【フロフレホルス】の現役時代 2007年下半期の奮闘

2019年1月7日

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【前書き】

 【第5期の歴史22 E・HEROオーシャン専用デッキ 【オーシャンビート】の成立】の続きになります。ご注意ください。

 遊戯王OCG最凶格のターボモンスター「D-HERO ディスクガイ(エラッタ前)」の誕生によって【ディスクライダー】が成立し、当時のメタゲームに少なくない衝撃が走りました。

 また、その後を追うように【オーシャンビート】も産声を上げ、中堅クラスながら一定の戦績を残しています。流石に【ガジェット】や【ライダー】系ほどの活躍は見込めませんでしたが、【HEROビート】の初期型を務めたということもあり、ある意味では非常に息の長い歴史を辿ることになるデッキです。

 そんな折、続く5月中旬にて大きなカードプールの更新が入ります。

 

タクティカル・エボリューション 宝玉神VS毒蛇神

 2007年5月12日、レギュラーパック「TACTICAL EVOLUTION」が販売されました。新たに80種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2796種類に増加しています。

 不作気味であった前弾と異なり非常に見どころの多いラインナップで、数々の良カード群が収録されているパックです。【オーシャンビート】の有力な新人として注目された「E・HERO アナザー・ネオス」を筆頭に、【水晶帝】のキーカードとなった「水晶の占い師」など、即戦力となる優秀なカードが参戦してきています。

 将来的な影響としても、一時期は制限カードにまでなった「ネクロ・ガードナー」、【アンデット族】の主力「ゾンビ・マスター」、【ペンデュラム召喚】全般のサーチカード「召喚師のスキル」といった面々が出揃っており、まさしく粒揃いの収録内容と言うほかありません。

 その他、初のホログラフィックレアを飾った「究極宝玉神 レインボー・ドラゴン」を始めとするコレクター向けカードも目を引きます。とりわけ、神をも超える超耐性を誇る「毒蛇神ヴェノミナーガは今なお根強いファンを持つ人気カードなのではないでしょうか。

 

通称フロフレ 調整版カオス「氷炎の双竜」

 そんな中、当時のプレイヤーの間で特に注目を集めていたのは「氷炎の双竜」というモンスターでした。

このカードは通常召喚できない。自分の墓地の水属性モンスター2体と炎属性モンスター1体をゲームから除外する事でのみ特殊召喚する事ができる。手札を1枚捨てる事でフィールド上のモンスター1体を破壊する。この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 特殊召喚モンスターの1体で、墓地から「水属性2体、炎属性1体」を除外して特殊召喚する召喚条件を与えられています。調整版【カオス】である「天魔神」シリーズの更なる調整版のようなデザインが取られており、攻守それぞれのステータスも「カオス・ソーサラー」と同じ数値です。

 効果に関しては手札コストつきのモンスター除去となっており、実質的には「死者への手向け」を内蔵したモンスターと考えて差し支えありません。もちろん、カード単体で見た性能は「カオス・ソーサラー」に遠く及びませんが、この頃は「カオス・ソーサラー」が禁止カード指定を受けていた背景を踏まえる限り、当時としては及第点のカードパワーを備えていたと言えるでしょう。

 ただし、やはり【カオス】と違って除去効果にコストを要求される点が苦しく、これを運用する上では一定の重荷として伸しかかります。一応、バニラ状態でもそこそこの働きは期待できるとはいえ、除外コストが割高になっていることを考えれば専用デッキを組んでこそ輝くモンスターです。

 しかし、逆に隠し味としてピン挿しする程度であればそれほど大きな負担とはならず、「召喚権を使用しない除去持ち上級打点」のような感覚で比較的気軽に投入を検討できます。実際に上記で少し触れた【水晶帝】などでも採用実績を残しており、そのことからも「氷炎の双竜」が十分に環境クラスのスペックを秘めていたことが窺えるのではないでしょうか。

 

 そんな「氷炎の双竜」最大の活躍の場として整えられたのは、俗に【フロフレホルス】と呼ばれるコントロールデッキの一種でした。

【お触れホルス】の歴史・時代ごとのデッキレシピまとめ

 名前の通り【お触れホルス】を下敷きとするデッキであり、「デビル・フランケン」の禁止カード化で消滅した【フラホルス】の後継と言える存在でもあります。

 簡単にコンセプトをまとめれば、「ホルス」シリーズが炎属性であることに着目し、「ハイドロゲドン」などの優秀な水属性モンスターを投入することで打撃力の補強を図ったデッキです。全体的に本家と比べてピーキーな構成が取られており、コントロールという分類からは想像もできないほど前のめりなデッキと言えるでしょう。

