遊戯王OCG禁止カード最強議論まとめ 環境目線で規制理由を考察

2020年7月17日

【前書き】

 遊戯王OCGにおいて、真に最強と言える禁止カードは果たして何なのか?

 ネット上を確認する限りでは、恐らく見た目のイメージだけが先行しているような「歴代最強カードランキング」的な記事や動画も溢れかえっていますが、実際のところそうしたエンタメ重視系コンテンツは往々にして、実体験的な知識に基づいているとは言い難い部分が少なからず見受けられるのは確かです。

 もちろん、禁止カードという規格外の存在を正確に批評するというのはプレイヤーにとっても簡単なことではないのですが、何にせよもう少し突っ込んだ議論がしたいと考える方は少なくないのではないでしょうか。

 このページでは、そうした先入観を極力排した環境目線からの見解を踏まえ、その規制理由を考察するとともに、カードの種別ごとに1位から3位までの格付けを行っていきます。

 

モンスターカード編

 まずはモンスターカードから紹介していきます。

 と言っても、この分野に関しては1位と2位は完全固定であり、ある程度知識があるプレイヤーには解説するまでもないような話ではあります。実質的には第3位を決めるだけの勝負になってしまいそうですが、とりあえず記事の趣旨に従って初心者向けに解説を入れていく所存です。

 

【1位】ヴィクトリー・ドラゴン

 間違いなく遊戯王史上最強最悪のカードです。

 詳しくは上記関連記事にて解説している通り(※)ですが、マッチキルという概念は根本的にカードゲームにあっていいシステムではなく、存在そのものが間違いです。つまりは「存在罪」を犯しているため、もうこの時点で救いようがありません。

(※簡単に言えば、いわゆるデッキ崩しに始まる対人的なトラブルを誘発してしまうことが最大の理由にあたります)

 しかしながら、そうした対人面の問題を考慮しない場合であっても、やはり「ヴィクトリー・ドラゴン」が遊戯王最強格のカードであることに変わりはないでしょう。

 言うまでもないことですが、【Vドラ】系列のデッキはその性質上、相手をする場合1ゲームも落とすことはできません。そしてこの「1ゲームも落とせない状況」というのは実際のゲームにおいてもしばしば発生する状況です。

 それはマッチ戦において「0-1」となった瞬間であり、つまり1本目のゲームで敗北してしまったケースが該当します。

 これが何を意味するのかはもはや考えるのも恐怖ですが、要するに「ヴィクトリー・ドラゴン」というモンスターは「まだ対戦が始まってすらいないのに0-1と同等、つまり何故かもう実質1回負けたことにされている」という状況を成立させてしまうカードなのです。名前の通り使用者に無条件で1勝をもたらす意味不明のカードであり、これほど理不尽かつ不毛な話もそうありません。

 また、ゲーム開始前から1勝しているということはルール上絶対に先攻が回ってくるということでもあるため、本来あってしかるべき「後攻のゲームで最低1勝はできるようなデッキ構築をしなければならない」という制約すら消滅してしまいます。

 よって従来の後攻向けのプランを取る他に「先攻に完全特化することで実質的に後攻のゲームを存在しなかったことにする≒ジャンケンに負けてもジャンケンに勝ったことになる」という新境地のプランを持ち出すことができ、これは当然プレイヤーの理解を超越した概念です。

 要するに「ヴィクトリー・ドラゴン」というカードは「絶対にジャンケンに勝てる上に1勝だけで決着がつく展開系デッキ」というこの世の終わりのようなアーキタイプを生み出してしまう怪物であり、もはやこれ以上に罪深い存在はこの世に存在し得ないでしょう。昨今の遊戯王界隈において、いわゆる「ジャンケンゲー」という言葉が囁かれることは決して少なくありませんが、恐ろしいことに「ヴィクトリー・ドラゴン」を使う場合はジャンケンゲーにすらなりません。

