制限改訂2014年7月 【征竜】の最期(後に復活)

2020年7月10日

【前書き】

 【第9期の歴史7 M・HEROダークロウ誕生 鬼畜・嫌い・汚いの3K】の続きとなります。ご注意ください。

 遊戯王屈指のヘイトモンスターである「M・HERO ダーク・ロウ」が誕生し、当時の環境に少なくない影響が及ぼされることになりました。【シャドール】や【テラナイト】、更には【青眼征竜】など目ぼしい勢力全てに刺さる強烈なメタモンスターであり、そのポテンシャルの高さは【M・HERO】の環境入りという結果で明確に示されています。

 新進気鋭のアーキタイプの参入によってメタゲームが揺れ動く中、続く7月に第9期初頭環境の実質初回となる制限改訂が行われることになります。

 

制限改訂 2014年7月1日

2014年7月1日、遊戯王OCGにおいて38回目となる制限改訂が行われました。

 禁止カードに指定されたカードは以下の62枚です。

イレカエル
ヴィクトリー・ドラゴン
炎征竜-バーナー
混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前)
キラー・スネーク(エラッタ前)
クリッター(エラッタ前)
 
 
 
 
グローアップ・バルブ
黒き森のウィッチ(エラッタ前)
ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前)
混沌の黒魔術師(エラッタ前)
サイバーポッド
サウザンド・アイズ・サクリファイス
処刑人-マキュラ
水征竜-ストリーム
聖なる魔術師
ゼンマイハンター
地征竜-リアクタン
D-HERO ディスクガイ(エラッタ前)
同族感染ウィルス
氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前)
ファイバーポッド
フィッシュボーグ-ガンナー
風征竜-ライトニング
魔導サイエンティスト
メンタルマスター
八汰烏
レスキューキャット(エラッタ前)
悪夢の蜃気楼
いたずら好きな双子悪魔
王家の神殿(エラッタ前)
押収
苦渋の選択
強引な番兵
強奪
強欲な壺
心変わり
サンダー・ボルト
次元融合
生還の宝札
洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前)
大寒波
蝶の短剣-エルマ
天使の施し
ハーピィの羽根帚
早すぎた埋葬
ハリケーン
マスドライバー
魔導書の神判
未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)
突然変異
遺言状
異次元からの帰還
王宮の弾圧
王宮の勅命(エラッタ前)
現世と冥界の逆転(エラッタ前)
死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)
第六感
ダスト・シュート
血の代償
刻の封印
破壊輪(エラッタ前)
ラストバトル!

 

 制限カードに指定されたカードは以下の62枚です。

アーティファクト-モラルタ 無制限
終末の騎士 無制限
竜の渓谷 無制限
竜の霊廟 無制限
針虫の巣窟 無制限
A・ジェネクス・バードマン
イビリチュア・ガストクラーケ
甲虫装機 ダンセル
甲虫装機 ホーネット
E・HERO エアーマン
焔征竜-ブラスター
海皇の竜騎隊
カオス・ソルジャー -開闢の使者-
巌征竜-レドックス
発条空母ゼンマイティ
ダンディライオン
TG ハイパー・ライブラリアン
深淵の暗殺者
No.11 ビッグ・アイ
ネクロフェイス
瀑征竜-タイダル
氷結界の龍 トリシューラ
封印されしエクゾディア
封印されし者の左足
封印されし者の左腕
封印されし者の右足
封印されし者の右腕
フォーミュラ・シンクロン
BF-疾風のゲイル
水精鱗-ディニクアビス(エラッタ前)
メタモルポット
嵐征竜-テンペスト
立炎星-トウケイ
レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン
異次元からの埋葬
一時休戦
インフェルニティガン
大嵐
おろかな埋葬
原初の種
死者蘇生
精神操作
増援
超再生能力
月の書
手札抹殺
貪欲な壺
光の援軍
封印の黄金櫃
ブラック・ホール
霞の谷の神風
モンスターゲート
闇の誘惑
リミッター解除
六武の門
ワン・フォー・ワン
神の警告
神の宣告
停戦協定
転生の予言
光の護封壁
マジカル・エクスプロージョン

 

