5日で消えたデビフラ1キル セミの一生

2018年1月9日

【前書き】

 【第2期の歴史10 デビフラ1キル 原初の後攻1キルデッキ】の続きとなります。ご注意ください。

 【デビフラ1キル】の誕生により、盤面の有利不利を無視して一瞬でゲームの決着がついてしまうケースが散見されるようになりました。

 第1期の【エクゾディア】とは異なり、日常的にそういったことが起こっていたわけではありませんでしたが、このような状況は「できる」か「できない」かの違いが大きな意味を持つというのも事実です。

 ワンショットキルの存在がゲームバランスを著しく損なうと判断されたのか、遊戯王OCG史上稀に見る速度で規制が入る形となりました。

 

【制限改訂 2000年8月15日】

 2000年8月15日、遊戯王OCGにおいて5回目となる制限改訂が行われました。

 制限カードに指定されたカードは以下の15枚です。

巨大化 無制限
封印されしエクゾディア
封印されし者の左足
封印されし者の左腕
封印されし者の右足
封印されし者の右腕
押収
強引な番兵
強欲な壺
心変わり
サンダー・ボルト
ハーピィの羽根帚
ブラック・ホール
遺言状
聖なるバリア -ミラーフォース-

 

 準制限カードに指定されたカードは以下の5枚です。

いたずら好きな双子悪魔
強奪
死者蘇生
天使の施し
墓守の使い魔

 

 以上が当時コナミから下された裁断となります。

 前回のリストから動いた部分はほとんどありません。変更点は「巨大化」の制限カード指定のみと、事実上「巨大化」を名指しした制限改訂となっています。

 キーカードに対して強い規制が入ったことで、【デビフラ1キル】は壊滅的な打撃を受ける形となりました。

 禁止カード指定ではなく、1枚は使用することができるため、【デビフラ1キル】の構築自体が不可能となったわけではありません。しかし、コンボの安定性を大きく損なってしまったことは事実であり、衰退は免れませんでした。

 デッキ誕生から僅か5日後の出来事であり、まさにセミの一生と言うほかない状況です。しかしながら、緊急改訂であることを踏まえてもあまりにも対応が早すぎる印象はあり、やや不自然さを覚える改訂でもありました。

 そのため、恐らくは開発側も巨大化」が誕生した時点で既にこのコンボの存在を認識していたものと思われます。状況を見てからの対応ではなく「PREMIUM PACK 3」の販売前にあらかじめ手を打っておいたものの、数日ズレが出たせいで僅かにデッキが組める期間ができてしまった、というのが実際のところだったのかもしれません。

 

【当時の環境 2000年8月15日】

 「巨大化」が規制を受けたことで【デビフラ1キル】が構築困難となり、ゲーム中におけるワンショットキルとの遭遇率は大幅に低下しました。

 この改訂で被害を被ったのは【デビフラ1キル】だけではなく、このコンボを出張ギミックとして搭載していた【グッドスタッフ】などのデッキもその余波を受けています。「デビル・フランケン」の方はサーチ手段が豊富であることからピン挿しでも機能しますが、流石に「巨大化」を1枚挿しで運用するのは難しく、【グッドスタッフ】においても次第に見かけなくなっていきました。

 結論として、この時の改訂は【デビフラ1キル】に対する規制としては十分な効力を発揮しました。開発側の意図した通りに環境が動いた一例であり、ゲームバランスのコントロールに注力していたことが分かる改訂となっています。

 とはいえ、「デビル・フランケン」自体は無傷であり、「青眼の究極竜」という最高の相棒を手に入れていたのも事実です。【デビフラ1キル】というデッキは事実上消滅してしまいましたが、そのコンボパーツの片割れである「デビル・フランケン」は【グッドスタッフ】の選択肢の一つとして環境にとどまり続ける形となりました。

 

【まとめ】

 2000年8月15日の制限改訂により起こった出来事は以上となります。

 【デビフラ1キル】は当時の環境に彗星のように現れ、そして一瞬で消えていきました。使用できた期間が僅か5日間という、遊戯王OCGでも他に類を見ない短命のデッキです。

 とはいえ、この時に【デビフラ1キル】の時代が終わったわけではなく、むしろ全盛期は第3期以降(※)に訪れています。また、デッキ単位ではなくギミック単位での出張も多く、浮き沈みはありつつも2007年3月の改訂で「デビル・フランケン」が禁止カードに指定されるまでは現役時代が続いていたと言えるでしょう。

(※詳しくは下記の記事で取り上げています)

 ちなみに、このコンボは公式のゲーム作品においても取り上げられており、CPU特有の積み込みによって高確率でワンショットキルを決めてくることでも有名です。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

Posted by 遊史