マハー・ヴァイロ黄金伝説 【装備ビート】の復権

2017年12月27日

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【前書き】

 【遊戯王 環境の歴史26 第2期 禁止カード大量発生事件】の続きになります。特に、この記事では前中後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

【当時の環境 2000年4月20日 後編】

 【装備ビート】というデッキをご存知でしょうか?

 【遊戯王 環境の歴史5 第1期 コンセプトデッキ 装備ビートの誕生】の記事で取り上げている、第1期初期に僅かに顔を見せたデッキです。装備カードを下級モンスターに装備させて速やかに高打点を作り出し、下級同士の戦闘で優位に立つというデッキコンセプトとなっています。

 しかし、同時期に効果モンスターが現れ始めた影響で思ったほど成績を残せず、効果モンスター主体の環境に推移していくにつれて次第に存在感を無くしていきます。

 最終的に「鎖付きブーメラン」の誕生によって特化構築を行う理由が消失し、事実上アーキタイプそのものが自然消滅してしまうという結末を迎える形となりました。

 それから第2期に突入するまでの長い期間、実用レベルの装備カードは一向に現れず、【装備ビート】の構築は不可能な状況が続いていました。

 そんな折、第2期初弾となる「Magic Ruler -魔法の支配者-」にて突如として【装備ビート】のサポートカードが現れます。

デーモンの斧 装備魔法の革命

 まずは「デーモンの斧」です。

・装備したモンスターの攻撃力は1000ポイントアップ! このカードがフィールドから墓地に送られた時、モンスター1体を生け贄に捧げればデッキの一番上に戻る。

 装備モンスターの攻撃力を1000上昇させる一つ目の効果と、墓地へ送られた時にモンスター1体をコストにデッキトップに回収できる二つ目の効果を持っています。

 率直に申し上げて、第1期の装備魔法とは比較にすらならないほど高性能な装備カードです。

 まず、デメリットなく任意のモンスターに装備できるという点が既に優秀です。従来の装備カードはそのほとんどが装備先に制約があり、特定のモンスターにしか装備できないという問題点を抱えていました。

 「執念の剣」など、どんなモンスターにでも装備できる装備カードが全く存在していなかったわけではありません。しかし、いずれも何らかの形でデメリットを抱えており、やはり専用構築を推し進めるのは厳しいものがありました。

 しかし、「デーモンの斧」にはそうした制約は一切存在していません。それこそ相手モンスターにでさえ装備することができます。

 何よりこのカードが強力だった点は、強化値1000と破格のステータス補正が入るところです。

 純粋な上昇値では遊戯王OCGでも最高峰の水準であり、戦闘サポートカードとしてこれ以上ない仕事を果たします。分かりやすいところでは、「クリッター(エラッタ前)」が「ヂェミナイ・エルフ」を戦闘破壊できるようになります。

 「ヂェミナイ・エルフ」「ダーク・エルフ」が当時現役であったことからも明らかですが、いかに強力な効果モンスターが増えていたとはいえ、やはりステータスの高さがゲームにおいて重要な要素の一つであったことに変わりはありません。低ステータスのモンスターを手軽にアタッカーへと変えられる「デーモンの斧」は高く評価され、プレイヤーによっては【グッドスタッフ】に採用しているケースもあったほどでした。

 ちなみに、二つ目の自己回収効果については、ややリスキーと言わざるを得ない性能です。アドバンテージを失う上にセルフドローロックがかかってしまうため、多用できる効果ではありません。

 しかし、シチュエーション次第では強力に作用することもあり、存在を忘れていると痛い目に合う効果でもありました。

優良装備魔法 悪魔のくちづけ

 また、「悪魔のくちづけ」という装備魔法カードもこの時に誕生しています。

・装備したモンスターの攻撃力は700ポイントアップ! このカードがフィールドから墓地に送られた時、500ライフポイント払えばデッキの一番上に戻る。

 修整値は700と「デーモンの斧」に及びませんが、それでも当時はトップクラスの数値です。自己回収効果がライフコストだけで済むため、「デーモンの斧」と比べて気軽に発動しやすいという独自の強みもあります。

 流石に【グッドスタッフ】で声がかかることはありませんでしたが、【装備ビート】では4枚目以降の「デーモンの斧」として活躍しました。

【装備ビート】の魂 マハー・ヴァイロ

 このように、強力なサポートを得て躍進した【装備ビート】でしたが、当時の【装備ビート】を支えたのはこれらの装備魔法カードだけではありません。

 【装備ビート】を【装備ビート】足らしめたのは、何と言っても「マハー・ヴァイロ」の存在に他ならないでしょう。

・装備されたカードの効果に加え、装備カード1枚につき攻撃力500ポイントアップ!