 準制限カードに指定されたカードは以下の24枚です。

E・HERO バブルマン 制限
先史遺産ネブラ・ディスク 無制限
真六武衆-シエン 制限
ゼンマイシャーク 制限
TG ストライカー 制限
ヴェルズ・オピオン 制限
馬頭鬼 制限
アビスフィアー 制限
オネスト
カードガンナー
召喚僧サモンプリースト
ダーク・アームド・ドラゴン
大天使クリスティア
D-HERO ディアボリックガイ
トラゴエディア
氷結界の虎王ドゥローレン
輪廻天狗
ローンファイア・ブロッサム
召集の聖刻印
連鎖爆撃
ヒーローアライブ
魔法石の採掘
おジャマトリオ
奈落の落とし穴

 

 無制限カードに緩和されたカードは以下の8枚です。

カオス・ソーサラー
ゾンビキャリア
デビル・フランケン 制限
レスキューラビット
炎舞-「天璣」
王家の生け贄
黒い旋風
七星の宝刀

 

 以上が当時コナミから下された裁断となります。変動21枚、うち規制強化が6枚、規制緩和が15枚となっており、明らかに規制を緩める方向に動いていることが見て取れる改訂です。

 また、禁止カードの移動も全く起こっていないなど、全体的に様子見の向きが強い改訂だったと言えるでしょう。

 

【征竜】への規制

 とはいえ、もちろん中には規制の対象となった勢力も少なくなく、とりわけ【征竜】に対する圧力は非常に厳しいものでした。

 「竜の渓谷」「竜の霊廟」の2枚が同時に制限カード指定を受け、相当苦しい大打撃を被っています。どちらも当時の【征竜】を支えていた屋台骨とも言えるカードであり、これらを失ったことは流石の【征竜】と言えども致命的です。

 しかし、この規制によって【ドラグニティ】などの中堅テーマも巻き添えを食らってしまっており、それらにとっては完全なとばっちりと言わざるを得ません。

 もっとも、【征竜】の驚異的な生命力はこれまでの実績を見れば明らかであり、こうした「とばっちり規制」の発生はもはや防ぎようがない話でもありました。この時期は下手をすると全盛期の1割以下の力にまでパワーダウンしていましたが、その状態ですら環境上位に食い込むほどの活躍を見せていた背景があり、これに関してはやむを得ない措置だったのではないでしょうか。

 ちなみに、この時期の【征竜】関連カードの規制を一覧にまとめると下記のようになります。

・「炎征竜-バーナー」(禁止)
・「水征竜-ストリーム」(禁止)
・「地征竜-リアクタン」(禁止)
・「風征竜-ライトニング」(禁止)
・「異次元からの帰還」(禁止)
・「焔征竜-ブラスター」(制限)
・「巌征竜-レドックス」(制限)
・「No.11 ビッグ・アイ」(制限)
・「瀑征竜-タイダル」(制限)
・「嵐征竜-テンペスト」(制限)
・「超再生能力」(制限)
・「封印の黄金櫃」(制限)
・「竜の渓谷」(制限)
・「竜の霊廟」(制限)

 禁止5枚、制限9枚という常軌を逸したハンデであり、むしろこの状況で直前まで生き残っていたことが逆に不思議です。普通のデッキであれば軽く3回は死亡しているはずのダメージであり、あまりにも異常な生存能力と言うほかないでしょう。

 

【シャドール】への規制(大嘘)

 一方、【シャドール】に対する規制として「終末の騎士」「針虫の巣窟」の2枚が制限カード行きとなったことも見逃せません。

 2枚とも初期の【シャドール】において活躍したカードであり、一見すると両者の制限入りは不自然ではないようにも見えます。

 しかし、実際にはかなり不当な規制であり、当時の現役プレイヤーの間でも少なからず物議を醸しています。

 というのも、この時期は「マスマティシャン」「クリバンデット」といった【シャドール】と相性抜群の新規カードが立て続けに現れており、あえて上記2枚を採用するメリットは希薄なものになっていたからです。

 加えて、【光天使シャドール】の流行に伴って純【シャドール】自体のシェアが下火になっていたこともあり、もはや採用候補に名前が挙がることすら稀になっていました。実質的にはほぼ無意味な規制であり、明らかに規制すべきカードを間違えてしまっています。

 そのため、この規制はゲームバランス調整と商業的な都合が板挟みになった結果、要は「とりあえず規制の意思があるというポーズ」を示すためだけの名目上の規制だったのではないでしょうか。

 

