おろかな埋葬の誕生 当初はコンボパーツ扱い

2018年3月29日

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【前書き】

 【第3期の歴史26 暗黒のマンティコア襲来 無限ドローとエクゾディア】の続きになります。ご注意ください。

 レギュラーパック「暗黒の侵略者」から多数の凶悪なカードが現れたことにより、当時の遊戯王OCGは一気に深い穴底へと落ちていくことになりました。

 「混沌の黒魔術師(エラッタ前)」「次元融合」による【カオス】の強化はもちろんのこと、「暗黒のマンティコア」の誕生を受けての【宝札マンティコア】の成立。さらには第3期最凶の先攻1キルデッキ【サイエンカタパ】がいよいよ鎌首をもたげ始めるなど、この時に起きてしまった混乱の度合いは計り知れません。

 穏やかな前半期が嘘であったかのように激変してしまった環境に対し、さらに追い打ちをかけるように現れたのはとある1枚のカードでした。

 

【城之内ストラク おろかな埋葬の限定販売(大嘘)】

 2003年8月7日、「STRUCTURE DECK-城之内編- Volume.2」が販売されました。収録カード55種類のうち54種類が既存カードの再録であり、新規カードは1枚です(全1682種)。

 ストラクチャーデッキらしく当時の必須カードを中心にピックアップしており、おおむね粒ぞろいと言える収録内容となっています。例によってデッキとしての完成度については何とも言えませんが、必須カード補充パックと考えれば決して悪くない商品でしょう。

 しかし、やはり当ストラク一番の目玉は新規収録の「おろかな埋葬」に他なりません。

自分のデッキからモンスター1体を選択して墓地へ送る。その後デッキをシャッフルする。

 デッキから好きなモンスターを墓地に落とせるという、シンプルかつ極めて強力な効果を持っています。現在では言わずと知れた有名カードであり、「墓地は第2の手札」という遊戯王の価値観を象徴するカードでもあるでしょう。

 その圧倒的な汎用性の高さから今なお環境の最前線で活躍し続けており、現在では制限カードに指定されて久しい1枚です。下位互換カードや相互互換カードも様々な形で増え続けている以上、今後のカードプールの動き次第では禁止カード指定を受けてもおかしくはないとすら言えるのではないでしょうか。

 このように、今では非常に高い評価を下されている「おろかな埋葬」というカードですが、実は誕生当時は驚くほど評価が振るわないカードでもありました。

 まず、このカードを発動する時点で1枚分のディスアドバンテージを負ってしまうということは留意しなければなりません。つまり、その分の損を取り返せるモンスターを墓地に落とせない場合、このカードを使う意味がないという話になってしまいます。

 しかし、当時は墓地に置くことがアドバンテージに繋がるモンスターは「キラー・スネーク(エラッタ前)」程度しかおらず、このカードの高い墓地肥やし性能はいわゆる「宝の持ち腐れ」に近い状況となっていました。「死者蘇生」などと組み合わせ、往年の「捨て蘇生」コンボを狙うということもできなくはありませんが、その場合でも突き詰めればアドバンテージを失っています。

 墓地リソースを活用できる【カオス】であれば居場所があるようにも見えますが、実際にはカード1枚使ってまでやることではなく、採用候補にもほとんど名前が挙がっていません。

 総評としましては、このカードの高いポテンシャルに周りのカードプールが追い付いておらず、おおむね「時代を先取りしすぎたカード」だったという印象です。誕生以降、第5期終盤に至るまで規制の手を逃れていた事実からも、そうした評価の低さが窺えるのではないでしょうか。

 しかし、そんな「おろかな埋葬」も、この時期に全く使われていなかったわけではありません。

 上述の通りビートダウンデッキでは居場所がない一方で、コンボデッキにおいては非常に優秀なコンボパーツでもあったからです。

【暗黒マンティコア】の強化

 「おろかな埋葬」の恩恵を最も強く受けたのは、先月に誕生した先攻1キルデッキ【宝札マンティコア】でした。

 「暗黒のマンティコア」2体をそれぞれ手札と墓地に揃えることで無限ループが成立するため、ピンポイントでキーカードを墓地に落とせる「おろかな埋葬」の存在は極めて強烈に機能します。実質「暗黒のマンティコア」を6枚積めるようなものであり、これが「ある」のと「ない」のではデッキの安定性が大きく変わってくることは言うまでもありません。

 ただし、少なくとも1枚は手札に「暗黒のマンティコア」を握っておく必要があるため、完全に「暗黒のマンティコア」の代わりとして考えるのは不可能です。基本的に手札にキープしておき、「暗黒のマンティコア」を引いたのちに残りの1枚を墓地に落とすという使い方がメインとなるでしょう。

 しかし、蘇生の種となるモンスターが他に存在する場合に限り、2体とも墓地に落ちていても無限ループが成立します。デッキスペース的にあまり狙える状況ではありませんが、「聖鳥クレイン」などは元々デッキとの相性もよく、自然とこのギミックを搭載することもできるでしょう。

