転生の予言がパワーカード扱いされていた時代

2018年11月30日

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【前書き】

 【第5期の歴史13 鬼畜モグラ N・グラン・モール誕生 僅か3ヶ月半で規制】の続きになります。特に、この記事では前中後編の中編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

転生の予言 墓地メタを兼ねる疑似サルベージカード

 レギュラーパック「STRIKE OF NEOS」の収録カードのうち、「N・グラン・モール」に次いで注目を集めたのは「転生の予言」という罠カードでした。

墓地に存在するカードを2枚選択し、持ち主のデッキに加えてシャッフルする。

 自分もしくは相手の墓地のカードを合計2枚選び、持ち主のデッキに戻すという効果を持っています。これ自体は直接盤面に触れるカードではなく、ただ発動するだけではディスアドバンテージにしかならないなど、現在の価値観では扱いにくさが目立つマイナーカードです。

 しかし、第5期当時の基準においては十二分に優秀なカードであり、いっそパワーカードに分類してしまっても決して不足はありません。

 このカードの有用性を取り上げるのであれば、大まかには「墓地メタ」と「カードの再利用」の2点に分けられます。しかし、「転生の予言」のようにその両方を同時にこなせるカードは当時は他には存在せず、見た目以上に高いポテンシャルを発揮することができました。

 このカードの最高の使い方は「相手の墓地利用を潰しつつ自分はカードを再利用する」ことで、具体的には「早すぎた埋葬」や「貪欲な壺」を空振りさせて1:1交換以上を取りつつ、自分の「E・HERO エアーマン」をデッキに回収するなどの使用方法が該当します。その場合はノーコストの「神の宣告」に疑似サルベージのおまけがついてきたようなものであり、得られるアドバンテージは計り知れません。

 もちろん、どちらか片方だけであってもカード1枚分の仕事量としては十分な働きと言えるでしょう。今では信じられないことですが、例えばこれで「天使の施し」をデッキに回収し、「封印の黄金櫃」でサーチするというだけでも当時は十分に強い動きだったのです。

 

【エアブレード】への有力メタ サイドデッキの常連

 とはいえ、流石に「ダスト・シュート」や「マインドクラッシュ」を差し置いて使われるほどのカードではなく、また性質的にメインから3積みされるタイプのカードではなかったのも確かです。

 「転生の予言」に求められた最も重要な仕事は、当時の主流デッキ【エアブレード】に対するメタカードとしての役割でした。

 【エアブレード】最大の切り札である「次元融合」は墓地リソースと直接の関係を持ちませんが、除外ゾーンを肥やす手段として「神剣-フェニックスブレード」を経由するため、これをデッキに押し込むことで間接的な妨害を狙うことができます。もちろん、「魔法石の採掘」「混沌の黒魔術師」のサルベージを空振りさせる使い方も優秀で、状況によっては相手の計算を大幅に狂わせることも不可能ではありません。

 加えて、「D-HERO ダイヤモンドガイ」の魔法コピー効果に後出しで干渉できる数少ない手段でもあるなど、対【エアブレード】のサイドカードとしては中々の活躍が期待できる優良メタです。流石にこれ1枚で勝てるほどの効力は発揮しませんが、元々丸い性能のカードでもあるため、「とりあえずサイドに挿しておいて損はないカード」と言われていました。

 次点の仮想敵としては、【ダークゴーズ】や【バブライダー】などのデッキが挙げられます。

 「転生の予言」本来の強み(汎用カードとしての使い方)を除いて考えた場合、【ダークゴーズ】に対する追加の役回りは「暗黒界の軍神 シルバ」「暗黒界の武神 ゴルド」の特殊召喚を潰す程度しか残りません。メタカードとしては非常にささやかな期待値ですが、純粋に汎用カードゆえに腐る場面が少ないため、いわゆる「サイドチェンジの隙間を埋めるカード」として機能する強みがあります。

