制限改訂2013年3月 発条空母ゼンマイティ禁止行き、しかし……

2019年11月12日

【前書き】

 【第8期の歴史16 「魔導書の神判」降臨 頭のおかしいぶっ壊れカード】の続きになります。ご注意ください。

 レギュラーパック「LORD OF THE TACHYON GALAXY」から【征竜】と「魔導書の神判」が姿を現し、その常軌を逸したカードパワーによって当時の現役プレイヤーを混乱の渦へと叩き落としました。半年後の改訂を含め、最終的に5枚もの禁止カードを輩出した曰く付きのパックであり、遊戯王史上でも屈指の極悪タイトルに数えられることは疑いようもありません。

 世に言う【征竜魔導】環境成立の気配が早くも立ち込める中、そうした不穏な空気から目を逸らすようにひっそりと制限改訂が入ることになります。

 

制限改訂 2013年3月1日

 2013年3月1日、遊戯王OCGにおいて33回目となる制限改訂が行われました。

 禁止カードに指定されたカードは以下の58枚です。

クリッター(エラッタ前) 制限
発条空母ゼンマイティ 制限
イレカエル
ヴィクトリー・ドラゴン
混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前)
キラー・スネーク(エラッタ前)
グローアップ・バルブ
黒き森のウィッチ(エラッタ前)
ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前)
混沌の黒魔術師(エラッタ前)
サイバーポッド
サウザンド・アイズ・サクリファイス
処刑人-マキュラ
聖なる魔術師
ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)
D-HERO ディスクガイ(エラッタ前)
デビル・フランケン
同族感染ウィルス
氷結界の龍 トリシューラ
氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前)
ファイバーポッド
フィッシュボーグ-ガンナー
魔導サイエンティスト
メンタルマスター
八汰烏
レスキューキャット(エラッタ前)
悪夢の蜃気楼
いたずら好きな双子悪魔
王家の神殿(エラッタ前)
押収
苦渋の選択
強引な番兵
強奪
強欲な壺
心変わり
サンダー・ボルト
次元融合
生還の宝札
洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前)
大寒波
蝶の短剣-エルマ
天使の施し
ハーピィの羽根帚
早すぎた埋葬
ハリケーン
マスドライバー
未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)
突然変異
遺言状
王宮の弾圧
王宮の勅命(エラッタ前)
現世と冥界の逆転(エラッタ前)
死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)
第六感
ダスト・シュート
刻の封印
破壊輪(エラッタ前)
ラストバトル!

 

 制限カードに指定されたカードは以下の59枚です。

ゼンマイマジシャン 無制限
一時休戦 無制限
神の警告
イビリチュア・ガストクラーケ
甲虫装機 ダンセル
甲虫装機 ホーネット
E・HERO エアーマン
オネスト
カオス・ソーサラー
カオス・ソルジャー -開闢の使者-
剣闘獣ベストロウリィ
真六武衆-シエン
ゾンビキャリア
ダーク・アームド・ドラゴン
ダンディライオン
TG ストライカー
TG ハイパー・ライブラリアン
深淵の暗殺者
N・グラン・モール
ネクロフェイス
封印されしエクゾディア
封印されし者の左足
封印されし者の左腕
封印されし者の右足
封印されし者の右腕
フォーミュラ・シンクロン
BF-疾風のゲイル
冥府の使者ゴーズ
馬頭鬼
メタモルポット
レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン
ローンファイア・ブロッサム
異次元からの埋葬
インフェルニティガン
大嵐
おろかな埋葬
黒い旋風
原初の種
死者蘇生
スケープ・ゴート
精神操作
増援
月の書
手札抹殺
貪欲な壺
光の援軍
ブラック・ホール
モンスターゲート
闇の誘惑
リミッター解除
六武の門
ワン・フォー・ワン
異次元からの帰還
神の宣告
血の代償
停戦協定
転生の予言
光の護封壁
マジカル・エクスプロージョン

 

