サイコショッカーが最強だった時代 リビデショッカーの脅威

2018年1月13日

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【前書き】

 【第2期の歴史13 開発時と効果が違ったブラックマジシャンガール】の続きになります。ご注意ください。

 特に目立った変化もなく時間だけが過ぎていく状況が続き、遊戯王OCGは穏やかな停滞期を迎えていました。【デッキ破壊】がトップデッキとして活躍する反面、それに有利な【キャノンバーン】の知名度も徐々に上がっていくなど、全く何の変化もなかったわけではありませんでしたが、激動の前半期と比べると静かな環境だったのは事実です。

 そんな折、この停滞期を打ち破るカード群が突如として環境に襲来します。

 

【Curse of Anubis パワーカードのバーゲンセール】

 2000年9月28日、「Curse of Anubis -アヌビスの呪い-」が販売されました。新たに52種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは890種類となっています。

 罠カードの収録が非常に多かったことで有名なパックで、なんと半数以上が罠カードだけで占められていました。第2期第1弾の「Magic Ruler -魔法の支配者-」とは対照的であり、開発側の創意工夫が見られる面白いパックです。第1期と比較して明らかに収録内容の質が改善されており、基本的に当たりが少なかった第1期と違って「パックを剥くのが楽しい」と思える商品だったと記憶しています。

 もちろん、上記で触れたように環境に与えた影響も大きく、これによって上位陣のデッキリストが一新されてしまうほどとなっていました。

問答無用で罠を無効化 サイコ・ショッカー

 様々な意見があるとは思いますが、あえて断言するのであれば、この時のパックのトップレアは間違いなく「人造人間-サイコ・ショッカー」に他ならないでしょう。

・このカードがフィールド上で表になっている限り、罠カードの発動と効果を無効にする。

 これがモンスターゾーンに存在する限り、罠カードの発動と効果を永続的に無効化する効果を持っています。第1期で現れた「王宮のお触れ」を内蔵した効果モンスターであり、当時としては非常識なほどに反則的な強さを誇っていたカードです。

 第1期とは違い、第2期突入後は実戦級の罠カードも増加しており、環境においても罠カードとの遭遇は珍しくない状況へと移り変わっていました。それに伴い、「王宮のお触れ」の評価も徐々に持ち上がってきており、デッキに採用するプレイヤーも現れ始めています。

 しかし、この「王宮のお触れ」という永続罠カードは制圧力はある反面ややアドバンテージを取りにくく、また腐りやすいという弱点があったため、総合的にはやや力不足とも言えるカードとなっていました。

 そんな折に誕生したのが「人造人間-サイコ・ショッカー」です。

 単純に考えてもアタッカーとして運用できる「王宮のお触れ」であり、アドバンテージを取りにくい点、腐りやすい点、この2点が同時に解消されています。基本はアタッカーとして使いつつ、時には効果が役に立つこともあると、まさにメリットしかないカードです。

 更に、この「人造人間-サイコ・ショッカー」はモンスターとしても極めて優秀で、レベル6にして攻撃力2400と「デーモンの召喚」に次ぐステータスを与えられていました。

 つまり、「当時でもトップクラスの性能の上級モンスター」が「実戦級の効果を内蔵している」格好となり、控えめに申し上げて常識外れのカードパワーを持っていたと言うほかありません。「デーモンの召喚」との戦闘では負けてしまう欠点もありましたが、そもそも当時は上級モンスターには除去カードで対処するのがセオリーとなっており、プレイングでカバーできる範囲の弱点となっています。

 また、守備力も1500とまるで図ったような数値であり、「黒き森のウィッチ(エラッタ前)」のサーチにも対応していました。そのため、使用感はほぼ「デーモンの召喚」と変わらず、事実上はメリットだけを享受できる格好です。

 そうした事情もあり、「人造人間-サイコ・ショッカー」は早々に【グッドスタッフ】の常連メンバーへと名を連ねるようになりました。

 その一方で「デーモンの召喚」は遂にエースの座を奪われる状況となり、その長い活躍の歴史に幕を下ろしています。盛者必衰という言葉が示す通り、どれほど強力なカードであってもいずれは時代と共に去っていくことの証明と言えるのかもしれません。

魔法禁止令 王宮の勅命

 しかし、この時に生まれた強烈なパワーカードは「人造人間-サイコ・ショッカー」だけではありません。

 「王宮のお触れ」の対のカード、「王宮の勅命(エラッタ前)」の誕生です。

・このカードがフィールド上に表で存在する限り、全ての魔法カードの効果を無効にする。自分のスタンバイフェイズに700ポイントのライフポイントを払う。払わなければ、このカードを破壊する。

