最強の禁止カード「強欲な壺」を無理やり弱く評価してみる
・前書き
・強欲な壺が本当は弱い理由
・1アドしか取れないから弱い
・引けないと役に立たないので弱い
・誰でもデッキに入れられるので弱い
・名前が弱い
・ブランクが長すぎるので弱い
・実際には……【強欲な壺はなぜ永久禁止カードなのか】
・無条件でアドバンテージを取れる壊れカード
・汎用カードは「引くだけで有利になれる」から汎用と言われる
・壺が入っていないデッキは「デッキではない」と言われた時代
・名前と実力はそもそも無関係
・最初期に永久禁止カード入り 制限復帰の見込みは「ゼロ」
・まとめ
【前書き】
「強欲な壺」というカードがあります。
自分のデッキからカードを2枚ひく。ひいた後で強欲な壺を破壊する。
遊戯王OCGでもトップクラスの知名度を誇る非常に有名なカードであり、初期のOCG環境のゲーム性を語る上では欠かせない存在でもあります。多くのプレイヤーが口を揃えて「ぶっ壊れカード」と評価するほどであり、世間では永久禁止カードなどと言われて調子に乗っている存在です。
しかし、実際には「強欲な壺」は言われているほどには強くはなく、むしろ禁止カードの中では弱い部類に入ると言っても過言ではありません。少なくとも「ぶっ壊れ」という評価は明らかに不当であり、たとえ禁止カードから復帰したとしても大した実績は残せないでしょう。
この記事では、そんな「強欲な壺」を無理やり弱く評価本当の実力について解説していきます。
強欲な壺が本当は弱い理由
「強欲な壺」が弱い理由は全部で5つほど存在します。
つまり、ただの弱いカードと比べて5倍も弱いということであり、この時点で既に相当弱いことは明らかです。
1つずつ解説していきます。
1アドしか取れないから弱い
1つ目の理由は、単純に稼げるアドバンテージがカード1枚分にしかならないという弱みです。
「強欲な壺」が現役であった時代からは想像もできない話ですが、現代の遊戯王ではカード1枚から展開が広がっていくことが半ば常識と化しています。いわゆる「初動1枚から3アド展開」といった形で表現される概念であり、環境デッキはおろかファンデッキですらアドを取るだけなら難しいことではありません。
一方、「強欲な壺」の効果はシンプルに2枚ドロー、要するにカード1枚を2枚に増やしているだけです。これは確かにカード1枚の価値が極めて重かった過去の環境では反則的な性能ですが、上述の通り今となっては極々あり触れたアドバンテージ生成能力であり、これ以上のアドを取れるギミックはいくらでも存在します。
つまり、「強欲な壺」は俗に言う「昔は強かったが今は別に強くないカード」の一種に過ぎないということであり、実はあまり強くはないという事実が見えてきます。
引けないと役に立たないので弱い
2つ目の理由は、素引きしなければ役に立たないという弱みです。
これも現代遊戯王特有の概念となりますが、基本的にデッキのアドバンテージ源は何らかの方法で継続的に使用できることが重視される傾向にあります。
例えば【閃刀姫】版「強欲な壺」とも言われる「閃刀起動-エンゲージ」の場合、【閃刀姫】の各種サーチ・サルベージギミックによって非常に効果的に取り回すことが可能です。言い換えれば、こうしたドローソースはカテゴリのバックアップを受けることによって初めて真価を発揮する(※)ということであり、むしろ現在ではそれを前提にしたゲームデザインが取られている節すらあります。
(※実際、出張ギミックの「閃刀起動-エンゲージ」は本家ほどには強くありません)
反面、「強欲な壺」は「閃刀起動-エンゲージ」とは違いサーチやサルベージには全く対応しないため、直接ドローしない限り延々とデッキに眠ったままの状態が続きます。仮にゲーム中に5枚デッキを掘り進めると仮定した場合、初手と合わせても25%の確率でしか素引きできない計算になり、4ゲーム中3ゲームは全く仕事をしないということになってしまうわけです。
「閃刀起動-エンゲージ」とは天と地ほどの格差であり、なおかつその「閃刀起動-エンゲージ」が禁止カードに指定されていない以上、「強欲な壺」も禁止カードにはふさわしくないと考えるべきでしょう。
誰でもデッキに入れられるので弱い
3つ目の理由は、誰でもデッキに入れられる、つまり入れても相対的には有利になれないという弱みです。
上記項目の内容とは矛盾するようですが、基本的に「強欲な壺」はどんなデッキに入れても腐ることがまずなく、ほぼ無条件で採用できるタイプのカードです。大して強くはないカードのはずなのに採用するプレイヤーが居るのか? という疑問も浮かびますが、実際手に取ってみると不思議とデッキに入れたくなる性質を持っているため、最終的な使用率は限りなく100%に近付きます。
