マシンナーズ・フォートレス最強伝説(微嘘) 【マシンガジェ】の台頭

2019年4月10日

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【前書き】

 【第6期の歴史27 スターライト・ロードが怖すぎた時代 2010年のスタロ環境】の続きになります。ご注意ください。

 「スターライト・ロード」というオーバーパワーな全体除去対策が現れたことにより、以降のOCGでは「スタロケア」の概念が浸透していくことになりました。メタゲームだけでなくプレイングにも影響を与えたカードは数少なく、その意味では単なるパワーカードよりも大きな存在感を持っていたとも言えるカードです。

 新たな定石の誕生を受けて最適なプレイングが模索される中、続く12月に当時の環境に少なからず波紋を投じたカード群が現れます。

 

マシンナーズフォートレス 露骨に強すぎるパワーカード

 2009年12月12日、ストラクチャーデッキ「-マシンナーズ・コマンド-」が販売されました。新たに5種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは4079種類に増加しています。

 「-帝王の降臨-」以来の強ストラクの一角であり、これまでに販売されたストラクの中でも最強候補に名前が挙がるデッキです。単純にこれを3箱揃えるだけでも並の中堅デッキより強くなると言われていたほどであり、第6期出身のストラクチャーデッキとしては最も売れた商品だったことは間違いないでしょう。

 もちろん、新規枠も非常に豪華な内容となっており、5枚全てが実戦レベルのカードパワーを備えていました。特に「マシンナーズ・ギアフレーム」「マシンナーズ・ピースキーパー」の2枚は【ユニオン】モンスターの常識に革命を起こしたと言っても過言ではなく、実際【ユニオン】関連カードとして環境入りを果たしたのはこれが最初の例となっています。

 とはいえ、やはり当ストラクの最大の目玉カードは「マシンナーズ・フォートレス」だったのではないでしょうか。

このカードは手札の機械族モンスターをレベルの合計が8以上になるように捨てて、手札または墓地から特殊召喚する事ができる。
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、相手フィールド上に存在するカード1枚を選択して破壊する。
また、自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードが相手の効果モンスターの効果の対象になった時、相手の手札を確認して1枚捨てる。

 まずメリット効果を3つ持っているというだけでも既に並以上の性能ですが、さらに3つの効果全てが当然のように強いという「露骨に強すぎるパワーカード」です。過去のストラク看板モンスターと比べても明らかにカードパワー設定が盛られており、これが開発段階から意図的に強くデザインされていたことは疑いようもありません。

 また、ルール的にも何かと優遇されている面が多く、例えば特殊召喚コストに手札の自分自身を含むことで墓地に行った自分自身をそのまま墓地から特殊召喚できるなど、一見するとルール違反にも思えるプレイもできます。もちろん、これはルール的には適正な行為であり、このカードだけの特殊裁定というわけではないのですが、それでも何処となく抜け道感が漂っている裁定です。

 加えて、当時の環境における主力モンスターの多くに耐性を持っていたというメタ的な優位性も「マシンナーズ・フォートレス」の高評価に繋がっていました。

 具体的には、第一に「氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前)」を筆頭とする「対象を取る効果」を持つモンスター全般に強かったことが挙げられます。

 自身が対象に取られた場合に自動で「押収」が撃てるというのは見えている脅威にしても破格であり、ある意味相手に知られていることが大きな抑止力として働く効果です。また、このハンデスは「効果処理時に適用される永続効果」という扱いであるため、相手の妨害を受けにくいという利点も地味ながら侮れません。

 とはいえ、この効果自体に相手を止める能力はなく、また先に本命カードをフィールドに隠されることも多かったため、過信はできないと言われていました。しかし、それでもこの時期は「ライトロード・エンジェル ケルビム」「剣闘獣ガイザレス」などの遭遇率の高い除去効果持ちモンスターも少なくなく、牽制効果としてはかなりの圧力を持っていたハンデス効果です。

 第二の優位点は、当時最強のアタッカーであった「ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前)」にも耐性を持っていたという強みが挙げられます。

 当時のカードプールでは「ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前)」の打点に対抗できる大型モンスターは多くはなく、それによってメインデッキの高レベルモンスターの採用率そのものが落ち込んでいるという状況にありました。しかし、「マシンナーズ・フォートレス」は戦闘非破壊時の除去効果によって実質相打ちに持ち込むことができたため、先置きでも裏目を踏みにくいとして高評価を受けるに至っています。

 もちろん、その場合は「マシンナーズ・フォートレス」を相手に奪われてしまう危険もありますが、これも守備力の低さが逆に幸いして戦闘破壊を狙いやすく、上手くいけば友情コンボ(※)的に更なるボード・アドバンテージを獲得することも不可能ではありません。

(※そのため、相手がこれを警戒してそもそもコントロール奪取すらしてこない場合もありました)

 その他、細かい部分では墓地誘発キラーの「蘇りし魔王 ハ・デス」にも打点負けしないといった強みもあり、当時の大型軽視環境でも実用に耐えうる数少ない大型モンスターとして重宝されていたカードです。

 

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専用デッキ【マシンガジェット】成立の兆し

 そんな「マシンナーズ・フォートレス」を最大限に活用することを目的とし、この専用デッキである【マシンガジェット】が間もなく開発されることになります。

 簡単に言えば、【ガジェット】のハンド・アドバンテージ獲得能力と「マシンナーズ・フォートレス」の優れた打撃力を組み合わせ、互いの弱点を補い合うことをコンセプトに据えたデッキです。