 そんな「ヴィクトリー・ドラゴン」に唯一の弱点があるとすれば、それは「純粋なカードパワー」があまりにも低すぎるということくらいです。

 というより、「ヴィクトリー・ドラゴン」をカードパワーという常識的な概念で推し量ろうとすること自体がそもそも間違いなのですが、それはそれとしてこのカードのカタログスペックの低さはどう言い繕っても覆りようがありません。極めてシンプルな話ですが、「特殊召喚できず、ドラゴン族モンスター3体をリリースして召喚可能な2400打点」を使いたいと思うようなプレイヤーはまず居ないのではないでしょうか。

 逆に言えば、そんな激重モンスターをこぞって使いたがるようにプレイヤーを洗脳してしまうのが、「ヴィクトリー・ドラゴン」というカードの狂気を物語っているのですが……。

 

【2位】魔導サイエンティスト

 モンスター部門では第2位、総合順位でもトップ5には絶対に名前が挙がる極悪カードです。

 ざっくり言えば召喚した瞬間に「簡易融合」を7枚ほどサーチできるカードであり、もはや凶悪という言葉で片付く次元の話ではありません。具体的にどのくらい強いのかなど想像すらできないほどであり、単一のカードとしては「苦渋の選択」に並んで暫定最強のカードです。

 適当に使うだけでも1枚でリンク8を生成することは当然として、「キメラテック・ランページ・ドラゴン」や「D-HERO デッドリーガイ」などを使えば容易にそれ以上の展開力を叩き出すことができ、「テセウスの魔棲物」+「水晶機巧-ハリファイバー」のセットを組み込めばシンクロ召喚のサポートすらこなせます。

 そこからの派生コンボ数はもはや数えるのも億劫になるほどで、むしろこのカードにできないことを探す方が難しい(※)のではないでしょうか。

(※詳しくは以前YouTubeに投稿した動画をご覧ください)

 加えて、制圧系融合モンスターの先置きによる疑似誘発耐性を持つ強みも見逃せません。「ミレニアム・アイズ・サクリファイス」による疑似「墓穴の指名者」ギミックは非常に有名ですが、「おジャマ・キング」を使うことで「原始生命態ニビル」すら簡単にケアできてしまうため、実際には局所的ながら本家以上に強力な誘発メタとしても機能します。

 もちろん、流石に「魔導サイエンティスト」本体を止められてしまえば無力ではあるものの、それは「苦渋の選択」などにも同じことが言える以上、流石にこじつけ的な弱点でしかないでしょう。

 なお、このカードのポテンシャルを最大限に引き出すと一体何が起こってしまうのかが知りたいという方は、下記の考察記事をご覧いただければ幸いです。

 

【3位】ラヴァルバル・チェイン

 かなり判断に迷いましたが、総合的に考えれば恐らくはこのカードが3番目に危険なモンスターです。

 言わずと知れた遊戯王最強クラスの汎用墓地肥やしカードであり、実質的には「レベル4モンスター2体≒おろ埋+副葬+モンスター疑似サーチ」の図式をあらゆるデッキに適用してしまう問題児です。そのことは現役時代における数々の実績が証明していますが、当時以上にゲームスピードが高速化した現在ではこのカードが存在することによって想定される影響範囲があまりにも広がりすぎていると言うほかありません。

 単純に墓地肥やしカードとして強すぎることはもちろんですが、今日のカードプールには各種トロイメアを筆頭に条件の緩いドロー効果持ちエクストラモンスターも増えているため、それらと併用することで「デッキから好きなモンスター1体を手札に加える」という気が触れたサーチカードにも化けてしまうわけです。

 要するにこのカードの危険性はとにかく汎用性が高く、軽く、使い道が多すぎることにあり、大多数のデッキで初動から展開の中継ぎ、エンドカードの確保まで全てをこなせてしまうため、今となっては完全に災厄級の怪物へと変貌してしまっています。