しかし、これは逆に言えば相手も「強欲な壺」を使ってくるということであり、相対的に見れば完全にイーブンな状況です。例えば「強欲な壺」のカードパワーを100とすると、自分と相手の両方のデッキパワーが+100されるということになるため、デッキに入れても全く有利になりません。
つまり、実質的にはお互いに「火の粉」を入れ合っている状況と大差なく、必然的に「強欲な壺」のカードパワーも「火の粉」並という新事実が浮かび上がってきます。
名前が弱い
4つ目の理由は、名前が弱い、つまりカテゴリサポートを一切受けられないという弱みです。
上記の「引けないと役に立たないので弱い」の項目とも関係する話ですが、デザイナーズデッキ全盛期の現代においてカード名は直接ゲームに影響を与えるほどに重要な概念に変化しています。
例えば、「青眼の白龍」などはカタログスペック上は単なる通常モンスターに過ぎませんが、「青き眼の乙女」を筆頭とする各種【青眼】サポートと併用することで通常モンスターとは思えないほどのパフォーマンスを発揮できます。いわゆる「名前が強い」の好例であり、この場合カードパワーの9割以上が「青眼の白龍」という名前そのものに集中していると言えるわけです。
逆に言えば、遊戯王ではカードの強さはカード名で9割決まると言っても過言ではなく、ステータスや効果など残り1割の配点に過ぎないという事実も見えてきます。
そして「強欲な壺」が受けられるサポートは「強欲な壺の精霊」や「壺魔神」に対応する程度に過ぎず、率直に言ってほとんど何の役にも立ちません。
むしろ「壺盗み」に引っかかるという致命的なデメリットすらあり、明らかにカード名の弱さが足を引っ張っています。ただでさえ「火の粉」並に弱いというのに名前すら弱いというのは救いようがなく、もはや「強欲な壺」が完全に弱小カードの領域に足を踏み入れていることは明白でしょう。
ブランクが長すぎるので弱い
5つ目の理由は、禁止カード入りから復帰までのブランクが長すぎるという弱みです。
カードゲームとしては必然とも言える話ですが、遊戯王OCGにおいては時間経過とともに徐々にカードパワーのインフレが進んでいくのは原則として避けられません。よって長年禁止カード指定を受け続けていたカードが現役復帰を遂げた場合、大抵は目立った実績を残せないままフェードアウト(※)していく運命にあります。
(※代表的なところでは「同族感染ウィルス」などが有名です)
これに関しては開発側も認識している問題で、上手く世間体を繕うためにエラッタという形で誤魔化しを図るケースも少なくありません。
実際、「キラー・スネーク(エラッタ前)」などは禁止カードにふさわしい強さがあるかどうかという論点で長年意見が割れていましたが、エラッタによって誰がどう見ても弱いカードに変わったため、上手い具合に結論を迷宮入りにできています。
一方、「強欲な壺」が禁止カードになったのは2006年3月のことであり、これは上記で例に挙げた「同族感染ウィルス」と同じタイミングです。これにより、「強欲な壺」も「同族感染ウィルス」と同じ未来を辿るという予測が容易に導き出せます。
というより、そもそも古いものより新しいものが流行するのは当たり前であり、最古参の「強欲な壺」が今更使われるわけがありません。あの「キャノン・ソルジャー」のような弱小カードと同じ世代であることからもそれは明らかであり、今となっては到底禁止カードを名乗れる器ではないでしょう。
実際には……【強欲な壺はなぜ永久禁止カードなのか】
……と、ここまで長々と世迷言を垂れ流してきましたが、記事タイトルにある通り上記の解説は全て嘘です。可能な限りそれらしく聞こえるように偏向を凝らしましたので、多少は弱そうに見えていると嬉しく思います。
ここからは各項目のネタばらしに入ります。
無条件でアドバンテージを取れる壊れカード
実際のところ、遊戯王OCGにおいて無条件でアドバンテージを取れるカードは「強欲な壺」ただ1枚だけです。
この「無条件」というのは文字通り無条件という意味で、他のあらゆるアドカードと違って本当に何の条件も制約もなくただ使うだけでアドバンテージを取れてしまいます。これは単純にアドバンテージを取るというよりも「カードの数を増やす」という感覚に近く、要するに「リストバンドからカードを取り出している(※)」に等しいわけです。
(※上記の25%という確率を例にする場合、「4ゲームに1回はキースの真似をしても反則にならない能力」を全プレイヤーが共有すると考えることもできます)
