遊戯王の歴史 2009年の総括
【前書き】
【第6期の歴史28 マシンナーズ・フォートレス最強伝説(微嘘) 【マシンガジェ】の台頭】の続きとなります。ご注意ください。
第6期突入から22ヶ月が経過し、2009年が終わりを迎えました。カードプールの更新量は530種類と前年とほぼ同じ推移であり、やはり第5期以前と比べて明らかにカードプールの増加速度が上昇していることが分かります。
ゲームスピードもそれに比例するように高速化が進んでおり、特に「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」周辺についてはかなり危険な兆候が見られます。しかし、その分メタの動きが活性化していたことも間違いなく、マイナス方面の影響だけが全てだったわけではありません。
この記事では、そうした一連の時代の流れを大まかに解説(※)いたします。
(※詳細についてはリンク先の個別記事をご確認ください)
遊戯王の歴史 2009年
2009年に起きた出来事を時系列順にまとめていきます。
【遊戯王の歴史 2000年の総括】
【遊戯王の歴史 2001年の総括】
【遊戯王の歴史 2002年の総括】
【遊戯王の歴史 2003年の総括】
【遊戯王の歴史 2004年の総括】
【遊戯王の歴史 2005年の総括】
【遊戯王の歴史 2006年の総括】
【遊戯王の歴史 2007年の総括】
【遊戯王の歴史 2008年の総括】
【遊戯王の歴史 2009年の総括】
【遊戯王の歴史 2010年の総括】
【遊戯王の歴史 2011年の総括】
【遊戯王の歴史 2012年の総括】
【遊戯王の歴史 2013年の総括】
【遊戯王の歴史 2014年の総括】
【シンクロアンデット】と【SDL】の時代
2009年1月21日 Vジャンプ付録カード誕生
遊戯王OCGを代表する特殊召喚メタモンスターの1体である「大天使クリスティア」が誕生しています。この時期はあまり目立った実績を残していませんが、将来的には【神光の宣告者】や【代行天使】などで躍進を遂げるカードです。
2009年2月14日 レギュラーパック「RAGING BATTLE」販売
「黒い旋風」を筆頭に、「BF-蒼炎のシュラ」「BF-月影のカルート」「BF-極北のブリザード」など強力なサポートが現れたことで【BF】が環境入りを果たしています。
この時期は【シンクロアンデット】や【スーパードローライダー】が幅を利かせていたため目立たない位置にありましたが、やがては同年の世界大会で優勝を成し遂げるほどの活躍をするデッキです。
2009年2月21日 Vジャンプ付録カード誕生
【レスキューシンクロ】の時代
2009年3月1日 第25回制限改訂
第6期2回目となる制限改訂が実施されています。
「氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前)」「ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前)」の2枚が制限カード指定を受けたことを皮切りに、当時のメタゲームに多大な影響を及ぼした改訂です。
さらに、「ゾンビキャリア」を筆頭とする各種アンデット族、また「緊急テレポート」に対する規制も加わっており、全体的に【シンクロアンデット】や【スーパードローライダー】を強く意識した調整が行われていました。
こうしたカードプールの変化を受け、以降は【レスキューシンクロ】が環境トップに躍り出ることになります。
「レスキューキャット(エラッタ前)」が準制限カードとなっているなど、2008年3月~2008年9月環境の頃と比べると弱体化している部分もありましたが、その代わりに「アーカナイト・マジシャン」「ナチュル・ビースト」を手に入れていたという優位点もあり、総合的にはむしろ強化されていたと言われることも多かったアーキタイプです。
2009年3月14日 「STARTER DECK(2009)」販売
2009年3月21日 Vジャンプ定期購読特典カード誕生
【天使族】の有力サポートにして、【堕天使】カテゴリにも属する「堕天使スペルビア」が誕生しています。
2009年3月26日 ゲームソフト「遊戯王5D’s Wheelie Breakers」販売
(※ゲーム同梱カードから3種類、書籍同梱カードから1種類、計4種類の内訳です)
上記と同日 「遊戯王5D’s STARDUST ACCELERATOR WC2009」販売
(※ゲーム同梱カードから3種類、書籍同梱カードから1種類、計4種類の内訳です)
「インフェルニティ・デーモン」の誕生とともに【インフェルニティ】カテゴリが新たに成立しています。
しかし、この時期はカードプールが貧弱だったため、環境レベルで注目を受けることはありませんでした。
2009年4月14日 デュエルターミナル「-混沌の覇者!!-」稼働
「ナチュル・パルキオン」や「ナチュル・クリフ」など、【ナチュル】の優秀なサポートが誕生しています。カテゴリ単位での活躍はそれほど多かったとは言えませんが、「ナチュル・パルキオン」はデッキによっては6シンクロの必須枠に収まることも多く、また稀ではありますが【ナチュル】の一部ギミックが他デッキに出張されるケースもありました。
2009年4月18日 レギュラーパック「ANCIENT PROPHECY」販売
「BF-大旆のヴァーユ」の誕生によって【墓地BF】が成立し、環境に参戦を決めています。
