ネクロフェイス全盛期 メタデッキ【酒ネクロ】の台頭

2019年4月8日

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【前書き】

 【第6期の歴史25 【終焉のカウントダウン】まさかの環境入り 遅延系の地雷デッキ】の続きになります。特に、この記事では前後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

【酒ネクロ】の成立 【ネクロフェイス】の集大成

 「ネクロフェイス」というカードが存在します。

 第5期初頭環境である2006年8月下旬に現れていたモンスターであり、一時期は【ネクロフラ】のキーカードとしてメタにも浮上していた存在です。そのコンセプトを一言にまとめるなら、これによる除外アドバンテージを「魂吸収」でライフに変換し、「デビル・フランケン」でワンキルないし盤面制圧を決めるというようなものになります。

 実際のところ、これはその頃の主流デッキであった【エアブレード】などを押しのけるほどの強さはありませんでしたが、それでも地雷として一定の脅威は振り撒いており、それを成り立たせていた「ネクロフェイス」のポテンシャルの高さもしっかりと認識されていました。そのため、【ネクロフラ】の解体後も「ネクロフェイス」を主体としたデッキの開発は細々と進展しており、この時期はもっぱら【ネクロデッキデス】の可能性が模索されている段階でした。

 その主因となっていたのは、同じく除外系効果を持ったアンデット族である「酒呑童子」の存在です。

1ターンに1度、次の効果から1つを選択して発動する事ができる。
●自分の墓地に存在するアンデット族モンスター2体をゲームから除外する事で、自分のデッキからカードを1枚ドローする。
●ゲームから除外されている自分のアンデット族モンスター1体をデッキの一番上に戻す。

 墓地のアンデット族を除外してドローする1つ目の効果と、逆に除外されているアンデット族をデッキトップに回収する2つ目の効果を持っています。これ自体はそこそこ優秀なカードですが、墓地リソースが重要な意味を持つ【アンデット族】とはやや噛み合わせが悪く、通常の【アンデット族】では扱いにくいカードであると言われていました。

 一方で、ネクロフェイス」とのシナジーは抜群に優れており、ネクロフェイス」を除外する手段と再利用する手段をこれ1枚でこなすことができます。つまり、これまでの【ネクロデッキデス】の課題であった「コンボ必要パーツの多さ」を大幅に抑えることができたため、このコンボの発見以降、【ネクロデッキデス】は「ネクロフェイス」と「酒呑童子」の2枚を中心に据えた【アンデット族】の変形デッキに姿を変えていきました。

 これが【酒ネクロ】成立の大まかな経緯であり、「酒呑童子」の誕生から1年弱を費やして完成に至った大器晩成のアーキタイプです。

 

対【ライトロード】最終兵器 3ネクロで終了

 もちろん、この時に【酒ネクロ】に期待されていたのは【ライトロード】のメタデッキとしての役割でした。

 2009年9月の改訂以降、【BF】や【剣闘獣】などの名だたる面々を抑えてトップメタに君臨していたアーキタイプであり、派生デッキである【ライロアンデット】とともに最大勢力としてメタゲームの中心にあった存在です。当時の【メタビート】が【次元】系で占められていたのも【ライトロード】の影響であり、また【終焉のカウントダウン】が環境入りを果たしたことにもこれが関係しています。

 しかし、やはり全体の割合としては【ライトロード】優勢の勢力図は動かず、これに有利を取れるメタデッキの存在は常に模索されている状況にありました。この時期に【酒ネクロ】の注目度が上がったことにもこうした背景があったのですが、これは【ライトロード】対策としては期待以上の成果をもたらすことになりました。

 デッキコンセプトの都合上、【ライトロード】は相手を仕留めるまでにある程度のデッキ枚数を消費することは避けられません。とはいえ、40枚構築であればゲーム決着時であっても15枚~20枚程度はデッキが残るため、通常はデッキ切れの心配をする必要はそれほどないということが分かります。