これだけでは分かりにくいと思われるため、例として下記のような架空のカードを想像してみます。
ワイルドカード
ルール上、このカードはカードとして扱わず、2枚のカードであるかのように扱うことができる。(扱うカードは自分のデッキ内のカード。)
文字通り無条件で2枚のカードになれるというカードであり、こんな意味不明のカードが存在していいはずがありませんが、恐ろしいことに「強欲な壺」のやっていることはこれとほぼ同じなのです。
通常のアドバンテージの概念からは根本的に次元が違う話であり、そもそもカードパワーという物差しで測ること自体がナンセンスであるほどの異質な存在でしょう。哲学的な話になってしまいますが、個人的には遊戯王カードを「強欲な壺」と「それ以外のカード」の2種類にカテゴライズしていいとすら考えています。
なぜそうなるのかを説明することは非常に難しいのですが、例えば「苦渋の選択」は「強欲な壺」以上に壊れているカードですが、あくまでも「1枚の遊戯王カード」に過ぎません。しかし、「強欲な壺」は「1枚の遊戯王カードでありながら実質2枚の遊戯王カードを内包しているカード」であり、根本的に他のカードとは住む世界が違います。
当然、強いか弱いかで言えば間違いなく最強のカードです。
汎用カードは「引くだけで有利になれる」から汎用と言われる
極めて根本的な話ですが、そもそもほとんどのカードは引かなければ役に立ちません。
つまり、ドローしなければ使えないことを理由に弱いと評価する場合、汎用カードというだけで条件に当てはまってしまうことになります。この理屈では「おろかな埋葬」などのパワーカードも同様に全て弱いということになってしまい、明らかに荒唐無稽です。
とはいえ、上記で解説した「カテゴリのバックアップを受けることによる強さ」の理論に関しては間違いではありません。
実際、「特定のカテゴリの特定のサポートカード」が部分的に「強欲な壺」以上の強さを発揮することは決して珍しいことではなく、上記の【閃刀姫】でも「閃刀起動-エンゲージ」の方が有用なケースがほとんどです。
もちろん、これはそのカテゴリ内に限っての話に過ぎないため、現存するカードプール全てに対応する「強欲な壺」とは海と井戸ほどに違いがあります。
壺が入っていないデッキは「デッキではない」と言われた時代
わざわざ言葉にするまでもないことですが、「どんなデッキにも入るカード」という概念はカードゲームにおいて明らかに癌です。
例えばOCGには「汎用的に利用可能な特定のカード群」を総称して「出張」と呼ぶ風潮があります。古くは「苦渋の選択」+「キラー・スネーク(エラッタ前)」のセットなどから始まった考え方であり、これなくして遊戯王を語ることはできません。
とはいえ、流石に無条件でデッキに入るような出張ギミックはまず存在しないため、こうした概念がデッキ構築の固定化を招くことは現代遊戯王では到底考えられない話です。稀に「出張が強すぎてそれを使えるデッキにしか生存権がない」という状況(※)が成立してしまうケースもありますが、その場合も「出張に適応したデッキが環境上位を占めたため、結果的に使用率が高く見えている」だけであり、出張ギミックそのものの使用率が100%になっているわけではありません。
(※【十二獣】などが有名です)
ところが、恐ろしいことに「強欲な壺」にこの法則は一切当てはまりません。
上述の通り、「強欲な壺」は遊戯王OCGでもトップクラスに凶悪なカードですが、そうした強さ以前に「使わない理由がそもそもない」という常軌を逸した性質を持っています。よく言われるのは「デッキ枚数が事実上39枚で固定される」という表現ですが、むしろ40枚のデッキにそのまま入れて41枚にしても構わないため、文字通りの意味で「無条件で採用できる消費1枠の出張ギミック」と言い換えることができるわけです。
実際、過去の環境においてはどのような環境であっても採用率100%という異次元の使用率を叩き出していたほどであり、この記録は「苦渋の選択」を始めとする極悪カードですら達成できていません。【ジャマキャン】や【Vドラコントロール】など、「強欲な壺」が不採用になり得るデッキも一応は存在しましたが、そうしたデッキですら実際には「壺は必須」という意見が主流だったほどです。
「壺が入っていないデッキはデッキではない」とすら言われるに至った実績は伊達ではなく、まさに未来永劫禁止カードに指定しておかなければならないカードです。
名前と実力はそもそも無関係
実を言うと、「強欲な壺」の「名前が弱い」ことは一応は事実ではあります。
