ハリファイバーはいつ禁止行きになるのか? 規制を免れ続ける理由
・前書き
・最有力は2019年1月、しかし……
・逆に禁止にならないのでは? 周りを潰す改訂
・禁止行きの噂の再燃 運命の分かれ目は4月
・おまけ ハリファイバーの犠牲者一覧まとめ
・まさかの禁止行き なぜ今更?
・まとめ
【前書き】
遊戯王OCGの中に、「水晶機巧-ハリファイバー」と呼ばれるカードが存在します。
チューナー1体以上を含むモンスター2体
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。手札・デッキからレベル3以下のチューナー1体を守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは、このターン効果を発動できない。
②:相手のメインフェイズ及びバトルフェイズにフィールドのこのカードを除外して発動できる。EXデッキからSモンスターのチューナー1体をS召喚扱いで特殊召喚する。
【水晶機巧】カテゴリに属するカードの1枚であり、現環境最強の汎用リンクモンスターとして名を馳せているパワーカードです。具体的な強さや活用方法については最早語るまでもないほどであり、2017年末に現れて以降、遠からず禁止カード行きになると囁かれ続けています。
にもかかわらず、誕生から1年が経過する今なお無制限カードに居座っているなど、何かと話題に事欠かない曰く付きの存在です。カードパワーそのものは明らかに禁止カード級に突っ込んでおり、これが規制を免れている現状に商業的な理由が絡んでいることは間違いありません。
しかし、こうした「規制の先送り」が永遠に続くわけではないのも確かです。もはや「水晶機巧-ハリファイバー」がいずれ禁止行きになることは現役プレイヤーの間では周知の事実であり、あとはそれがいつ実行されるかという「時間の問題」とも言えるでしょう。
この記事では、その具体的な時期について簡単に考察していきます。
最有力は2019年1月、しかし……
とはいえ、これに関しては考察を膨らませる余地もそう多くはありません。結論を先に申し上げれば、次回の改訂である2019年1月に禁止カード行きになるのではないか、というのが個人的な推測です。
一つ目の根拠としては、前回の改訂で「サモン・ソーサレス」が禁止カード行きになっていることが挙げられます。
というのも、これまで「水晶機巧-ハリファイバー」が規制を免れていた理由のうち、最も有力視されていたのは「禁止カード指定を受けたリンクモンスターが存在しないこと」だったからです。遊戯王OCGの販売戦略上、新召喚法に対応するモンスターは比較的規制が甘くなる傾向にあるため、このタイミングで禁止カードが出たという事実はそのフィルターが取り払われたことを示していると受け取れます。
ただ、これだけでは根拠としては少々弱いという印象もないわけではありません。
もう一つの根拠は、ここ最近になってシンクロ絡みのテコ入れが増してきていることにあります。
「水晶機巧-ハリファイバー」は汎用展開リンクモンスターとしての顔が特に有名ですが、その他にもルール変更で打撃を受けた【シンクロ召喚】の救済措置という側面も併せ持っていました。つまり、ここに来てそのサポートが手厚くなっているということは、逆に「水晶機巧-ハリファイバー」という補助輪を外しにかかっていると考えることができます。
今のところ、直接的な「水晶機巧-ハリファイバー」の後継カードと呼べるものは現れていませんが、この調子ではいつ登場してもおかしくありません。そしてその時が「水晶機巧-ハリファイバー」の最期になるというのは、恐らく既に何度も議論されていることなのではないかと思われます。
その他、やや邪推が含まれる推論ですが、いわゆるデベロップレベルにおける悪影響も理由の一つです。「水晶機巧-ハリファイバー」を起点とすることで容易にリンク4まで繋がってしまう現状を踏まえると、開発側としても大型リンクモンスターをデザインしにくくなっているのではないか、という裏読みもあながち的外れとは思えません。
一応、リンク素材にチューナーを要求する縛りこそありますが、「灰流うらら」「エフェクト・ヴェーラー」などの手札誘発の採用率を鑑みれば無いも同然の制約です。むしろ「水晶機巧-ハリファイバー」の存在がチューナー系誘発の流行を推し進めている向きもあり、これについて何らかの対応が必要になりつつあるというのは多くのプレイヤーが認識するところでもあります。
いずれにしても、「リンク2≒リンク4」という図式を成り立たせる「水晶機巧-ハリファイバー」の存在がゲームバランス調整の負担となっている可能性は高く、そのことが販促能力の高さというメリットを超えつつあっても不思議ではないでしょう。
よって、「水晶機巧-ハリファイバー」の禁止カード化までが秒読みの段階にあることはほぼ間違いないと見ていいのではないでしょうか。
逆に禁止にならないのでは? 周りを潰す改訂
と、このような考察をしたはいいものの、蓋を開けてみれば2019年1月の改訂では「水晶機巧-ハリファイバー」は制限カード止まりとなり、禁止カード指定は辛くも免れた格好です。
とはいえ、「水晶機巧-ハリファイバー」は元々1枚挿しが主流であり、この規制自体はあまり大きな意味を持っているとは言えません。
代わりに「グローアップ・バルブ」「BF-隠れ蓑のスチーム」らが禁止カード指定を受け、間接的に「水晶機巧-ハリファイバー」からの展開に弱体化修正が入った(※)格好となります。また、直接リクルートできるカードではありませんが、同じく禁止行きとなった「ダンディライオン」とも無関係ではありません。