 ところが、ここに相手の【デッキ破壊】が絡んだ場合は実質倍速でデッキを削られていくため、さながらバーンデッキ相手に初期ライフ4000で挑むような窮地に陥ってしまうことになります。特に【酒ネクロ】の場合は「ネクロフェイス」の除外効果を3回許すだけでほとんど猶予がなくなることから、「ライロは3ネクロで終了」という合言葉のようなものさえ生まれてしまったほどです。

 これは【ライトロード】が【ライトロード】である限りはどうあっても避けようがなく、【ライトロード】側が取れる選択肢は「セルフデッキデスを抑えながら消極的に戦う」「相手のデッキデスが回り始める前に速攻で勝負を決める」の2択しか残りません。

 しかし、【酒ネクロ】側も「バトルフェーダー」や「威嚇する咆哮」などの防御カードを採用するケースが多かったため、無理に勝負を急いでもそれはそれで友情コンボに繋がりかねないリスクを孕んでいました。かと言って時間を掛け過ぎると今度は相手のデッキデスが回り始めて詰んでしまうことになり、結局どちらを選んでも苦しい戦いを強いられることに変わりはなかったのは確かです。

 さらに、【酒ネクロ】自体がそこそこ高めのデッキパワーを備えていたことも躍進の後押しとなっていました。

 前項目でも触れた通り、【酒ネクロ】は【アンデット族】をデッキの土台に据えているため、当然「ゾンビキャリア」を絡めたシンクロ召喚ギミックも標準搭載しています。なおかつ、デッキコンセプトの関係上「異次元からの埋葬」はもちろん「奇跡の発掘」や「D・D・R」といった除外リソースを活かすカードを多数採用していたため、状況によっては全盛期の【シンクロアンデット】にも引けを取らない爆発力を発揮することさえあったのです。

 実際、当時の対【酒ネクロ】戦では「デッキデスを受けていると思ったら連続シンクロからワンキルされていた」といったシチュエーションにぶつかることも珍しくなく、ただの【デッキ破壊】と甘く見ていると痛い目に遭うデッキとも言われていました。

 

ネクロフェイスが制限カードになった理由

 こうした環境での活躍もあり、2010年3月の改訂ではキーカードである「ネクロフェイス」が直接制限カードに指定され、【酒ネクロ】は環境の最前線から姿を消してしまうことになります。全盛期は僅か数ヶ月と短命のデッキではありましたが、それでも現役時代中に【ライトロード】を牽制し続けた(※)実績は大きく、これもまた遊戯王史に名を残す著名なアーキタイプの一つです。

(※とはいえ、これですら結局は【ライトロード】が終始トップメタだったのですが……)

 ちなみに、この時に制限カードとなった「ネクロフェイス」はなんと第10期現在に至るまで一度も規制緩和されていません。ごく短期間に猛威を振るったカードに対する規制としてはかなり厳しい対応であり、逆にこの時に【酒ネクロ】のキーカードとして暴れ回ったことが「ネクロフェイス」の危険性を周知させる結果に繋がったとも言えます。

 実際、現在ではカードプールの拡大に伴って「ネクロフェイス」の活用手段もかなり増加しているため、これが何らかのコンボに悪用されることを未然に防ぐという理由で「ネクロフェイス」の制限カード指定が続いているのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 「ネクロフェイス」についての話は以上です。

 2006年下半期に【ネクロフラ】のキーカードとして脚光を浴びて以来、長らく環境からは離れていたカードですが、2009年終盤に至って突如再浮上を遂げています。これにより生まれた【酒ネクロ】は【ライトロード】の対抗馬として大きな注目を受けることになり、制限改訂までの数ヶ月をメタの一角として走り抜けていきました。

 現在では規制により関連デッキ全般の構築が困難な状況に置かれていますが、海外では「ネクロフェイス」が準制限カードに規制緩和されていることもあり、将来的には往年の【酒ネクロ】を再現できる日が来る可能性もあるのではないでしょうか。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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