しかし、はっきり言って「だからどうした」というレベルの話であり、これを弱点に数えること自体に相当無理があったことは否めません。むしろ書かない方が偏向しやすかったのではないかとも思いましたが、折角書いた文章を消すのも勿体ないと思い、無理やり記事に入れました。
最初期に永久禁止カード入り 制限復帰の見込みは「ゼロ」
これに関しては完全に数合わせのネタ項目です。
ブランクの長さがカードの強さに関係するのであれば「苦渋の選択」なども弱いということになってしまうため、明らかに道理に合いません。ブランク云々というより永久禁止カードの一種であり、制限復帰の見込みは完全に「ゼロ」です。
ただし、「突然変異」のように明らかに開発側からも忘れ去られたカードなども存在するため、部分的には正しいと言えなくもない理屈ではあります。
【まとめ】
「強欲な壺」についての話は以上です。
前半部分では「強欲な壺」を無理やり酷評した結果、思いのほか噴飯ものの文章に仕上がってしまい、推敲中は読んでいて恥ずかしくなってくるほどでした。恐らくは記事途中で離脱される方も少なからずいらっしゃると思いますので、その場合は「強欲な壺」を弱いと思い込んでいる賢者と誤解されたままになってしまうのではないかという危惧もあり、プレイヤーの端くれとしては少々冷や汗が出る思いです。
ちなみに、記事冒頭で「ぶっ壊れは不当な評価」なる表現を用いていますが、実際その通りであり、「強欲な壺」はそもそも印刷されたのが間違いというレベルのカードです。誕生時期を鑑みれば仕方がない話ではあるのですが、遊戯王というカードゲームのシステム上存在してはならないカードであり、また今後生まれることも絶対にあってはならないと言える存在でしょう。
ここまで目を通していただき、ありがとうございます。
ディスカッション
コメント一覧
コストも何もなしにアドが取れると言うある意味OCGを象徴するカードですからね。この文章はまさに噴飯ものでした(笑)
この調子で「禁止カードは本当に強いのか? 遊戯王初期の壊れカードを辛口評価」の続編も見てみたいです。
コメントありがとうございます。
変な言い方ですが、強欲な壺はトランプで言うところのジョーカーに近い存在だと考えています。考察すればするほど正気を失う怪物カードの類です。
禁止カード考察記事の続編は……書く意思はそれなりにありますが、中々納得のいくネタが浮かばないというのが現状です。中途半端な出来にすると考察警察に捕まるのではないかという恐れもあり、手を出しあぐねている面もあります。すみません。
墓地リソースがまだ充実していなかった苦渋の選択はともかく天使の施しがほぼ100%を達成できなかったというのは初耳です。
強欲な壺そのものを無理やり引っ張ることだってできるし、
デッキから引ける枚数多いことからむしろその手のコンボデッキのキーパーツを持ってく性能では強欲な壺より強いと思うのですが何故だったんですか?
コメントありがとうございます。
ご指摘いただきました通り、施しも壺と同じく100%に近い採用率を誇っていたカードで、中級者以上のプレイヤーの間では「入れない理由がない」という意見が主流でした。
しかし、逆に初心者の間では強さが理解されないことも多く、壺ほど盤石の地位は築いていなかった印象があります。
誤解を招く表現になってしまってすみません。ややこしいため該当箇所の記述は削除しました。ご指摘ありがとうございます。
記事の品質向上に貢献できて幸栄です。
記事では言及されてませんが、動きが違う天使の施しもまた無条件でアドバンテージを稼げてしまうカードですね。
自分がまさに初心者だったので補足しますと、天使の施しは壺のように引いたらすぐ脳死で使えるものではなく、手札の質がよく捨てても良いカードがないと一旦温存したほうがいいという考え方は自分の中にあったので、実質「無条件」ではなくなっていました。「引いた分含めてもっとも質の良いものだけを残す」という考え方がわかると確かに壺のように気軽に使えるのですが、やはり初心者ほど自ら「今の手札に捨てても良いカードがある」という「条件」を付けがちだと思います。
コメントありがとうございます。
天使の施しは一見単純なドローカードながら意外とプレイスキルの差が出るカードで、実は施しを温存するというのも(中級者以上のプレイヤーであっても)選択肢の1つとして知られていました。
当時は今ほどゲームスピードが速くなくロングゲームになりがちだった都合上、安易にすぐ使ってしまうよりも「なるべく手札が弱いタイミングで使用した方がゲーム全体を通して見るとアドを取れる」可能性があったというのがその理由です。もちろん基本はすぐに使ってしまう方が良いことも多く、そうした判断基準にプレイスキルが出るという具合でした。