 自身につけられた装備カードの枚数に応じて、攻撃力が500ずつ上昇する効果を持ったモンスターです。これは魔法カードに限らず、「鎖付きブーメラン」のように罠カードの装備カードもカウントします。

 また、装備カードのコントローラーも問わないため、「強奪」などの相手の装備魔法によってもやはり攻撃力が上昇します。

 元々の攻撃力は1550であるため、「デーモンの斧」を装備すれば攻撃力3050に到達します。あの「青眼の白龍」を上回る数値であり、純粋な戦闘ではまず負けない数値です。

 もちろん、装備カードは1体のモンスターに何枚でもつけられるため、それこそ攻撃力5000オーバーを叩き出すことも不可能ではありませんでした。装備サポートとしては非常にシンプルかつ強力な効果で、レアリティもノーマルと入手しやすかったことから多くのプレイヤーに愛用されたカードです。

ミラーマッチでは最強 移り気な仕立屋

 また、当時の【装備ビート】で使われたカードに、「移り気な仕立屋」という速攻魔法もあります。

・装備(モンスター)カード1枚を別の対象に移し替える。

 モンスターに装備された装備カードを、別のモンスターに付け替えるという風変わりな効果です。この付け替え効果は対象さえ適正であれば良いため、なんと相手モンスターに装備された装備カードを自分のモンスターに付け替えることができます。

 性質上、このカードは【装備ビート】のミラーマッチにおいて極めて強烈に作用しました。速攻魔法である点も評価を高め、攻撃してきた相手モンスターの装備魔法カードを奪い取って返り討ちにしたり、奪い取られた装備カードを更に奪い返して返り討ちを失敗させたりするなど、非常にトリッキーな使い方が可能でした。

 

愛すべきファンデッキ 【マハー・ヴァイロ】

 こういったサポートカードの存在から、【装備ビート】……いえ、あえて【マハー・ヴァイロ】と呼ばせていただきます。【マハー・ヴァイロ】はデッキとしての完成度を飛躍的に高める形となりました。

 しかしながら、禁止級のカードを多数積んだ【グッドスタッフ】に対しては、残念ながら手も足も出ないというケースがほとんどでした。

 いかに装備カードで打点を高めたところで除去耐性が無い以上、【グッドスタッフ】相手ではほぼ確実に回答を用意されてしまいます。

 「ハーピィの羽根帚」「大嵐」で装備カードを根こそぎ吹き飛ばされる、ブラック・ホール」「サンダー・ボルト」「異次元の戦士」であっさり処理される程度であればまだマシです。最悪の場合、心変わり」「強奪」でマハー・ヴァイロ」を奪われてしまうなど、非常に厳しい逆風の立場に置かれていました。

 更に、コンセプトデッキであるためにハンデスが刺さるのも問題です。モンスター、装備カード、この双方が揃っていなければ力を十全に発揮できず、片方を捨てさせられて何もできずに負けてしまうケースも少なくありませんでした。

 また、【装備ビート】というアーキタイプそのものが抱える問題点として、一度崩れてからの立て直しが難しいというものもあります。

 モンスターを除去された場合、モンスターだけでなく装備されていた装備魔法カードの分のディスアドバンテージも同時に負ってしまうため、通常のデッキ以上に除去を警戒しなければなりません。

 しかし、前述したように基本的に装備モンスターには除去耐性が無く、言い方は悪いものの「除去の的」にされてしまう場合がほとんどです。全体的に大振りなデッキであることは否めず、実際の環境で結果を残すことはありませんでした。

 とはいえ、手軽に組めるデッキの中では高い地力を持っていたのも事実です。

 「Magic Ruler -魔法の支配者-」だけで大半のパーツが揃うことから、特に第2期に参入した新規プレイヤーにとっては組みやすく、比較的少ない出費で組める安価デッキとして親しまれていました。

 また、この時期はアニメの影響で新規参入そのものが増えており、それら二つが噛み合ってか、このデッキとの遭遇率は相当高かったと記憶しています。

 もちろん、既存のプレイヤーにとっても揃えやすい……を通り越して自然と組めてしまうようなデッキだったため、【マハー・ヴァイロ】使いにはあえてミラーマッチを引き受けるなど、コミュニケーションツールとしての用途も持ち合わせていました。

 個人的にも、沢山の思い出が詰まっている本当に良いデッキです。

 

【まとめ】

 前中後と3編に分けてしまいましたが、2000年4月20日当時に起きた出来事については以上となります。

 「ハンデス三種の神器」を始めとして、禁止級の凶悪カードが一度に誕生したことで、当時の環境には大きな混乱が起こりました。

 しかし、悪いことばかりではなく、「マハー・ヴァイロ」らによる【装備ビート】の復権や、それに伴って新規参入のハードルが下がるなど、遊戯王OCGにとって良い変化も訪れていました。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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