「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」が現役を務めていたこともあり、歴代【墓地BF】の中でも最も凶悪なデッキパワーを誇っていた時期であり、実際に当時のトーナメントシーンでも猛威を振るっていました。流石に【レスキューシンクロ】ほどのシェアを築くことはできませんでしたが、【墓地BF】としては間違いなく全盛期と言って良い時代です。
その他、「フィッシュボーグ-ガンナー」「エンシェント・フェアリー・ドラゴン」などの将来的に禁止カード指定を受けるカードも当パックから参入を決めています。
2009年4月21日 Vジャンプ付録カード誕生
2009年5月1日 「遊☆戯☆王GX(第5巻)」販売
2009年6月20日 ストラク「-ウォリアーズ・ストライク-」販売
2009年7月1日 デュエルターミナル「-疾風のドラグニティ!!-」稼働
「魔轟神レイジオン」などの優秀な【魔轟神】サポートが現れています。しかし、この時期はカードプールがまだ揃い切っていなかったため、環境に顔を見せることはありませんでした。
上記と同日 「遊戯王5D’s DUEL TERMINAL アクセラレーションガイド3」販売
2009年7月18日 レギュラーパック「STARDUST OVERDRIVE」販売
【クイックダンディ】の「クイック・シンクロン」「レベル・スティーラー」を筆頭に、【ガエル】のメインエンジン「鬼ガエル」や、【儀式召喚】全般の強力サポート「儀式の準備」「儀式魔人リリーサー」、【インフェルニティ】の中核「インフェルニティ・ネクロマンサー」、さらに【光デュアル】の「クルセイダー・オブ・エンディミオン」「デュアルスパーク」など、数々の名カードを輩出したパックです。
しかし、いずれもこの時期に限って言えばそれほど目立った実績を残しておらず、短期的な影響は「BF-孤高のシルバー・ウィンド」が【墓地BF】の新戦力として脚光を浴びたことなどの小さな出来事に限られていました。
2009年8月3日 週刊少年ジャンプ付録カード誕生
2009年8月上旬 「LIMITED EDITION 15」配送開始
「ガーディアン・エアトス」が誕生しています。
誕生直後はまだ使い方が模索されている段階でしたが、来期環境では【次元エアトス】の中核として名を馳せるカードです。
2009年8月21日 Vジャンプ付録カード誕生
上記と同日 「ザ・ヴァリュアブル・ブック12」販売
空白の時代
2009年9月1日 第26回制限改訂
第6期3回目となる制限改訂が実施されています。
「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」の禁止カード化を筆頭に、かなり大規模な治療が試みられていた改訂です。無制限カード、それも誕生から1年未満のカードがいきなり禁止カード指定を受けるというのは当時としては非常に珍しいことであり、それだけこの時期のOCGのゲームバランスが致命的な領域にあったということを裏付けています。
他方では、「レスキューキャット(エラッタ前)」「召喚僧サモンプリースト」の制限カード化によって【レスキューシンクロ】が大幅に弱体化するといった出来事も起こっています。
これにより当時の「猫天国」環境がようやく改善に向かい、代わりに前期環境で中堅を務めていた各勢力が環境上位に浮上しました。
2009年9月上旬 限定パック「LIMITED EDITION 16」配送開始
2009年9月17日 ゲームソフト「遊戯王5D’s TAG FORCE 4」販売
(※ゲーム同梱カードから3種類、書籍同梱カードから1種類、計4種類の内訳です)
【ライトロード】と【次元エアトス】の時代
2009年9月19日 「EXTRA PACK Volume 2」販売
海外先行カードである「光の援軍」の来日により【ライトロード】が大幅に強化され、間もなく環境トップに躍り出ています。
さらに、【アンデット族】との複合である【ライロアンデット】の開発も進んでいき、やがては純構築同様に環境上位に名を連ねるようになりました。
こうした環境の変化を受け、これらに対策を取ったメタデッキとして【次元エアトス】などの【次元】系メタビが勢力を拡大していっています。
同じく、2008年9月~2009年3月環境で使われていた【次元剣闘獣】も再浮上を果たしており、これ以降のメタゲームはおおむね「墓地利用」と「墓地メタ」の2勢力に分かれて推移していく形となりました。
2009年9月21日 Vジャンプ定期購読特典カード誕生
2009年10月1日 デュエルターミナル「-ジェネクスの進撃!!-」稼働
【魔轟神獣】シリーズの参戦により【魔轟神】が強化を受けています。
これまでの【魔轟神】はサポートカードが不足しており、ほぼファンデッキ並のデッキパワーしか持っていませんでしたが、これ以降は環境デッキの一角としてトーナメントシーンにも姿を見せるようになりました。
これにより、【次元エアトス】などの【次元】系デッキの需要はさらに増していくことになります。
2009年10月17日 デュエリストパック「-遊星編2-」販売
2009年11月4日 「遊☆戯☆王GX(第6巻)」販売
属性融合HEROの1体である「E・HERO The シャイニング」が誕生しています。この時期の環境ではあまり使われていませんでしたが、将来的には【光デュアル】などで名を馳せるカードです。
