制限改訂2003/4/10 嵐の前の静けさ

2018年3月19日

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【前書き】

 【第3期の歴史18 月読命ラインの形成 遊戯王前半期の殿堂入りカード】の続きになります。ご注意ください。

 レギュラーパック「闇魔界の脅威」から複数の大器晩成カードが参戦し、将来の活躍に備えてストレージで眠りに就くこととなりました。

 反面、即戦力となるカードはほとんどなく、辛うじて「炸裂装甲」が多少注目を集めていた程度です。しかし、パワーカードと言えるほどの性能ではなく、この時期はその他大勢の中に埋もれてしまっていたことは否めません。

 メタゲームの変動も自然な横移動に終始する最中、第3期2度目の制限改訂が施行されることになります。

 

【制限改訂 2003年4月10日】

 2003年4月10日、遊戯王OCGにおいて12回目となる制限改訂が行われました。

 制限カードに指定されたカードは以下の49枚です。

ヴァンパイア・ロード 無制限
魔鏡導士リフレクト・バウンダー 無制限
お注射天使リリー
キラー・スネーク(エラッタ前)
クリッター(エラッタ前)
黒き森のウィッチ(エラッタ前)
サイバーポッド
人造人間-サイコ・ショッカー
同族感染ウィルス
ドル・ドラ
ならず者傭兵部隊
ファイバーポッド
封印されしエクゾディア
封印されし者の左足
封印されし者の左腕
封印されし者の右足
封印されし者の右腕
魔導戦士 ブレイカー
メタモルポット
八汰烏
悪夢の蜃気楼
いたずら好きな双子悪魔
押収
大嵐
苦渋の選択
強引な番兵
強奪
強欲な壺
心変わり
サンダー・ボルト
死者蘇生
団結の力
蝶の短剣-エルマ
手札抹殺
天使の施し
成金ゴブリン
ハーピィの羽根帚
早すぎた埋葬
光の護封剣
ブラック・ホール
魔導師の力
王宮の勅命(エラッタ前)
現世と冥界の逆転(エラッタ前)
聖なるバリア -ミラーフォース-
停戦協定
破壊輪(エラッタ前)
魔法の筒
無謀な欲張り
リビングデッドの呼び声

 

 準制限カードに指定されたカードは以下の7枚です。

処刑人-マキュラ 制限
カオスポッド
切り込み隊長
強制転移
増援
抹殺の使徒
ラストバトル!

 

 無制限カードに緩和されたカードは以下の5枚です。

守護者スフィンクス 準制限
ニュート 制限
フォース 準制限
リミッター解除 制限
補充要員 準制限

 以上が当時コナミから下された裁断となります。変動8枚、うち規制強化2枚、緩和6枚となっており、ここ最近の開発側の方針とは逆に、全体的に規制緩和へと動いていることが分かる改訂です。

制限カードへの規制強化

 この改訂唯一の規制強化として、「ヴァンパイア・ロード」「魔鏡導士リフレクト・バウンダー」の2枚が制限カードに指定されました。どちらも無制限カードからの規制であり、対応としては厳しめであることが窺えます。

 「ヴァンパイア・ロード」は前回の改訂以降、様々な理由で採用率が急上昇していたため、上級モンスターとしては異例の制限指定を下された形です。「人造人間-サイコ・ショッカー」という前例は存在しますが、こちらは環境のインフレが進んでからの規制強化であり、状況が大きく異なっています。

 とはいえ、元々「ピラミッド・タートル」で簡単に呼び出せることが危険視されていた以上、遅かれ早かれ規制を受けることは回避できなかったのかもしれません。

 「魔鏡導士リフレクト・バウンダー」は単純にカードパワーが高く、規制が入ることもそれほど不自然ではない印象です。

 とはいえ、飛び抜けて強いと言えるほどの性能ではなく、むしろ「異次元の女戦士」などに比べれば総合的な評価は譲っています。しかし、「魔法の筒」や「停戦協定」の例にあるように、当時の開発側はバーンカードを必要以上に危険視する傾向にあったため、その煽りを受けての制限カード指定だった可能性もあるでしょう。

