BF-疾風のゲイル強すぎ問題 【BF】以外でも使われた時代

2019年3月14日

スポンサーリンク

【前書き】

 【第6期の歴史13 ダーク・ダイブ・ボンバー全盛期伝説 最速禁止入りの極悪シンクロ】の続きになります。特に、この記事では前後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

疾風のゲイル 制限カード級のパワーカード

 「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」に次ぐレギュラーパック「CRIMSON CRISIS」出身のパワーカード、それは「BF-疾風のゲイル」というモンスターでした。

自分フィールド上に「BF-疾風のゲイル」以外の「BF」と名のついたモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
1ターンに1度、相手モンスター1体の攻撃力・守備力を半分にする事ができる。

 【BF】カテゴリを代表するチューナーの1体にして、汎用チューナーとしても屈指の強さを誇るパワーカードです。【BF】モンスターが存在する場合に自身を特殊召喚する1つ目の効果、相手モンスターのステータスを永続的に半減させる2つ目の効果を持っており、いずれも当時としては非常に高水準な性能を誇っていました。

 しかし、やはり「BF-疾風のゲイル」最大の強みは後半の半減効果にこそあり、むしろこれだけでもパワーカードと言って差し支えない強さがあることは間違いありません。

 単純に考えても実質攻撃力2600の下級アタッカーとして機能するため、その時点で明らかに当時の水準以上のカードパワーを持っています。普通の下級アタッカーでは対処が難しい大型モンスター、代表的なところでは「ナチュル・ビースト」「スターダスト・ドラゴン」といった制圧系モンスターを単独で処理できるため、【BF】サポートどころかチューナーであることを差し引いても破格の強さです。

 もちろん、相手ターンでは低攻撃力を晒してしまうという弱点はありますが、これもそのままシンクロ素材にしてしまえば関係なくなります。チューナーであることがカードの性質にこれ以上なく噛み合っており、方向性こそ異なれど「ゾンビキャリア」にも引けを取らない凶悪なカードと言われていました。

 実際、「BF-疾風のゲイル」が環境に存在するだけで大型モンスターの信頼性が大幅に低下してしまうため、次第に「攻撃力2600未満はゲイルに狩られる」という価値観が浸透していくことになります。この時期こそ【シンクロアンデット】【スーパードローライダー】などの速攻デッキが幅を利かせていた関係で目立たない立ち位置にありましたが、それらが解体される2009年3月以降の環境では一転して強力な汎用アタッカー兼チューナーとしてトーナメントシーンを荒らしていました。

 その結果、続く2009年9月の改訂では早々に制限カード入りを果たし、以降5年間をその位置で過ごすことになります。この時期に制限カード入りを果たしたチューナーは「ゾンビキャリア」に次いで2例目(※)であり、その意味でも「BF-疾風のゲイル」の危険性が当時の許容範囲を超えていたことは間違いないでしょう。

(※同時期に「メンタルマスター」も規制されていますが、こちらはどちらかというと海外環境を意識した規制だったため、実質的には無視していい話です)

 しかし、制限カードに指定された後も「BF-疾風のゲイル」の評価が落ちることはなく、単純にパワーカードとしてピン挿しされるケースが増えていくことになりました。そのため、事実上はシンクロ全盛期が終わりを迎えるまでは常に何らかの形で環境に居場所を見出していたカードと言えるのではないでしょうか。

 その後は2014年10月に準制限、2015年10月に無制限カードと段階を踏んで規制解除の道を辿っています。現在ではゲームバランスのインフレによって汎用チューナーとして声がかかることはなくなっていますが、それでも【BF】では依然有力カードの立ち位置を確立しており、今後も一定の評価を保ち続けることは間違いない優良カードです。

 

スポンサーリンク


【BF】での活躍 旋風サーチ即シンクロ

 そんな「BF-疾風のゲイル」というモンスターですが、やはりその本領が【BF】において発揮されるというのは確かです。

 単純に考えても上記の使用法に加えて特殊召喚効果も活かすことができるため、その時点でカードパワーが一段階跳ね上がります。というより、第6期当時の水準ではそもそも自力で特殊召喚可能なチューナーというだけでも貴重であり、そこにアタッカーとしての有用性を含めた場合のカードパワーはもはや計り知れません。