【AF先史遺産】への規制

 その他、第9期初頭環境の王者であった【AF先史遺産】に対する規制も目を引きます。

 「アーティファクト-モラルタ」が制限カードに、「先史遺産ネブラ・ディスク」が準制限カードにそれぞれ指定され、非常に厳しい弱体化を余儀なくされました。特に「アーティファクト-モラルタ」が制限行きになったことが苦しく、これによって「アーティファクトの神智」の安定感が大幅に悪化してしまっています。

 一方、「先史遺産ネブラ・ディスク」の準制限カード指定も地味ながら重いダメージであり、この時期の【AF先史遺産】がほとんど結果を出していなかったことを鑑みれば過剰とも言える規制です。

 しかし、【シャドール】などの9期勢がおかしすぎるだけで【AF先史遺産】も当時としては強力なデッキであり、カタログスペック的には規制が必要なラインを明らかに超えていました。また、「神智モラルタ」に関してはデッキ単位というよりは出張単位で優秀すぎるギミックでもあったため、外からの評価とは裏腹に比較的妥当な規制だったのではないでしょうか。

 

【ヴェルズ】微強化 オピオン+兎の規制緩和

 上記の面々とは逆に、規制緩和によって相対的な強化を受けた勢力も少なくありません。

 それらは多くの場合ささやかな影響しかもたらしませんでしたが、【ヴェルズ】のように環境レベルで復権を遂げたアーキタイプも存在します。

 エースモンスターである「ヴェルズ・オピオン」の準制限緩和を筆頭に、それを1枚で立てられる「レスキューラビット」が無制限カードに完全釈放されるなど、一見控えめながらも内部的には大きな強化が入りました。特に「レスキューラビット」が3枚体制になった(※)ことが革命的で、見方によっては全盛期以上の強さを手にしていたと言っても過言ではありません。

(※ここでは詳しくは解説しませんが、「ヴェルズの兎はダブっても強い」という言葉は有名です)

 元々この時期は【シャドール】のメタデッキとして一定の実績を残していた背景もあり、これ以降しばらくの間は侮れない存在感を示していました。

 

デビルフランケン無制限 お手軽ナチュルエクストリオ投げ機

 その他、「デビル・フランケン」が無制限カードに完全釈放されたことも地味ながら大きな変化です。

 第8期終盤の改訂で制限復帰を遂げていたものの、その後は特に目立った活躍もなく潜伏していたことから、一見すると規制緩和してしまってもさほど問題はないようにも思えます。

 しかし、そうした予想とは裏腹にデビル・フランケン」の無制限カード化は見た目以上に大きな影響として現れることになりました。これまでは制限カードゆえに安定的な運用が難しいというボトルネックを抱えており、結果的に採用率が振るわない立場にありましたが、3積みできるとなれば話は全く別だからです。

 具体的には、何らかの制圧効果を持った融合モンスターをあらかじめエクストラデッキに用意しておき、2戦目以降にサイドから「デビル・フランケン」を投入する(※)という戦法が流行しています。代表的なのは「ナチュル・エクストリオ」、そしてそこから一歩下がって「異星の最終戦士」の2枚ですが、場合によっては「サイバー・エンド・ドラゴン」などのワンキル系カードが起用されることもあり、しばしば盤面の有利不利を無視したイージーウィンを発生させていました。

(※むしろメインから採用されることもありました)

 かつての【ダークゴーズ】におけるサイドスイッチギミックを彷彿とさせる戦法であり、これが再び環境レベルで注目されるようになったことは古参プレイヤーには印象深い出来事だったのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 2014年7月の改訂で起こった大まかな出来事は以上です。

 全体的に規制緩和の方向に動いていた改訂であり、これによる影響は一部を除いて小さなものにとどまりました。

 しかし、中には【征竜】のように復帰困難な致命傷を負った勢力も存在しており、小規模ながらも無視できない環境変遷を誘発した改訂です。元々「M・HERO ダーク・ロウ」の参戦を受けて立場を悪くしていた都合もあり、遂にメタゲームからの転落(※)を余儀なくされています。

(※ただし、将来的には「No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン」を携えて【ダークマター征竜】として最後の輝きを見せることになります)

 まとめると、直前の環境から【征竜】が脱落したことで【シャドール】が完全に一歩抜け出す形となり、その後ろを【テラナイト】や【M・HERO】などが追いかける展開に向かっていたと言えるでしょう。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

著者情報:遊史

Posted by 遊史