 永続的に罠カードを無効化する「王宮のお触れ」とは逆に、魔法カードの効果を無効化し続ける効果を持っています。当時は「強欲な壺」を始めとして凶悪な魔法カードが環境に蔓延しており、それらをまとめて対処できるこのカードは極めて高く評価されました。

 この無効化効果はお互いのプレイヤーに及ぶため、自分もそれらの魔法カードを使えなくなる欠点はありますが、相手に好き放題に魔法を連打されることに比べれば些細なデメリットです。そもそも、維持コストを払わないことを選べば自壊させることもできるため、好きなタイミングで自由にロックを解除できる柔軟性を持っていました。

 また、罠カードゆえの奇襲性も優秀で、相手の魔法カードの発動にチェーン発動することで実質ノーコストの「マジック・ジャマーに近い振る舞いをします。もちろんこのカードはフィールドに残り続けるため、発動するだけでアドバンテージを取っている格好です。

 事実上の上位互換であり、その性能差は比べるのも酷と言うほかありません。「マジック・ジャマー」側は勝っている点がスペルスピードくらいしか存在していなかったため、【グッドスタッフ】などのフェアデッキにおいては一瞬で採用圏外へと飛ばされていきました。

 上記をまとめると、この「王宮の勅命(エラッタ前)」は「発動時に魔法カードを無効化し、その後お互いに魔法カードを発動できない。ただし、自分はいつでもその効果を解除できる」というカードになります。明らかに性能が飛び抜けて高く、控えめに申し上げて「使わない理由がないパワーカード」です。

 ただし、この「王宮の勅命(エラッタ前)」も罠カードである以上、上記の「人造人間-サイコ・ショッカー」には成す術がありません。魔法を封じたと安心しているところに生け贄召喚され、みすみす盤面をひっくり返されるといったシチュエーションも、当時はしばしば遭遇しうるハプニングとなっていました。

 こうした事実もまた人造人間-サイコ・ショッカー」の評価を高めていた一因であり、「王宮の勅命(エラッタ前)」がトップレアの座を譲っていた理由でもあります。

 補足になりますが、この「王宮の勅命(エラッタ前)」には一度エラッタが入っており、上記のものはエラッタ前の仕様となっています。

 エラッタ後の「王宮の勅命.」は複数の弱体化要素を含んでいますが、それでも制限カード指定を受けている状況です。当然、完全体のこのカードはとんでもない凶悪さを持っており、実際1ヶ月後の制限改訂では即座に規制が入る形となりました。

蘇生罠カードの開祖 リビングデッドの呼び声

 また、上記の「人造人間-サイコ・ショッカー」と相性の良いカードとして、「リビングデッドの呼び声」という永続罠カードも誕生しています。

・自分の墓地からモンスターカード1体を選び、攻撃表示で特殊召喚する。このカードがフィールド上に存在しなくなったら、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。

 ややテキストが複雑ですが、簡単にまとめると「墓地のモンスターを蘇生する効果」と、「自身がフィールドを離れた場合に蘇生したモンスターを破壊する効果」、「蘇生したモンスターが破壊された場合に自身を破壊する効果」の3種類の効果を持っています。

 蘇生効果を持つ罠カードとしては遊戯王OCG史上初となるカードであり、「死者蘇生」に次ぐ知名度を誇る非常に優秀なカードです。

 一部の例外を除けば大半のモンスターをほぼ無条件で蘇生でき、蘇生後の弱体化も自壊効果しか存在しないなど、初期の蘇生カードとしては破格の扱いやすさを誇っていました。罠カードゆえの「遅さ」もこの時代においては大きなデメリットにはならず、誕生以降は長い間環境の最前線で活躍していくことになります。

 しかし、このカードは罠カードであり、当然「人造人間-サイコ・ショッカー」で無効化されてしまいます。そのため、一見すると相性が悪いようにも思えますが、実際には共存可能な関係となっていました。

 例えば、この「リビングデッドの呼び声」で「人造人間-サイコ・ショッカー」を蘇生することは可能でしょうか?