(※これにより、上記で取り上げた「リンク2≒リンク4」という図式はひとまず解消されたことになります)
こうした状況を踏まえる限り、「水晶機巧-ハリファイバー」の周りを潰していく意図が現れた改訂であることは疑いようもなく、逆に「水晶機巧-ハリファイバー」自体には規制が入らないのではないか? という憶測が浮かび上がる次第です。
実際、妥協点としては頷ける決定ではあり、今後も似たような形で規制の手が加わっていく可能性も十分に見受けられます。
一方、これとは全く逆の考え方として、この規制を「水晶機巧-ハリファイバー」の禁止カード化の布石と捉える層が一定数存在するのも確かです。現実問題、こうした周辺対応による規制の引き延ばしが永遠に続くかというと難しいところもあり、「ファイアウォール・ドラゴン」がそうであったように、いずれは禁止カード行きにせざるを得なくなる可能性は決して否定できません。
とはいえ、そう言われつつも何度も制限改訂から生き残っていることも間違いなく、逆に禁止カード行きにするタイミングを逸している印象もあります。
というより、今となっては「水晶機巧-ハリファイバー」の存在を前提としたカードプールが組み上がってしまっている面もあり、これが使えなくなることで逆にゲームバランスが崩れてしまうリスクもないとは言えません。よって開発側の意向として、何らかのきっかけがない限り禁止カード化に踏み切るメリットがなくなってきている可能性が高いです。
個人的な見解としては、以前は周辺対応の規制で時間を稼ぎつつ、タイミングを見計らって禁止カード指定に踏み切るのではないかという印象を抱いていましたが、今は流石にそろそろ峠を越えつつあるのではないかという認識を持っています。「水晶機巧-ハリファイバー」はコンボの成立を助ける展開カードではあるものの、「ファイアウォール・ドラゴン」のように直接コンボを成立させるコンボパーツにはなりえないため、最悪の場合「周りを潰す改訂を取れば無理矢理生存させることはできる」というのが主張の根拠です。
禁止行きの噂の再燃 運命の分かれ目は4月
ところが、近年になって「水晶機巧-ハリファイバー」禁止カード行きの噂が再燃してきていることについては触れておかなければなりません。
噂の根拠となっているのは、2020年4月に施行される新ルールの存在です。
話が逸れるためここでは新ルールについての説明は省きますが、簡単に言えば今後はリンクモンスターに依存せずにエクストラデッキのモンスターを自由に展開できるようになりました。「なった」というよりは「戻った」と表現するべきではありますが、いずれにしてもこのルール変更によって「水晶機巧-ハリファイバー」の必要悪的な側面が少なからず薄れたことは間違いありません。
また、上記項目で「禁止行きにするタイミングを逸している」という言葉を用いましたが、これもルール改訂そのものが「水晶機巧-ハリファイバー」禁止カード化の丁度良い機会になると開発側に判断される可能性はあります。
つまり、当記事で取り上げた「ハリファイバーが禁止行きにならない根拠」の多くが失われることになるため、第10期の終了とともに円満引退を迎えることになっても決して不思議ではないでしょう。
逆に言えば、このタイミングで禁止行きにならないのであればほぼ安泰ということでもあり、月並みな表現ですが4月の改訂が運命の分かれ目になるのではないかというのが個人的な見解です。
おまけ ハリファイバーの犠牲者一覧まとめ
その他、おまけとして「水晶機巧-ハリファイバー」に巻き込まれて禁止カード行きになったと思われる犠牲者を一覧表にまとめておきます。
BF-朧影のゴウフウ | 2018/4 |
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サモン・ソーサレス | 2018/10 |
【サモンソーサレスが禁止カードになった理由】 | |
グローアップ・バルブ | 2019/1 |
【第7期の歴史3 グローアップ・バルブ誕生 【植物シンクロ】出張ギミックの流行】 | |
BF-隠れ蓑のスチーム | 2019/1 |
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星杯の神子イヴ | 2020/4 |
【星杯の神子イヴが禁止カードになった理由】 | |
リンクロス | 2020/7 |
【リンクロスが禁止カードになった理由】 |
いずれも単体で禁止カード級のパワーを秘めた面々ではありますが、それ以上に「水晶機巧-ハリファイバー」とのシナジーが狂っており、実質的には「水晶機巧-ハリファイバー」を生かすために犠牲になったことが窺えます。平均するとおおよそ2改訂に1人のペースで殺札を重ねていることが見て取れますが、当の本人はいまだ制限止まりという始末であり、完全に何らかの権力によって事件をもみ消されています。
もちろん間接的なものも含めれば犠牲者は上記の面々に限らず、むしろほぼ全ての展開系カード及び展開先カードの規制に影響を与えていると言っても過言ではないでしょう。
こうして見ると「水晶機巧-ハリファイバー」の存在がOCG環境を歪めていることは一目瞭然ですが、上記の解説の通りこれを禁止行きにしてしまうと商業的にもゲームバランス的にも未曽有の大混乱が発生することが目に見えている以上、恐らくは今後も代わりの犠牲者が増え続ける見通しです。
まさかの禁止行き なぜ今更?
