【最強?】禁止制限無視【エクゾディア】ワンキルデッキガチ構築考察

2021年1月8日

【前書き】

 禁止制限を無視した完全体【エクゾディア】の最強神話は真実なのか?

 遊戯王OCGにおける特殊勝利系の先攻ワンキルデッキの開祖であり、ワンキルと言えば【エクゾディア】を連想するのは決闘者の本能のようなものと言っても過言ではありません。現在では流石に素のデッキパワーは高いとは言えなくなってしまっていますが、逆に「禁止制限を無視すれば最強」との声も多く、【エクゾディア】自体の高い知名度もあって世間一般層では最強の極悪禁止デッキのように語られることもしばしばあります。

 もっとも、世間一般層ではと断っている通り、実際のプレイヤー視点ではそうとも言えない部分も少なからずあるのが現実なのですが、それはそれとして禁止カードを大量搭載した【エクゾディア】の底力が如何ほどのものかが気にかかることも確かです。

 この記事では、可能な限り実戦を見据えた【エクゾディア】デッキ、いわゆるガチ構築について考察していきます。

 

成功率ほぼ100% メインデッキの構成について

 まずは前置きとして最も有名なタイプの【エクゾディア】を取り上げます。

 

サンプルデッキレシピ(ドロー特化型)
モンスターカード(5枚)
×3枚  
×2枚  
×1枚 封印されしエクゾディア
封印されし者の左足
封印されし者の左腕
封印されし者の右足
封印されし者の右腕
魔法カード(35枚)
×3枚 一時休戦
命削りの宝札
擬似空間
苦渋の選択
強欲な壺
チキンレース
テラ・フォーミング
天使の施し
成金ゴブリン
無の煉獄
×2枚 強欲で謙虚な壺
×1枚 打ち出の小槌
三戦の才
闇の量産工場
罠カード(0枚)
×3枚  
×2枚  
×1枚  
エクストラデッキ(0枚)
×3枚    
×2枚    
×1枚    

 

 

 恐らく一般的に【禁止制限無視エクゾディア】と聞いてイメージすると思われるオーソドックスな構築(※)であり、強欲な壺」「天使の施し」などのお馴染みの極悪ドローソースを筆頭に大量のドローカードが詰め込まれています。エクゾディアパーツ及びピン挿しの「闇の量産工場」以外の全てのカードがドローソースであり、なおかつそのほとんどが1:1交換以上の性能であるため、先攻ワンキル率はほぼ100%と言って差し支えありません。

(※事故率は若干上がりますが、「閃刀起動-エンゲージ」を擁する【閃刀姫】ギミックを搭載してみるのも面白い選択です)

 また、こうしたワンキル特化構築はジャンケンに負けるとどうしようもないため実戦向けではないとする意見も時折見かけますが、実際には召喚獣メルカバー」などの単発系の妨害であれば手数でゴリ押せることも多く、後手番のゲームであっても比較的高い勝率をキープできます。性質上、「無限泡影」などの盤面に触れるタイプの妨害の多くを自然とケアできる強みもあり、少なくとも並のOCGの環境デッキより強いことは間違いないでしょう。

 しかし、逆に「王宮の勅命.」や「魔封じの芳香」辺りのカードを置かれると一瞬で詰んでしまうことも事実ではあるため、やはり実戦を見据えるのであれば(※)ある程度は別軸の攻め手も持っておく必要があります。

(※逆にシングル戦だけなら遭遇率的に割り切ってワンキルに完全特化してしまう方が勝率は安定するかもしれません)

 こうしたサブプランのうち、最も有力なのは魔導サイエンティスト」などの規格外のパワーカードを適当に何枚か積んでおくことです。

 詳しい解説はここでは省きますが、簡単に言うと召喚した瞬間に無限ドロー、無限サルベージ、無限蘇生、無限除去、無限ハンデス、無限バーン、無限ライフゲイン、無限デッキデス、無限ターン、先攻1ターン目マッチキルなどが成立するため、メタカードを置かれた状態からでも勝ち筋を残すことができます。「魔導サイエンティスト」をリクルート可能な「BF-朧影のゴウフウ」などについても同様であり、ここに「トロイメア・フェニックス」などの脇を固めるカードを用意しておけばおおむね安泰が得られるでしょう。