 結論を先に申し上げれば「可能」です。「人造人間-サイコ・ショッカー」の罠無効効果が適用されるのは「蘇生が行われてから」であることがその理由となっています。

 蘇生後は「リビングデッドの呼び声」の効果が無効化されてしまいますが、既に蘇生が完了しているためモンスターに影響はありません。やや直感に反することですが、リビングデッドの呼び声」自体にモンスターを維持する効果はなく、蘇生した後は基本的に繋がりはなくなります。

 ただし、「リビングデッドの呼び声」自身がフィールドを離れた場合に蘇生先のモンスターを破壊する効果を持っているため、結果的に一蓮托生に近い関係となっており、通常は蘇生先のモンスターと同時にこれを守る必要がありました。

 つまり、その自壊効果を無効化してしまえば事実上デメリットが消失する格好となるため、「人造人間-サイコ・ショッカー」を併用することでデメリットを踏み倒すことができます。

 あえて狙うほど特別なコンボではありませんが、どちらも汎用カードゆえに採用率が高く、意外とこうしたシチュエーションとの遭遇は珍しくありません。知っておくだけでも価値のあるテクニックであり、当時の【グッドスタッフ】使いのプレイヤーの間では常識とも言える知識として浸透していました。

 補足になりますが、効果が無効になった状態の「リビングデッドの呼び声」は、「ハリケーン」などでバウンスすることで蘇生効果を再利用することもできます。下記で触れている【リアニメイト】などのデッキでは、基本テクニックとして多用されていた有用なコンボです。

最強の装備カード 早すぎた埋葬

 上記の「リビングデッドの呼び声」と対になる魔法カードとして、「早すぎた埋葬」という装備魔法カードも現れています。

・800ライフポイントを払う。自分の墓地からモンスターカードを1体選んで攻撃表示でフィールド上に出し、このカードを装備する。このカードが破壊された時、装備モンスターを破壊する。

 効果だけを見るのであればライフコストのある「リビングデッドの呼び声」であり、単体での性能もそれに準じたものとなっています。装備カードゆえに妨害も受けやすく、「サイクロン」などにチェーンされると蘇生効果そのものが不発となってしまうなど、使い勝手の悪さから当初は「死者蘇生」の下位互換カードとして見られていました。

 しかし、このカードの真価は他のカードと組み合わせた時にこそ発揮され、その凶悪さは「死者蘇生」の遥か上を行きます。

 簡単なところでは、「ハリケーン」などのバウンスカードによる使い回しが挙げられます。「早すぎた埋葬」には「リビングデッドの呼び声」と同様にモンスターに対する自壊効果が含まれていますが、自壊効果が適用されるのは「自身が破壊された時」です。バウンスなどの、破壊以外の方法でフィールドを離れた場合は何も起こりません。

 そのため、何らかの方法で「早すぎた埋葬」をバウンスすることで装備先のモンスターを完全蘇生させられます。もちろん、バウンスした「早すぎた埋葬」も丸々再利用することが可能です。一石二鳥のコンボであり、後の時代ではこれに特化した【セルフ・バウンス】などのデッキが組まれることもありました。

 そして、遥か未来の第6期にて、上記のギミックを発展させて無限ループないし半永久ループにまで昇華させたデッキが現れたことが決定打となり、遂に禁止カードに指定されています。現在に至るまでその位置から動いておらず、エラッタが入らない限りまず釈放の見込みはないのではないでしょうか。

 とはいえ、この時代においては悪用するだけのカードプールの土壌も整っておらず、コンボ要素のある蘇生カードという立ち位置にとどまっています。「ハリケーン」とのコンボがやや注目を集めたものの、それに特化したデッキを組めるほどではなく、当時の【グッドスタッフ】では純粋に蘇生カードとしての役割を見出されていました。

 

ファンデッキ 【リアニメイト】の誕生

 さらに、強力な蘇生カードが複数現れたことにより、第1期から細々と受け継がれていた「大型モンスターを墓地に落として釣り上げる」という理念が現実的なものへと変わっています。

 かつては実用的な蘇生カードが「死者蘇生」しかなく、デッキコンセプトとして特化するのは明らかに不可能な状況でした。しかし、この時に蘇生カードが計4種類(次の記事で触れる「浅すぎた墓穴」も数えて)に増加し、準制限カードの「死者蘇生」を考慮しても最大11枚もの蘇生カードをデッキに積めるようになりました。

 デッキコンセプトとして成立させるには十分な枚数であり、次第に【リアニメイト】として明確な形を現していくことになります。

 流石に第一線で活躍できるほどのポテンシャルはありませんでしたが、長い間燻っていたプレイヤーの夢を実現させた功績のあるデッキです。第1期の【融合召喚】と同じく、単純な強さでは測れない魅力を持っていたのではないでしょうか。

 

【中編に続く】

 「Curse of Anubis -アヌビスの呪い-」で誕生したカードの内、【グッドスタッフ】でよく使われたカードについては以上です。

 全体的にカード1枚1枚の性能が安定しており、「腐りにくく単純に強い」という表現が当てはまるカードとなっています。単体で役に立つカードをデッキに詰め込む【グッドスタッフ】とはコンセプトに合致するため、多くのプレイヤーがこれらのカードを採用していくことになります。

 しかし、上記のものとは方向性の異なる、やや尖った性能のカードも同時に姿を見せていました。

 中編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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