遊戯王の歴史 2014年の総括

2020年12月4日

【前書き】

 【第9期の歴史12 儀式詐欺テーマ【影霊衣(ネクロス)】全盛期 「青一色」環境の到来】の続きとなります。ご注意ください。

 第9期突入から9ヶ月が経過し、2014年が終わりを迎えました。カードプールの更新量は610種類であり、500枚前後が標準だった第8期以前と比較して増加ペースが急激に加速しています。

 もちろんゲームバランスに関しても同様に異次元の加速を見せており、【シャドール】を筆頭に数々の次世代兵器を輩出した1年です。流石に前年の【征竜魔導】ほど極端な環境推移が発生していたわけではありませんが、少なくとも健全とは言い難いインフレ環境が到来したことは間違いありません。

 この記事では、そうした一連の時代の流れを大まかに解説(※)いたします。

(※詳細についてはリンク先の個別記事をご確認ください)

 

遊戯王の歴史 2014年

 2014年に起きた出来事を時系列順にまとめていきます。

 

【征竜】【海皇水精鱗】【ヴェルズ】の時代

2014年1月 上旬 「V JUMP EDITION 10」

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2014年1月11日 「GOLD SERIES 2014」販売

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2014年2月1日 第36回制限改訂

 第8期5回目となる制限改訂が実施されています。

 親征竜4種の準制限カード指定、及び「封印の黄金櫃」「七星の宝刀」の制限カード指定、さらには「異次元からの帰還」の禁止カード指定など、当時の環境トップであった【征竜】に対して厳しい規制が入りました。これにより【征竜】は大きく弱体化を余儀なくされましたが、メタゲームにおける支配力は相変わらずであり、引き続き環境トップに君臨することとなります。

 一方、2番手であった【海皇水精鱗】や【ヴェルズ】は規制によって勢いを落としてしまい、結果的にはむしろ【征竜】の強さを際立させる改訂となってしまったことは否めません。

 とはいえ、【ヴェルズ】に関しては元々メタデッキ的なコンセプトであること、また「ヴェルズ・オピオン」の制圧効果が【シャドール】に有効だったこともあり、第9期突入以降も一定の成績を残していくことになります。

2014年2月4日 「遊☆戯☆王ZEXAL(第6巻)」書籍付属カード

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 「No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング」が誕生しています。

 当時としては「デメリットのない3000打点」というだけでも十分に優秀だったため、汎用ランク4エクシーズとして一定の採用実績を残したカードです。

 

【征竜】と【AF先史遺産】の時代

2014年2月15日 レギュラーパック「PRIMAL ORIGIN」

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 「アーティファクト-モラルタ」「アーティファクトの神智」を筆頭とする強力な【AF】が誕生しています。

 いわゆる「神智モラルタ」で有名な出張セットであり、これ以降は数多くの【AF】系アーキタイプを生み出しています。中でも【AF先史遺産】の強さは群を抜いており、ごく短期間ながら【征竜】をも上回るシェアを築いたほどです。

 他方では、「マドルチェ・エンジェリー」の誕生によって【マドルチェ】が大幅に強化されていたことも見逃せません。

 残念ながら国内環境においては複数の理由によりあまり目立った存在感を示すことはできませんでしたが、その一方で世界大会ではジュニアの部において準優勝を果たすなど、非常に大きな実績も残しています。

2014年2月21日 Vジャンプ書籍同梱カード

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2014年3月4日 「遊☆戯☆王5D’s(第7巻)」書籍付属カード

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 「月華竜 ブラック・ローズ」が誕生しています。

 本家にあたる「ブラック・ローズ・ドラゴン」とは趣を異にする汎用7シンクロであり、なおかつそちらに劣らないカードパワーを持った優秀なシンクロモンスターです。

 さらに、バウンスという除去の性質そのものが第9期突入直後に大流行する【シャドール】に対して有効だったため、当の【シャドール】自身を含めてエクストラの準必須枠として活躍していくことになります。

2014年3月8日 「決闘王の記憶-決闘者の王国編-」

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 「超電磁タートル」が誕生しています。

 純粋に防御カードとして優秀だったことに加え、何より「エルシャドール・ネフィリム」の融合素材として非常に都合が良かったため、これ以降の【シャドール】環境では非常によく見かけることになるカードです。

