【ラヴァル】環境上位へ 2011年の大爆発

2019年7月16日

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【前書き】

 【第7期の歴史21 ラヴァルバル・チェインがみんなのアイドル(値段的に)だった頃】の続きになります。特に、この記事では前後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

「炎熱伝導場」の誕生 【ラヴァル】のロケットエンジン

 デュエルターミナル「-星の騎士団 セイクリッド!!-」から現れた有望株の筆頭、それは「炎熱伝導場」と呼ばれる【ラヴァル】の専用サポートでした。

デッキから「ラヴァル」と名のついたモンスター2体を墓地へ送る。

 テキストは僅か一文のみと非常にシンプルですが、その効果は【ラヴァル】モンスター2体の墓地送りと極めてパワフルです。遊戯王OCGではカテゴリ専用カードは全体的に強力にデザインされやすい傾向にありますが、それを踏まえても無条件で「おろかな埋葬」2枚分の働きをするというのは暴力的な性能と言わざるを得ません。

 なおかつ、【ラヴァル】というカテゴリは墓地肥やしを起点に動くコンセプトで成り立っているため、「炎熱伝導場」の持つカードパワーはカタログスペック以上の可能性を秘めています。分かりやすく言えば「無いとデッキが成り立たない(※)」レベルの超重要カードであり、これ以降は時代を問わず【ラヴァル】の必須サポートとして活躍していくことになるカードです。

(※実際、「炎熱伝導場」獲得前の【ラヴァル】は環境レベルの強さではなく、おおむねファンデッキの扱いを受けていました)

 

実質「暗黒界の雷」 侍女→淑女パッケージの強さ

 そんな「炎熱伝導場」が長年【ラヴァル】の強さを支え続けていたことには、それ自体が実質的に「暗黒界の雷」を内蔵していたという事実も深く関係しています。

自分の墓地に「ラヴァル」と名のついたモンスターが3種類以上存在する場合、自分の墓地に存在するこのカードと「ラヴァル」と名のついたモンスター1体をゲームから除外して発動する事ができる。相手フィールド上にセットされたカード1枚を選択して破壊する。

 上記は【ラヴァル】に属するモンスターの1体、「ラヴァル炎湖畔の淑女」の当時のテキストです。墓地に【ラヴァル】モンスターが3種類以上存在する場合、このカード自身と【ラヴァル】モンスター1体を除外コストに相手のセットカード1枚を破壊する効果を持っています。

 これだけであれば並のカテゴリサポートという性能に落ち着きますが、これを上記の「炎熱伝導場」、そして「ラヴァル炎火山の侍女」と組み合わせることで即座に3種類以上かつ5体の【ラヴァル】が墓地に溜まるため、実質的に「炎熱伝導場」1枚から除去の発動条件を満たすことが可能です。

 もちろん、「炎熱伝導場」本来の目的である墓地肥やしも十分に完遂できるため、展開の下準備とその露払いを同時にこなすことができます。その場合、墓地の【ラヴァル】が2体減るため「真炎の爆発」の威力が若干落ちてしまいますが、それでも従来の【ラヴァル】の弱点であった「激流葬」などをある程度自力でケアできることの意味は計り知れません。

 事実上、おろかな埋葬」×3にノーコストの「暗黒界の雷」がついてきたようなカードであり、この強力かつ無駄のないギミックこそが当時の【ラヴァル】を環境上位に導いたと言っても過言ではないでしょう。

 

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【ラヴァル】の環境入り 後期シンクロ時代の星

 当然のことながら、【ラヴァル】の環境入りは当時の主流デッキにとっても非常に大きな脅威となりました。

 単純に考えても「展開の下準備の過程で「暗黒界の雷」を自然に1回差し込んでくるシンクロデッキ」であり、この時点で既存のシンクロデッキとは一線を画した妨害耐性を備えています。加えて、「ラヴァル・キャノン」による「ラヴァル炎湖畔の淑女」の再利用ギミックも強烈の一言で、これと「ブラック・ローズ・ドラゴン」を絡めての除去連打によって伏せを剥がされてしまうことは多くの場合避けられません。

 もちろん、【次元ラギア】のように標準的に墓地対策を積んだデッキであれば動きの根幹を潰すこともできますが、基本的に地力勝負になるメイン戦で罠カードに信頼を置けないというのはかなり厳しい話です。

 結果として、これ以降の妨害札の役割は「エフェクト・ヴェーラー」や「D.D.クロウ」などの手札誘発カードに徐々にシフトしていくことになります。丁度この時期に現れていた「増殖するG」も含めての誘発環境の到来であり、このタイミングこそが第7期終盤期における高速環境のスタート地点であったと言っても過言ではないでしょう。

 とはいえ、本格的に誘発環境が訪れるのはむしろ来月の【甲虫装機】の台頭からであり、この時点ではまだ十分に罠が強いゲームバランスが成立していました。いくら【ラヴァル】が妨害に強いとはいえシンクロデッキ特有の脆さが失われたわけではない以上、ゲーム展開によっては「奈落の落とし穴」1枚であっさり止まってしまうケースも少なくなかったからです。

 

【TG代行天使】には勝てなかった時代

 さらに、この時に【ラヴァル】の壁として立ち塞がったのが当時の環境トップである【TG代行天使】でした。

 デッキパワーの高さもさることながら、元々「朱光の宣告者」を標準搭載している関係で【ラヴァル】の伏せ剥がしにも一定の耐性を持っていたことが特に障害になっていたと言えます。ラヴァル炎湖畔の淑女」はもちろん、そもそも起点となる「ラヴァル炎火山の侍女」を奇襲的に潰してくるというのは非常に苦しいものがあり、【TG代行天使】を相手にする上では常にこれに怯えながらゲームを進めなければなりません。

 幸いだったのは【TG代行天使】側にとっても「朱光の宣告者」は重いカードであり、安易な複数積みは避けられる傾向にあったということですが、それでもゲーム中に1枚も姿を見かけないケースは稀です。結局のところ、相手の妨害よりも早く「炎熱伝導場」を通すところから全てを始めなければならない以上、多くの局面においてワンテンポ出遅れる弱み(※)が最後まで足を引っ張っていた印象はあります。

(※それどころか、キーカードのサーチ手段を「封印の黄金櫃」に頼るケースも多く、文字通りツーテンポ以上出遅れることも少なくありませんでした)

 もちろん、噛み合い方によっては一方的に伏せを引き剥がしてワンキルを決めるといった爽快なゲーム展開に持ち込めることもありましたが、全体の割合としては着火前に踏み消されてしまうシチュエーションの方が目立っていたのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 2011年環境の【ラヴァル】についての話は以上です。

 これまでは爆発力の高さは認識されながらもファンデッキ扱いを抜け出せずにいたカテゴリでしたが、この時に「炎熱伝導場」という起爆剤を得たことで一気に躍進を果たしています。その勢いはこれ以降のOCGにおける誘発環境到来の原因の一端を担ったほどであり、影響力に関して言えば並の環境デッキを超えている部分もありました。

 反面、実戦環境においては見た目以上に苦しい立場に置かれていたことも事実ですが、それでも後期シンクロ時代を代表するデッキの一つとして数えることに不足はない存在です。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。