魔界発現世行きデスガイド参戦 最初から準制限カードで来日

2019年10月29日

【前書き】

 【第8期の歴史6 【海皇水精鱗】環境トップへ 【代償マシンガジェ】との一騎打ち】の続きになります。ご注意ください。

 制限改訂による環境のリセットによって【甲虫装機】を筆頭とする既存勢力が衰退し、代わりに【海皇水精鱗】と【代償マシンガジェ】の2大巨頭が環境トップに躍り出ました。半年間のワンキル地獄とは真逆の中速環境の到来であり、これ以降は従来通りのボード・アドバンテージ重視のゲームが繰り広げられていくことになります。

 新環境の幕開けを受けてメタが複雑に推移する中、その1ヶ月後に現れた海外からの刺客によって再び環境が激変を迎えることになります。

 

魔界のツアーガイド 見た目と中身が反比例したカード

 2012年10月13日、「EXTRA PACK 2012」が販売されました。新たに39種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは5565種類に増加しています。

 海外出身カードの例に漏れずパワーカード揃いのラインナップに仕上がっており、海外のトーナメントシーンで実績を残した強力なカードが多数収録されていたパックです。既に規制済みという異例のポジションで来日した「輪廻天狗」を筆頭に、【ラギア】系の新たなエースモンスター「エヴォルカイザー・ドルカ」や、カードパワーは控えめながらも「名前の強さ」によって【六武衆】を支えた「六武衆の影-紫炎」、レベル4という「孵化」に対応するステータスによって評価された「甲虫装機 ホッパー」など、非常に豪華な面々が揃い踏みしています。

 変わったところでは、墓地メタカードでありながら実質的な【暗黒界】サポートでもある「暗黒の瘴気」や、【メタビート】系列のデッキで注目を受けた「オレイカルコスの結界」、さらには【チェーンビート】のキーカードとして一時期名を馳せた「ゼンマイラビット」など、ややトリッキーな有望株も見逃せません。総じて当時のメタゲームを大きく動かしたカードプール更新であり、海外の1年間を1パック分に凝縮したかのような環境推移が起こっています。

 しかし、こうした激動の中でも最も大きな存在感を示していたのは、恐らく「魔界発現世行きデスガイド」をおいて他になかったのではないでしょうか。

このカードが召喚に成功した時、手札・デッキからレベル3の悪魔族モンスター1体を特殊召喚できる。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、シンクロ素材にもできない。

 もはや説明不要とすら言えるほどに有名な【悪魔族】サポートであり、遊戯王OCGでも屈指の汎用性を誇るリクルーターの筆頭です。「レベル3の悪魔族」という狭いようで広範囲に対応するリクルート効果を持っており、特にランク3エクシーズの補助としては極めて高い適性を備えています。

 実際、海外環境では【兎ラギア】のキーカードとして猛威を振るった過去を持ち、その結果2012年9月の改訂で準制限カードに規制されるという経緯を辿っています。つまり、これも「輪廻天狗」と同じく既に規制された状態で来日を果たしたということであり、さながら第2期の「魔法の筒」を思わせる異例のポジションに置かれていたカードです。

 とはいえ、「魔界発現世行きデスガイド」は「輪廻天狗」と違い準制限カードであっても問題なく機能するタイプのカードであったため、来日直後から様々な形で活用方法が模索されていました。純粋にリクルーターとしても優秀であることに加え、そもそも「魔界発現世行きデスガイド」自身が「魔界発現世行きデスガイド」のリクルートに対応しているという取り回しの良さもあり、とりあえずランク3エクシーズを1枚で立てる汎用カード(※)とだけ考えても2012年当時としては十二分に強力だったからです。

(※通常召喚できる「発条機雷ゼンマイン」と考えればその強さが分かります)

 当時のVジャンプにも「凶悪な効果を持つキュートなバスガイド」との触れ込みがあったほどであり、見た目の割に中身が凶悪すぎるカードとして恐れられていくことになります。

 