 とはいえ、それでも見た目のインパクトでは「イレカエル」や「ゼンマイハンター」などの方が壊れているようにも見えるため、そちらの方が順位が高いのではないか、という考え方もないわけではありません。

 しかし、そうした面々はあくまでもカテゴリカードの域を出ないため、純粋にカードとして最強なのかというと首を傾げる面もあります。

 また、カードパワーという観点においてもどちらかというとコンボカード寄りの立ち位置ではあるため、その強さはシナジーありきの局所的なものに過ぎません。仮にこれらに順位をつけるとしても、恐らくベスト5に食い込むのは難しい(※)のではないでしょうか。

(※「レベル・スティーラー」「ファイアウォール・ドラゴン」など、ベスト5圏内の凶悪なライバルは他にも存在します)

 もっとも、そんな「ラヴァルバル・チェイン」も「ヴィクトリー・ドラゴン」や「魔導サイエンティスト」と比べてしまえば相当格の落ちるカードではあり、第2位と第3位の間には到底越えられない隔絶した格差が広がっていることは否定できません。

 ここで言う3位とはモンスターカードという区分(※)に限っての話であり、全カードを含めた場合のランキングではトップ10に入るか入らないかギリギリのラインに位置付けされる程度のカードではあります。

(※むしろプレイヤーの考え方次第ではモンスター部門においても4位~5位のカードと順位が入れ替わり得る立ち位置のカードです)

 

魔法カード編

 次は魔法カード編に入ります。

 遊戯王黎明期に量産された古代兵器がそのまま転がっている関係上、いわゆる永久禁止カードの大半がここに属していると考えて差し支えありません。そのため、特に上位陣はモンスターカード部門以上に熾烈な激戦区となっており、ラヴァルバル・チェイン」クラスのチートカードであっても10位圏内にすら入れない可能性もある魔境です。

 

【1位】強欲な壺

 魔法カードでは最強、全カード中でも「ヴィクトリー・ドラゴン」に次いで理解不能なカードです。

 恐らくですが、「なぜ苦渋の選択ではないのか?」という疑問が浮かぶ方も少なくないのではないかと思います。実際、純粋なカードパワーという観点においては明らかに「苦渋の選択」の方が狂っており、個人的にも仮にどちらか片方しか採用できないとなった場合、苦渋の選択ではありますが「苦渋の選択」を選びます。

 しかし、「存在罪」の大きさで言えば、まず間違いなく「強欲な壺」の方が格上です。

 むしろ格上というよりは格下なのではないかという素朴な疑問も浮かんできますが、それはそれとして「強欲な壺」というカードの「訳の分からなさ」は完全に人知を超えていると言うほかありません。これに関しては上記関連記事で120%語り尽くしたことでもあるため、この場で改めて解説することはしませんが、人によっては「ヴィクトリー・ドラゴン」以上に許されざるカードである(※)とする意見もあるほどです。

(※むしろ個人的にもかつてはそう考えていました)

 よって順位付けをするのであれば1位にする以外の選択肢がなく、実質的には2位以降から議論を始めるべきでしょう。

 

【2位】苦渋の選択

 全てを終わらせることができるカードです。

 もはや具体的に何がどう強いのかを解説する気力すら失せますが、噛み砕いて言えばデッキから「おろかな埋葬」を5枚サーチする(そしてサーチしたおろ埋のうち1枚が不思議な力で万能サーチに書き換わる)カードであり、むしろそれ以外に表現のしようがありません。それでも無理やりに初心者向けに解説を行うとすれば、恐らくは下記のような表現が最も適切です。

通常魔法
①:自分はデュエルに勝利する。

 あまりに身も蓋も無さすぎると言ってしまえばその通りではあるのですが、恐らくこの結論に異論がある現役プレイヤーはまず居ないのではないでしょうか。

 