 しかし、当然ながら上記のようなカードは通った瞬間にそれだけで勝ててしまうため、わざわざ【エクゾディア】を使う意味が無くなってしまいます。いわゆる「エクゾディアいる?」という状況に陥るため、どうしたらいいのか悩みましたが、とりあえず見なかったことにして話を進めます。

 

サンプルデッキレシピ(誘発トーチゴウフウ型)
モンスターカード(17枚)
×3枚 増殖するG
トーチ・ゴーレム
灰流うらら
×2枚 BF-朧影のゴウフウ
×1枚 エフェクト・ヴェーラー
封印されしエクゾディア
封印されし者の左足
封印されし者の左腕
封印されし者の右足
封印されし者の右腕
魔法カード(23枚)
×3枚 苦渋の選択
強欲な壺
チキンレース
テラ・フォーミング
天使の施し
成金ゴブリン
×2枚 ダーク・オカルティズム
貪欲な壺
×1枚 三戦の才
罠カード(0枚)
×3枚  
×2枚  
×1枚  
エクストラデッキ(15枚)
×3枚    
×2枚    
×1枚 アカシック・マジシャン
アクセスコード・トーカー
飢鰐竜アーケティス
水晶機巧-ハリファイバー
幻獣機アウローラドン
鎖龍蛇-スカルデット
召命の神弓-アポロウーサ
セキュリティ・ドラゴン
トロイメア・フェニックス
トロイメア・ユニコーン
フォーミュラ・シンクロン
武力の軍奏
リンク・スパイダー
リンクリボー
リンクロス

 

 

 上記の反省点を踏まえて組み直したものがこちらのリストです。サイドは記事後半部分で解説します。

 最大の違いは手札誘発を採用している点であり、相手の先攻展開で完全に盤面を固められて敗北、というシチュエーションを回避しやすくなっています。先ほど単発系の妨害であれば強引に突破できると述べましたが、一方で先攻ワンキルないし単純な物量では解決不可能な制圧にはなす術がなく、またシンプルに複数の妨害を構えられるだけでも物理的に手詰まりになってしまうため、やはり最低限の対抗策(※)は用意しておかなければなりません。

(※ゲームスピードが遅い環境であれば「ダイナレスラー・パンクラトプス」「ライトニング・ストーム」などを積んだ方が安定します)

 もちろん、その分ワンキル成功率は若干下がってしまいますが、総合的な勝率ではこちらの方が安定する可能性が高いでしょう。

 

トーチゴウフウゴリ押し後攻ワンキルプラン

 一方、ある意味で手札誘発以上に重要になってくるのが「トーチ・ゴーレム」「BF-朧影のゴウフウ」などのスロットです。

 これらは魔法メタが刺さらず確実に1妨害を踏めるカードであり、各種ドローカードの露払いが安定して行えるほか、それ自体が勝ち手段にもなるため非常に強力な返し札として機能します。また、詳しくは後述しますが先攻時は疑似的なドローソースにもなるため、先後どちらのゲームであっても強い仕事をこなすことが可能です。

 その一方で、特に後手番のゲームでは本来腐っていたはずの前面妨害を使う機会をみすみす与える結果にもなりかねず、噛み合い方によっては実質手札の無駄撃ちになってしまうリスクも無いわけではありません。

 とはいえ、当たり前ですが禁止カードはそもそも単純に壊れカードであり、カードパワー的には使わない理由は恐らく無いと思われます。そもそも手札が6枚あれば何かしらは通る可能性が高く、適当なドローカードを1枚でも残せればドロー連鎖でゲームエンドに持っていける可能性が高いでしょう。

 例外はエクゾディアパーツを引きすぎてセルフハンデスを食らってしまっているケースですが、これについては手札に来ないように祈ればいいので問題ありません。

 

デッキの回し方・展開ルートについて

 あまり解説の必要はないかもしれませんが、デッキの回し方や展開ルートについても軽く触れておきます。

 基本的にメイン戦は「灰流うらら」さえ吐かせてしまえば後はどうとでもなるため、手札にドローカードが2枚あればその時点でほぼ勝ちと考えて差し支えありません。詳しい仕組みは後述しますが、「無限泡影」「PSYフレームギア・γ」「屋敷わらし」などのメジャーな誘発はほぼ貫通できる都合上、実質デッキの中の誘発を全て使われても困らない(※)ということになるため、増殖するG」を投げられても無視して先攻ワンキルに向かうことができます。