 また、これを収録していたデュエルセットが限定商品だったこともあり、一時期は高騰していたカードでもありました。

2014年3月20日 「MASTER GUIDE4」書籍同梱カード

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上記と同日 Vジャンプ定期購読特典カード

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2014年3月21日 スターターデッキ(2014)

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2014年4月1日 第37回制限改訂

 第9期1回目となる制限改訂が実施されています。

 親征竜4種が準制限から制限カードに規制強化され、【征竜】というアーキタイプそのものに大打撃が入りました。前改訂から更なる厳しい規制強化であり、流石の【征竜】と言えども苦しい立場に追い込まれています。

 しかし、そうした弱体化を受けてなお【征竜】が倒れることはなく、これ以降は【青眼征竜】に姿を変えて環境上位に踏みとどまることになりました。これには直前に「コアキメイル・ドラゴ」という心強い相棒を発見していたことも後押しとなっており、ある種の【メタビート】要素を含む【ドラゴンスタン】のようなコンセプトに行き着いた格好です。

 他方では、かつて【ダムドビート】で一世を風靡した「ダーク・アームド・ドラゴン」が準制限カードに復帰したことも見逃せません。

 2009年3月の改訂で制限カード行きとなった後も年単位で使われ続け、一時期は禁止カード行きの噂もあった遊戯王屈指のパワーカードですが、時代の流れもあって遂に復帰の道を辿り始めています。

 しかし、復帰早々に【シャドール】や【M・HERO】などの【闇属性】絡みのデッキで暴れ回ってしまったため、あえなく半年後の改訂で制限カードに逆戻りしてしまうことになりました。こうした流れには【シャドール】対策の一環でメインデッキの大型モンスター採用が主流になっていたことも関係していましたが、それを踏まえても「ダーク・アームド・ドラゴン」というカードの衰えない強さを示す結果となったのではないでしょうか。

 

【シャドール】【テラナイト】【征竜】【光天使?】の時代

2014年4月19日 レギュラーパック「ザ・デュエリスト・アドベント」

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 新カテゴリである【シャドール】が誕生しています。

 いわゆる「9期世代」の尖兵にあたるテーマであり、第8期以前の常識からは想像もできないような壊れカードを多数輩出した意味不明のデッキです。当然のように参入直後から環境で猛威を振るい、間もなく当時のメタゲームを支配下に置いています。

 また、「影依融合」による強烈なエクストラメタ能力も環境を歪める要因となり、これによって【AF先史遺産】を始めとする各勢力が一斉に姿を消すことになりました。

 一方、同パック出身の【テラナイト】の脅威も目を引きます。

 こちらも【シャドール】ほどではないとはいえ従来のエクシーズデッキの常識を遥かに超えたパワーを秘めており、【征竜】を押しのけて環境上位に躍り出ています。また5月~6月頃には下記の【セプタースローネ】ギミックや「ソウル・チャージ」を取り入れて【光天使テラナイト】に派生し、【シャドール】とともに9期1世代として多くの実績を残しました。

 しかし、純粋なデッキパワーでは【シャドール】に及ばなかったこと、また【シャドール】との相性の悪さもあって終始2番手のポジションを抜け出せなかったデッキでもありました。

 他方では、【セプタースローネ】の名で知られる「光天使セプター」「光天使スローネ」も当パックから誕生しています。

 この頃は誕生直後ということもあってあまり流行していませんでしたが、その強さが浸透すると一瞬で環境を席巻し、文字通り最新鋭の出張ギミックとして暴れ回ることになります。純粋に【セプタースローネ】自体のパワーの高さはもちろん、当時の【シャドール】環境では「No.16 色の支配者ショック・ルーラー」を立てられるという点でメタに噛み合っていたこと、さらには「ソウル・チャージ」という相棒の参戦など全てが追い風となり、最終的にはほぼ全ての環境デッキがこれを搭載するまでになったほどです。

 その他、トーナメントレベルではさほど目立たなかったものの【竜星】などの強テーマもこの時に現れており、総じて「9期」色の濃い次世代パック(※)となっていました。

(※オブラートに包まずに言えば、いわゆる「壊れパック」とも揶揄されていました)