一方、壺は完全に使い得のカードですので、その辺りに扱いの差が生まれていたのかもしれません。
遊戯王のカードゲームを遊んだことはないのですが
強引に弱く見せようとしている感が伝わってきて笑ってしまいました。
それだけでなく、同じ1アドの取り方にも種類や優劣がある事、カード名が強さに関わっていることなど
遊戯王をプレイする方が注目しているところが垣間見えて非常に面白く読ませていただきました。
コメントありがとうございます。
強欲な壺はどの角度から見ても理解不能に強すぎるため、これを弱く見せようとするのは思いのほか苦労しました。個人的な意見ですが、恐らくこれ以上に強いカードは他のカードゲーム含めほぼ存在しないのではないでしょうか。
(比較対象として「Ancestral Recall」が挙げられることもありますが、正直マナコストがかかる時点で壺の足元にも及ばない強さだと思っています)
無理矢理弱く見せようとして、改めて強欲な壺の意味不明さが分かる面白い記事ですね
よく天使の施しと比べられますが
超極端な話ですが火の粉40枚デッキがあるとして、追加で入れるものが天使の施しか、強欲な壺といった例のように
どんなデッキに投入しても無条件に強化(アド)が得られる点は記事の通り壺だけは他のカードとは別次元のものですよね
分かりにくい例と長文失礼しました、他の記事も楽しみに読ませてもらいます。
コメントありがとうございます。
感覚的な表現で恐縮ですが、強欲な壺はスクリプトで例えると「処理の回数を2回に増やす処理を行う処理」というプログラマー発狂もののカードのように解釈しています。他のカードはどれだけ強い処理であっても単一の処理である以上はそれまでですが、処理自体を増やしてしまう壺だけは文字通り例外というイメージです。
(2ドロー版のギタ調や島を戻さないガッシュがどれだけ不味いかという話でもありますが……)
面白い趣旨の記事ですね。拝読させていただきました。
僭越ながら私も挑戦してみます。
結論として、先攻時の強欲な壺を弱く評価するのは無理でした。ですが後攻時の壺は環境によってはサイドチェンジで抜かれるから弱い、と無理矢理評価できます。
先攻寒波、ルーラー、ナチュビ、エクストリオによって単品で機能しなくなるのはどの魔法も同じですが、先攻魔封じセットからの2ターン目スタンバイ魔封じで紙になるのは、強欲な壺が通常魔法であるが故の弱さと言えるでしょう。15年のEMEmと彼岸のマッチ戦でEMEm側が後攻用のサイドチェンジをする際、魔封じ対策のツイツイは素引きして相手のスタンバイ魔封じにチェーンする必要があり、自分のメインフェイズまで機能しない壺は構造上弱いカードと言えます。
あとは魔封じに限らず、魔法無効を用意する先攻制圧デッキに対して後攻時に役に立たない点も致命的です。仮にその制圧デッキが3体以上の制圧モンスターを並べる場合は、素引きから盤面を崩せるラー玉の方が重要になりますし、そもそも先攻展開を止める可能性を秘めた各種誘発の方が重要になります。つまり先攻後攻問わず力を発揮し、デッキに3枚入るうららよりカードパワーが低いと言わざるを得ません。
テーマ内のカード全てが誘発を兼ねる初動札、となるようなテーマが生まれ、テーマ内のカードだけで40枚のスペースを埋められる場合、壺は環境から姿を消すでしょう。
…以上です。
コメントありがとうございます。
壺最弱説の考察にお付き合いくださりありがとうございます。魔封じを絡める発想はありませんでした。確かにその前提条件下であれば(少なくとも構造上は)壺は弱いカードということになりますので、そこはかとなく壺が弱いような気がしてきます。
真面目な話、壺を弱く評価しようとすると生半可な屁理屈では太刀打ちできず、例外に例外を重ねたトンデモ理論を捻り出さなければならないことが逆に壺の凄まじさを証明してしまっているのかもしれません。先攻時の壺に関しては記事執筆時の段階で、素引きしたくないカードがデッキの半数以上を占めている場合(つまり引きたいカード<引きたくないカード)という状況であれば「カードを引くという行為そのものが損」ということになり、壺も弱くなるのでは……と考えましたが、自分で言っていて本当にわけがわからなかったので流石に没項目にした経緯があったりします。
禁止カード制度が導入されてからも、制限止まりだった時期があるのが謎です。
環境デッキ年表を見ても確定で入っていますし、当時はあらゆるデッキに1枚入る、大逆転チャンスのラッキーカード扱いだったのでしょうか?