(※ターン1制限がなく発動条件もない「エフェクト・ヴェーラー」だけは注意が必要ですが、1枚までなら受けても何とかなる範囲です)

 要するにOCGで言うところの【未界域】などと同様のプランであり、そこに大量の禁止カードを全部盛りしてブーストをかけているため、当たり前ですがそれらよりも遥かに安定してゲームを決めることができるでしょう。

 

トーチ+チューナーで8ドロー+α

 次は具体的な展開ルートについてです。

 大まかに言えば大量のドローソースで手札を補充した後、「トーチ・ゴーレム」や「BF-朧影のゴウフウ」(※)などから動いていくことになりますが、チューナーと組み合わせることで派生展開に移行することもできます。

(※ゴウフウ初動の場合は腐っていたはずの「無限泡影」などに仕事をさせてしまうリスクがあるため、基本的には「トーチ・ゴーレム」から動いた方が安定します)

 

①:トーチトークン2体を特殊召喚しつつ「トーチ・ゴーレム」をEXモンスターゾーンの正面に特殊召喚する。

 

②:トーチトークンAを「リンクリボー」に、トーチトークンBを「リンク・スパイダー」にそれぞれ変換する。(※別パターンでも可)

 

③:「リンクリボー」「リンク・スパイダー」を素材に「アカシック・マジシャン」をリンク召喚(※)し、効果で「トーチ・ゴーレム」を手札に戻す。(※「アカシック・マジシャン」の宣言効果はエクゾディアパーツが墓地に落ちるリスクがあるため、墓地メタの存在も考慮してなるべく使わないようにする)

 

④:回収した「トーチ・ゴーレム」を再び特殊召喚し、トーチトークン2体を素材に「セキュリティ・ドラゴン」をリンク召喚する。

 

⑤:「セキュリティ・ドラゴン」の効果で「トーチ・ゴーレム」を手札に戻す。

 

⑥:もう一度「トーチ・ゴーレム」を特殊召喚する。

 

⑦:トーチトークンAをリリースし、墓地の「リンクリボー」を自己蘇生する。

 

⑧:「アカシック・マジシャン」「セキュリティ・ドラゴン」「リンクリボー」「トーチトークンB」の4体を素材に「鎖龍蛇-スカルデット」をリンク召喚して4ドロー。

 

 ここまでが「トーチ・ゴーレム」1枚初動の展開ルートです。追加でチューナーを持っている場合(※)は下記の展開ルートに派生します。

(※「BF-朧影のゴウフウ」の場合は初動前に自身の効果であらかじめ出しておく必要があります)

 

⑨:「鎖龍蛇-スカルデット」の効果で手札からチューナーを特殊召喚する。(※「エフェクト・ヴェーラー」を出した場合は手順⑫からスタート)

 

⑩:「鎖龍蛇-スカルデット」を素材に「リンクロス」をリンク召喚し、効果でリンクトークンを3体(※)特殊召喚する。(※4体出すとフィールドの空きが足りなくなるため注意)

 

⑪:「リンクロス」とチューナーを素材に「水晶機巧-ハリファイバー」をリンク召喚し、効果で「エフェクト・ヴェーラー」をリクルートする。

 

⑫:「エフェクト・ヴェーラー」とリンクトークンAを素材に「フォーミュラ・シンクロン」をシンクロ召喚して1ドロー。

 

⑬:「フォーミュラ・シンクロン」とリンクトークンBを素材に「武力の軍奏」をシンクロ召喚し、効果で「フォーミュラ・シンクロン」を蘇生する。

 

⑭:「水晶機巧-ハリファイバー」「武力の軍奏」を素材に「幻獣機アウローラドン」をリンク召喚し、効果で幻獣機トークン3体を特殊召喚する。

 

⑮:「フォーミュラ・シンクロン」とリンクトークンC、幻獣機トークンA、Bの4体を素材に「飢鰐竜アーケティス」をシンクロ召喚して3ドロー。

 

 「フォーミュラ・シンクロン」で1ドロー、「飢鰐竜アーケティス」で3ドローの計4ドローであり、「鎖龍蛇-スカルデット」と合わせて8枚分デッキを掘ることができます。これが決まれば事実上の勝利が確定するため、上記のコンボを成立させることがこのデッキにおける最大のゴール地点であると言えるでしょう。