2014年4月21日 Vジャンプ書籍同梱カード

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2014年5月2日 「ナンバーズガイド3」書籍同梱カード

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2014年5月17日 コレクターズパック「-伝説の決闘者編-」

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 遊戯王最強の蘇生カードとして知られる「ソウル・チャージ」が誕生しています。

 単純明快にカードパワーが狂っているカードであり、なおかつほぼどんなデッキでも使えるタイプの汎用蘇生カードでもあったため、ごく当然の成り行きとして以降のOCG環境を「ソルチャゲー」へと叩き落としました。これには上述の通り「No.16 色の支配者ショック・ルーラー」の展開用カードとして優秀だった側面も大きく、ある意味では【シャドール】の疑似的なメタとしても機能していたカードです。

 もちろん同年の世界大会においても「ソウル・チャージ」の暴虐は遺憾なく発揮されており、上位入賞者の多くがこれを3積みするといった末期的な光景を生み出しています。

 他にも、直近の環境で大々的に採用実績を残した「クリバンデット」「マスマティシャン」を筆頭に、優秀な出張セット兼サイドカードとして活躍した「ファイヤー・ハンド」「アイス・ハンド」、また将来的に禁止カード指定を受けることになる「BF-隠れ蓑のスチーム」など、非常に多くのパワーカードを輩出したパックです。

2014年6月21日 Vジャンプ付録カード

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上記と同日 ストラクチャーデッキ「-HERO’s STRIKE-」

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 遊戯王最悪のヘイトモンスターである「M・HERO ダーク・ロウ」が誕生しています。

 身も蓋もない表現をすれば「鬼畜・嫌い・汚い」の3K揃った犯罪パワーカードであり、まさしく人を苦しめるために生まれてきたとしか思えない存在です。

 また、同ストラク出身の「E・HERO シャドー・ミスト」や「マスク・チェンジ・セカンド」などの強力なサポートカードの存在も「M・HERO ダーク・ロウ」の脅威を後押しし、結果として当時の現役プレイヤーから強い憎しみを向けられる(※)ことになりました。

(※むしろ今現在においてすら一定のヘイトを向けられ続けています)

 これにより【M・HERO】も環境入りを果たしており、当時の選考会でも日本代表の一角に食い込んでいます。

2014年7月1日 第38回制限改訂

 第9期2回目となる制限改訂が実施されています。

 実質的に9期初回となる制限改訂だったこともあってか様子見の向きが強く、目ぼしい変化は【征竜】【AF先史遺産】に対して規制が入った程度でした。なおかつ、この頃の【AF先史遺産】がほぼ実績を残していなかったことを鑑みる限り、事実上【征竜】を名指しした改訂だったと言えるでしょう。

 これにより【征竜】は環境レベルの強さを維持することができなくなり、遂にメタゲームからの撤退を余儀なくされることになりました。

 その他の変化としては、「終末の騎士」「針虫の巣窟」が同時に制限カード指定を受けるなど、【シャドール】に対する規制強化も一応は行われています。

 しかし、この時期の【シャドール】では上記2枚ともほぼ採用されなくなっており、環境的にはあまり意味のない規制ではありました。

 一方、「ヴェルズ・オピオン」の準制限カード緩和、及び「レスキューラビット」の無制限緩和による【ヴェルズ】の復権、あるいは「デビル・フランケン」の無制限緩和など、少なからず環境を動かした規制緩和も行われています。

 特に「デビル・フランケン」が無制限カードに完全釈放された影響は地味ながら大きく、これ以降はナチュル・エクストリオ」「異星の最終戦士」などとセットで変則的なサイドカードとして採用実績を残していくことになりました。

2014年7月 「アドバンスド・トーナメントパック2014 Vol.3」

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 「遺言の札」が誕生しています。

 「5枚ドロー」などというとんでもないことが書かれていますが、使用不可カードの一種であり、いわゆるコレクションアイテムに該当するカードです。

2014年7月5日 「決闘王の記憶-決闘都市編-」

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2014年7月10日 「エンドフェイズに適用終了となるカードのエラッタ」

