怒れる類人猿の誕生 【ノーカオス】のエースアタッカー

2018年3月21日

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【前書き】

 【第3期の歴史20 【カオス】の降臨 遊戯王の終わりの始まり】の続きになります。特に、この記事では前中後編の中編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

【腕力の怪物達】

 【カオス】という怪物の影に隠れてしまってはいましたが、「混沌を制す者」に収録されていたパワーカードはこれだけではありませんでした。その扱いやすい性能から【ノーカオス】を中心にビートダウン系デッキのエースアタッカーとなり、長い間環境の最前線で活躍を見せたモンスターも存在します。

バーサークゴリラ アタッカーラインの革命

 それは「怒れる類人猿」という下級モンスターでした。

このカードが表側守備表示でフィールド上に存在する場合、このカードを破壊する。このカードのコントローラーは、このカードが攻撃可能な状態であれば必ず攻撃しなければならない。

 毎ターン自身の攻撃を強制されるという制約に加え、守備表示の場合は即座に自壊してしまうという2つのデメリット効果を付与されています。しかし、その見返りとして攻撃力が2000に設定されており、標準アタッカーを上回る攻撃性能が期待できるモンスターです。

 要するに「ダーク・エルフ」に連なるデメリットアタッカーの1体ですが、この「怒れる類人猿」は従来のデメリットアタッカーと比べて明らかにデメリットが軽すぎました。どちらのデメリットも直接アドバンテージを失う効果ではないどころか、アタッカーとして運用する場合はほとんど障害にすらならないからです。

 基本的に、アタッカーは毎ターン攻撃することを前提にデッキに採用されるモンスターであり、よほど不利な状況でもなければ守備表示にされるケースはありません。そして原則としてそれは苦し紛れの時間稼ぎに過ぎず、大抵意味を成さないことは多くのプレイヤーが経験として知るところでしょう。

 つまり「怒れる類人猿」のデメリットは潜在的には全てのアタッカーが抱える共通の弱みでしかなく、このカード固有の欠点とは言えない部分もあります。流石に完全に無視して考えることはできませんが、これまでのデメリットアタッカーと比べて遥かに小さなリスクであることは明白です。

 唯一の欠点らしい欠点として、相手の場に高打点モンスターのみが存在する場合は自爆特攻を強要されてしまうというものがありますが、それまでにモンスターを戦闘破壊できていれば十分な仕事をこなしたと考えることもできます。最悪の場合でも、裏側守備表示でセットする、あるいはメインフェイズ2に召喚することで一度限りの壁にはなるでしょう。

 総評としましては、事実上のバニラアタッカーラインの更新であり、まさに下級アタッカーの打点に革命を起こしたと言えるモンスターです。同じくアタッカーラインを塗り替えた「ブレイドナイト」という先達も居ますが、こちらは絶対的に打点が安定しており、信頼性という意味ではその比ではありません。

 言うなれば「怒れる類人猿」はリバースモンスターメタ効果を切り捨ててアタッカー性能に特化した「ブレイドナイト」そのものであり、その有用性についてはもはや語るまでもないでしょう。

 ただし、属性面で【カオス】とはシナジーがなかったため、【カオス】においては「ブレイドナイト」が優先されるケースが大半でした。そもそもアタッカーは「カオス・ソルジャー -開闢の使者-」「混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前)」の2枚看板だけで十分という考え方もあり、あえて「怒れる類人猿」に頼る必要がなかったという都合もあります。

 実際、【ノーカオス】が勢力を拡大し始めるのも【カオス】に厳しい規制が入った後の話であり、やはりそれらとカードパワーに大差がついてしまっていたことは明らかだったのかもしれません。

理論上最大攻撃力300000 カオス・ネクロマンサー

 上記の「怒れる類人猿」とは異なり、通常のビートダウンデッキで使われていたわけではありませんが、「カオス・ネクロマンサー」という規格外の攻撃力を与えられた下級モンスターも誕生しています。

このカードの攻撃力は、自分の墓地に存在するモンスターカードの数×300ポイントの数値になる。

 墓地のモンスターの数に応じて自己強化を行う効果を持っています。【カオス】らとは別の形で墓地リソースを活かすモンスターであり、状況次第では爆発的な攻撃力が望める面白いモンスターです。

 一方で、素の打点はゼロと全くの戦力外となっており、単独では運用が難しいという弱点を抱えています。このカードの強みを活かすのであれば最低7体程度のモンスターは欲しいところですが、そこまで墓地を肥やすのはそう簡単なことではありません。

 とりわけ当時は【カオス】の参戦によって墓地リソースの概念が立ち上がっており、それらとアンチシナジーであるこのカードに目が行くことはほとんどありませんでした。

 規制によって【カオス】が落ち着きを見せる時期になってくると評価が盛り返していっていますが、それでもやはり普通のデッキで使われるタイプのカードではないことは事実です。採用候補に挙がるのは【雑貨貪欲ターボ】などの墓地肥やし戦術をメインに据えるデッキに限られており、環境で大きな存在感を示していたとは言えないモンスターでしょう。

 ちなみに、現行ルールにおけるこのカードの理論上最大攻撃力は22500(デッキ・EXデッキからモンスター75体を墓地へ送り、相手から「カオス・ネクロマンサー」のコントロールを渡してもらう)ですが、当時はデッキ枚数に制限がなかったため、理屈の上では天井知らずに攻撃力を上げていくことができました。

 一応、カードプール的な限界があるため本当の無限ではないものの、恐らく第3期当時における理論上最大攻撃力は300000前後だったのではないでしょうか。

 正確に枚数を数える気力は流石にありませんが……。

グレン魔獣ダイザー

 また、「カオス・ネクロマンサー」の親戚カードとして、「紅蓮魔獣 ダ・イーザ」というモンスターも現れています。

このカードの攻撃力と守備力は、ゲームから除外されている自分のカードの数×400ポイントになる。

 こちらは除外ゾーンのカードの枚数に応じて自己強化が入ります。ただし、モンスターだけでなく魔法・罠カードもカウントされ、カードの裏表も問われません。また攻守の両方が強化されるほか、倍率も400と若干高めなのが魅力です。

 反面、本来自然には増えていかない除外ゾーンを肥やさなければならないため、カオス・ネクロマンサー」以上に単独での運用が難しいモンスターであることは否定できません。とりわけこの時期は除外ゾーンを効率的に肥やす手段も乏しく、専用デッキを用意することすら難しい状況となっていました。

 ちなみに、カードプールが広がった現在では「百万喰らいのグラットン」や「強欲で貪欲な壺」などとの組み合わせが有名です。流石に環境で活躍できるほどのポテンシャルはありませんが、ファンデッキとしては十分な強さを備えているのではないでしょうか。

 

【後編に続く】

 「怒れる類人猿」を筆頭に、「混沌を制す者」収録の高打点下級モンスターについての話は以上です。

 「カオス・ネクロマンサー」「紅蓮魔獣 ダ・イーザ」の2枚は趣味の域ですが、「怒れる類人猿」の参戦が環境に及ぼした影響は決して無視できません。【カオス】と同時に生まれてしまったためにインパクトが薄れていますが、時間の経過によって次第に評価が盛り返していった第3期屈指の優良アタッカーです。

 しかしながら、当パック収録の優良カードはこうしたビートダウン向けのカードばかりではありません。将来的にコントロールデッキやコンボデッキで多用されることになる、優秀なカードが多数現れていたことにも触れておく必要はあるでしょう。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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