 ちなみに、一見すると枚数の少ないチューナーを要求するのは厳しいコンボ条件にも思えますが、実際にはデッキの中身が「ドローカード」「チューナー」「トーチ・ゴーレム」「エクゾディアパーツ及び増G」の4種類しか存在しないため、「チューナーを握っていない≒ドローソースを何かしら持っている」となり、消去法的にコンボが勝手に決まってしまうパターンが大半です。そのドローでチューナーを引いた場合はもちろん、追加のドローソースであればそのまま更にドロー、2枚目の「トーチ・ゴーレム」と「貪欲な壺」があればもう一度「鎖龍蛇-スカルデット」の4ドローを決めるといったこともできるため、物理的にドローが止まる余地がほぼありません。

 なお、その気になれば上記ルート以外にもいくらでも強い動きが取れますが、そこまでしなくても勝てるため余計な枠を取る必要はないと思われます。むしろ「鎖龍蛇-スカルデット」の4ドローが通っている(※)時点でほぼ勝っているため、いっそシンクロギミックは丸々削ってしまってもいいという考え方もあります。

(※逆に「灰流うらら」や「屋敷わらし」を食らってもチューナーで貫通できるようになるため、スペースに余裕があるのであれば入れておいて損はありません)

 

トーチスカルデットギミック

 展開ルートについての解説は以上ですが、一応「トーチ・ゴーレム」自体の使い方に関しても少し補足しておきます。

 詳しくは上記関連記事でも解説していますが、先述した通り1枚で4素材の「鎖龍蛇-スカルデット」を作れることに加え、展開の過程で「無限泡影」「PSYフレームギア・γ」を自動的にケアできるため、相手の使用できる誘発を「灰流うらら」+αに限定できるのが最大の強みです。これは下記の「BF-朧影のゴウフウ」はもとより、あの「魔導サイエンティスト」ですら持ち得ない固有の武器であり、これがあるからこそモンスターカードでありながら強化版「天使の施し」のようなカード、つまりは実質的な魔法カード枠(※)としてカウントすることができるわけです。

(※やや分かりにくいですが、「腐っていたはずの誘発を使われる≒うららを2回投げられる」という状況に等しいため、ドローソースはできるだけ魔法カードだけで固めた方がデッキの安定性は上がります)

 また、必然的にモンスターが墓地に溜まる関係で「貪欲な壺」を無理なくデッキに採用しやすく、従来型の【エクゾディア】のように「闇の量産工場」などの弱い枠を用意せずに済むメリットもあります。

 なおかつ、鎖龍蛇-スカルデット」が通っている(※)のであれば最悪「貪欲な壺」は通らなくてもいいため、ここを「屋敷わらし」などで止められてもさほど痛手にはなりません。先ほど「屋敷わらし」をほぼ無視できると述べたのはこれが理由であり、「屋敷わらし」自体の遭遇率も考えれば仮想敵として考慮する必要性は薄いでしょう。

(※一応、「リンクリボー」の蘇生効果に投げてくる可能性もなくはないですが、下記項目の通りチューナーで貫通できることに加え、「貪欲な壺」も残るのでやはり問題ありません)

 ただし、ダーク・オカルティズム」初動の場合に限り「屋敷わらし」の直撃を許してしまうため、「手札のドローソースが2枚以下(うち1枚がオカルティズム)+相手がうららわらしを両方持っている」などのごく一部のケースでは手詰まりになる可能性があります。

 

「ドロール&ロックバード」のケアに関して

 このように、メイン戦に限って言えば比較的楽に誘発を踏み越えていくことが可能なデッキではありますが、サイド後のゲームに関しては残念ながらこの限りではありません。

 具体的には、「原始生命態ニビル」などの追加の誘発に加え、天敵である「ドロール&ロックバード」を踏むリスクも少なからず発生するため、これを持たれていたとしても「召命の神弓-アポロウーサ」を立てられるよう意識して動く必要が出てきます。

 具体的には、下記のような優先順位で初動を決定するべきです。

 

①:「トーチ・ゴーレム

 

②:「苦渋の選択」「ダーク・オカルティズム」(※苦渋で選ぶ5枚はトーチ3+オカルティズム2)

 

③:「BF-朧影のゴウフウ」(※トーチと違って泡影γをケアできないため非推奨)

 