 「攻撃力や守備力を一時的に変化させるカード」「効果を一時的に無効化するカード」など特定の分類の効果において、エンドフェイズまで有効な処理はターン終了時まで持続するルール(※)に変更されました。同時に、これに該当する既存カード279枚に対してエラッタが入っています。

(※詳しくは下記の記事で解説しています)

 「エフェクト・ヴェーラー」を筆頭に、このエラッタによる影響を受けたカードは数多く、過去のエラッタの中でも最大級の変更です。

 また、これによって「クリバンデット」が相対的に弱体化するなど、環境に対しても少なからず影響が及んでいました。

 

【シャドール】【クリフォート】【M・HERO】の時代

2014年7月19日 Vジャンプ書籍同梱カード

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上記と同日 「ジャンプビクトリーカーニバル2014」プロモカード

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上記と同日 レギュラーパック「ネクスト・チャレンジャーズ」

新規:90/全体:6577

 新カテゴリである【クリフォート】が誕生しています。

 【ペンデュラム召喚】系列のアーキタイプとしては遊戯王史上初となる実戦級テーマであり、「クリフォート・ツール」や「機殻の生贄」を筆頭とする次世代サポートを武器に環境入りを果たしています。この時点ではサポートカードも出揃っておらず、純粋なデッキパワーでは【シャドール】に後塵を拝する立場にありましたが、代わりにスキルドレイン」「虚無空間」などの強力な永続メタを標準搭載できる強みを備えていたため、そうした【メタビート】的な強みを生かして環境で戦っていくことになるデッキです。

 しかしながら、同パックから現れていた「神の写し身との接触」「エルシャドール・シェキナーガ」によって【シャドール】がさらに強くなってしまったため、実際には相変わらずの【シャドール】天下が続いていました。

 一方、【クリフォート】と相性の悪い【テラナイト】は苦しい立場に追い込まれるなど、全体的に環境への影響が大きいパックだったと言えるでしょう。

2014年8月4日 「遊☆戯☆王ZEXAL(第7巻)」書籍同梱カード

新規:1/全体:6578

上記と同日 週刊少年ジャンプ付録カード

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2014年8月9日 ブースターSP「-レイジング・マスターズ-」

新規:16/全体:6595

2014年8月21日 「ザ・ヴァリュアブル・ブック17」書籍同梱カード

新規:2/全体:6597

 「ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン」が誕生しています。

 この時期は環境レベルではさほど注目されない状況にありましたが、将来的に【ダークマター征竜】が成立すると一転キーカードとして活躍することになるカードです。

2014年8月23日 「決闘王の記憶-闘いの儀編-」

新規:1/全体:6598

2014年9月13日 「EXTRA PACK -KNIGHTS OF ORDER-」

新規:53/全体:6651

 遊戯王最強の融合モンスターとも言われる「旧神ノーデン」が来日しています。

 いわゆる「ターン1制限をつけ忘れたカード」の代表格であり、近代出身のカードとしてはあり得ないほどの調整ミスカードとして知られます。単純に「超融合」などとセットで使うだけでも強力でしたが、とりわけ「簡易融合」とのシナジーが狂っており、これ以降は【簡易ノーデン】出張ギミック(※)として環境を席巻することになりました。

(※これを揶揄した「カップ麺早食い大会」という言葉は有名です)

 また、「旧神ノーデン」をキーカードとする先攻ワンキルデッキ【ノーデンワンキル】も開発されています。流石にトーナメントレベルでは表立った活躍をすることはありませんでしたが、2014年時点では歴代のワンキルデッキの中でもトップクラスの成功率を誇っていたため、当時のプレイヤーの間では少なからず物議を醸していました。

2014年9月20日 Vジャンプ書籍同梱カード

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上記と同日 Vジャンプ定期購読特典カード

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2014年10月1日 第39回制限改訂

 第9期3回目となる制限改訂が実施されています。

 エルシャドール・ネフィリム」「エルシャドール・ミドラーシュ」「堕ち影の蠢き」が同時に制限カード指定を受け、【シャドール】が大きく弱体化しました。加えて「ダーク・アームド・ドラゴン」や「召喚僧サモンプリースト」など【シャドール】で多用されていた汎用パワーカードも制限行きになっており、前改訂とは打って変わって【シャドール】を強く意識した規制(※)が入っています。