 デッキパワーを一段も二段も上げた非常に革新的な変化であり、これによって【宝札マンティコア】が完成したと言っても過言ではありません。

 もっとも、流石に【サイエンカタパ】と比べてしまえば見劣りするのも事実です。いくら「暗黒のマンティコア」の無限ループを成功させやすくなったとはいえ、単純に「生還の宝札」を引けなければその時点で話が終わってしまいます。

 しかし、比べる相手が悪いだけで【宝札マンティコア】自体も凶悪なデッキであることに変わりはなく、実際に直近の制限改訂では「暗黒のマンティコア」に対して早々に規制が入っています。

 総合力ではともかく、一部においては【カオス】を凌駕している部分もあり、混沌時代における地雷デッキのひとつとして恐れられていくことになりました。

【デッキ破壊1キル】の成立

 「おろかな埋葬」の参戦で恩恵を受けたデッキは【宝札マンティコア】だけではありません。上記で少し触れた【サイエンカタパ】も堅実に安定性を高めており、次第に先攻1キルデッキとしての知名度を上げ始めています。

 しかし、それらとは全く異なる方向性の先攻1キルデッキとして、遂に【デッキ破壊1キル】がおぼろげに形を持ち始めることになりました。

 コンセプトは単純で、凶悪なリバースモンスターであるサイバーポッド」を1ターン中に何度も使い回し、最終的に「手札抹殺」で一気にデッキデスを決めるという流れです。おおよその骨組みは【デッキ破壊】(第2期)を下敷きとしており、事実上はその後継デッキとなります。

 これまでは制限カードである「サイバーポッド」を確保するのが難しく、お世辞にも安定しているとは言い難いデッキでしたが、ここで「おろかな埋葬」を得たことで全体的に地力が底上げされた形です。墓地に落とした後は「浅すぎた墓穴」などで釣り上げ、「太陽の書」で即座にリバースさせることでデッキを動かしていけるでしょう。

 そして、この【デッキ破壊1キル】成立の決め手となったのは、何よりも「処刑人-マキュラ」との抜群の相性に他なりませんでした。

 「処刑人-マキュラ」と同時に使うことにより、おろかな埋葬」は実質的に「罠カードを手札から撃てるようにする効果」を持つ魔法カードに変貌します。それだけでは「王家の神殿(エラッタ前)」と同程度の効率ですが、上述の通りこのカードには元々潤滑油として扱える強みがあります。

 複数の役割を持たせられるコンボパーツが強力なのは世の常であり、「おろかな埋葬」は「処刑人-マキュラ」共々【デッキ破壊1キル】における必須カードの立ち位置を確立していきました。

 とはいえ、こうした要素を踏まえても【サイエンカタパ】などには遠く及ばない強さであり、成功率そのものは【宝札マンティコア】にも負けています。一応、こちらだけの強みとして、先攻1キルに失敗してもコントロールデッキとして振る舞えるという性質はありますが、そもそもコンボ成功率が低い不利を押しのけるほどの優位点ではないでしょう。

 また、遭遇は稀ですが「ネコマネキング」1枚で全てが瓦解してしまうなど、メタカードに弱いというリスクを常に抱えることになるのも苦しい欠点です。流石にメインデッキに入るようなカードではありませんが、サイドデッキに1枚忍ばせておく程度の用意は難しくありません。

 こうした事情を鑑みる限り、この【デッキ破壊1キル】が実際に流行していたかどうかについては首を傾げる部分もあります。仮に流行していたとしてもメタカードが標準的に積まれるようになるだけであり、やはりメタゲームを動かすほどの影響力は持っていなかったのではないでしょうか。

 

【当時の環境 2003年8月7日】

 「おろかな埋葬」という強力な墓地肥やしカードが誕生し、【宝札マンティコア】などの先攻1キルデッキを中心に優秀なコンボパーツとして取り入れられています。

 一方で、【カオス】のようなビートダウンデッキで使われるような性能ではなく、デッキタイプによって評価が真っ二つに割れてしまった格好です。現在ではどのようなデッキであっても機能するパワーカードですが、流石に時代が違いすぎたということでしょう。

 結論としましては、【カオス】は現状維持、そして【サイエンカタパ】や【宝札マンティコア】が強化を受けた状況となります。新勢力として【デッキ破壊1キル】が産声を上げているものの、上記3デッキと比べて全体的に見劣りすることは否めず、あまり目立った結果は残せていない状況でした。

 

【まとめ】

 「おろかな埋葬」の参戦によって起こった出来事は以上となります。

 今でこそ環境有数のパワーカードとして高い評価を受けていますが、当初はコンボデッキにしか居場所がなく、やや不遇の立場に置かれていました。もちろん、コンボデッキにおいては優れたコンボパーツとして注目を集めていたのは上述の通りです。

 とはいえ、このカード本来の強みである「墓地アドバンテージ」に着目した採用ではない以上、真価を発揮していたとは言い難い状況だったことは否定できません。墓地が第2の手札となって久しい現代遊戯王ではありますが、当時はまだ「墓地は墓地」と言える時代だったということでしょう。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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