クリッターと運命の赤い糸で結ばれた関係

 こうした空前のデスガイドブームの中、この最高のパートナーとして浮上したのが「クリッター(エラッタ前)」です。

 1999年代に「クリッター(Vol.6)」として【エクゾディア】で猛威を振るい、結果として第1期中にエラッタを食らった過去を持つカードですが、弱体化後もOCG最強格のサーチャー(※)として多くの実績を残していました。というより、直前の環境においても【甲虫装機】などを中心に採用実績を残していたほどであり、文字通り生涯現役を貫く勢いで名を馳せていたモンスターです。

(※一時期は禁止カードに指定されていたこともあります)

 そうしたタイミングに現れた「魔界発現世行きデスガイド」の存在は「クリッター(エラッタ前)」にとっては非常に革命的で、これ以降はサーチャーとしての実用性に更なる磨きがかかることになりました。単純にアクセス手段が2枚分増加したというだけでも十分に破格であり、実に11年ぶりに「クリッター(エラッタ前)」3枚体制が復活した格好です。

 とはいえ、上記のようにランク3エクシーズの素材にした場合はサーチ効果を使用できない(※)ため、単にランク3要員として使う場合は特別なシナジーはありません。どちらかというと生身のまま使い切りのダメージソース兼サーチャーとして使うケースが多く、ピンチの時はランク3要員にもなるという運用方法が主流だったのではないでしょうか。

(※海外では2011年9月頃まではサーチ効果を発動できるルールだったため、これを絡めた【ガイド兎】と呼ばれるデッキが環境を支配していました)

 一方で、蘇生やサルベージで使い回すことを考えるなら話は別であり、その場合はランク3を作りつつ「クリッター(エラッタ前)」を墓地に落とすギミックにもなり得ます。事実上は「終末の騎士」の上位互換に近い働きと言っても過言ではなく、当時の環境ではこのためだけに「魔界発現世行きデスガイド」が使われることすらあったほどです。

 これがいわゆる「ガイドクリッター」出張ギミックの概念であり、基本の3枠出張から「リビングデッドの呼び声」などの蘇生カードを加えた5~6枠出張、あるいは追加で「魔界発現世行きバス」などをタッチしたものまで、様々な形で疑似汎用パッケージとして声がかかることになりました。下記で取り上げる【暗黒界】を筆頭に、【ゼンマイ】や【甲虫装機】などの特定のカードに依存したデッキや、変わったところでは【チェーンビート】などの各種【メタビート】系列デッキにおいてすら採用実績を残しています。

 また、出張ギミックの域を超えて「ガイドクリッター」そのものをメインコンセプトに据えたデッキも開発が進んでおり、代表的なところでは海外環境で猛威を振るった【ガイド兎】などがこれに当たります。序盤は「レスキューラビット」をサーチするギミックとして、中盤以降は「レスキューラビット」の帰還要員である「虚空海竜リヴァイエール」を1枚で作り出すギミックとして活躍するなど、まさに抜群のシナジー(※)を形成していました。

(※これにより、「レスキューラビット」の規制で衰退した【兎ラギア】が復権を果たすといった流れも起こっています)

 ちなみに、こうした「ガイドクリッター」出張ギミックの大流行の結果、次回改訂の2013年3月には「クリッター(エラッタ前)」が禁止カード指定を下されるという結末を迎えています。その後はエラッタによって現在のデザインに修正されるまで一度も現役復帰を遂げておらず(※)、「条件の緩すぎるサーチ効果+それを簡単にリクルートできるカード」の組み合わせがいかに凶悪であったかが窺える話です。

(※ただし、主にカードイラストで散々な目に遭わされるなど、開発側からもネタ的に愛されているカードではありました)

 

【暗黒界】大幅強化 再び環境上位へ

 このように、10月以降の環境では「ガイドクリッター」出張セットが大々的に広まることになりましたが、先に述べた通りこれを最も有効に使いこなしていたのが【暗黒界】系列のデッキです。