 さらに、【BF】最強のサーチカード「黒い旋風」にも当然対応しているため、これと組み合わせることで即座にシンクロ召喚の準備が整います。なおかつ、【BF】はコンセプト的に7シンクロの召喚を得意としていたことから、「BF-アーマード・ウィング」はもちろん、ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」を呼び出して早期決着を狙うというのも難しいことではありませんでした。

 特に「BF-大旆のヴァーユ」を軸に据えた【墓地BF】においては、ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」で射出した【BF】シンクロを除外して後続の【BF】シンクロを立て、さらに射出するといった疑似ループも狙えたため、状況さえ整えば容易にワンキルを決めることができたほど(※)です。

(※ただし、総合力ではやはり【旋風BF】型の方が安定して強かったため、全体の割合としては【墓地BF】型よりも【旋風BF】型の方がメジャーでした)

 実際に2009年開催の世界大会においては前年の覇者【剣闘獣】を制し、【BF】が見事優勝の座を射止めています。文字通りデザイナーズデッキの世代交代を世に知らしめた快挙であり、【BF】の地力の高さ、ひいてはその強さを支えていた「BF-疾風のゲイル」のポテンシャルを見せつける実績を残しました。

 もちろん、それ以降の環境でも【BF】は形を変えてメタゲームに顔を見せ続けているのですが、BF-疾風のゲイル」が無制限カードだった時代としてはこの瞬間こそが最盛期だったのではないでしょうか。

 

ルール面も複雑 テキストから読み取れない処理

 ちなみに、「BF-疾風のゲイル」が持つ知名度は上記のようなゲームレベルのものだけではなく、ルール面の処理の煩雑さという意味でも少なからず騒動を残していたことでも有名です。

 と言っても、現在ではルールの明文化が進んでいるため、「発動した効果で攻撃力・守備力が指定された数値になる場合」のルールに従って処理するという言葉だけで片付きます。

 これだけでは不親切なのでもう少し噛み砕いて説明しますと、この分類の効果は感覚的には「ステータスを半固定化する」という処理に近く、半減後のステータスを「既に適用されているステータス増減効果を含めて」元々の攻撃力に変えてしまうようなルールです。

 例えば、「デーモンの斧」を装備している場合は攻撃力+1000の状態から半減処理が入り、その後装備が外れたとしてもその数値を取り続けます。「トラゴエディア」などの永続効果の場合も同様であり、「BF-疾風のゲイル」の半減効果が適用された後に手札の枚数が変わったとしても、半減した数値からステータスが変化することはありません(※)。

(※もちろん、厳密にはもう少し複雑なルールなのですが、それをここで説明し始めると話が迷宮入りしてしまうため、ここでは無視して進めます)

 いずれにしても、現在では「発動した効果で攻撃力・守備力が指定された数値になる場合」の処理は遊戯王OCGの基本ルールに統合されているため、BF-疾風のゲイル」だけが持つ特殊裁定というわけではありません。

 しかし、2008年当時のカードプールではステータスの増減効果を永続的に持続させるような効果はほぼ存在しておらず、そもそもルールの明文化自体があまり進んでいないという状況にありました。

 そのため、当時は事実上「BF-疾風のゲイル」の特殊裁定であるかのような扱いを受けてしまっており、遊戯王OCGのルールの欠陥性を象徴するカードとして悪い意味で注目を浴びてしまうことになります。「ゲイル効果は訳が分からない」という風潮が生まれた原因がこれにあることは間違いなく、「BF-疾風のゲイル」自体との遭遇率の高さも相まって多くのプレイヤーを混乱させていました。

 その後は類似効果を持ったカードが増えてくるとともにルールの整備が進み、やがては上述のような揶揄を受けることも少なくなっていきましたが、一時期は何かとややこしいトラブルを生むことも少なくなかった問題児の1人です。

 

【まとめ】

 「BF-疾風のゲイル」についての話は以上となります。

 【BF】の専用サポートとして現れておきながら、そもそも汎用チューナーとしても強すぎたために多くのデッキで濫用されることになり、その結果間もなく制限カード指定を下されてしまったカードです。しかし、その後もパワーカードとして環境で活躍し続けており、当時の「BF-疾風のゲイル」というカードが相当強い影響力を持っていたことは疑いようもない事実でしょう。

 一方で、ルール的な処理の煩雑さを孕んでいたことが少なからず騒動の種にもなっており、ゲーム面及びルール面の双方で悪目立ちしてしまっているカードでもありました。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。