【3位】遺言状

 これが通ってしまった場合、そのプレイヤーは3分以内に遺言状をしたためる必要があります。

 要するに「通したら負け」に近いカードであり、さながらリクルート効果版の「苦渋の選択」とも言える存在です。かなり乱暴な表現ですが、ワン・フォー・ワン」から手札コストを無くした上でリクルート範囲を10倍に広げたようなカードと考えればおおむね間違いないでしょう。完全に気が狂っています。

 逆に言えば、「既存のパワーカードを更に10倍以上強くしたようなカード」という風に表現することはできるため、「頭がおかしいくらい強すぎるリクルートカード」という言葉だけでも理解が及ぶ相手ではあります。よって「強欲な壺」や「苦渋の選択」のようにプレイヤーの理解を超越した存在というわけではなく、辛うじてこちら側の住人であると言えないこともありません。

 実際、額面上のスペックはあくまでも1:1交換のリクルートカードに過ぎないため、状況によっては適当なチューナーをリクルートして「水晶機巧-ハリファイバー」に繋ぐといった常識的な運用をするケースも考えられます。むしろその使い方でも十分すぎるほどに優秀な仕事をこなしていますが、下振れの仕方によってはその程度にまでパワーダウンする可能性もあるという事実は認識しておいてもいいのではないでしょうか。

 もっとも、ほぼ全てのデッキにおいて最強の初動札になり得るという事実もまた動きようがない以上、大抵の場合は1枚でゲームを終わらせるだけのパワーがあります。少なくともモンスター部門で同順位の「ラヴァルバル・チェイン」とは比較にすらならない強さです。

 

罠カード編

 最後は罠カード編となります。

 よく知られている通り、罠カードの禁止勢は全体的に層が薄めであり、はっきり永久禁止級と断言できるカードはごく一部に限られます。

 とはいえ、中には口から心臓がはみ出るレベルの極悪カードも紛れ込んでいるため、決して侮っていい連中ではありません。

 

【1位】第六感

 遊戯王史上最もつまらないカードです。

 現役時代の遊戯王を「サイコロゲー」に染め上げた戦犯であり、そもそもこんなものがこの世に存在すること自体が何かの冗談のような話です。早い話、これによる大量ドローが通った瞬間に実質ゲームが終了してしまうため、両プレイヤーともに「今までの戦いは何だったのか」という虚無感に襲われることになります。

 例えるならばそれは「クイズ番組の最終問題が1000000ポイントくらいになる現象」に近く、それまでの駆け引き全てを無視して「サイコロが当たるか否か」というだけの勝負が始まってしまうわけです。遊戯王に限らず、そもそも「ゲーム」と名のつくものに存在していいシステムではなく、これを使うくらいなら最初からサイコロそのもので遊んだ方がいくらか楽しいでしょう。

 とはいえ、そんな「第六感」も罠カードであるという事実だけで大幅に使い勝手を落としていることは否めず、やはり最上位陣には今一歩及ばない立ち位置に甘んじている印象はあります。

 誤解のないように断言しておくと、それでも「第六感」が永久禁止カードであること自体は結論として絶対に間違いないのですが、恐ろしいことに遊戯王には「第六感」以上に凶悪なカードがそれなりに存在してしまっているのです。

 

【2位】王宮の弾圧

 自壊しない「虚無空間」が凶悪でないはずがありません。

 これだけで既に話が終わってしまいそうな勢いですが、流石に尺が余りすぎてしまうため、「王宮の弾圧」が持つ固有の強みをいくつか取り上げていきます。

 まず言えることとして、「ダイナレスラー・パンクラトプス」などに対しても見てからの発動が可能であるため、「虚無空間」と違い後出しジャンケンの要領で好きなタイミングまで構え続けることができます。つまり制圧カードでありながら疑似「神の通告」としても運用可能であるということで、そもそも普通に妨害札として強すぎるカードです。