 元々この時期は「スキルドレイン」や「魔のデッキ破壊ウイルス」を標準搭載できることから【海皇水精鱗】や【代償マシンガジェ】のメタデッキとして注目されていたアーキタイプですが、「魔界発現世行きデスガイド」を得たことでデッキパワーそのものが大幅に強化されたため、一気に有力デッキとして脚光を浴びるに至っています。

 単純に「暗黒界の門」のための悪魔族カウントを稼ぎつつ「暗黒界の狩人 ブラウ」を呼び出せるというだけでもシナジーを形成していますが、何より強力だったのが「虚空海竜リヴァイエール」を絡めた場合の動きです。

 一例として、「魔界発現世行きデスガイド」を起点として下記のような展開を行うことができます。

・フィールドに「暗黒界の門
・手札に「魔界発現世行きデスガイド」+適当な【暗黒界】モンスター(※)
・墓地に「暗黒界の龍神 グラファ」+適当な【暗黒界】モンスター(※)
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 が存在する場合。(※ここでは上から順に「暗黒界の狩人 ブラウ」「暗黒界の術師 スノウ」とする)

 

①:「魔界発現世行きデスガイド」を召喚し、リクルート効果から「虚空海竜リヴァイエール」をエクシーズ召喚する。

 

②:「暗黒界の門」により、墓地の「暗黒界の術師 スノウ」を除外し、手札の「暗黒界の狩人 ブラウ」を捨てて1ドローする。

 

③:手札から捨てられた「暗黒界の狩人 ブラウ」の効果で1ドローする。

 

④:「虚空海竜リヴァイエール」の効果で「暗黒界の術師 スノウ」を帰還させる。

 

⑤:「暗黒界の術師 スノウ」を手札に戻して「暗黒界の龍神 グラファ」を蘇生する。

 

 合計で3枚分のカード・アドバンテージを得られる非常に強力な展開であり、なおかつ次ターン以降のリソースも確保済みという盤石の体制が整います。さながら【甲虫装機】のダンセル展開を彷彿とさせる動きであり、当時のゲームバランスではこれが決まった瞬間にデュエルの流れがほぼ固まっていたと言っても過言ではありません。

 もちろん、「魔界発現世行きデスガイド」単体でもランク3エクシーズに変身できるため、上記のようなコンボが行えない場合でも積極的に使っていけます。むしろ「マクロコスモス」などのメタカードに対する返し札(※)として手札に温存しておくだけでも強く、とにかくどう使っても損にならないパワーカードと言われていました。

(※「発条機雷ゼンマイン」からの自爆特攻などが代表的な突破手段でした)

 いずれにしても、「魔界発現世行きデスガイド」の存在が当時の【暗黒界】躍進の起爆剤となったことは間違いなく、猛者揃いの海外勢の中でも最強クラスのカードパワーを持っていたのではないでしょうか。

 

【中編に続く】

 「魔界発現世行きデスガイド」についての話は以上です。

 その強すぎるリクルート効果が災いして最初から規制済みで来日したカードですが、その状態ですら当時のトーナメントシーンで数多くの実績を残すなど、凄まじいポテンシャルを秘めていた「露骨に強すぎるパワーカード」です。同環境に「クリッター(エラッタ前)」という最高のパートナーがいたことも躍進の後押しとなり、やがては「ガイドクリッター」出張ギミックとして環境を席巻することになりました。

 ちなみに、「魔界発現世行きデスガイド」の活躍は第8期当時に限らず、将来的には第9期環境の【彼岸】などでも採用実績を残しています。その結果、現在では制限カードに指定されたままの状態が続いており、なおかつカードプールの拡大に伴って相対的に強化されていくことが決まっている以上、今後もしばらくはその位置にとどまり続けるであろう存在です。

 ともあれ、「魔界発現世行きデスガイド」の存在は当時のOCG環境に対して絶大な影響をもたらしましたが、「EXTRA PACK 2012」から現れた大型ルーキーは当然このカードだけではありません。

 中編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。