【先史遺産(オーパーツ)】デッキ大幅強化 2年越しの環境入り

2019年11月21日

【前書き】

 【第8期の歴史23 No.101 S・H・アークナイト アニメ出身の壊れエクシーズ】の続きになります。特に、この記事では前中後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

先史遺産ネブラ・ディスク誕生 実質エアーマンの脅威

 レギュラーパック「LEGACY OF THE VALIANT」の販売によって最も大きく強化されたカテゴリ、それは【先史遺産】と呼ばれるファンテーマでした。

 元々は「RETURN OF THE DUELIST」出身のテーマ、つまりは文字通り第8期初期の時点で誕生していたカード群ですが、これまではカードプールにまとまりがなく、デッキとしては今一歩の完成度にあるカテゴリと言われていました。実際、【先史遺産】がトーナメントレベルで注目されていた時期はないため、おおむねカジュアルデッキの域を出ないポジションに置かれていたことは否めません。

 しかし、当パックから「先史遺産ネブラ・ディスク」を筆頭とする強力なサポートを獲得したことにより、【先史遺産】は第8期終盤にして2年越しの環境入りを果たすことになります。

このカードが召喚に成功した時、デッキから「先史遺産ネブラ・ディスク」以外の「オーパーツ」と名のついたカード1枚を手札に加える事ができる。
また、このカードが墓地に存在し、自分フィールド上に存在するモンスターが「先史遺産」と名のついたモンスターのみの場合に発動できる。このカードを墓地から表側守備表示で特殊召喚する。この効果を発動するターン、自分は「オーパーツ」と名のついたカードの効果しか発動できない。
先史遺産ネブラ・ディスク」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 一見して効果が盛り込まれていることが見て取れる「テキスト長々カード」の一種ですが、実際2013年当時の水準においては相当強烈なパワーカードです。召喚成功時に【先史遺産】カードを無条件でサーチする効果に加え、制約付きながら墓地から自己再生する効果まで備えている優秀なサポートであり、とりあえずアドバンテージを取ることにかけて右に出るカードはありません。

 また、素の攻撃力も1800と準アタッカークラスであり、さながら往年の「E・HERO エアーマン」を思わせる非常に強力なアドモンスターと言えるでしょう。

 一応、そちらと違い同名カードはサーチできないデザインが取られていますが、これも先史遺産クリスタル・スカル」の存在により実質的には形だけの制約と化しています。それどころか、「先史遺産-ピラミッド・アイ・タブレット」による手軽な2600打点の生成、「先史遺産クリスタル・ボーン」「先史遺産ゴールデン・シャトル」らによるランク3~5エクシーズの展開など複数の動きを自在に使い分けることができ、総合的なカードパワーは「E・HERO エアーマン」に勝るとも劣りません。

 というより、これほどのカードを3枚入れてもあまり騒がれない時代(※)というのも中々に恐ろしい話であり、2013年以降のOCG環境のインフレが特に激化していたことが窺えるエピソードの1つです。

(※ただし、【征竜】弱体化後は徐々に恐ろしさが浸透し始め、将来的には規制も経験しています)

 

【先史遺産】まさかのガチデッキ化 純構築時代の奮闘

 上述の通り、「先史遺産ネブラ・ディスク」は第8期当時としては非常にパワフルなカードで、これを得たことによって【先史遺産】は大幅な躍進を果たしました。

 

サンプルレシピ(2013年11月16日)
モンスターカード(19枚)
×3枚 先史遺産クリスタル・スカル
先史遺産クリスタル・ボーン
先史遺産ゴールデン・シャトル
先史遺産ネブラ・ディスク
ジェイドナイト
増殖するG
×2枚  
×1枚 オネスト
魔法カード(8枚)
×3枚 強欲で謙虚な壺
サイクロン
×2枚  
×1枚 大嵐
先史遺産-ピラミッド・アイ・タブレット
罠カード(13枚)
×3枚 強制脱出装置
デモンズ・チェーン
×2枚 激流葬
奈落の落とし穴
×1枚 神の警告
神の宣告
スターライト・ロード
エクストラデッキ(15枚)
×3枚    
×2枚 ゴルゴニック・ガーディアン
×1枚 ギアギガント X
始祖の守護者ティラス
深淵に潜む者
迅雷の騎士ガイアドラグーン
スターダスト・ドラゴン
セイクリッド・オメガ
セイクリッド・トレミスM7
セイクリッド・ヒアデス
セイクリッド・プレアデス
No.19 フリーザードン
No.33 先史遺産-超兵器マシュ=マック
No.36 先史遺産-超機関フォーク=ヒューク
FA-クリスタル・ゼロ・ランサー

 

 単純にカードパワーが高いということはもちろんですが、そもそも「サーチ+蘇生」という組み合わせは第9期以降のインフレを象徴する凶悪パッケージであり、これを持っているカテゴリが第8期において注目されないはずがなかったからです。

 もちろん、この時期のメタゲームには【征竜】という規格外の怪物が居座っていた以上、流石に環境トップに手をかけるのは難しかったことも事実ではあります。しかし、それでもメタ上位に浮上するだけの勢いは十分に持っており、これ以降は【ヴェルズ】や【海皇水精鱗】に次ぐ有力デッキとして名を馳せていくことになります。