④:「天使の施し」「強欲な壺」などの掘る枚数が多いドローカード。

 

 これにより「ドロール&ロックバード」を使わせずに、または意図的に使わせた状態で「召命の神弓-アポロウーサ」を立てられるため、巷で言われるほど「ドロール&ロックバード」を苦手としているわけではないということが分かります。

 もちろん後者のパターンではそのターン中は動けなくなりますが、とりあえず1ターン生き残るだけなら何とかなる可能性が高く、返しのターンで改めてワンキルに向かうことができるわけです。

 

「苦渋の選択」の使い方

 念のため「苦渋の選択」の使い方についても触れておきます。

 

①:「トーチ・ゴーレム」3枚+「ダーク・オカルティズム」2枚。

 

②:「灰流うらら」3枚+「BF-朧影のゴウフウ」2枚。(※チューナー確保用)

 

③:「増殖するG」などの不純物を抜いてデッキ圧縮。

 

④:ドローソース5枚。(※緊急用。デッキのドローソース率が下がるため非推奨)

 

⑤:「トーチ・ゴーレム」3枚+「BF-朧影のゴウフウ」2枚。(※後攻用。手札を減らしたくない時など)

 

 基本的には上記の優先順位に従って選択していくことになりますが、手札や盤面、また残りのデッキ枚数などによって優先度が逆転するケースもあるため一概には言えません。実際、使用頻度で言えば③の使い方をするパターンが最多を占めると思われるため、メイン戦では実質デッキ圧縮カードと見なして気軽に使い捨ててしまっても構わないでしょう。

 一方、次項での解説の通りサイド後は疑似的な返し札も兼ねているため、欠陥の多い【エクゾディア】デッキの実戦性能を支える非常に重要なカードです。

 

サイドデッキ

 最後はサイドデッキについてです。

 

サイドデッキ(15枚) 
×3枚  
×2枚 ダイナレスラー・パンクラトプス
強引な番兵
コズミック・サイクロン
墓穴の指名者
×1枚 シャドール・ドラゴン
彼岸の悪鬼 ファーファレル
マジックテンペスター
神聖魔皇后セレーネ
手札抹殺
魔鍾洞
ワールド・ダイナ・レスリング

 

 

 一部不穏なカードが見えますが、できるだけ無視してください。誰も幸せになりません。

 とりあえず先攻用と後攻用にざっくりサイドを組んでいます。「ダイナレスラー・パンクラトプス」「コズミック・サイクロン」「強引な番兵」「墓穴の指名者」などは見たままの役割のカードですが、それ以外の枠は若干癖があるため軽く解説していきます。

 まず「シャドール・ドラゴン」「彼岸の悪鬼 ファーファレル」「ワールド・ダイナ・レスリング」の3枚についてはもちろん「苦渋の選択」で落とすための枠です。「苦渋の選択」の性質上、どれか1枚は手札に来てしまうため若干の不安定さはありますが、どのパターンでもおおよそのカードに対応できる(※)ためさほど問題はありません。

(※場合によっては「タックルセイダー」などを追加することも考えられますが、多すぎても困るため3枠前後が安定します)

 また、「ワールド・ダイナ・レスリング」に関してはテラ・フォーミング」で持ってきて「天使の施し」「ダーク・オカルティズム」で墓地に落とすといった動きも取れるため、見た目以上に融通が利くカードです。リクルート先の「ダイナレスラー・パンクラトプス」自体がパワーカードであることもあり、状況を選ばず汎用的に取り回せる強みがあります。

 そして「魔鍾洞」は「テラ・フォーミング」で妨害を踏めるようにするためのカードであり、実際に通すことはあまり考えていません。もちろん通れば相手の行動を大幅に制限できるため、盤面次第では頓死を狙える可能性も多少はあります。

 最後の「手札抹殺」に関してはドローソースとしての働きもありますが、どちらかというと増殖するG」に対するカウンターが主な仕事です。

 サイド後のゲームでは誘発の種類が増えることで相対的に「増殖するG」の脅威度が上がるため、勝ち筋を分散させる意味でも1枠は取っておいて損はないと考えています。場合によってはメインに移してしまってもいいかもしれません。

 その他、まだ解説していないカードが2枚ほど残っていますが、私にもよくわからないのでノーコメントです。いつの間にかデッキに入っていました。気味が悪いので使わない方がいいと思います。

 