無制限カードへの制限解除

 制限カードだった「ニュート」「リミッター解除」の2枚、準制限カードだった「守護者スフィンクス」「フォース」「補充要員」の3枚が同時に制限解除されました。

 「ニュート」は第2期後期に猛威を振るい、その末に規制を受けたパワーカードでしたが、約1年の封印期間を経て一気に無制限カードに解放されています。

 戦闘においては無類の強さを発揮する最強格の下級アタッカーとして評価されていたものの、この時期は単純なステータスの殴り合いはそれほど起こらなくなっていたため、あえて規制をかける理由は薄れていたことを受けての規制解除でしょう。

 「補充要員」はかつて【苦渋エクゾディア】(第2期)【宝札エクゾディア】(第2期)のキーカードとして名を馳せたコンボパーツでしたが、これらのデッキは第3期では姿を消して久しく、このカードが使われることも皆無でした。コンボパーツとしての存在意義をほぼ喪失している以上は規制しておく理由もなく、この制限解除も妥当な流れです。

 一方で、「リミッター解除」「守護者スフィンクス」「フォース」の3枚は元々採用率が高かったわけではなく、そもそも規制自体が不当だった印象はあります。そのため、規制が解除されたというよりは本来あるべき姿に戻ったと考えるべき改訂だったのかもしれません。

意図不明 マキュラ規制緩和

 どのような判断があったのかは不明ですが、「処刑人-マキュラ」が準制限カードに規制緩和されています。

 もはや解説の必要すらないほどの極悪カードであり、いつ何に悪用されてもおかしくないとすら言える非常に危険な存在です。間違っても規制緩和が許されるカードではありませんが、実際にそれが起こってしまっている以上は目を逸らすことはできません。

 一応、当時は先攻1キルデッキがほぼ構築不可能な状況に追い込まれていたため、このカードを規制しておく理由はなくなったという判断と考えられなくもないでしょう。しかし、だからと言って規制緩和する理由は上述の通り「もっとない」と思うのですが、そうした結論には至らなかった模様です。

 これにより、単純に枚数が増えて素引きの確率が上がったほか、「苦渋の選択」で確実に墓地に送れるようになってしまうといった弊害も現れています。そもそも「処刑人-マキュラ」の巻き添えで規制された「増援」はどうなるのかなど、様々な形で疑問が残る不自然な改訂だったと言わざるを得ません。

 もっとも、この時期は先攻1キル関連のパーツが厳しく取り締まられていたため、この改訂で即座に悪影響が出たわけではなかったのは事実です。また、第3期最凶の先攻1キルデッキである【サイエンカタパ】でも末期では使われなくなっていたため、結果的には致命的なダメージには繋がらなかったという見方もできなくはないのではないでしょうか。

 

【当時の環境 2003年4月10日】

 「ヴァンパイア・ロード」「魔鏡導士リフレクト・バウンダー」がそれぞれ制限カードに指定され、ビートダウン系のデッキがダメージを負っています。

 とりわけ「ヴァンパイア・ロード」はピラミッド・タートル」との強烈なコンボが猛威を振るい、デッキを選ばず必須ギミックとして積まれていたため、この規制によって少なからず使い勝手が悪化してしまった格好です。

 とはいえ、ギミック自体が優秀であることに変わりはなく、この改訂以降も一定の存在感を示していくことになりました。

 「ニュート」「補充要員」といったかつてのパワーカードのほか、「リミッター解除」「守護者スフィンクス」「フォース」などが一斉に制限解除されたことも出来事としては見逃せません。しかし、いずれもメタゲームに明確な影響を及ぼすような改訂ではなく、大半のプレイヤーにとっては縁の無い話だったのではないでしょうか。

 一方で、「処刑人-マキュラ」が規制緩和されたことは少なからず物議を醸しています。改訂直後に限ればそれほど大きな被害があったわけではありませんが、やはり悪名高さは健在であり、実際に2003年後期では「第六感」などと手を組んで脅威を振り撒くことになるカードです。

 あまりはっきりと言葉に出すべきではありませんが、この規制緩和がいわゆる「開発側の火遊び」と受け止められてしまったことは無理もない話だったのかもしれません。

 

【まとめ】

 2003年4月10日の制限改訂で起こった変化は以上です。

 一部に規制強化の動きはあったものの、全体的には規制解除に向かった改訂となっており、環境に対する影響もさざ波の範疇に収まりました。

 反面、なぜか「処刑人-マキュラ」が準制限カードに緩和されてしまうなど、一部では不穏な動きも見られます。当時に限れば被害らしい被害はなかったとはいえ危険物には違いなく、遊戯王OCGは凶悪な不発弾を抱えたまま歩みを進めていくことになりました。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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