開発時と効果が違ったブラックマジシャンガール

2018年1月12日

【前書き】

 【第2期の歴史12 世界を制したキャノンバーン 初代アジアチャンピオンシップ優勝】の続きとなります。ご注意ください。

 遊戯王OCG史上初となる国際大会が開催され、世界を舞台に苛烈な頂上決戦が繰り広げられました。

 しかし、ほとんどのプレイヤーにとっては縁の無い世界であり、一般のショップではのどかな光景が広がっていました。

 

【初代アイドル ブラック・マジシャン・ガール】

 まずは、大会(こちらはOCGではなくゲームソフトの方)に関連する話題として「ブラック・マジシャン・ガール」について触れておきます。

自分と相手の墓地にある「ブラック・マジシャン」と「マジシャン・オブ・ブラックカオス」の数だけ、攻撃力が300ポイントアップする。

 レベル6、攻撃力2000の上級モンスターです。お互いの墓地の「ブラック・マジシャン」「マジシャン・オブ・ブラックカオス」の数に応じて攻撃力が300ずつ上昇する効果を持っています。

 やや変わった効果ではあるものの、カードの性能としては特別優秀であると言えるものではありません。しかし、このカードは原作漫画では主人公の主力アタッカーの1体であり、ストーリーの大詰め部分にも絡んでいたほどの重要なカードとなっていました。

 当然ながら、プレイヤーの間での知名度も高く、一部では「青眼の白龍」すらしのぐ人気を誇っていたほどです。イラスト・アドバンテージの面でも非常に優れており、しばしば「ドラゴン派」と「アイドル派」に分かれて議論が巻き起こることもありました。

 しかし、この時の「ブラック・マジシャン・ガール」は7月25日~8月27日に開催されていた「遊戯王デュエルモンスターズⅢ 三聖戦神降臨」の大会賞品となっており、通常の方法では入手不可能な一品でした。一般入手が可能となるのは「PREMIUM PACK 4」の販売日まで持ち越される形となり、それまではまさに「アイドルカード」とも呼べる高嶺の花となっていました。

 そのため誠に勝手ながら、ここで誕生した「ブラック・マジシャン・ガール」に関しましてはゲーム上では存在しないものとさせていただきます。ご容赦ください。

 補足となりますが、この「ブラック・マジシャン・ガール」は開発時のサンプルとは効果が異なっており、その時のものは「墓地の魔法使い族モンスターの数×200だけ攻撃力がアップする」効果となっていました。

 この時期は「ヂェミナイ・エルフ」「ダーク・エルフ」「黒き森のウィッチ(エラッタ前)」「聖なる魔術師」など、実戦級の魔法使い族モンスターが環境に多数存在していたことから、仮に開発時の効果で世に出ていた場合、デーモンの召喚」と双璧を成す上級アタッカーとして活躍していたかもしれません。

 

【再録パック 「BOOSTER3」「BOOSTER4」】

 また、2000年9月9日、「Booster R2」が販売され、「BOOSTER3」「BOOSTER4」から合計50種類のカードが再録されました。再録弾ゆえに遊戯王OCG全体のカードプールは838種類から変化していませんが、複数の必須カードが再録されたことで有名なブースターです。

 特に「ヂェミナイ・エルフ」と「天使の施し」はこの時期は既に絶版となっており、ノーマルカードにもかかわらず事実上シングル買いやトレードによってしか入手できない貴重なカードとなっていました。そうした影響でショップにおいても在庫が乏しかったことから、この「Booster R2」は第2期以降に参入したプレイヤーにとっては必須とも言えるブースターであったと言えるでしょう。

 とはいえ、根本的にブースターシリーズのカードは通常のパックと比べて供給が少なめであり、地域によってはそもそもショップに置かれていないというケースも珍しくありませんでした。そのため、やはりプレイヤーの需要を満たし切ることはできず、根本的な解決は「Booster Chronicle」による再録を待つ格好となります。

 

【まとめ】

 2000年8~9月頃の出来事については以上となります。

 同年8月15日の制限改訂以降は目立った変化もなく、穏やかな環境推移が続いていました。相変わらず【デッキ破壊】が広い支配権を維持しており、【グッドスタッフ】がその対策に追われるという状況は変わっていません。

 とはいえ、全く何も起こらなかったわけではなく、世界大会の影響で【キャノンバーン】の存在が一般に浸透し始めるなど、プレイヤー側の知識という面では変化が訪れています。「キラー・スネーク(エラッタ前)」が高値で取引されるようになったのも、思い返せばこの頃からであったのかもしれません。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

Posted by 遊史