 もちろん、カウンターとして使用した後は「虚無空間」となって場に残り続けるため、もはや人の心がありません。こんなものが復帰した日には第三次世界大戦が起こります。

 一方、「王宮の弾圧」にしかない弱点として、ダメージステップの特殊召喚は防げないこと、また2回目以降は「幽鬼うさぎ」が刺さってしまうといった欠陥もあるため、完全な上位互換カードとして見ることはできません。しかし、そもそも勝手に自壊してしまう「虚無空間」と比べれば雲泥の差であり、これを相互互換扱いするのはかなり無理があるのではないでしょうか。

 もっとも、裏を返せば結局どこまで行っても強化版「虚無空間」以上のカードにはなれないため、AランクではあってもSランクには届かない程度のカードではあります。

 

【3位】異次元からの帰還

 評価が難しいカードです。

 言うまでもないことですが、ほぼ無条件で除外ゾーンのモンスターを大量帰還させる「異次元からの帰還」は間違いなく壊れカードに該当します。特に近年においては展開の過程で自然と除外ゾーンが肥えていくタイプのデッキは珍しくないため、恐らく適当に使うだけでもエンドカード級の働きは期待できるでしょう。

 よって「異次元からの帰還」に禁止カード級の強さがあること自体は間違いなく、現存する罠カードの中でも最強クラスの力を秘めています。

 しかしながら、やはりこれまでに取り上げてきた面々と比較すると相当に格が落ちることは否めません。

 理由については語ればキリがありませんが、最も分かりやすいものとしては「次元融合」という事実上の上位互換カードが存在していることが挙げられます。そちらはタイムラグなく発動できる上にカード名の関係で各種「融合」サポートに対応するため、大量帰還カードでありながらなぜかサーチしたりコピーしたりすることができるなど、もはやその格の違いは歴然です。

 なおかつ、そんな「次元融合」ですら魔法カード部門では5~6位に食い込めるかどうかという立ち位置に甘んじている以上、その下位互換である「異次元からの帰還」には根本的に器が足りていないと言わざるを得ません。罠カード部門ではライバルの少なさから繰り上がり的にランクインを果たしているものの、恐らく総合順位では20位圏内にすら入れない程度のカードパワーなのではないでしょうか。

 

番外編・最強っぽいけど実際そうでもないカード

 本編に関しては以上ですが、ここからは番外編として、巷で最強カード扱いされることが多いものの実際にはそうでもないカードを紹介していきます。

 流石に全てを取り上げていくことは難しいため、特に勘違いされやすいカード3枚をピックアップしています。

 

八汰烏

 恐らく禁止カードの中では最も強さを誤解されているカードです。

 ただし、念のため申し上げておきますと、八汰烏」が壊れカードであること自体は間違いありません。近年のインフレで感覚が麻痺してしまい過小評価しすぎている意見も時折見かけはしますが、継続的なドローロックというメカニズムは明らかにゲームを壊すだけの危険性を秘めています。

 実際、適当な中速デッキに漠然と挿してみるだけでも案外簡単にロックが決まってしまったりするため、「現役復帰しても別に構わない」という意見は流石に誇張ではないかという印象もあります。

 逆に言えば、「安易な現役復帰は好ましくない」という程度の評価にまで凋落していることは否定できません。

 これに関しては既に多くの場所で言われていることではありますが、現代遊戯王のゲームバランスにおいて通常ドローの価値はかつてほど重要ではなくなっており、それを封殺する「八汰烏」のカードパワーが相対的に衰えていることは事実です。仮にゲーム序盤に「八汰烏」のドロースキップを通したとしてもそれが致命傷になることは考えにくく、効力を発揮するには少なく見積もっても3ターンはかかります。

 それどころか、最悪何の仕事もなく延々と手札で燻り続ける(※)ケースすら珍しくないため、実際に使用してみると想像以上の扱い辛さに閉口する羽目になるのではないでしょうか。

(※反面、互角の盤面であっても隙を見て1回刺すだけで一気にゲームが壊れることもあるため、やはり壊れカードであることに変わりはないのですが……)

 よって最終的な評価としては「壊れてはいるが強さにムラが出やすいピーキーなカード」という形になり、少なくとも最強のカードではありません。

 

ラストバトル!

