世界を制したキャノンバーン 初代アジアチャンピオンシップ優勝

2018年1月11日

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【前書き】

 【第2期の歴史11 5日で消えたデビフラ1キル セミの一生】の続きになります。ご注意ください。

 【デビフラ1キル】を中心とした一連の騒動が落ち着き、当時の環境は再び安定期を迎えていました。

 全体的に【デッキ破壊】が地位を固めている点は変わらず、その後ろを【グッドスタッフ】が追いかける状況となっています。

 このまましばらくは【デッキ破壊】優勢の時代が続いていくかに思われましたが、この時の改訂から数日後、遊戯王OCGにおいてある歴史的な出来事が起こりました。

 遊戯王OCG史上初となる、国際大会の開催です。

 

【初めての国際大会 アジアチャンピオンシップ】

 2000年8月20日、アジア圏内で最強のデュエリストを決める「アジアチャンピオンシップ」という国際大会が開催されました。この頃はアジア圏内でしか遊戯王OCGが販売されていなかったことから、この大会が事実上の世界大会となっています。

 もちろん、誰でも参加できるというわけではなく、まず予選参加権を得るための抽選を勝ち抜く必要がありました。完全に運だけで参加者が決まってしまうため、この時点では全てのプレイヤーは平等に祈ることしかできませんでした。(裏技も無いわけではなかったようですが……)

 また、試合形式も予選から本戦に至るまでトーナメント形式のみの一本道となっており、実質的には全ての参加者が超巨大なトーナメントの元に集まっていた形となります。

 ……が、当時の私はこの大会のことを噂でしか知らず、「ショップの常連の中に出た人が居るらしい」などと友人同士で囁き合っていた程度です。そのため、実際の大会の様子などにつきましては記事にするのが難しい状況となっております。ご容赦ください。

ビートダウンするバーンデッキ キャノンバーン

 さて、記念すべき最初の国際大会となった本大会ではありますが、ここでは日本は優勝を逃しています。勝利の栄光に輝いたのは香港のプレイヤーで、その使用デッキは【キャノンバーン】となっていました。

 デッキレシピは以下の通りです。

世界大会レシピ(2000年8月20日)
モンスターカード(21枚)
 キャノン・ソルジャー ×3枚
 キラー・スネーク(エラッタ前)
 クリッター(エラッタ前)
 黒き森のウィッチ(エラッタ前)
 聖なる魔術師
 闇の仮面 ×2枚
 岩石の巨兵 ×1枚
 幻影の壁
 サイバーポッド
 ムカムカ
魔法カード(21枚)
 苦渋の選択 ×3枚
 いたずら好きな双子悪魔 ×2枚
 大嵐
 強奪
 死者蘇生
 死者への手向け
 天使の施し
 強欲な壺 ×1枚
 心変わり
 サンダー・ボルト
 ハーピィの羽根帚
 光の護封剣
 ブラック・ホール
罠カード(6枚)
  ×3枚
 神の宣告 ×2枚
 死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前) ×1枚   
 聖なるバリア -ミラーフォース-
 血の代償
 マジック・ジャマー
エクストラデッキ(0枚)
  ×3枚
  ×2枚
  ×1枚

 

 モンスターカード21枚、魔法カード21枚、罠カード6枚の計48枚となります。

 【キャノンバーン】は、デッキ名の通り「キャノン・ソルジャー」の射出効果で相手を焼いていくことを目的としたビートバーンデッキです。ビートダウン、バーンの片方で倒し切るのではなく、ビートダウンで4000、バーンで4000を削るというのが一つの目安となるでしょう。

 具体的なデッキの動き方に関しましては専用ページで解説しております。ご興味をお持ちの場合、お手数ですがそちらをご覧ください。

 【キャノンバーン】(第2期)

 【グッドスタッフ】と同様、「強欲な壺」や「サンダー・ボルト」を始めとする当時の必須カードを土台とし、その上に「苦渋の選択」と「キラー・スネーク(エラッタ前)」のコンボ、そしてそのアドバンテージを効率的に捌く手段としてキャノン・ソルジャー」と「血の代償」の射出ギミックを搭載している点が特徴となっています。

 しかしながら、射出ギミックをメイン火力の一つに据えている関係上、コンボを決められなければ事実上【グッドスタッフ】の下位互換となってしまうというのは事実です。そのため型に嵌れば強力である反面、やや癖が強く、扱いが難しいデッキでもありました。

 それでも当大会の優勝者がこのデッキを選んでいた理由には、やはり当時のメタゲームが絡んでいたのではないでしょうか。

 言い換えれば、【キャノンバーン】【デッキ破壊】に対して優位に戦える可能性があったということになります。

メタゲームの勝利 友情コンボ

 【キャノンバーン】は上記の通り、ビートダウンでもありバーンでもあるというやや特殊な分類のデッキです。そのため、片方のプランを潰された場合であっても、もう片方のプランで戦っていくことができます。

 場合によっては器用貧乏となることの裏返しでもありますが、この時に限ってはそうはなりませんでした。結論を先に申し上げますと、いわゆる「友情コンボ」に近い状況となっていたからです。

 元々、【デッキ破壊】が【グッドスタッフ】に対して優位を取れていたのは、「サイバーポッド」「メタモルポット」で手札を与えても脅威にならないという理由が大きなウェイトを占めていました。

 しかし、【キャノンバーン】は「キラー・スネーク(エラッタ前)」を効率的に捌くことを目的に設計されたデッキです。つまり「サイバーポッド」「メタモルポット」で手札を押し付けた場合、むしろそれはキャノン・ソルジャー」の弾丸を供給する結果にしかなりません。

 大抵の場合、デッキを削り切る前にライフを焼き切られてしまうため、非常に苦しい戦いを強いられます。単刀直入に申し上げれば、ほとんど敵に塩を送っているようなものになってしまうのではないでしょうか。

 特に、優勝者の使用していた【キャノンバーン】は明らかに【デッキ破壊】をメインから強く意識した構築を取っており、その相性差は決定的なものとなっています。

 48枚という多めのデッキ枚数に加え、「血の代償」とはアンチシナジーである「神の宣告」を採用するなど、カード選択も対リバースモンスター向けに傾いています。ライフコストがかさむ問題についても、【デッキ破壊】がライフを詰めてくるデッキではないことから、ある程度は無視できるという判断でしょうか。

 もちろん、【グッドスタッフ】に対する受けも残しており、とりわけ「岩石の巨兵」や「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」はセンスの光る選択です。前者は「クリッター」から、後者は「苦渋の選択」からの「闇の仮面」で拾うことができるため、シルバーバレットとして効果的に機能します。

 しかしながら、当然メリットばかりのリストではなく、弱点もいくつか存在しています。

 選択肢を広く取っている一方、デッキが相応に膨らんでしまっている問題点は見過ごせません。単純にデッキ枚数が2割増加しているため、事故率も同程度に上がっていると考えるべきでしょう。

 このデッキを使いこなすには、それなりに運命力を求められるのかもしれません。

 

【まとめ】

 アジアチャンピオンシップについての話は以上となります。

 【デッキ破壊】がトップメタを取っていた環境で、それに強い【キャノンバーン】を更に対【デッキ破壊】仕様にチューンナップするという戦略が、かのプレイヤーを勝利へと導きました。

 本人の実力、そして運命力が見事に噛み合った結果です。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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