ところが、第11期突入から2年以上が経過する2022年7月の改訂において「水晶機巧-ハリファイバー」の禁止行きが電撃的に発表され、各地で話題騒然となっています。
実際のところ、上記でも解説した通りですが「水晶機巧-ハリファイバー」のカードパワーは率直に言って壊れており、むしろ並の禁止カードを上回っている面もありました。よって禁止カードに名を連ねる資格があるかどうかという意味では間違いなくその資格を持つ、というよりどちらかというと今まで制限カードだったことの方が不自然なカードであると言えます。
しかしながら、そうした背景を理解した上でなお「どうして今更になって禁止行きにしたのか?」という疑問がちらついてしまうこともまた事実ではあります。
既に述べたように現在の遊戯王OCGは「水晶機巧-ハリファイバー」の存在を前提に成り立っていた側面があるため、これを禁止行きにすることの影響は文字通り計り知れません。この「成り立つ」という表現は環境云々という領域を通り越し、もはや遊戯王というゲームそのものにまで影響が至っていたと言っても過言ではなく、私自身これから一体何が起きるのか想像がついていない状態です。
ひとまず目先の影響という意味では「幻獣機アウローラドン」を利用したハリラドンギミックが使えなくなったことはそれなりに大きな影響がありますが、そもそも根本的にそういう次元の話ではなくなってしまっており、今後の遊戯王がどう動いていくのか、それ以前にむしろ何を話せばいいのかすら分かりません。
無理やり具体的な例を並べていくと「ジェット・シンクロン」などのチューナーの価値が下がること、「アクセスコード・トーカー」「神聖魔皇后セレーネ」を利用したアクセスセレーネ展開が消滅すること、「水晶機巧-ハリファイバー」に初動を依存していた各種デッキが大打撃を被ること、「TG ワンダー・マジシャン」の使い道がほぼ【TG】デッキ専用になること、【デビフラワンキル】で遊べなくなること、よく分からないデッキと当たった時に誘発の当てどころにする目安が無くなること、「灰流うらら」を通常召喚する機会が減っていくであろうことなど、「水晶機巧-ハリファイバー」禁止カード化の影響は極めて大規模な範囲に及んでいます。
とはいえ、こうして1つ1つ個別の例を取り上げていっても不毛すぎることは否めない以上、とりあえず全てにおいて影響があると言ってしまっても差し支えないのではないでしょうか。
むしろ影響があまりに大きすぎてそれくらいしか言えることがない、というのが正直な心境ではあるのですが……。
【まとめ】
「水晶機巧-ハリファイバー」の禁止カード化についての考察は以上となります。
いずれ禁止カードになると囁かれながら、実際に制限カードにまで追い詰められている禁止予備軍ではありますが、複数の思惑から今後もしぶとく生き残っていきそうな気配を見せているカードです。一方で、ここに来て再び禁止カード行きの噂が囁かれ始めるなど、動向が中々読めない不安定なカードでもあります。
個人的には、こうした考察はさておき、そもそも「水晶機巧-ハリファイバー」というカードは根本的に強すぎる、むしろ並の禁止カードより凶悪とも考えていますが……。
ここまで目を通していただき、ありがとうございます。
ディスカッション
コメント一覧
ジャンドをはじめとしたファンデッキ救済の側面もあるかもしれませんね
コメントありがとうございます。
昔は周辺カードの脅威もあって随分暴れ回っていた時期もありましたが、今となってはむしろハリファイバーの存在を前提としたバランスが組み上がってしまった感があるため、現状あえて禁止行きにするメリットはないという所感です。というより、禁止行きにすると逆の意味でゲームバランスが崩れる恐れもあり、迂闊に手を出せないというのが実際のところなのかもしれません。
ついにハリも禁止になってしまいましたね…
これまで数多くのカードを禁止に追いやりながら許されてきたカードがついにトドメを刺される、という結末はどことなく前回改訂のアナコンダを思わせますね
現代遊戯王のインフラとして許容され続けるのでは?と思われていた背景もそっくりですし
コメントありがとうございます。
個人的にハリファイバー禁止は全く想像すらしていませんでしたので、今回の規制は非常に驚かされました。どういう影響があるのか、そもそも影響がない部分があるのかというレベルの話ですし、今後の動向が少し怖いところではあります。
