遊戯王最初のデザイナーズデッキ 【墓守】の誕生

2018年2月26日

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【前書き】

 【第3期の歴史3 名推理 真実が12個ある心理戦】の続きになります。特に、この記事では前中後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

【(事実上)初代デザイナーズデッキ】

 第3期のスタートを飾るパックにふさわしく、「新たなる支配者」には随所に様々な趣向が凝らされていました。「魂を削る死霊」や「溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム」などの独特な効果を与えられたモンスター、「名推理」を始めとするトリッキーなコンボパーツなど、第2期以前のカードフォーマットでは再現が難しかったと思われる複雑なカードも少なくありません。

 しかし、それらに勝るとも劣らない大きな出来事も起こっています。現代遊戯王の代名詞とすら言える、デザイナーズデッキの成立です。

このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのプレイヤーは墓地のカードに効果が及ぶ魔法・罠・効果モンスターの効果を無効にし、墓地のカードをゲームから除外する事もできない。また、このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上の「墓守の」という名のついたモンスターカードの攻撃力・守備力は500ポイントアップする。

 上記は「王家の眠る谷-ネクロバレー」の当時のテキストとなります。俗に「ネクロバレー効果」とも呼ばれる特殊な墓地封印効果を持ち、様々なメタビート系デッキで採用されうるポテンシャルを秘めている1枚です。

 2016年12月17日に大きな裁定変更があってからは一部のデッキが被害を受けていますが、逆にメタ性能は向上しているとも取れ、今後の環境の流れ次第では現在でも浮上の機会は残されていると言えるでしょう。

 しかし、何よりも大きな特徴は【墓守】カテゴリの中核を務めるフィールド魔法カードであるという点です。「墓守」モンスターのステータスを永続的に強化するほか、墓守関連サポートカードの発動条件にもなる重要なキーカードとなっています。

 カード名がデッキ単位でゲームシステムに絡んだ最初の例であり、事実上の遊戯王OCG最古のデザイナーズデッキと言っても語弊はないのではないでしょうか。

 ……実際のところ、本当の意味での最古のカテゴリは「トゥーン」が該当しています。しかし、この時期の「トゥーン」はほぼデッキとして成り立っておらず、実質的には単なるシリーズカードの寄せ集めに近い状況でした。

 一方、この【墓守】は大本のカードデザインの時点でシナジーするように設計されていることは見ての通りであり、現在のデザイナーズデッキの理念と一致しています。最低限デッキを名乗る以上はファンデッキ級の強さは欲しく、最初にその条件を満たしたのはやはり【墓守】であったと考えるべきでしょう。

 もっとも、上述の通り環境クラスのデッキパワーを持っていたわけではなく、あくまでもファンデッキ然とした実力であったことは否めません。これは【墓守】に限りませんが、遊戯王前半期はデザイナーズデッキ=ファンデッキという考え方が浸透しており、デザイナーズデッキがメタゲームを支配する現在とは真逆の価値観となっていました。

粒ぞろいの墓守モンスター

 カテゴリとしての繋がりが目立つ「墓守」モンスターですが、単体での性能も侮れないものがあります。

リバース:自分のデッキから攻撃力1500以下の「墓守の」という名のついたモンスターカード1枚を特殊召喚する。

 上記は「墓守の偵察者」の当時のテキストです。攻撃力1500以下の「墓守」モンスター1体をリクルートするリバース効果を持っています。

 単純にボード・アドバンテージを取れるため、【墓守】としてだけでなく純粋なモンスター展開要員として見ることもできる優秀なモンスターです。守備力も2000と並以上に硬く、ほかのリバースモンスターと違って単体でも生存しやすい強みも見逃せません。

 「王家の眠る谷-ネクロバレー」の影響下では守備力2500となり、並の上級モンスターには突破されない数値です。リクルート効果で自分自身を呼び出すこともできるため、壁モンスターとしての性能は見た目以上に優れていると言えるでしょう。

 とはいえ、この時期は「魂を削る死霊」という強すぎるライバルも同時に現れており、それほど大きな注目を集めていたわけではありません。効果の性質的に【八汰ロック】【トマハン】で使われるようなカードでもなく、環境的にも強さを発揮できる状況ではなかったことは事実です。

