手札抹殺現る デッキ破壊の復権

2018年1月19日

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【前書き】

 【第2期の歴史17 制限改訂2000/11/1 苦渋エクゾ規制されず】の続きになります。ご注意ください。

 2000年11月1日の制限改訂によって【デッキ破壊】がやや勢いを落とし、【グッドスタッフ】も少なからず被害を被りました。その一方で【苦渋エクゾディア】に対しては規制がかからず、相対的に環境における支配力を高める格好となります。

 その後、同年11月21日にVジャンプの付録で「絶対防御将軍」が誕生するなどの小さな出来事があったものの、環境は穏やかに推移していきました。

 しかし、同月にスターターデッキの第3弾が販売され、その状況に振動が走ります。

 

【EX-R 必須カードの再録と強力な新規】

 2000年11月23日、「EX-R」が販売されました。収録内容は前スターターの「EX」を下敷きにしており、新規カードは2枚しか含まれていません。

 前書きで取り上げた書籍同梱カードと合わせて、遊戯王OCG全体のカードプールは893種類と微増に収まる格好となっています。また、そもそも再録元の「EX」もこの時期はまだショップに在庫が残っており、入手は難しくない状況でした。定価も3000円と割高だったこともあり、再録目当ての購入はそれほど多くはなかったのではないでしょうか。

 そうした事情から、この「EX-R」の実質の購入目的は新規カードに集まる形となっていました。

クロス・ソウル 相手モンスターを生け贄に

 1枚目の新規カードは「クロス・ソウル」という魔法カードです。

・このカードを使用する場合、使用ターン自分はバトルフェイズを行う事ができない。フィールド上の相手モンスター1体を自分のモンスターの代わりに生け贄として使用できる。

 相手モンスター1体を生け贄に使用できる効果を持っています。ただし、その代償として発動ターンはバトルフェイズを行えなくなるデメリットが課せられています。

 相手のエースモンスターを生け贄に上級モンスターを召喚するなど、ある部分においては「心変わり」に近い働きすら期待できる面白いカードです。特に当時はリバースモンスター全盛期であり、セットモンスターに安全に対処できるこのカードは当初は高く評価されました。

 しかし、バトルフェイズを行えなくなるデメリットの存在から、考えなしに採用できるカードというわけでもありません。分かりやすい損失はないものの、額面以上に失うものは大きく、これが原因で逆に不利になってしまうケースも多々見られます。

 何より、これ単体では全く仕事をしないという欠点が足を引っ張ってしまいます。【グッドスタッフ】の理念からはやや外れてしまう格好となり、採用率は次第に落ち着いていきました。

手札抹殺 手札交換カードの代表

 本命の2枚目は「手札抹殺」です。

・お互いの手札を全て捨てた後、それぞれ自分のデッキから捨てた枚数だけカードを引く。

 お互いに手札を全て捨て、その枚数分ドローするという効果となっています。ただし、自分は「手札抹殺」の分のディスアドバンテージを負うため、単純に使うだけでは損をしてしまうことには注意しなければなりません。

 しかし、このカードはそうしたデメリットが問題にならないほどのカードパワーを秘めています。様々な面においてコンボに組み入れる余地があり、むしろ純粋に手札交換目的で採用されることの方が稀なケースであったほどです。

 この時期はまだ真価を発揮できる土壌が整えられていませんでしたが、それでも利用方法は多く、数少ない新規カードだったことも手伝ってプレイヤーの注目を集めていました。

 当時、このカードの誕生を最も喜んだのは【デッキ破壊】でした。

 「手札抹殺」はその性質上、デッキ破壊効果を持ったカードとして扱うこともできます。そのため【デッキ破壊】においては「相手の手札の枚数分、相手のデッキを削るカード」として運用可能です。もちろん手札交換カードの役割を兼ねることもできるため、デッキ破壊を進めると共に不要牌を効果的に捌いていけます。

 結果的に、この「手札抹殺」を得た【デッキ破壊】制限改訂で失った「攻め手」と「回転力」をある程度取り戻すこととなり、当時の環境での立ち位置をしっかりと固め直しました。崩れかけた足場を補強した格好であり、これを仮想敵とするデッキにとっては悪い知らせです。

 特に【苦渋エクゾディア】は手札破壊を苦手としており、やや難しい状況に立たされることになります。

 運悪く初手に「封印されしエクゾディア」を握ってしまい、手札抹殺」で捨てさせられて即ゲームセットといったシチュエーションも珍しいことではありません。かといって、デッキに残しておいてもデッキ破壊で墓地に落ちてしまう危険があり、常に苦しい選択を強いられる形となりました。

 

【当時の環境 2000年11月23日】

 「手札抹殺」の誕生で【デッキ破壊】が再び勢力を盛り返し、環境の最大勢力として復活を果たします。

 その一方で【苦渋エクゾディア】がやや厳しい状況に追い込まれ、何らかの対策を求められることになります。とはいえ、直接的な打撃ではなく、あえて手札破壊を無視して逃げ切ってしまうパターンも散見されました。

 【グッドスタッフ】では「手札抹殺」が使われるケースは少なく、ほとんど状況が変わっていません。一部では「クロス・ソウル」が試されることもありましたが、やはり扱いにくさが足を引っ張り、目立った活躍はありませんでした。

 ファンデッキの動向としましては、【リアニメイト】がデッキパワーを高めています。

 「手札抹殺」の誕生により、手札で腐りやすかった上級モンスターを手軽に処理できるようになったことがその理由です。同じ理由で「クロス・ソウル」とも相性が良く、デッキの主要パーツとしての立場を確立していきます。

 結論としては、環境トップ周辺は再び三つ巴の状況に立ち返る格好となり、またもや苛烈な勢力争いが繰り広げられることになりました。

 

【まとめ】

 「EX-R」の販売によって起こった変化については以上です。

 新規カードの少なさから急激な変化は現れていませんが、それでも「手札抹殺」の誕生が環境に与えた影響は決して無視できません。力を失いかけていた【デッキ破壊】が一気に勢いを取り戻すほどであり、カード1枚が及ぼしたものとしては非常に大きな作用となっていました。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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