 一方、【バブライダー】は「森の番人グリーン・バブーン(エラッタ前)」「黄泉ガエル」など、致命的に刺さるウィークポイントが複数存在するのが魅力です。ただし、この時期はそもそも【バブライダー】自体が少数勢力であったことは否めず、認識としては「もし遭遇した時には役に立つ」という扱いになるのではないでしょうか。

 こうした背景により、「転生の予言」の参入以降は「セットカードがある状態で墓地利用を狙うのは危険」といった価値観が広がっていくことになります。特に2戦目以降のゲームではこれに遭遇するケースも多く、「転生の予言」をケアしたプレイングは次第に定石の一つとして浸透していきました。

 

ループギミックによるマッチキル タイム・オーバー・デス再び

 と、ここで話が終われば平和だったのですが、残念ながら「転生の予言」が及ぼしたのは健全な変化だけではありません。

 それはループギミックによるゲームの遅延、そしてそれに伴うエクストラターンを利用したマッチキルの脅威でした。

 かつての【トランス】を取り巻いていたルールの欠陥問題ですが、喉元過ぎれば熱さ忘れるというべきか、このカードの参入をきっかけに問題が再燃しています。「転生の予言」の回収効果には同名カード制限が設けられていないため、これを戻し続けることで以前よりも遥かに容易にゲームを長引かせられるようになったからです。

 当時よく使われていたギミックは下記の通りとなります。

 

①:「モンスターゲート」などで自分のデッキをあらかじめ減らしておく。

 

②:「転生の予言」で「マインドクラッシュ」「神の宣告」などの妨害カードをひたすら回収する。デッキに「転生の予言」が残っていない場合はそちらを優先する。

 

③:自分のデッキが妨害カードだらけになるため、それを利用して半ロック状態に持ち込む。「デス・ラクーダ」などのドローエンジンがあればより楽。

 

④:完全に場が固まったら相手の墓地のカードを適当に回収し、デッキ切れを防ぐ。

 

⑤:エキストラターンに入ったところで墓地回収をやめ、デッキ切れで勝利する。

 

 上記を1戦目に行うことで1-0でゲームが終了、つまりルールによるマッチキルが成立するという理屈です。もちろん、これを実戦で決めるのは簡単ではありませんが、それ以前に対人ゲームとしては問題が多すぎるコンボであることは言うまでもありません。

 一応、遅延行為に関しては大会規定によって圧力がかかっているのですが、厳密な基準があるわけではなく、おおむねジャッジの判断に依存するところが大きかったのは事実です。あるいは、そもそも遅延関連のルールをよく知らないというプレイヤーも少なくなく、マッチキルをする側、される側の双方視点でトラブルを誘発しやすい状況にあったことは否定できません。

 そうした背景もあり、「転生の予言」は2007年9月の改訂ではループ防止のために制限カード指定を下されています。純粋に汎用カードとして愛用していたプレイヤーにとってはとばっちり以外の何物でもなく、結末としては少々しこりが残る形となってしまったのではないでしょうか。

 

【後編に続く】

 「転生の予言」についての話は以上です。

 墓地メタ・疑似サルベージを兼ねる汎用札として優秀なポテンシャルを秘めていたカードでしたが、それ以上にマッチキル絡みの問題が目立ってしまったことは否めず、その煽りを受けて8年にも渡って規制を受け続けることになりました。現在ではゲームスピードの高速化により採用実績はほとんど残しておらず、不本意な形で活躍の機会を逃してしまった不遇のカードだったとも言えるでしょう。

 さて、レギュラーパック「STRIKE OF NEOS」の収録カードのうち、単体で機能するパワーカードについては前記事と合わせて以上となります。

 しかし、プレイヤーからの注目を集めていたのはこうした汎用カードだけではありません。それ1枚だけで新たなアーキタイプを成立させるばかりか、やがてはトーナメントレベルでも通用する実戦デッキにまで昇華させてしまったほどの強力な新人も密かに参入してきていました。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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