 中でも大きな意味を持っていたのが、デッキの性質上【ヴェルズ】に対して非常に強く出ることが可能だったという事実です。

 「ヴェルズ・オピオン」のメタ効果が全く刺さらないことはもちろん、「先史遺産-ピラミッド・アイ・タブレット」によって下級同士の殴り合いでは絶対の優位性を築けるため、【ヴェルズ】の持つ強みの多くを自然に相殺することができます。800のパンプアップにより「先史遺産ネブラ・ディスク」の打点が「ヴェルズ・オピオン」を綺麗に上回ることも地味ながら重要なポイントであり、2013年後期環境においては中々侮れない存在感を示していました。

 一方で、【先史遺産】自体のデッキパワーが根本的にやや不足していたという弱みもあり、外からの印象ほど順風満帆の状況にあったわけではありません。決して弱くはないもののトーナメントレベルでは精々80点のパワーしか持たないため、やはり真っ向からトップデッキとぶつかり合うのは少々分が悪かったのは確かです。

 

弱点は盤面解決能力の乏しさ 脳筋デッキの悲しみ

 とりわけ【先史遺産】使用者の頭を悩ませていたのが、メインギミックレベルでの盤面解決能力が極めて乏しいという弱点だったのではないでしょうか。

 【先史遺産】はサーチや特殊召喚、そしてレベル変更などの展開準備に長けているテーマですが、逆にそれ以外のことを自力で行うのは困難であり、戦力の確保に関してはエクシーズモンスターに一任するほかありません。よって除去手段なども基本的に「始祖の守護者ティラス」程度しか用意がなく、「何らかの脅威に直面する≒エクシーズモンスターを展開する」という非常に鈍重な動きを要求される(※)ことになります。

(※そもそもエクシーズすら展開できずに詰んでしまうケースも少なくありません)

 これは第8期当時のゲームバランスにおいてはかなり悠長な話であり、あまつさえトーナメントレベルにあっては致命的な遅さです。

 一応、この対策として「ライトロード・ハンター ライコウ(エラッタ前)」をメインから積むなどの手段が取られることもありましたが、やはり根本的な解決にまでは至っていません。

 総評としては、「アドバンテージ獲得やワンキルはできるが除去も妨害もできない脳筋デッキ」という厳しめの評価にならざるを得ず、結果として終始2番手以下の立ち位置に甘んじていた印象はあります。

 

全盛期は2014年2月~4月 【AF先史遺産】の時代

 前置きが長くなりましたが、要するにこうした諸問題を解決したカード群こそが【アーティファクト】であったわけです。

 

サンプルレシピ(2014年2月15日)
モンスターカード(22枚)
×3枚 アーティファクト-モラルタ
先史遺産クリスタル・スカル
先史遺産クリスタル・ボーン
先史遺産ゴールデン・シャトル
先史遺産ネブラ・ディスク
増殖するG
×2枚 アーティファクト-ベガルタ
オネスト
×1枚  
魔法カード(9枚)
×3枚 アーティファクト・ムーブメント
サイクロン
×2枚 強欲で謙虚な壺
×1枚 大嵐
罠カード(9枚)
×3枚 アーティファクトの神智
×2枚 強制脱出装置
激流葬
奈落の落とし穴
×1枚  
エクストラデッキ(15枚)
×3枚    
×2枚 ゴルゴニック・ガーディアン
×1枚 アーティファクト-デュランダル
ギアギガント X
始祖の守護者ティラス
迅雷の騎士ガイアドラグーン
セイクリッド・オメガ
セイクリッド・トレミスM7
セイクリッド・ヒアデス
セイクリッド・プレアデス
No.19 フリーザードン
No.33 先史遺産-超兵器マシュ=マック
No.36 先史遺産-超機関フォーク=ヒューク
No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング
FA-クリスタル・ゼロ・ランサー

 

 話が逸れるため【アーティファクト】自体の解説は後の記事に回しますが、結論から言って【神智モラルタ】の出張セットは【先史遺産】の弱点をおおむね解消するに足るパワーを秘めていました。直接的なシナジーという意味では然程大きな意味は持っていませんが、ランク5エクシーズを展開しやすくなること、また伏せ除去に疑似耐性を付けられることなど間接的なシナジーは多く、この両者を組み合わせることによる相乗効果は侮れません。

 実際、2014年2月から第9期初頭頃までの環境においてはトップメタにまで駆け上がっており、カテゴリの混合による粘り強いデッキパワーを遺憾なく発揮していました。

 【AF先史遺産】としてはもちろん、【先史遺産】としても最も輝いていた時代であり、この3ヶ月弱の期間こそが【先史遺産】最大の全盛期だったと言えるのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 【先史遺産】についての話は以上です。

 元々はアニメ出身のテーマであり、それに伴って控えめな調整が取られていたファンデッキの一種でしたが、先史遺産ネブラ・ディスク」という凶悪サポートを獲得したことで一気に環境入りを果たしています。とりわけ【アーティファクト】という最高のパートナーを得てからの躍進は著しく、実際に当時のトーナメントシーンにおいても多くの実績を残していました。

 とはいえ、こうした次世代デッキですら将来的には第9期のインフレに飲み込まれてしまう辺り、遊戯王OCGの世代交代の早さが嘆かれるのも無理はない話なのかもしれません。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。