エクゾディアが弱い理由が理解できたら初心者卒業

 ここからはネタバレ項目です。

 この項目を用意するべきかどうかは最後まで迷いましたが、カジュアル向けの記事で暗黙の了解的なジョークをやってしまうと間違った知識を広めてしまう危険性があるため、一応はっきり解説しておきます。

 ここまであえて言及を避けてきましたが、【エクゾディア】は勝利手段としては極めて効率が悪いカードです。

 これは実際に遊戯王のゲームを遊び始めれば自然と理解できることでもありますが、特定のカードを手札に5枚揃えるという行為は実戦においては非常に困難、というより不可能に近い話です。現代遊戯王では基本的には1枚初動ないし2枚初動のコンボを軸にゲームに勝利することを狙うわけですが、【エクゾディア】の場合は5枚のカードを揃えてゲームに勝利することを狙う、つまりは5枚初動コンボということになってしまい、これでまともに戦おうとするのは正気の沙汰ではありません。

 この感覚を分かりやすくサッカーで例えると「5回シュートを決めたら勝利扱い、ただし4回以下の場合は0点扱い」というレベルの話であり、【エクゾディア】の最強神話は「特殊勝利」という派手なテキストにのみ目を騙されてしまうこと、つまりは非常に大きな錯覚のもとに成り立っています。

 また、現代遊戯王のゲームバランスにおいては単にメインデッキのスロットを圧迫するというだけでも負担が大きく、そもそも【エクゾディア】というデッキを組むこと自体が厳しいハンデとなってしまいます。初心者目線では一見5枚程度なら大したことがないようにも思えますが、実際には消費1~2枠であっても搭載を悩む程度には重いリスクであり、バニラ5枠など論外レベルの重さです。

 どうしてそうなるのかを一言で説明するのは中々難しいのですが、例えば「ダイナレスラー・パンクラトプス」などの汎用枠を5枚削ってエクゾディアパーツを積んでいたと仮定します。すると本来であれば相手の妨害を1枚剥がせたはずのカードが無条件で不要牌に書き換わるため、実質的には「エクゾディアパーツを1枚引く≒相手がリストバンドからカウンターを打ってくる」という図式が成り立ってしまうことになるわけです。

 そしてそうなる確率は後攻1ターン目の時点で57%と無視できないほどに高く、3ターン目ではなんと約7割にまで達します。ドローカードを使うなどしてデッキ枚数が減っていけば確率はさらに上昇するため、実際のゲームではかなりの高確率で0:1交換のカウンターを自動的に踏んでしまうことになるでしょう。

 なおかつ、それがデュエル中に何度発生しても4回目までは何のメリットにもならないということであり、5回目にしてようやく特殊勝利という形でアドバンテージに変換されます。これでは初期投資が重すぎて割に合わないどころの話ではなく、むしろ「0:5のアド差がありながらゲームが続いている≒アド差がなければそもそも普通に勝てている」はずであることを考えると、勝利という唯一のメリットですら実質的には回収できていません。

 このように【エクゾディア】とは最強どころか遊戯王でもかなり弱い部類に入るカードであり、それは禁止制限無視という絶大なブーストを貰ってなおカバーし切れないほどの弱さです。上記の例に倣えば「カウンターを無償で4枚献上する激重ハンデを禁止カードで無理矢理何とかして勝つ」という戦い方に近く、ある程度ガチ思考を持つプレイヤーにとってはまさに気が狂うような話なのではないでしょうか。

 それでも流石にOCGレベルならそこそこ安定して勝ち越せる可能性はありますが、これだけ大量の禁止カードを使っておいて「そこそこ」にしかならない辺りが【エクゾディア】の限界を示していると言えるでしょう。

 これが「エクゾディアの弱さを理解できれば初心者卒業」という言葉が存在するおおよその理由です。

 

本気モード? サイド後は【マジテンワンキル】にスイッチ

 【エクゾディア】の弱さを理解できたところで次の議題に移ります。

 その弱さと一体どうやって向き合っていけばいいのか、という話です。

 繰り返しになりますが、【エクゾディア】はカードの構造的に本当にどうしようもなく弱いため、どれだけ構築を最適化しても一定数のゲームを事故ないし半事故で落としてしまうことは避けられません。これが1本目を取った後のゲームであればまだ巻き返しも利きますが、逆にメインを落としてしまうと絶望であり、サイドカードを掻い潜りながらエクゾディアを2回連続で揃えるという無茶な要求を強いられることになります。

