スターライト・ロードが怖すぎた時代 2010年のスタロ環境

2019年4月9日

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【前書き】

 【第6期の歴史26 ネクロフェイス全盛期 メタデッキ【酒ネクロ】の台頭】の続きになります。ご注意ください。

 カードプールやメタの変化を受けて【ネクロデッキデス】の開発が進んだ結果、やがては【酒ネクロ】としてトーナメントシーンに姿を見せるようになりました。「ネクロフェイス」をキーカードとするデッキとしては【ネクロフラ】以来の環境入りであり、特にこの時期は【ライトロード】に有利を取れることから有力メタとして注目を受けていたデッキです。

 新勢力の台頭によって環境の勢力図が緩やかに入れ替わっていく最中、その後を追うように同月出身の商品同梱カードから当時のゲームバランスを大きく揺るがすパワーカードが現れることになります。

 

スタロ全盛期 最強の全体除去メタ

 2009年11月21日、「デュエルディスク 遊星Ver.DX」が販売されました。その商品同梱カードから新たに4種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは4074種類に増加しています。

 この時期の商品同梱カードの例に漏れず、OCGプレイヤーにとっても需要の高いカードが含まれていた商品です。特に「ジャンク・コレクター」は当時としては非常に画期的な「悪用しがいのあるカード」であり、実際に間もなく先攻1キルデッキである【ジャンクブレード】(※)を成立させています。

(※一時期は【ドグマブレード】の後継デッキとして騒がれたこともありました)

 とはいえ、そんな中でも最大の注目を集めていたのは「スターライト・ロード」だったのではないでしょうか。

自分フィールド上に存在するカードを2枚以上破壊する効果が発動した時に発動する事ができる。その効果を無効にし破壊する。その後、「スターダスト・ドラゴン」1体をエクストラデッキから特殊召喚する事ができる。

 「自分のカードを2枚以上破壊する効果」に対してのみ撃てるカウンターのようなカードであり、スペルスピードを除けば範囲が限定されている分ノーコストで使用できるようになった「神の宣告」のように見ることができます。もっとも、これだけでは「魔宮の賄賂」などの方が取り回しに優れていると言わざるを得ませんが、なんと無効化後に「スターダスト・ドラゴン」をエクストラデッキから特殊召喚できるというとんでもないオマケ効果が付いているのが最大の特徴です。

 単純に考えても1:2交換が簡単に成立するほか、「ゴッドバードアタック」などのコスト付きの除去に対して撃てば1:3交換すら狙えます。この方法で呼び出した「スターダスト・ドラゴン」は蘇生制限を満たせないという弱みもありますが、それでも当時の水準としては明らかに何かがおかしかったカードです。

 実際、「スターライト・ロード」のOCG化の際には確実に弱体化修正が入ると言われており、蓋を開けてみればほぼアニメ版通りの性能(※)で生まれてきたことはかなり驚かれていた印象があります。

(※ちなみに、アニメ版では「スターダスト・ドラゴン」の特殊召喚がシンクロ召喚扱いとなっていたため、自己再生も通常通り可能という壊れ性能となっていました)

 反面、特殊召喚効果を含むことから「王宮の弾圧」などに潰されるといった独特なリスクもありますが、それを踏まえても十二分に優秀なカードであったことは間違いありません。そのため、当時のトーナメントシーンにおいても参入直後から早々に存在感を示していくことになります。

 

スタロケアの概念 ガイザレスが1枚しか割ってこない環境

 当然のことながら、「スターライト・ロード」の誕生は当時の環境に多大な影響をもたらしました。

 この時期に多用されていた「大嵐」「激流葬」「聖なるバリア -ミラーフォース-」といった汎用全体除去はもちろん、シンクロデッキ全般のリセットカード「ブラック・ローズ・ドラゴン」、【ライトロード】の「裁きの龍」「ライトロード・エンジェル ケルビム」、【剣闘獣】の「剣闘獣ガイザレス」、【BF】の「ゴッドバードアタック」など、このカードで対処できる強力な仮想敵は少なくありません。