 準制限カードに指定されたカードは以下の26枚です。

月読命 制限
ライオウ 無制限
高等儀式術 制限
カードガンナー
召喚僧サモンプリースト
神秘の代行者 アース
大天使クリスティア
D-HERO ディアボリックガイ
デブリ・ドラゴン
トラゴエディア
氷結界の虎王ドゥローレン
魔界発現世行きデスガイド
輪廻天狗
レスキューラビット
E-エマージェンシーコール
王家の生け贄
強欲で謙虚な壺
召集の聖刻印
連鎖爆撃
ヒーローアライブ
魔法石の採掘
名推理
おジャマトリオ
激流葬
聖なるバリア -ミラーフォース-
奈落の落とし穴

 

 無制限カードに緩和されたカードは以下の5枚です。

スポーア 制限
BF-月影のカルート
ライトロード・サモナー ルミナス
紫炎の狼煙
マインドクラッシュ

 

 以上が当時コナミから下された裁断となります。変動13枚、うち規制強化が6枚、規制緩和が7枚となっており、カードの移動枚数が通常の半分以下という非常に小規模な改訂です。

 また、デッキ単位で大きなダメージを受けたのも【ゼンマイ】が唯一だったため、実質的には半分様子見に近い改訂だったのではないでしょうか。

 

【ゼンマイ】への規制

 2012年下半期環境のトップデッキであった【ゼンマイ】に対して厳しい規制が入っています。

 前身にあたる【ゼンマイハンデス】の解体後は息を潜めていたカテゴリですが、その直後に来日した「ゼンマイシャーク」を土台に主流デッキとして返り咲き、それ以降は常にメタゲームの中心にあり続けていました。第8期当時としては異次元とも言える展開力・制圧力によって環境を席巻したテーマであり、しばしばゲーム性を無視した一方的な展開を発生させていたため、いわゆる改訂予想などでは規制がほぼ確実視されていたことは間違いありません。

 しかし、それを踏まえても非常に念入りな、悪く言えば過剰な規制が入ったことは否めず、当時の開発側が【ゼンマイ】をかなり強く危険視していたことが窺えます。最大のキーカードである「発条空母ゼンマイティ」の禁止カード化だけでも既に致死級のダメージですが、その上で「ゼンマイマジシャン」までもが制限行きとなっており、もはや何か恨みでもあるのかと言いたくなるほど徹底的な規制です。

 とはいえ、単純に「ゼンマイマジシャン」で2枚目の「ゼンマイマジシャン」を持ってくる動きがそもそもおかしかったことも事実ではあり、念のためこのコンボを潰しておくというのは不自然な話ではありません。結果的に【ゼンマイ】使用者にとっては非常に苦しい展開となってしまいましたが、総じて妥当なポイントを押さえた決定だったのではないでしょうか。

 いずれにしても、当改訂によって【ゼンマイ】が壊滅的な被害を被ったことは間違いなく、環境デッキとしては事実上の現役引退を迎えることになりました。

 

「クリッター」への規制

 「クリッター(エラッタ前)」が禁止カード指定を下されています。

 第1期という古の時代に現れて以来、8世代に渡って遊戯王のサーチャーの顔を務めていたカードですが、第8期中期のこの瞬間をもって遂に生涯を終えています。純粋なカードパワーもさることながら、何より「魔界発現世行きデスガイド」との絶大なシナジーを形成していたことが大きく、恐らくは今後の影響も見据えての決定だったと言えるでしょう。

 これにより、【暗黒界】を筆頭とする特に相性の良いデッキはもちろん、【甲虫装機】などの「ガイドクリッター」ギミックの力を借りていた各デッキが一斉に弱体化するなど、非常に広い範囲に渡って影響が波及した改訂でした。

 

「一時休戦」への規制

 「一時休戦」が制限カードに指定されています。

 これまではトーナメントレベルではあまり注目されていなかったカードですが、かの【神判魔導】において一躍時の人となった背景があり、ここに来て突然の規制が入った格好です。