 通常【ガジェット】はサーチ能力に長けている反面、それが災いして手札がだぶつきやすく、また除去が尽きると打点不足に陥ってしまうといった弱点を抱えていました。しかし、「マシンナーズ・フォートレス」の存在によってこうした問題が1枚で解決されてしまったため、これをきっかけに再び環境にも姿を見せるようになっています。

 この頃の【マシンガジェット】で必須枠とされていたのは上記を除けば「マシンナーズ・ギアフレーム」のみに限られ、その他の枠は「マシンナーズ・ピースキーパー」「サイバー・ドラゴン」「マシンナーズ・フォース」などが型によって使い分けられていました。ガジェットトリオの枚数も従来の6ガジェだけではなく、マシンナーズ・フォートレス」の特殊召喚コストのためにあえて9ガジェにする型も考案されています。

 とはいえ、やはりデッキスペースの関係上シンクロ召喚ギミックを取り入れにくいという弱みは無視できず、純粋なデッキパワー面ではどうしても劣る部分があったことは否めません。しかし、逆にこれを「一族の結束」を採用しやすいという固有の強みに変換することもでき、安定感に関して言えば他の環境デッキを上回っている部分もありました。

 実際にこの直後から早々にトーナメントシーンでも結果を出しており、2010年に入った後も侮れない活躍を見せていたアーキタイプです。

 

メタ上位には食い込めず 厳しいデッキパワー格差

 このように、成立後間もなく躍進を遂げた【マシンガジェット】というデッキでしたが、実は環境上位には中々食い込むことができなかったという苦しい背景も存在します。

 【マシンガジェット】が成立した2009年12月環境は【ライトロード】の全盛期真っ只中であり、これに速度面で大敗している【マシンガジェット】では厳しい相性差が付いていたことは確かです。この対抗策として「血の代償」を取り入れた【代償マシンガジェ】などが試されていた時期もありましたが、初手でコンボが揃いでもしなければまず間に合わず、結局定着はしていません。

 なおかつ、【ライトロード】のメタとして流行していた【次元エアトス】などにも当然弱く、むしろ【マシンナーズ】要素が足を引っ張ってしまうという状況に陥ります。

 一応、全体除外下であっても手札からであれば「マシンナーズ・フォートレス」の特殊召喚は可能でしたが、自身を捨てての特殊召喚はもちろん不可能であり、またそれですら「王宮の弾圧」などにはあっさり潰されてしまいます。そして運よく場に出せたとしても魔法・罠による除去には全く耐性がなく、これを豊富に積んでいる【メタビート】相手に生き残るのは至難の業だったと言わざるを得ません。

 他方では、【酒ネクロ】には除外によりガジェットの連鎖が途絶えてしまうリスクがあり、またそもそもデッキデスの速度に間に合わないケースも多々あります。

 最悪なのが【終焉のカウントダウン】であり、これに対しては除去が腐る上に強みであるはずの打点の高さも全く意味をなしません。サイド戦から【お触れガジェット】にシフトすればあるいはという程度しか勝機を見出せず、むしろ枠の兼ね合いからいっそ切り捨てた方がいいとすら考えられていた相手です。

 このように、【マシンガジェット】は当時の主要なデッキの多くに対して不利を抱え込んでしまっており、逆に一体何を相手にすれば有利を取れるのかとさえ言われていました。辛うじて【魔轟神】には若干有利ではないかという意見もありましたが、それが明確な強みになるかというと首を傾げざるを得ず、そもそもパーミッション型の【魔轟神】には逆に不利なケースすらあります。

 その後、これらのデッキが姿を消す2010年3月の改訂以降は相対的にポジションを改善させていましたが、今度は【インフェルニティ】や【ガエル帝】などに力負けしてしまうという弱点が浮き彫りとなり、やはり中堅クラスという扱いからは抜け出せていません。特にその時期は「マシンナーズ・フォートレス」の天敵とも言える「氷結界の龍 トリシューラ」の全盛期でもあったため、環境デッキとしてはかなり厳しい逆風に晒されている状況でした。

 一応、この頃になると【旋風BF】に少なからず有利を取れるという強みが再評価されるに至っていますが、流石にそれだけを武器にメタゲームで戦っていくのは無理があり、結局シンクロ時代中は最後まで環境上位には手が届かなかったというのが実情です。「マシンナーズ・フォートレス」のカードパワーの高さを考えれば非常に勿体ない話であり、第7期中期までの【マシンガジェット】はとことんメタの流れに恵まれない不憫なデッキでもあったと言えるでしょう。

 【マシンガジェット】がその真価を開花させるのはエクシーズ召喚が導入される2011年以降の話であり、それまでは「勝てそうで勝てない中堅デッキ」として長い下積み期間を過ごすことになります。

 

【まとめ】

 「マシンナーズ・フォートレス」についての話は以上です。

 当時としては破格とも言える性能を誇っていた「露骨に強すぎるパワーカード」であり、実際にこれを軸にした【マシンガジェット】が即座に考案されるほどの影響を及ぼしています。一方で、肝心の【マシンガジェット】としての活躍はそれほど顕著だったとは言えず、終始苦しい状況に置かれていた不遇のデッキでもありました。

 とはいえ、エクシーズ召喚が導入される第7期中期環境においては見事復権を果たしており、環境上位と言って差し支えない実績を残すことに成功しています。そのため、やはり【マシンガジェット】の全盛期は第6期当時ではなく、2011年~2012年辺りの時代にこそ訪れていたと見るべきでしょう。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。