 とりわけ当時のトップメタであった【ライトロード】と戦う上では非常に心強い1枚であり、サイドはもちろんデッキによってはメインから複数枚積まれることも少なくなかったカードです。実際、【次元エアトス】や【次元剣闘獣】などの【メタビート】では準必須級カードとまで言われており、逆にこれらを相手にする場合には常に「スターライト・ロード」を警戒したプレイングが求められるようになりました。

 具体的には、「裁きの龍」の全体除去効果を安易に撃つのを控える、あるいは剣闘獣ガイザレス」や「ライトロード・エンジェル ケルビム」で破壊するカードをあえて1枚に抑えるといったプレイングが該当します。とどのつまり「スタロがなければ勝ち」の盤面は「スタロがあったら負け」の盤面でもあったため、「スターライト・ロード」というカードが環境に存在すること自体がある種の抑止力になっていたとも言えるでしょう。

 こうした「スタロケア」の概念は第6期に限らず以降のOCGでも定石として根付いており、メタの流れによって「スターライト・ロード」の採用率が上昇するたびに再認識されている基本テクニックの一つです。特に相手がいきなりセットカードを並べ始めた場合はほぼ間違いなく「スターライト・ロード」が潜んでいると言っても過言ではなく、大量セットによる威圧感と合わせて「スタロ恐怖症」を植え付けられたプレイヤーも少なくなかったのではないでしょうか。

 

自分で使うと弱い 扱いにくいパワーカード

 このように、相手にすると恐ろしいことこの上ない「スターライト・ロード」というカードですが、逆に自分が使う側に回ると思いのほか扱いにくさが目立つというウィークポイントも存在します。

 最大の問題点はやはり発動条件が限定されているがゆえの腐りやすさであり、運が悪ければ発動機会が巡って来ないままゲームが終わってしまうことも少なくありません。その上、一度でも「スターライト・ロード」の存在を匂わせてしまった場合、その後はほぼ確実に「スタロケア」を意識されるようになってしまうという対人的な弱点もあります。

 逆に言えば、「スタロケア」を相手に強要することで動きを牽制できるということでもありますが、そうなると今度は「スターライト・ロード」をわざわざ伏せるメリット自体が薄くなるという逆転現象が発生します。ややこしい話ですが、相手がスタロケアをしている時の「スターライト・ロード」は潜在的には死に札となっているに等しく、むしろ本当に「スターライト・ロード」を伏せるのは「逆に弱い」布陣なのです。

 つまり、「スターライト・ロード」の最も美味しい使い方は「スタロを伏せたと思わせつつ実際には別の罠を伏せ、なおかつ相手にはスタロケアを意識させる」というものだったということになります。「スタロはブラフが一番強い」と言われていた最大の理由がこれであり、また当時の「スターライト・ロード」がカタログスペック通りの採用率を発揮できなかったのもこれが主な理由だったと言えるでしょう。

 もちろん、前項目の通り「スターライト・ロード」が猛威を振るっていたこともそれはそれで事実です。実際、「スターライト・ロード」は相手が全体除去に頼らざるを得ないような盤面においては鬼のように強いカードでもあったため、有利な状況をさらに有利にするカードとしては極めて有用な1枚と言えます。

 こうした話を踏まえる場合、結局「スターライト・ロード」が強いのか弱いのか分からなくなってきそうですが、実際のところ「強いのか弱いのかよく分からない変なカード」と表現するしかないカードです。最終的には「相手が使うスタロは強いが、自分で使うと弱い」という矛盾に満ちた認識も広まっていっており、カタログスペックの高さからは想像もできないほどピーキーなカードとして名を馳せていくことになりました。

 

【まとめ】

 「スターライト・ロード」についての話は以上となります。

 その高いカタログスペックによって参入直後から多大な注目を集めており、実際に環境での活躍も多かった往年の名カードです。他のパワーカードのように単純に強いというタイプのカードではなく、一癖も二癖もある尖りすぎたカードではありましたが、それでも2010年を代表するカードの1枚に数えることに不足はありません。

 その後も時期により浮き沈みはありつつも長期に渡って愛用され続けていましたが、現在では「大革命返し」などの相互互換カードの誕生、また環境の変化によって全盛期ほどの高評価は維持できていないというのが実情です。

 とはいえ、全体除去のメタカードとしてはOCGでも唯一無二のカードではあり、今後も何かの拍子に姿を見かける機会は残されているのではないでしょうか。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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