キャノンソルジャーが禁止カードになった理由

2018年6月15日

【前書き】

 遊戯王OCGの中に、「キャノン・ソルジャー」というモンスターが存在します。

 モンスター1体を500ダメージに変換する効果を持ち、遊戯王OCGにおいても代表的な射出モンスターの位置付けにあるカードです。遊戯王初期の環境ではともかく、現代ではそれほど強いカードではありませんが、このたび2018/7/1の制限改訂で禁止カード指定を下されることとなりました。

 この決定に疑問を持たれたプレイヤーも少なくなく、各地で話題騒然となっています。

 この記事では、その「キャノン・ソルジャー」が禁止カード指定を受けた理由について解説いたします。

 

【ABC】による無限ループと先攻1キル

 とはいえ、事件の全容はそれほど複雑なものではなく、一言で申し上げれば「無限ループのコンボパーツとして悪用されていたこと」がその理由です。

 具体的なギミックは以下の通りです。

 

①:手札・墓地に「A-アサルト・コア」2体、さらに手札に何らかのモンスター1体を揃える。

 

②:フィールドに「ファイアウォール・ドラゴン」「キャノン・ソルジャー」を含むモンスター3体を揃える。

 

③:「キャノン・ソルジャー」でモンスターを射出する。

 

④:「ファイアウォール・ドラゴン」の効果で手札の「A-アサルト・コア」を特殊召喚する。

 

⑤:「キャノン・ソルジャー」で「A-アサルト・コア」を射出する。

 

⑥:「A-アサルト・コア」のサルベージ効果で2体目の「A-アサルト・コア」を手札に戻す。この際、「ファイアウォール・ドラゴン」の特殊召喚効果も同時に誘発している。

 

⑦:「ファイアウォール・ドラゴン」の特殊召喚効果がチェーン1、「A-アサルト・コア」のサルベージ効果がチェーン2となるようにチェーンを組む。

 

⑧:④と同じ状況になるため、無限ループ成立。

 

 ループの過程にバーン効果が組み込まれているため、これを先攻1ターン目に行うことで先攻1キルが成立します。第1期の【エクゾディア】から続く由緒正しき戦法ですが、コミュニケーションツールとしては致命的な領域にあることは言うまでもありません。

 とはいえ、この先攻1キル型【ABC】が前期環境で支配的な地位にあったわけではなく、実際のトーナメントシーンでは上記の1キルギミックは搭載されない型の方が主流でした。

 理由としましては、ノイズとなりやすいカードを複数枚積むことで事故率が少なからず上がること、それに伴い手札誘発を積むスペースがなくなること、なおかつ逆にその誘発で1キルルートを潰されやすいことなどが挙げられます。

 また、先攻1キルが成功する初手であれば十分な制圧布陣を用意できるため、少なからずオーバーキルな部分があったことも要因の一つです。こうしたリスクはやはり小さなものではなく、その結果が1キルギミック搭載の見送りという状況を生み出していたとも言えるでしょう。

 しかし、結果として今改訂で「キャノン・ソルジャー」は禁止カード行きとなり、先攻1キル型【ABC】がほぼ解体されてしまったのは事実です。

 以前の「フェニキシアン・クラスター・アマリリス」の禁止カード化にもあるように、開発側のスタンスとして先攻1キルには厳しい姿勢が取られやすいことがこうした結果に繋がったのかもしれません。

 

被害者追加 メガキャノンソルジャーとアマゾネスの射手

 そして、続く2018年10月の制限改訂において、「キャノン・ソルジャー」と類似の射出効果を持つ2体のモンスターが追加で禁止カード指定を受けました。

自分フィールド上に存在するモンスター2体を生け贄に捧げる度に、相手ライフに1500ポイントダメージを与える。

①:自分フィールドのモンスター2体をリリースして発動できる。
相手に1200ダメージを与える。

(※上から順に、それぞれ「メガキャノン・ソルジャー」「アマゾネスの射手」のテキストを引用しています)

 「キャノン・ソルジャー」とは違い2体分のリリースを要求する点で射出台としての性能は劣りますが、無限ループ突入条件が厳しくなるということを除けば同様の問題を引き起こしてしまうため、上記項目で語った解説がこの2体にもおおむね当てはまる次第です。

 特に「アマゾネスの射手」は種族や属性面でも恵まれており、「M.X-セイバー インヴォーカー」から容易にリクルートできるという意味ではキャノン・ソルジャー」をも上回る射出台適正を発揮することも少なくありません。実際、【インフェルニティ】などにおいては代名詞とさえ言えるほどに強い関係で結ばれており、それこそ年単位で研究が推し進められてきたと言っても過言ではないでしょう。

 もっとも、それがトーナメントレベルの実績に繋がっていたわけではないというのも周知の事実ではあります。前期環境においては【ゼンマイ】などの一部のデッキで地雷的に1キル搭載型が入賞するケースもありましたが、結局のところ地雷扱いを抜け出せなかったことは否定できません。

 「メガキャノン・ソルジャー」に至っては、【ABC】の型の一つの【芝刈ABC】のさらに型の一つとして細々と研究されていた程度です。全く姿を見かけなかったとまでは言いませんが、トーナメントシーンにおいてこれと遭遇されたプレイヤーはそれほど多くはなかったのではないでしょうか。

 逆に言えば、それですら禁止カードという厳しい規制を下されてしまう程度には、開発側が先攻1キルの存在を危惧しているということでもあります。そういった意味では、少なくとも1ターンキルという領域においては健全なゲームバランスが保たれると安心していいのかもしれません。

 

【まとめ】

 「キャノン・ソルジャー」の禁止カード化の背景については以上です。

 これ自体は特に強いカードではありませんが、先攻1キルギミックのパーツとして悪用された結果、遂に禁止カード行きを宣告されることとなりました。1999年に誕生して以来、様々な形でその存在を示してきたモンスターではありますが、ここでその活躍に幕を下ろすと思うと感慨深さとやるせなさが同時にこみ上げる次第です。

 個人的には、「キャノン・ソルジャー」よりもその周辺カード(具体的な名前は伏せますが……攻撃力2500の君)に規制の手を加えるべきではないかとも思うのですが、やはりアニメなどの影響もあり、それを実行に移すのは中々難しいということでしょう。

追記:2019年1月の改訂で「ファイアウォール・ドラゴン」の禁止カード行きが決定しました。そのため、「キャノン・ソルジャー」に始まる射出カードにも現役復帰の可能性が少なからず見えてきた印象です。
しかし、「マスドライバー」の前例にもある通り、こうした射出カードは一旦規制されたが最後二度と返ってこない傾向もあり、個人的には恐らく永久禁止カードの仲間入りを果たしてしまったのではないかという認識でいます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

Posted by 遊史