(※代わりに「針虫の巣窟」が無制限カードに復帰していますが、こちらはそもそも規制自体が不当な面もあったため、ほぼ影響のない緩和でした)

 他方では、「光天使スローネ」や「ソウル・チャージ」などの当時の環境を荒らしていたパワーカードが規制されたことも見逃せません。

 これにより塩試合を量産していた【セプタースローネ】出張ギミックが解体されたほか、「ソウル・チャージ」によるゲームクラッシュに遭遇する頻度も下がり、環境が一気に健全化しています。

 というより、どちらかと言うと2014年当時のゲームスピードでこれらを3枚使えること自体がそもそも意味不明だった以上、これに関しては規制云々以前にカードを印刷したこと自体が間違いというレベルの話だったのではないでしょうか。

 一方、この規制によってダメージを受けたアーキタイプは少なくなく、とりわけ【テラナイト】の凋落は目に見えて明らかなものとなっています。直前に【クリフォート】という天敵が出現していたことも合わせ、これ以降は急激に勢力を縮小させていくことになりました。

2014年10月3日 「遊☆戯☆王5D’s(第8巻)」書籍同梱カード

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【影霊衣】の時代

2014年10月11日 ブースターSP「-トライブ・フォース-」

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 新カテゴリである【影霊衣】が誕生しています。

 言わずと知れた【儀式詐欺】テーマであり、【儀式召喚】系列デッキとしては遊戯王史上初となる環境トップ入りを果たしています。この頃はまだサポートカードが出揃っておらず、全盛期ほどの強さはありませんでしたが、その状態ですら【シャドール】を蹴散らしてしまうほどの圧倒的なパワーを秘めていました。

 とはいえ、参入直後は【クリフォート】に苦戦するなど多少のつけ入る隙はあったため、この時点では1強と言えるほど盤石の地位を築いていたわけではありません。

2014年11月15日 「ザ・シークレット・オブ・エボリューション」

新規:90/全体:6777

 「影霊衣の反魂術」を筆頭とする強力な【影霊衣】新規が誕生し、【影霊衣】が更なる強さを手にしています。

 単純にデッキパワーが向上したことはもちろん、強力な特殊召喚封殺ギミックである「リリーサークラウソラス」コンボがこれまでよりも遥かに安定して決まるようになった(※)ことも大きく、結果として【影霊衣】ミラー環境の到来を招いてしまった格好です。

(※やや誤解されがちですが、「リリーサークラウソラス」のせいで他デッキが衰退したというわけではありません)

 一方で、ライバルであった【クリフォート】も「クリフォート・エイリアス」などの有力サポートを獲得することで追い風を受けており、【影霊衣】だけが強い時代だったわけではありません。

 しかしながら、やはりこれを2強扱いするには一歩格が落ちることは否めず、実態としては「【影霊衣】が単独トップ、その下の2番手勢力争いでは【クリフォート】が一番強い」といった形のパワーバランスが成立していました。

2014年11月下旬 「スペシャルサモン・エボリューション」

新規:5/全体:6782

2014年12月6日 ストラクチャーデッキ「シンクロン・エクストリーム」

新規:10/全体:6792

 「ジェット・シンクロン」「アクセル・シンクロン」など、【ジャンクドッペル】の中核的なカードが誕生しています。

 特に「ジェット・シンクロン」は「水晶機巧-ハリファイバー」とのシナジーから第10期以降も活躍している名カードであり、遊戯王における代表的なチューナーの地位を確立しています。

2014年12月15日 週刊少年ジャンプ付録カード

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2014年12月20日 「PREMIUM PACK 17」先行販売

新規:20/全体:6813

 「No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン」が誕生しています。

※※【ダークマター征竜】の記事(余裕ができたらそのうち書きます)※※

 これにより環境から姿を消していた【征竜】が息を吹き返し、【ダークマター征竜】として最後の輝きを見せることになります。構築面に関しても従来の【青眼征竜】を下敷きとしたものから、8軸に寄せるために【聖刻】ギミックを取り入れて【聖刻征竜】に派生したもの(※)など、複数の型が考案されていました。