 そこで「マジックテンペスター」「神聖魔皇后セレーネ」の出番、というわけです。

 手足がどこかに行きましたが、胴体がメインに残っているので【エクゾディア】デッキです。

 サイドに四肢を隔離するのは反則ではないか、という意見もあるかと思います。しかし、コンセプトとしてはあくまでも【エクゾディア】デッキを組むと言っただけであり、ゲームの途中でパーツをサイドに下げてはいけないとは言っていないのでルール違反ではありません。

 具体的なギミックについては、トーチチューナー展開の手順⑬で「エフェクト・ヴェーラー」を蘇生して「神聖魔皇后セレーネ」をリンク召喚、その後「封印されしエクゾディア」の蘇生から「マジックテンペスター」で8000~11000のバーンダメージを叩き込む(※)だけです。【エクゾディア】よりも遥かにコンボ達成条件が軽く済み、さらに強引な番兵」「墓穴の指名者」などの誘発メタを空いたスペースに詰め込めるため、言うまでもなく先攻ワンキル率は圧倒的にこちらの方が高いでしょう。

(※一見ややこしいですが、要するに「セレーネ+チューナー」の盤面を作るだけです)

 ちなみに、あらかじめ「TG ハイパー・ライブラリアン」をエクストラに用意しておけば「マジックテンペスター」のシンクロ素材を調達する手間も省けるため、胴体をメインに残す必要すらなくなります。もっと言うと、本来ならより効率的かつ妨害を踏みにくい展開ギミックを搭載可能であることに加え、「無の煉獄」「擬似空間」などの追加のドローソースも自由に追加できているはずであり、やはりエクゾディアの存在そのものがとんでもなく足を引っ張っていることはどう取り繕っても否定できません。

 つまり、元々は【エクゾディア】だったものを無理矢理【マジテンワンキル】に組み替えているため構築に無駄が多く、【マジテンワンキル】としても微妙なデッキになってしまっています。そのため、いっそ素直に「マジカル・エクスプロージョン」などを使った方が効率がいい(※)のではないかという疑惑もあり、そうした拡張性の無さもまた【エクゾディア】の介護がいかに困難であるかを遺憾ながら証明してしまっているのです。

(※「レッド・リブート」が刺さることを除き、ほぼあらゆる面で【エクゾディア】と同等以上の役割をこなせるため、単純にデッキが完全上位互換に強化されます)

 何にせよ、上記の「サイド四肢切断戦法」ですら万全な次善策とは言えない面もあるわけですが、それでもマッチ戦を【エクゾディア】1本で戦い抜くよりは遥かにマシです。普段は【エクゾディア】デッキとして純粋な気持ちで先攻ワンキルを楽しみ、負けそうな時は用心棒的なイメージで【マジテンワンキル】に後を引き継いでもらう。これが個人的に考察した最強の【エクゾディア】デッキとなります。

 問題があるとすれば、毎ゲーム手足4本を捧げるのは流石に代償が重すぎるのではないかということくらいですが、古来よりデュエリストは左腕を好んで斬り落とすとも言いますし、恐れ多くも【エクゾディア】を使いこなすにはそれだけの覚悟が必要であるという真実を暗に示しているのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 禁止制限無視【エクゾディア】デッキガチ構築考察については以上です。

 これでも色々と考え抜いたつもりではありますが、結論としては残念ながら豚に真珠的な微妙デッキにしかならなかったというのが現実です。しかし、一般的に流通しているドロー全振り構築に比べればそこそこガチ構築を追求できたのではないかと思っています。

 もっとも、この記事で出した結論が【エクゾディア】にとっての最適解であるとは限りません。例えばメインデッキの完成度を犠牲にサイド後から【サイエンノーデンVドラマッチキル】(※)にチェンジするといったプランも取れるため、【エクゾディア】の可能性はまさに無限大に広がっていると言えるでしょう。

(※現状の禁止制限無視カードプールにおける理論上最強のデッキです)

 もちろん、あまりやりすぎると自分を【エクゾディア】だと思いこんでいる一般謎紙束と化してしまうため、どこからどこまでが【エクゾディア】なのか限界ギリギリを攻めてみるのも面白いかもしれません。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

Posted by 遊史