 とはいえ、改訂の情報そのものは「LORD OF THE TACHYON GALAXY」の販売とほぼ同時に判明しており、開発内部ではそれ以前から「一時休戦」の制限入りが決まっていた可能性もあるため、実際のところ本当の規制理由は明らかになっていません。一応、いわゆるプロキシ回しによって【神判魔導】と「一時休戦」のシナジーは2月上旬の時点から騒がれていましたが、それが直接の規制理由になるかというと首を傾げる部分もあります。

 しかし、海外環境では【リチュアデッキデス】のコンボパーツとして使われていたという事情もあるため、恐らくはその兼ね合いだったというのが比較的有力な規制理由です。

 

メタ系カードへの規制

 「神の警告」が制限カードに、「ライオウ」が準制限カードに、それぞれ規制強化されています。

 「神の警告」は参入以来、カウンター罠の代表格として年単位で使われ続けていたパワーカードであり、トーナメントシーンにおいてはデッキを選ばない妨害札として高い採用率をキープしていました。メタゲームによっては事実上の必須枠にまで登り詰めることも多く、結果として遂に制限カード入りを宣告された形です。

 一方、「ライオウ」の方は特に環境を荒らしていたわけでもなく、はっきりとした意図の見えない不透明な規制だったと言わざるを得ません。

 過去には【メタビート】の必須カードとして大々的に存在感を示していた時代もありましたが、それから数年が経過する第8期ともなれば流石にそういう環境ではなくなっており、なぜこのタイミングになって唐突に規制が入ったのかは不明です。もちろん、当時においても「ライオウ」が高評価を受けていたことは確かですが、やはりあえて規制すべきかというと首を傾げるところもあり、規制自体にかなりの不自然さが残ります。

 そのため、恐らくは上記の「一時休戦」と同様、海外環境との兼ね合い(※)による規制だったと考えるのが自然なのではないでしょうか。

(※実際、国内と海外のレギュレーション分岐後は海外のみ「ライオウ」が制限カードに規制強化されています)

 

【儀式召喚】の緩和

 「高等儀式術」が準制限カードに規制緩和されています。

 かつて【デミスドーザー】のキーカードとして悪用された結果、長らく制限カード指定を受け続けていたカードですが、時代の変化による相対的なカードパワーの弱体化、及び【儀式召喚】全体の衰退を受けてようやく釈放の日を迎えています。

 もっとも、「高等儀式術」だけで【儀式召喚】全体が復権するかというと難しい部分もあり、環境レベルでの影響はごく小さなものにとどまっていたと言えるでしょう。

 

過去のパワーカードの緩和

 「ライトロード・サモナー ルミナス」や「BF-月影のカルート」など、過去の環境で猛威を振るったパワーカードが一斉に規制緩和されています。

 とはいえ、流石にかつてほどのパワーは相対的に発揮できなくなっており、【ライトロード】や【旋風BF】がトーナメントレベルで復権を果たすことはありませんでした。

 一方、【六武衆】については紫炎の狼煙」の制限解除により「ナチュル・ビースト」を立てやすくなったこと、また「大将軍 紫炎」が「魔導書の神判」に刺さるなどの理由からメタデッキの一角として浮上していた時期もあります。しかし、これも大々的に広まったわけではないため、やはりトーナメントレベルでは縁の薄い話だったと言えるでしょう。

 そんな中、当初は然程意識されていなかった「月読命」が【征竜魔導】環境における有力なサイドカードとして大抜擢を受けるなど、上記の規制緩和に関連する興味深い環境推移も起こっています。

 

【後編に続く】

 このように、全体の動きは少ないながらも決して無視できない影響を随所にもたらした2013年3月改訂でしたが、実際には当改訂による直接の影響はごく些細なものにとどまっていたことは否めません。

 理由は至ってシンプルで、単純に制限改訂どころの話ではない事態がこの時期に前後して起こっていたからです。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。