(※ただし、2012年頃に活躍した純正の【聖刻】とは異なり、「神龍の聖刻印」や「真魔獣 ガーゼット」を主軸としたやや変則的な構築が取られていました)

 もっとも、流石の【征竜】と言えども「No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン」1枚だけで真っ向から環境で戦っていけるほどのパワーはなく、トーナメントレベルでは地雷の域を出ないポジションに置かれていたことは否めません。一応、2015年初頭環境では散発的に結果を出してはいましたが、メタゲームで明確に存在感を示していたとは言えない状況だったのは事実です。

 額面上はさておき、実態として【征竜】というアーキタイプの時代がようやく終わりを迎えた瞬間であり、かつての【征竜】(※)を知るプレイヤーにとっては清々しくも物悲しい姿だったのではないでしょうか。

(※詳しくは下記の記事をご覧ください)

上記と同日 Vジャンプ付録カード

新規:1/全体:6814

 「アルティマヤ・ツィオルキン」が誕生しています。

 レベル0でありながらルール上レベル12として扱う効果や、シンクロモンスターでありながらエクシーズ召喚に類似した独特な召喚条件など、原作漫画出身カード特有の趣深いデザインが取られています。基本的にはカジュアルカードと目されることが多いですが、稀に環境でも採用実績を残すこともある密かな実戦級カードの1枚です。

上記と同日 「デュエルフィールドEX EPIC OF NOBLE KNIGHTS -導きの聖剣-」

新規:3/全体:6817

上記と同日 「ジャンプフェスタ2015」プロモカード

新規:5/全体:6822

 

【まとめ】

 2014年初頭は前年から続く【征竜】天下の真っ只中であり、その後ろを【海皇水精鱗】や【ヴェルズ】が追いかける環境が組み上がっていました。その後は2月の制限改訂やレギュラーパックのリリースによる勢力図の変動はありましたが、全体的に見れば結局は【征竜】の支配下に置かれていたことは否めません。

 その後、第9期突入直後は【征竜】の更なる弱体化もあって【AF先史遺産】が一瞬だけ環境トップに立ちましたが、直後に現れた【シャドール】を始めとする9期勢によって完膚なきまでに叩きのめされてしまい、僅か2週間ほどで全盛期が終わっています。

 一方、【征竜】は【青眼征竜】として環境上位に踏みとどまっており、この辺りにアーキタイプとしての生存力の違いが現れていたと言えるでしょう。

 もっとも、そんな【征竜】であっても【シャドール】ら新時代のデザイナーズデッキ相手に真っ向勝負を挑むのは分が悪く、ポジションとしては【メタビート】寄りかつ3番手辺りの勢力に甘んじていました。

 そして7月の制限改訂で【征竜】に致命傷が入ったこと、さらに【M・HERO】【クリフォート】といった次世代勢力が次々と台頭したことを受け、当時の環境は9期勢によってほぼ完全に牛耳られることになりました。

 その後は10月に改訂を挿みつつも終始【シャドール】優勢の時代が続いていましたが、それからほぼ間を置かずに【影霊衣】という更なる怪物が誕生し、再び環境トップが入れ替わっています。この時期のメタゲームは【影霊衣】と【クリフォート】の2強環境と称されることも多いですが、実際にはやはりデッキパワー及び使用率ともに【影霊衣】が頭一つ抜けていたことは確かです。

 年末には「No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン」の参戦を受けて【ダークマター征竜】が成立していますが、トーナメントレベルではあまり影響を及ぼさない出来事でした。

 総評としては、第8期終盤は【征竜】が環境を支配する一方、第9期突入以降は一転して9期勢の侵略に晒される格好となり、文字通り「時代が違う」としか言いようがないインフレ環境に突入しています。前年の【征竜魔導】とはまた違った形のインフレ(※)であり、まさに「第9期」という時代の幕開けを予感させる1年だったのではないでしょうか。

(※もっとも、相対的にはやはり明らかに前年の方が狂っていましたが……)

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

【重要なお知らせ】

 

著者情報:遊史
【※次回更新予定日 未定】
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Posted by 遊史