コメントありがとうございます。
現役時代の壺は例えるならばトランプにおけるジョーカー的な存在、あるいは空気や水のようにあって当然のもので、使わないという発想自体存在しないようなカードだったと記憶しています。もちろん引ければそれだけで無条件に有利になれる(特に昔はアド稼ぎが今と比べて難しかったため)バランス最悪のカードであり、禁止すべきという声も非常に多いカードでした。
回答ありがとうございます。
初の禁止カードリストを見たとき、お注射天使リリーが禁止で壺が制限なのにものすごく違和感を覚えましたw
初コメです
実に15年以上前のプレイヤーですが、強欲な壺を見て懐かしい気持ちになりました
現代遊戯王を全く知らないので疑問があります。
どのデッキにも入るカードは癌という表現をされてますが、いわゆる手札誘発の類(特に灰流うららや増Gが多いとよく様々な記事で見ます)もどのデッキにも入るカードだと思います。これらはなぜ許されてるのかがよく分からないのです。
使うタイミングに駆け引きが生まれると言われたらそこまでですが…
コメントありがとうございます。
ご指摘いただいた通り、いわゆる手札誘発についても採用率という観点においては「どのデッキにも入るカード」という側面はあるかと思います。実際にプレイヤーの考え方によっては誘発を悪とする意見も時折見かけますし、それもまた1つの意見だと捉えています。
ただ、厳密には壺のように無条件で強いために使われているというよりは「ゲームバランスの都合上誘発が必要であるため、とりあえずメインデッキには比較的腐りにくい増Gうらら等を入れておく」というニュアンスに近く、サイドチェンジでは普通に抜けてしまうこともあります。
つまり、本質的には昔で言う「奈落の落とし穴」辺りのカードと変わらないのではないかというのが個人的な見解です。
返信ありがとうございました
奈落の例え、ストンと入ってきましたw
「腐りにくい」と「腐らない」ではやはりとてつもなく差があるのですね
壺は使わない理由がない=当時でも温存する理由がないと考えるとやはりヤバいやつなのだなと…
ちなみに初期の強欲な壺カードの効果はじつは二枚ドローだけじゃなくて 二枚ドローの後「このカードを破壊」するという謎の効果がありました後テキストをエラッタしたのが今の二枚ドロー効果です ストラクチャ遊戯かVOlシリーズで入ってた本当に初期も初期ぐらいだと思いますエラッタされた時期は分かりませんが
コメントありがとうございます。
壺破壊のテキストは遊戯王初期の混沌とした空気が感じられ、ある種の趣深さを感じさせます。個人的には魔法ではなく罠カードにして調整しようとした名残りなのではないかと考察していますが、真相は闇の中という感じになりそうです。
壺はそのうち弱くなる派閥に属しているのでいくつか壺が弱い状況について話させていただきます。
まず上の方がおっしゃっていた後攻時に弱いという点について。
現在ですら、相手の制圧に対してそれらをすり抜けるカードというのは存在します。チェーンを許さずにリリースする壊獣やラヴァゴや球体、効果によってチェーンを許さない超融合や冥王結界波などのカードによって、本来5,6妨害できたはずのカードを1枚で黙らせることができます。これが明確に壺の不得手な点で、壺は相手の妨害を1回切らせることしかできないのです。通常魔法の発動というありふれた方法はモンスター効果の発動よりかは希少とはいえ、普通に妨害手段の一つとしてそこそこ多くのカードに搭載されています。現在の妨害数が基本的に手札の枚数を上回れない以上壺はジョーカーカードとして君臨できていますが、6回を超える万能カウンターが跋扈する環境であれば単なる紙の一枚に成り下がってしまうのです。もちろん手札誘発の代わりにもなりませんし。
次に先行時。
うららが直撃することは他のカードを通すために問題ないのですが、問題はドロールです。いくつかドロールをすり抜けられるカードが増えてきたものの、やっぱりサーチの主流は手札に加えることです。それゆえ、相手に致命傷を与えられるカードをサーチできる各種サーチと枚数こそ増える物のランダムに手札に加わる壺では、一度限りのドロール前の発動を吟味した場合サーチカードに軍配が上がりやすいのです。
それに、強力な手段とされるデッキからのランダム墓地肥やしの際にノイズになることも見逃せません。壺が落ちるだけで得られるはずだった墓地アドが一枚分減ってしまうのです。名前が弱すぎるせいでサルベージも効きません。だから、引けなかったらプラマイ0ではなく、引けなかったときにディスアドが発生してしまうということなのです。
総合して、現在は完全無欠のジョーカーカードであっても、遊戯王がより激しい制圧、より激しい手札誘発によるさらなる蟲毒環境へ突き進めば壺は簡単に妨害される単なる紙になってしまうのです。弱い状況がほとんどないカードですが、遊戯王が遊戯王である限り常に最強、と言い切るのはさすがに過言といえるでしょう。
