月8日

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【前書き】

 【第7期の歴史15 ジェムナイト・パールがランク4のエースだった頃】の続きになります。特に、この記事では前後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

インヴェルズ・ローチ 実質ライオウ×2

 2011年環境において、「ジェムナイト・パール」とともにランク4エクシーズの柱を担ったのは「インヴェルズ・ローチ」と呼ばれるモンスターでした。

レベル4モンスター×2
このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、レベル5以上のモンスターの特殊召喚を無効にし破壊する。

 素材縛りなしのレベル4×2で出せるエクシーズ最初期組の1体であり、攻撃力は1900とステータスそのものは「ジェムナイト・パール」に大きく劣る数値です。しかし、代わりにエクシーズ素材を取り除くことでレベル5以上のモンスターの特殊召喚を無効にするという、一見すると壊れカード一歩手前にも見える恐ろしい効果を持っています。

 とはいえ、これは「条件による特殊召喚」、つまりチェーンブロックを作らない特殊召喚にしか対応しないため、メタ範囲は外見以上に狭い効果です。刺さらない相手には全く刺さらないと言っても過言ではなく、その場合は召喚コストがついた「ヂェミナイ・エルフ」にしかなりません。

 しかし、逆に言えば刺さる相手にはとことん刺さるということでもあり、デッキによってはこれを出されただけで詰んでしまうことすらあったほどです。

 分かりやすいところではシンクロモンスター全般がこれ1体で止まるため、特に【ジャンクドッペル】などのシンクロデッキに対しては凄まじい制圧力を発揮します。まともに突破しようとすればシンクロモンスター2体分の犠牲を強いられる以上、実質的にはシンクロ召喚そのものを封じてしまうと考えて差し支えない効果でしょう。

 それ以外にも、「ダーク・アームド・ドラゴン」や「カオス・ソーサラー」、また「マスター・ヒュペリオン」といった当時の環境を牛耳っていたパワーカードをまとめて牽制できるなど、状況を選ぶカードでありながら対応範囲は侮れません。

 事実上、自身をリリースせず、しかも2回も効果を使用できる「ライオウ」のようなものであり、初期のランク4エクシーズとしては極めて破格のポテンシャルを持っていたカードです。

 

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シンクロキラー筆頭カード 対【ジャンド】最終兵器

 当然のことながら、「インヴェルズ・ローチ」の参戦は2011年環境に対して多大な影響をもたらしています。

 マスタールール2への移行によりエクシーズ世代に突入を迎えた遊戯王OCGでしたが、それでもシンクロ界隈の勢いが衰えていたわけではありません。むしろ「TG ハイパー・ライブラリアン」や「シューティング・クェーサー・ドラゴン」を筆頭とする強力なルーキーの誕生を受けて逆に加速していた面もあり、その波及は【ジャンクドッペル】の大流行という形で明確に表面化していました。

 つまり、相対的に「インヴェルズ・ローチ」の持つ制圧効果が極めて有効に働きやすいゲームバランスが成立していたということでもあり、これ以降はインヴェルズ・ローチ」を安定的に設置できるということ自体が一種の強みとして認識されていくことになります。

 その筆頭候補として名を馳せたデッキこそが前記事でも取り上げた【代償ガジェット】です。

 これは「血の代償」型に限った話ではありませんが、【ガジェット】というデッキはモンスターが途絶えるということが基本的に起こらないように構築されています。つまり、多くの局面において「インヴェルズ・ローチ」を2ターンで配備可能なデッキと言い換えることもでき、これがそのまま【ジャンクドッペル】への実質的なタイムリミットとして機能します。

 上述の通り、「インヴェルズ・ローチ」はシンクロモンスターに対して絶大なメタ能力を発揮するため、【ジャンクドッペル】側は更地にこれを通してしまった瞬間に窮地へ陥ることは避けられません。「カードガンナー」や「ライトロード・ハンター ライコウ(エラッタ前)」によってこれを突破することもできますが、逆に言えば非常に限られたカードでしか「インヴェルズ・ローチ」に対処できないということでもあります。

 というより、そもそも【代償ガジェット】側がノーリスクで「インヴェルズ・ローチ」を置いてくることを考慮すれば非常に理不尽な取引であり、この不利な交換を毎ゲーム強いられること自体がこのマッチアップの相性差を物語っていると言えるでしょう。

 

【アライブ剣闘獣】における活躍 アライブローチは正義

 次点で「インヴェルズ・ローチ」の採用先として脚光を浴びたのは、同じくレベル4の展開に長けたデッキである【剣闘獣】です。

 2008年初頭から強力な環境デッキとして名を馳せていた一方、第7期当時においてはやや落ち目にあったアーキタイプですが、直前に「ヒーローアライブ」を手に入れたことで復権の気配を見せていました。「E・HERO プリズマー」を絡めて切り札である「剣闘獣ガイザレス」をすみやかに呼び出せるようになったため、結果としてゲームスピードの高速化にもある程度食い下がれるようになったことが大まかな理由に当たります。

 当然、この展開パッケージは「インヴェルズ・ローチ」に対しても適用可能であり、むしろ単純な適性においてはランク4の召喚を最も得意としていたギミックです。ヒーローアライブ」から「E・HERO エアーマン」を呼び出し、サーチした「E・HERO プリズマー」を召喚すればそれだけでランク4の素材が揃うため、実質手札消費1枚かつタイムラグなしで「インヴェルズ・ローチ」を作り出せるということになります。

 これは上記の【代償ガジェット】ですら持たない独自の強みであり、この「アライブローチ」ギミックがあったからこそ当時の環境で【アライブ剣闘獣】が実績を残せたと言っても過言ではありません。それどころか、この時に【剣闘獣】で活躍したことが「ヒーローアライブ」の有用性を広く知らしめる結果に繋がったとも言えるため、間接的には【アライブHERO】成立の基盤をも務めたデッキです。

 ちなみに、当時においても既に【HEROビート】そのものは成立していたのですが、この頃は前身である【光デュアル】の理念を強く受け継いでいたため、基本的に「ヒーローアライブ」は採用されない型が主流でした。

 そのため、上記「アライブローチ」ギミックを用いてくることもほとんどなく、ヒーローアライブ」そのものも実質的には【剣闘獣】の専用サポートであるかのような扱いを受けていたという背景があります。もちろん、「ヒーローアライブ」が採用されないことにも理に適った要因(※)はあったのですが、それでも現在の価値観では一見信じがたい話です。

(※当時の【HEROビート】ではカードプール・メタの両面から見て「ヒーローアライブ」にわざわざ頼る利点が薄く、デッキコンセプトにも噛み合わない微妙カードという扱いでした)

 いずれにしても、当時の【剣闘獣】が「インヴェルズ・ローチ」を最も強力に使いこなせるデッキだったことは間違いなく、【代償ガジェット】とともにアンチシンクロデッキの筆頭としてのポジションを確立していくことになりました。

 

【まとめ】

 「インヴェルズ・ローチ」についての話は以上です。

 シンクロモンスターの勢いが未だ色濃く残る中に現れた脅威のシンクロキラーであり、参入直後からメタゲームの流れを大きく左右していくことになります。最初期のランク4としては最も環境に影響を及ぼしていたカードであり、2011年を代表するエクシーズモンスターの1体に数えることにも不足はありません。

 流石に現在ではあまり知られていないカードではありますが、今なおこのカードのトラウマが残っているという方も少なくないのではないでしょうか。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。