2009年11月14日 レギュラーパック「ABSOLUTE POWERFORCE」販売
第6期最強の防御カードとも言われる「バトルフェーダー」が誕生しています。防御性能に関して言えば「冥府の使者ゴーズ」「トラゴエディア」以上に優秀なカードであり、実際に当時の環境でも早々に採用実績を残していたカードです。
また、これにより【終焉のカウントダウン】などのロックデッキが防御力を大きく改善させたため、【ライトロード】のメタを兼ねて環境入りを果たしました。
同様に、「ネクロフェイス」のデッキデス能力に着目した【酒ネクロ】と呼ばれるデッキも頭角を現しており、以降の環境は次第に複雑化の様相を呈していくことになります。
2009年11月21日 「デュエルディスク 遊星Ver.DX」販売
全体除去に対する疑似カウンターカード「スターライト・ロード」が誕生しています。
これにより「スタロケア」の概念が新たに成立し、安易な全体除去の先撃ちは悪手とされ控えられるようになりました。
また、この概念は第6期当時だけでなく将来的な環境においても定石として定着しています。
2009年12月12日 ストラク「-マシンナーズ・コマンド-」販売
「マシンナーズ・フォートレス」が誕生しています。
当時としては分かりやすく効果が盛られていたパワーカードであり、実際に間もなく【マシンガジェット】を成立させています。
しかし、当時の環境では【ガジェット】自体の評価があまり高くはなかったため、【マシンガジェット】としてはそれほど目立った実績を残すことができませんでした。
2009年12月14日 週刊少年ジャンプ付録カード誕生
2009年12月19日 Vジャンプ付録カード誕生
遊戯王史上最大のネタカードとも言われる「ラーの翼神竜」が誕生しています。
原作再現の不完全さ、効果のアンチシナジー、先に現れていた「オベリスクの巨神兵」とのカードパワー格差など、全てにおいて隙がないほどネタにまみれており、むしろ不遇すぎて逆に人気が出るという不名誉な扱いを受けるに至ったカードです。
2009年12月19日~20日 「ジャンプフェスタ2010」開催
(※「PREMIUM PACK 12」から10種類、プロモカードから5種類、計15種類の内訳です)
2009年12月下旬 「LIMITED EDITION 17」配送開始
「ライトニング・ウォリアー」が誕生しています。当時のカードプールでは実用レベルの汎用7シンクロが「ブラック・ローズ・ドラゴン」を除けばほぼ存在しない状況だったため、このカードの参入によって少なからず7シンクロの層の薄さが改善に向かいました。
また、将来的に「LL-インディペンデント・ナイチンゲール」とのコンボの影響で禁止カード指定を受ける「The tyrant NEPTUNE」もこの時に現れています。
【まとめ】
2009年初頭環境は前年そのままのメタゲームが展開されており、【シンクロアンデット】【スーパードローライダー】の2大巨頭が幅を利かせている状況にありました。
その後、2009年3月の改訂でカードプールに調整が入り、それらに代わって【レスキューシンクロ】が環境の頂点に立つことになります。
それからの【猫】の勢いは「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」「大寒波」などの後押しもあって凄まじいものがあり、並居る強豪を押しのけて終始トップメタを独占し続けていました。環境終盤には【猫剣闘獣】などの新勢力も食い込んできていますが、そもそもその【猫剣闘獣】ですら【レスキューシンクロ】の派生デッキの一種であったため、事実上は【レスキューシンクロ】1強の時代が広がっていたことは間違いないでしょう。
その後、2009年9月の改訂により再び環境がリセットされ、今度は【ライトロード】が環境トップに浮上を果たすことになります。それに伴って【次元エアトス】などの各種【メタビート】も復権を果たし、以降の環境は完全ではないにしろ健全化を迎えることに成功しました。
なおかつ、時間経過とともに【魔轟神】や【酒ネクロ】などの新勢力、そして【終焉のカウントダウン】といった一見信じ難いアーキタイプも実績を残すようになるなど、これまでにない群雄割拠の環境が到来していた時代だったと言えるのではないでしょうか。
ここまで目を通していただき、ありがとうございます。
ディスカッション
コメント一覧
あれ?以外にもオベリスクの記述はないんですね・・・。あの時の期待からの失望はなかなかのものでしたが。
後に征竜が登場した時に環境に浮上したこともありますが、オベリスク登場時の話題について追記する予定はありませんか?
コメントありがとうございます。
オベリスクについては2008年のページにて言及しておりますので、よろしければそちらをご参照いただければ幸いです。
おっとこれは失礼。完全に見落としてました。
ところでオベリスクの当時の除去耐性の一般的な評価について追記できますか?
個人的に場にだしてもブラロでブッパされる印象が悲しくて悲しくて…
ちなみに征竜時代におけるオベリスクとラッキーストライプとライトニングボルテックスの奇妙かつとち狂った関係の記述、楽しみにしてます。
オベリスクの耐性に関して追記いたしました。ご指摘感謝です。
征竜時代のオベリスクは「相手にすると厄介だが自分で使うと弱い」という印象が強く、最終的には使うのを諦めた思い出があります。