実際、禁止制限全解除というやばい環境において、壺を1枚も採用しないという構築が入賞を果たしたという話を聞きます。こうした実績がある以上、100%入らない状況がないということだけは反論することができます。
コメントありがとうございます。
強欲な壺についての深い考察、非常に参考になりました。特にドロールとの関係はご指摘いただいた通りで、ドロールに限らず今後のカードプール更新でドロール系統の汎用誘発が増加していった場合、召喚権ならぬ「サーチ権」のような新たな概念が発生する可能性は十分に考えられるように思います。その場合壺は貴重なサーチ権を消費して2ドローするだけのカードとなり、今で言う「カードカー・D」並の評価にまで暴落する未来もあるかもしれません。
実際に最近話題になったノーリミット大会でも壺を採用しない【ティアラメンツ】が多く見られたとのことですし、案外1周回って極まったインフレには適応できないカードなのかもしれません。
強欲な壺をネガキャンしようと書き込みに来たら上の方が言いたいことを大体言っていました。
他にはドローソース共通の弱点として後攻時の手札誘発率に関与しないというものがあります。
強欲な壺と交換されるカードの中には手札誘発も含まれるわけですが、相手ターン中には交換できず自分ターンが回ってきてからやっと手札誘発を加えても絶好の発動タイミングを既に逃しているわけです。
つまり手札誘発を考慮すると強欲な壺で引けるカードの価値は2枚未満になることがあり、極端な話手札誘発がデッキの半分以上を占めている場合強欲な壺で引ける手札誘発以外のカードが1枚未満になるので妨害を考慮せずとも入れない方がマシという事が発生しえます。
あとは万が一フルモンが天下を取った暁には採用率が落ちます。
遊戯王には発動コストが無いから強欲な壺は最強であるという理論は散見されますが単純に手札を増やしている訳ではない以上、環境の移り変わりの激しい遊戯王OCGというゲームにおいてその理論はいささか乱暴かもしれません。
コメントありがとうございます。
壺と誘発のドロー期待値に関してはおっしゃる通りで、一時期ノーリミット環境の後手マッチキルデッキを考察した際は壺不採用という形に行き着いたこともありました(実際にはノーリミットの後手デッキはそもそも無謀という結論になりましたが……)
流石に現在のゲームスピードでは考えにくい話ではあるものの、強欲な壺ですら弱い環境が成立し得るという辺りが遊戯王というゲームの奥深さを物語っているのかもしれません。
返信ありがとうございます。
手札誘発が増える環境であるということは先攻時の前方確認札やリカバリー手段もその分必要になるということなので現在のカードプールから考えると(ティアラメンツのように後攻からでも動ける特殊なデッキを考慮しなければ)それだけを理由に強欲な壺がサイドにすら採用されないということは発生しづらいのかもしれません。
さきほど雑にフルモンとまとめてしまいましたが超重武者のような墓地に魔法カードが存在すると発動できないカードや、ガリスワンキルのような1枚でも魔法カードが入っていると勝率が著しく下がるデッキの存在などを考慮すると緑色のカードであることそのものが弱いという場合が出てきます。
またマジック・キャンセラーやナチュル・ビーストのような魔法無効化が恒常的に飛んでくる場合や、PSYフレームギア・δのような魔法カードに反応して飛んでくるカードを考慮に入れる場合も緑だから弱いと言えます。
前者はマジック・キャンセラー系に限らず、ショック・ルーラーのようなカードの色を指定して妨害するカードでも同じことが言えます。モンスター効果を主軸にするデッキの場合そこに緑色を加えて2色で動くことで色指定の妨害を受けやすくなってしまいます。
後者のような魔法カードに反応するカードが環境に入っている場合、魔法カードを使うにしてもまずはモンスター効果だけで軽く展開してカウンター手段を整えてから魔法カードを発動するという戦略が考えられます。その場合さきほどの期待値の話同様に初動率に関与せず展開したのちに展開札や前方確認札を引いても無駄になることが出てくるのでそれも緑色ゆえに発生する弱点と言えます。
これらは既存のカードだけで説明できる理屈であり、これから要素が増えてくると更に強欲な壺が弱いと言える理屈が増えるかもしれません。
強欲な壺が現状強いと言えるのは数あるデメリットを補って余りあるメリットを有しているからでしかなく、運営のさじ加減一つでいくらでもひっくり返る可能性があります。強欲な壺を考察することで所詮全ては運営の気分次第でしかないということを思い知らされますね……。
前は採用・不採用を軸に考えたけど今度はカードパワー軸で考えてみる。
よく思うのは「禁止カード最強は苦渋の選択、禁止・制限全解除で採用率一位は強欲な壺」っていうこと。