 そんな【フロフレホルス】最大の特徴は何と言っても「未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)」に関連したギミックで、展開の要はこれによる大量墓地肥やしにあると言っても過言ではありません。

 融合先に指定されるのは当然「F・G・D」ですが、なんと当の「氷炎の双竜」こそがOCG最初の水属性ドラゴンだったため、初期型のこの頃は水属性を肥やしにくいという欠点もありました。

(この問題は3ヶ月後に現れた「ブリザード・ドラゴン」によって解決されています。)

 ともあれ、このギミックは「氷炎の双竜」の召喚コストとしてはもちろん、龍の鏡」や「次元融合」などの【未来融合】系コンボの起点にもなるのが魅力です。流石にかつての【未来オーバー】ほどの爆発力はありませんが、少なくともゲームの方向性を決定付けるだけの展開力を持っていることは間違いないでしょう。

 また、「次元融合」は元々「氷炎の双竜」とシナジーするということもあり、コンボを狙わず単純に帰還カードとして使っても十分な強さを発揮します。特にこの時期は【デミスドーザー】対策などの関係で「奈落の落とし穴」が流行っていたため、除外された「ホルスの黒炎竜 LV6」を戻すために撃つという機会も意外と少なくありません。

 総じて「デビル・フランケン」が抜けた穴は十分にカバーできていたと言ってよく、まさしく次世代の【お触れホルス】の名に恥じないデッキに仕上がっていたのではないでしょうか。

 

逆風のフロフレ 最後まで中堅を抜け出せず

 とはいえ、当然のことながら【フロフレホルス】にも弱点はあり、むしろ全体的には弱点の方が目についてしまうことは否めません。

 最大の欠陥はやはり手札事故の問題で、まず間違いなく【ホルス】系の中では最も不安定なデッキです。通常の【お触れホルス】が汎用カードで固める枠にコンボギミックを詰め込んでいるため、おおよそ3回に1回は事故を起こすものと覚悟しておく必要があります。

 また、ゲーム序盤における立ち回りの鈍さも厳しい課題の一つです。極端な話、【フロフレホルス】は墓地が肥えるまでは劣化版【お触れホルス】のようにしか動けないため、序盤の不利を引きずったままゲームを落としてしまうといったことも少なからず起こり得ます。

 例外は制限カードである「未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)」を最初から握っている場合、もしくは「魔導雑貨商人」や「カードガンナー」が上手く仕事をした場合などですが、どちらも運が絡むことは言うまでもありません。基本的に「氷炎の双竜」の着地には4~5ターンかかるケースがほとんどであり、攻撃的なコンセプトに反して立ち上がりは非常に緩やかなデッキです。

 こうした構造的な弱点のほか、環境におけるポジション的な都合も問題として立ち塞がります。

 例えば、元々モンスターが小粒な【ガジェット】相手には「氷炎の双竜」はあまり効果的ではなく、むしろ純正の【お触れホルス】の方が安定して優位性を築けるでしょう。【ライダー】や【帝コントロール】に至ってはそもそも【お触れホルス】のギミック自体が効きづらいため、逆にこちらが対策を考えなければならないという始末です。

 トップメタ以下に視点を落としても、【デミスドーザー】には速度で劣る上に「王宮のお触れ」が友情コンボになり、【サイカリバー】ほか純正ビート系にはデッキの地力や安定性で後れを取っています。明確に有利と言えるデッキは「探さなければ見つからないレベル」であり、つまり端的に言ってデッキコンセプトが明らかにメタに噛み合っていません。

 実際、【フロフレホルス】が残した実績はそれほど多かったとは言えず、その現役時代もかなり短めです。総合的にはぎりぎり中堅に手が届いているという評価にとどまり、厳しい目で見れば「大会でも結果を残せる可能性のある中堅デッキ」と言われても否定は難しいデッキだったのかもしれません。

 

【まとめ】

 「氷炎の双竜」についての話は以上です。

 調整版【カオス】のようなカードとして環境に参入、優良カードとして【水晶帝】などで採用実績を残し、やがては専用デッキである【フロフレホルス】を成立に導いています。しかし、様々な要因から厳しい立ち位置を抜け出すことができず、あまり見せ場が訪れないままメタゲームから撤退してしまうことになりました。

 とはいえ、衰退気味だった【お触れホルス】に今一度脚光を集めた功績は意外に侮れません。時代の変化という逆風に晒されながらも奮闘を続けた末の努力の結晶とも言えるデッキであり、単純な強さでは測れない価値を秘めていたのではないでしょうか。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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