八汰烏の骸とヂェミナイデビル 1年後2年後のメタカード
【前書き】
【第3期の歴史37 マシュマロンとシールドクラッシュの関係 露骨に盾が強い矛盾】の続きとなります。特に、この記事では前後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。
八汰烏の骸 【変異カオス】時代のドローソース
「マシュマロン」という出世頭を輩出した「PREMIUM PACK 6」ではありましたが、当パック収録の優良カードはそうした汎用カードだけではありません。
罠系ドローカードの基本形、「八汰烏の骸」の参戦です。
次の効果から1つを選択して発動する。
●自分のデッキからカードを1枚ドローする。
●相手フィールド上にスピリットモンスターが表側表示で存在する時に発動する事ができる。自分のデッキからカードを2枚ドローする。
デッキから1枚カードを引くというシンプルなドロー効果に加え、条件次第でドロー枚数が2枚に増える効果を与えられています。基本的には「強欲な瓶」と同等の性能ですが、相手がスピリットモンスターをコントロールしている場合は疑似「強欲な壺」に化けるため、事実上の上位互換カードと考えて差し支えないでしょう。
とはいえ、そのスピリットモンスター自体が全般的に扱いにくい性能であることは否めず、それほど遭遇率が高いとは言えないのも事実です。この時期は丁度「八汰烏」も禁止カードに放り込まれていた都合上、後半の2枚ドロー効果を使用する機会はほぼ皆無だったと結論付けないわけにはいきません。
そのため、多くの場合は単純に4枚目以降の「強欲な瓶」としての仕事を割り振られることとなり、「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」の現役時代は疑似「成金ゴブリン」として悪用されていた過去を持っています。どちらかと言うとコンボパーツよりの扱いであり、華々しい活躍とは無縁の状況だったと言えるでしょう。
しかし、そんな「八汰烏の骸」にも、環境の中心人物の一人として頭角を現していた時代があったことには触れておかなければなりません。
それは2005年3月~9月の【変異カオス】全盛期、ひいては「月読命」全盛期のことでした。
【変異カオス】全盛期は「月読命」との遭遇率が極めて高くなっており、後半の2枚ドロー効果を使用する機会に非常に恵まれていました。直接的な効力はないためメタカードとしては丸い性能ですが、とにかく腐りにくく、メインから採用してもそれほど邪魔になりません。
デッキを掘り進めて回答を引く助けとなることで間接的に勝利に貢献するほか、単純にアドバンテージが取れる面で非常に強いメタカードです。それこそ一時期は3枚積める「強欲な壺」のような感覚で使われていた……というのは流石に誇張表現ですが、それに迫る扱いを受けていた時期もありました。
とはいえ、時間経過で構築の最適化が進むにつれて採用率は落ちていき、最終的にはサイドデッキにもほとんど積まれなくなってしまう結末を迎えています。「丸い」というのは「十分な効力が得られない」ことの裏返しでもある以上、完成形のリストに載るのは難しいということでしょう。
ヂェミナイ・デビル 隠れすぎたメタカード
同じくかつて注目を集めたメタカードとして、「ヂェミナイ・デビル」というモンスターもこの時に誕生しています。
自分の手札を捨てさせる効果を含むカードを相手が発動した時、このカードを手札から墓地に送る事でその発動と効果を無効にし、そのカードを破壊した後自分のデッキからカードを1枚ドローする。
ハンデス効果を含むカードをカウンターする手札誘発モンスターであり、さらに1ドローのおまけまでついている優秀なカードです。魔法罠はもちろんモンスターに対しても0:1交換が成立するため、発動さえできれば非常に大きなリターンが期待できるでしょう。
ただし、メタカードであることを考慮しても非常にピンポイントな効果であり、汎用性に関しては落第点を付けざるを得ません。包み隠さずに申し上げるのであれば、普通はメインデッキはおろかサイドデッキにすら積むことを躊躇う性能です。
苦しい評価のまま時代の流れに飲まれていた「ヂェミナイ・デビル」でしたが、【ダークカオス】や【ダークゴーズ】などの【暗黒界】系デッキが台頭し始める2006年~2007年頃の時期になると徐々に再評価が成されていくことになります。
しかし、そもそも第5期頃の【暗黒界】系デッキは【暗黒界】というよりも【グッドスタッフ】の一種だったため、やはりメタカードとしてはあまり有効ではありませんでした。
「ヂェミナイ・デビル」がまともに使われるようになるのは【暗黒界】が【暗黒界】らしくなる第7期中頃、具体的には2011年下半期頃の話です。ディスカードを起点に動く【暗黒界】相手で撃ちどころに困るケースは基本的になく、サイドデッキの常連メンバーとして知名度を上げていっています。
もっとも、ミラーマッチ対策の一環でディスカード特化型の【暗黒界】は衰退していってしまうため、その時期ですら思うように活躍できていなかったことは否めません。
結論としましては、「隠れたメタカード」というより「本当に隠れていたメタカード」という印象は拭えず、一瞬浮上したものの程なく消えていったカードだったのかもしれません。
【当時の環境 2004年3月中旬】
【第3期の歴史37 マシュマロンとシールドクラッシュの関係 露骨に盾が強い矛盾】以降の前後編の記事内容を総括した項目となっています。ご注意ください。
「マシュマロン」という強力な壁モンスターが誕生し、ビートダウン、コントロール問わず有望な採用候補として取り上げられました。
バーン効果も備えているためビートダウン系デッキであっても無理なく取り込みやすく、同じく戦闘破壊耐性を持つ「魂を削る死霊」の相互互換カードとしての立ち位置を見出していった形です。属性面のシナジーから【カオス】で採用候補に挙がるケースもあり、参戦早々環境に顔を出していっています。
プレイング面で及ぼした影響も決して少なくありません。これ以降の環境では「マシュマロン」との遭遇率が急上昇していったため、低ライフ状態でセットモンスターに手を出すことには高いリスクが伴うようになりました。
一方、「シールドクラッシュ」の方は当初はそれほど目立っておらず、まずまずの評価を付けられていた印象です。この時期は「ブラック・ホール」を始めとした強力な除去カードがまだ生き残っており、あえてこのカードに頼る必要性は薄かったという都合がありました。
他方では、「八汰烏の骸」や「ヂェミナイ・デビル」などの癖のあるカードも現れています。
程度の差はあれ、どちらも環境の変化に応じて再評価が成されるカードであり、当初は真価を発揮できない状況に置かれていました。「八汰烏の骸」の方は4枚目以降の「強欲な瓶」としてコンボデッキで悪用されていたため、ある意味では真価を発揮していたとも取れますが、やはり全盛期が訪れるのは未来の話だったと言えるのではないでしょうか。
【まとめ】
前記事と合わせて、「PREMIUM PACK 6」販売によって起こった出来事は以上です。
僅か6種類という収録枚数に反して内容は非常に濃いものであり、「マシュマロン」を筆頭にいずれも実戦クラスのカードパワーを備えていました。現在では一線から退いているカードばかりですが、今でもその活躍が記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
補足となりますが、上記の「八汰烏の骸」と「ヂェミナイ・デビル」の2枚は当時の禁止カードをモチーフとしていたという特徴もあります。それぞれ「八汰烏」と「いたずら好きな双子悪魔」に絡んだデザインとなっており、当時のプレイヤーの間で大いに話題を呼んでいました。
ここまで目を通していただき、ありがとうございます。
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