 このカードも実際の強さをかなり誤解される傾向にあります。

 結論から言ってしまいますが、ラストバトル!」は恐らく無制限カードでもほぼ使われないレベルのカードです。疑似的な特殊勝利カードであるという事実から色眼鏡で見られることも多いですが、最強どころかむしろコンボカードとしても使いにくい部類に入ります。

 2枚コンボの先攻1キルと言えば一見聞こえはいいですが、そもそもカードの発動条件として「ライフ1000以下」という厳しい前提をクリアする必要がある以上、実際にはかなり達成が難しいコンボです。

 真面目にギミックを組むのであれば「デビル・フランケン」+「異星の最終戦士」で5000、「チキンレース」+「擬似空間」で2000を稼ぐのが現実的な落としどころになりそうですが、それはもはや2枚コンボでも何でもない(※)でしょう。

(※そして性質上、コンボではなく汎用的に使うこともほぼ不可能に近いカードです)

 とはいえ、それでも【マジエク1キル】のような地雷デッキを成立させる可能性が全くないとは言えず、凡百のカードにはない恐ろしさを秘めているという考え方もあるにはあります。

 しかし、デビル・フランケン」が必須パーツになる関係上「命削りの宝札」や「強欲で謙虚な壺」といった必須級のドローソースを採用できず、さらには本家と違い手札誘発が全般的に刺さってしまう欠陥があるため、率直に言ってネタの域を出ない強さです。おまけにE・HERO シャドー・ミスト」などの墓地誘発1枚で呆気なくプランが瓦解してしまう致命的なボトルネックを抱え込んでいる以上、もはや「ラストバトル!」に実用レベルの性能を求めるのは土台無理な話なのではないでしょうか。

 というより、そもそも「ラストバトル!」が第4期当時に禁止カード指定を受けたのも裁定の調整が難しすぎることが主な理由であると言われており、カード自体の凶悪さが招いた結果ではありません。

 この辺りの事情もかなり誤解されて広まっている印象はありますが、記事の趣旨から外れてしまう(※)ためここでの解説は省きます。

(※詳しくは当項目冒頭の関連リンクをご参照ください)

 

蝶の短剣-エルマ

 このカードに至っては、正直まともに実用化することすら困難なカードです。

 遊戯王OCGにおいて、無限ループ搭載デッキの環境入りを引き起こした史上初のカードであり、数ある無限ループ系コンボパーツの中でもトップクラスの知名度を誇ります。その悪名は今なお広く語り継がれているほどですが、その名声に実力が伴っているかどうかはまた別の話です。

 無限ループを形成するとだけ言えば何やら恐ろしげに聞こえますが、実際のところ蝶の短剣-エルマ」を悪用するためには「ターン1制限なしで自分フィールドのカードを無限に破壊し続けられるギミック」が必要です。単刀直入に言ってそれはむしろ「蝶の短剣-エルマ」よりも遥かに危険であり、そんなカードが今後印刷されるわけがありません。

 現に第11期現在のカードプールにおいても実用レベルで「蝶の短剣-エルマ」とのループコンボを組めるカードは「鉄の騎士 ギア・フリード」以外に現れておらず、現実的には【エルマ1キル】専用のコンボパーツとしてしか活用できないことが分かります。

 しかし、当然「鉄の騎士 ギア・フリード」だけでは意味をなさないループにしかならないため、ここから勝利手段として追加でもう1枚のコンボパーツを要求されます。有名どころとしては「王立魔法図書館」の無限ドロー、「魔法吸収」の無限ライフによる疑似TODなどが挙げられますが、いずれにしてもこの時点で既に都合3枚コンボと化してしまっているわけです。