(ティアラとかいう例外は考えないことにして)どのデッキ・どの状況でも使えるけど1アドな壺とデッキ・状況を微妙に制限される代わりにアドがカチ壊れてる苦渋じゃ勝負するべき土俵が違う。少なくとも初手発動して勝ちを確信できるレベルの苦渋とちょっと有利になるだけの壺、リストバンドに隠すならどっちと言われれば間違いなく苦渋。まあマクロとかアトラクターとか弱点はあるけども。
これから禁止カードすべてをリンクスのリミット1式の制限にします!制限・準制限はこれまで通り!って言われたら採用率は低いと思う。むしろ10%いかないかも。
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、壺と苦渋に関してはそもそも勝負するべき土俵が違うと言えそうです。単純に禁止解除されたという前提であれば壺の採用率は間違いなく1位になりますが、「禁止カードの中から1枚のみ使用可能」というルールであれば壺の採用率は一転して低くなるのではないかと考えられます。
どちらかというと壺の本質は存在罪にあるというのはよく指摘されている通りですし、そもそも通常のカードパワーの観点から捉えられるような代物ではないのかもしれません。
いつも楽しく記事を拝読させていただいております。遊戯王は学生時代に少しやった程度ですが、ここの遊戯王ヒストリーの記事を1から少しづつ読み進めております。ほんとにすごい。
強欲の壺解説は特にお気に入りで、何回も読んでおりますが言語化がすごいですね。パワーカードとかいう話じゃなく、そもそも刷られたことが間違いだということがよく分かりました笑 ただの感想ですがついコメントしてしまいました、すみません、、
コメントありがとうございます。
こちらこそブログを楽しんでくださりありがとうございます。元々は自分用に書き始めた備忘録のような代物ではありますが、少しでも誰かのお役に立てたのであれば幸いです。
強欲な壺に関してはカードの構造的にもはやカードパワー云々という次元を超越してしまっている印象はあり、個人的にはヴィクトリードラゴンと並んで存在そのものが間違いと言えるカードだと解釈しております。とはいえ最初期にデザインされたカードの調整に失敗してしまうというのはカードゲームでは比較的よくある話ですし、原作再現コンテンツという観点も含めてやむを得ない部分はあったのかもしれません。
壺は強いのか弱いのか議論の一つのアプローチとして先日マスターデュエル上で行われた有志によるノーリミットデュエル大会が参考になるかもです。
その大会では1・2位がティアラメンツでどちらも壺が採用されていませんでした。理由はシンプルでランダム墓地肥やしで落ちると弱いから。
墓地は第二の手札とはよく言ったものですが、ノーリミットティアラメンツ程に極まると壺でさえ足手纏い扱いされるのは恐ろしさを感じました。
これだけで壺が強いのか弱いのかを断言しきる事はできませんが、墓地肥やしという有りふれた行為との相性を理由に壺が弾かれるのは中々に面白い事例だと思いました。
コメントありがとうございます。
以前からノーリミットのイシズティアラに壺は入らないと言われていましたが、やはり結論としてはそのようになりそうです。自分なりにその理屈を言語化してみたところ、要するに「手札にカードを引く」という行動を1とすると「墓地にカードを落とす」という行動を9以上の頻度で行うデッキであることが理由ではないかと感じました。
もちろんイシズティアラであっても手札を増やすことが強い行動であることは間違いない一方、頻度で言えば僅か1の行動のために墓地肥やしの期待値を下げることになり、全体的にはマイナスになってしまう可能性があります。一方でイシズは「手札1枚で5枚肥やし、なおかつ墓地に落ちても5枚肥やし」という一石二鳥のギミックであり、頻度も考慮すればこちら側に完全特化してしまった方が具合が良さそうに見えます。
そのため、かなり奇妙な表現ですが「手札1枚使ってまで手札2枚増やすのは損」という、従来のデッキでは到底信じがたいような結論に行き着いてしまうのかもしれません。
>むしろ「壺盗み」に引っかかるという致命的なデメリットすらあり
ここで大笑いしてしまいました
サンダーボルトやブラックホールのようなパワーカードでも、避雷針、ホワイトホールといった強力な対策カードの再発見により禁止解除されたので、コナミが壺盗みの存在を思い出せば強欲な壺が禁止解除される時代も来るかもしれませんね!(棒)
コメントありがとうございます。
壺盗みは実質ドロー付きの灰流うららに匹敵するほどパワーの高いカードですし、やはりこれが刺さってしまうというのはあまりにも苦しい弱点ではないかと思われます。その壺盗みが果たしてどれほど流行るのかという疑問についても、現代で灰流うららが標準的に3積みされている事実からその上位互換とも言える壺盗みも3積みされるという結論が容易に導き出せますので、強欲な壺が復帰する日もそう遠くはなさそうです。