遂に禁止に・・・
多分スプライトの影響なんだろうけど今思えばハリファイバーや餅カエルを潰すためにスプライト作ったんじゃと思える今日この頃
コメントありがとうございます。
ハリファイバーとスプライトに関しましては、関係はあるものの直接の規制理由になるほどかと言われると、流石にそこまでの影響力は無かったように思います。(あくまでも個人的な認識ですが……)
どちらかというと明確な規制理由自体よく分からない改訂という印象は受けますし、なぜ今更……という気持ちがどうしても出てきてしまう次第です。
ハリファイバーについて、これから何が起こるのかわからない、というのはまさにそうですね……。
競技シーン以外にも、数々のデッキがメイン・サブギミックにハリファイバーを採用していて、それがまるっとなくなってしまうと、一体どうなってしまうのか。
これからOCG全体のゲーム性が変わる……というと少し大げさですが、モンスター+チューナーが並ぶことへの警戒心みたいなものはしばらく抜けそうにないです。
個人的には10期→11期になったとき以上に、一つの時代が終わった感覚がしています
コメントありがとうございます。
ハリファイバーは単純なギミックという域を超えた一種のライフラインと化していたように思いますし、界隈の反響も含めて影響があまりにも大きすぎる改訂だったと感じます。世間ではハリファイバーの後継者が模索されている状況ですが、やはりハリほどの存在ともなると中々難しいところもあり、今後の新規カードで何かしらの救済措置を期待したいところです。
リンク稼ぐとかは単純に強いだけなんでなんとかなったりならなかったりするんですけど、シンクロ召喚的には足し算をエクストラデッキから崩壊させる(5+5+1チューナー=8シンクロとかが出る)能力は他にほぼ無いのでかなり辛いものがありますね…
スプライト関連とのシナジーだとスプライトエルフと組んで宣告者の神巫を効果無効無しで呼べたので、これを利用するデッキが結果を残すと宣告者の神巫ちょっと危ないかなとか思ってたので少し安心したような気分でもあります
既に代行者がアース1枚から対象耐性付きクリスティアを立てられるなど愉快なことになっていたので使ってみたくもありましたが
コメントありがとうございます。
ハリファイバーは当初はシンクロの救済措置的な側面があり、実際にシンクロ界隈を支えてきた実績もあるカードですが、それだけにこれを唐突に失った時のダメージは計り知れないものがあったように思います。もちろんシンクロ以外の受けたダメージも甚大で、近年の改訂の中でもとりわけ手厳しさを感じてしまう規制でした。
スプライトはテーマ自体のパワーの高さに誤魔化されそうになりますが、スプライトエルフも単純にリンク2として地味におかしなスペックをしていますし、最近の次世代テーマのパワーには驚かされるばかりです。
結局の所コナミ自身にもハリファイバーをコントロールしきれない
というのが禁止になった一番直接的な理由だと思います
記事内でも散々触れられていますが
チューナーがデッキにある+そのカードを場から移動することで起動するギミックがある
この広すぎる条件だけでハリファイバーはシナジーを作り初めます
これによって起こる展開を全て把握して潰し続けるというのは開発リソースの負担であり正直言って浪費でさえあると思います
巷で噂されているスプライトにおけるコンボも禁止の理由になったとすれば
それは強いからではなくコナミが想定してない場所を走っていたからではないかと思います
総じて考えれば一部ファンデッキの弱体化などを考慮してさえもハリファイバーの禁止は妥当以外の何物でもないと思います
コメントありがとうございます。
ハリファイバーは召喚が容易な上、根本的にできることがあまりにも多すぎるというある種のオーパーツじみた存在で、結局のところバランスを制御し続けようとするのは土台無理なカードだったように思います。このカードから出せるチューナー群は言うに及ばず、ラドンのようなハリファイバーから展開可能な各種リンクモンスターの調整にすら気を配る必要がある以上、開発側の負担を考えてももはや生かしておくことは不可能だったということなのかもしれません。