 ある程度経験を積んだプレイヤーにはこれがどれだけ弱い動きなのかが感覚的に分かってしまうのではないかと思われますが、今のご時世、3枚もカードを使えば大抵のワンキルギミックは簡単に組めてしまいます。そしてそれらは多くの場合ロマンコンボの域を出ることはなく(※)、そのことは実際のトーナメントシーンの様子を見ればすぐに理解できるはずです。

(※もちろん、メインギミックに自然と組み込めるのであれば3枚コンボであっても十分に実用的であると言えますが、エルマループは明らかに汎用性がないコンボに該当します)

 とはいえ、一応無限ループとは別方向の「蝶の短剣-エルマ」の活用手段として、例えば【メタルフォーゼ】や【甲虫装機】などの自壊が絡むデッキで無限の的として運用するといった使い道も考えられなくはないでしょう。しかし、こちらも冷静に考えると見た目が派手なだけのロマンコンボにしかなっていない(※)ことが多く、実用性があるとは言い難い部分もあります。

(※というより、実は「暗黒魔族ギルファー・デーモン」でも似たようなことができる上に、どう考えてもそちらの方がアクセスしやすいです)

 よって結論としては「無限ループを形成する」という事実だけが一人歩きしている印象は強く、オブラートに包まずに言えば無理やり凶悪カードとして持ち上げられているような節も見受けられます。

 そもそも現在では「神聖魔皇后セレーネ」を使えば似たような無限魔力カウンターコンボがより手軽に組める以上、わざわざメインデッキにコンボパーツを用意しなければならない「蝶の短剣-エルマ」を優先する理由は皆無でしょう。この際はっきり言ってしまいますが、今となっては原初の種」などと同じように「今後のカードプール更新に影響を与えないようにするため(※)」という理由だけで規制されているようなものであり、いわゆる最強カードランキング系の記事で大抵このカードがノミネートされていることにはかなり強い違和感を覚えます。

(※そして先に挙げた理由により、実質的にはこれもほぼ杞憂に近い話です)

 少なくとも私の経験上、いまだに「蝶の短剣-エルマ」を最強と信じ込んでいる現役勢はほとんど見かけた試しがありません。

 

【まとめ】

 禁止カード最強議論については以上です。

 多くの禁止カードに言えることとして、禁止指定を受けているという時点で通常のカードとは比較にならない規格外の凶悪さを持っていますが、そんな禁止カードにもそれぞれ「格」と呼べるものが存在することが窺えます。それは当記事で取り上げている最上位陣の面々であっても例外ではなく、そのことは別部門同順位である「ラヴァルバル・チェイン」「遺言状」「異次元からの帰還」の3枚を見比べれば明らかなのではないでしょうか。

 ちなみに、この格差を分かりやすくファンタジー的な表現にたとえると、ヴィクトリー・ドラゴン」「強欲な壺」の2枚は4次元領域の理解を超えた存在で、「魔導サイエンティスト」「苦渋の選択」はシンプルなタイプの神、「遺言状」は世界を滅ぼす超古代魔法、「第六感」は頭がおかしくなって封印された邪神です。

 しかし、そこから下は一気に格が落ち、「ラヴァルバル・チェイン」は精々人類最強クラス、「王宮の弾圧」はダンジョンの最深部に待ち構えるボスで、「異次元からの帰還」は都市が一時機能停止するレベルの自然災害といったところでしょうか。

 ついでに番外編で触れた面々については、「八汰烏」は討伐隊が組まれる危険な害悪モンスター、「ラストバトル!」はちょっと規模の大きい盗賊団、「蝶の短剣-エルマ」はその辺に売っている呪われた魔道具か何かです。

 もっとも、こうした格付けはあくまでも私個人の経験に基づいた主観的な結論に過ぎないため、当記事とはまた別の結論に至るプレイヤーも少なからずいらっしゃるのではないかと思われます。

 しかし、それでも極端に的外れなことを述べているということはないはずですので、よろしければ禁止議論の参考資料の1つとしてご活用いただければ幸いです。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

著者情報:遊史

Posted by 遊史