 そのため、この「墓守の偵察者」に活躍の機会が訪れるようになるのは規制によってゲームバランスの調整が進んで以降の話となります。実際、2007年の【帝コントロール】全盛期では主力モンスターの1体として世界大会を舞台に活躍しました。

 またこれ以外にも、バウンス効果を持つ「墓守の番兵」や、手札誘発カードでもある「墓守の監視者」など、一定のカードパワーを与えられた「墓守」モンスターは少なくありません。とりわけ「墓守の監視者」は先攻1キルデッキに対する有力なカウンターとなり得るカードであり、実際にサイドデッキへの採用もあった意外な実戦級カードです。

 現在とはまた違う形の出張であり、その皮切りとも言える概念だったのかもしれません。

 

【当時の環境 2002年5月16日】

 【第3期の歴史2 魂を削る死霊と元祖万能除去の参戦 【トマハン】の強化】以降の前中後編の記事内容を総括した項目となっています。ご注意ください。

 「魂を削る死霊」の参戦により、【八汰ロック】、そして【トマハン】が大きく強化を受けました。闇属性かつアンデット族という恵まれたステータスを持ち、「キラー・トマト」「ピラミッド・タートル」の両者に対応しています。

 つまり「首領・ザルーグ」や「ヴァンパイア・ロード」とシナジーを共有しており、もはや意図的にデザインしたとしか思えないような厚遇ぶりです。カードパワーの高さ、シナジーの優秀さともに隙が無く、特に【トマハン】においては最高のピースとして受け入れられることになります。

 「サンダー・ブレイク」が与えた影響も大きく、「キラー・スネーク(エラッタ前)」との併用を前提に必須カードへと浮上しています。万能除去としての優秀さもさることながら、「悪夢の蜃気楼」との相性も決して悪くはありません。

 加えて、その「悪夢の蜃気楼」は「キラー・スネーク(エラッタ前)」と独特なシナジーを形成するため、都合これら3枚全てが極めて強固に噛み合っている格好です。

 結果として、当時のプレイヤーの間で上記3枚をセットで運用するという流行が訪れています。デッキスペースの関係から【トマハン】で使われることはそれほどありませんでしたが、【八汰ロック】においては標準ギミックとして搭載されるようになりました。

 また、「名推理」の誕生を受けて【デビフラ1キル】が突如主流デッキの一角として台頭しています。安定性、爆発力ともに大きく改善を見せ、デッキパワーが格段に向上しました。

 ワンショットに特化している関係上、【八汰ロック】【トマハン】などの低速デッキを狩りやすいというのも強みの一つです。速度の異なるデッキが環境に混在している形であり、メタゲームの複雑化に一躍買っていたと言えるでしょう。

 ファンデッキ界隈にも動きがあり、上記の【墓守】のほか、「突然変異」を活かした【変異バルター】や【変異サウサク】が開発され始めています。第4期では主流デッキの一角として花開くデッキではありますが、この時期は真価を発揮できる状況ではなく、カジュアルデッキの一つとしての立ち位置に落ち着いていました。

 総評としましては、【八汰ロック】【トマハン】【デビフラ1キル】の3デッキがしのぎを削る環境が訪れている印象です。2000年10月~2001年1月以来の3強環境であり、第2期終盤の暗黒時代とは比べ物にならないほどゲームバランスの改善が見られます。

 とはいえ、【八汰ロック】【トマハン】はアーキタイプが類似しており、実質的には2強環境と捉えた方が語弊がない状況でもあります。ビートダウン、コントロール、コンボが揃った理想的な環境は早々訪れないということでしょう。

 

【まとめ】

 前記事、前々記事と合わせて、「新たなる支配者」販売によって起こった出来事は以上です。

 第3期という新たな時代の幕開けを予感させるパックであり、全体的に第2期とは一味違う趣向が凝らされていました。とりわけデザイナーズデッキの成立は当時としては衝撃的と言うほかなく、遊戯王OCGにおける歴史的な出来事のひとつとして数えることに不足はありません。

 もちろん、環境に及ぼした影響も少なくなく、特に【デビフラ1キル】をメタの一角に押し上げたことは最も大きな変化であると言えるでしょう。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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