遊戯王の歴史 2002年の総括
・前書き
・遊戯王の歴史 2002年
・【八汰ロック】と【先攻1キル】の時代
・【現世と冥界の逆転】の時代
・【トマハン】と【デビフラ1キル】の時代
・【ジャマキャン】と【ギアフリード1キル】の時代
・まとめ
【前書き】
【第3期の歴史14 異次元の女戦士とリフレクトバウンダーが強かった時代】の続きとなります。ご注意ください。
第3期突入から8ヶ月が経過し、2002年が終わりを迎えました。カードプールの更新量は計295種類と前年から増加しており、またカード自体の質も全体的に上がっている印象です。
2002年前半期は第2期終盤と重なっていた関係上、おおよそ最悪とすら言える末期環境が広がっていましたが、第3期に入って以降は比較的安定したゲームバランスが展開されています。「魔導サイエンティスト」や「蝶の短剣-エルマ」など、ところどころに綻びは見えていましたが、全体的には健全なカードゲームが成立していたと結論付けても良いのではないでしょうか。
この記事では、そうした一連の時代の流れを大まかに解説(※)いたします。
(※詳細についてはリンク先の個別記事をご確認ください)
【遊戯王の歴史 2002年】
2002年に起きた出来事を時系列順にまとめていきます。
【遊戯王の歴史 2000年の総括】
【遊戯王の歴史 2001年の総括】
【遊戯王の歴史 2002年の総括】
【遊戯王の歴史 2003年の総括】
【遊戯王の歴史 2004年の総括】
【遊戯王の歴史 2005年の総括】
【遊戯王の歴史 2006年の総括】
【遊戯王の歴史 2007年の総括】
【遊戯王の歴史 2008年の総括】
【遊戯王の歴史 2009年の総括】
【遊戯王の歴史 2010年の総括】
【遊戯王の歴史 2011年の総括】
【遊戯王の歴史 2012年の総括】
【遊戯王の歴史 2013年の総括】
【遊戯王の歴史 2014年の総括】
【八汰ロック】と【先攻1キル】の時代
2002年1月1日 第9回制限改訂
「八汰烏」や「ファイバーポッド」などが制限カード指定を受け、【八汰ロック】に対して弱体化が入りました。
しかし、「クリッター(エラッタ前)」などのサーチャーが現役だったことから致命傷とはならず、依然として環境トップに居座っています。
また、【宝札エクゾディア】を始めとする先攻1キルデッキにも全く規制が入っていないなど、根本的に何かがおかしいとしか言いようがない末期環境が広がっていました。
2002年1月22日 DM6攻略本(下巻)販売
書籍同梱カードから「聖獣セルケト」が現れています(全1208種)が、ほぼ「王家の神殿(エラッタ前)」のおまけとしてしか見られていない状況でした。
2002年1月24日 「STRUCTURE DECK-海馬編-」販売
「ヴァンパイア・ロード」という第2期最強格の上級モンスターが誕生しています(全1210種)。
当時としては画期的なモンスターでしたが、「人造人間-サイコ・ショッカー」を押しのけるほどの強さはなく、また環境に先攻1キルデッキが溢れていた都合もあって活躍は難しい状況でした。
しかし、第3期以降は相性のいいカードを続々と獲得していったことで逆に「人造人間-サイコ・ショッカー」以上に強力なアタッカーとなり、最終的には制限カード指定を受けるまでになっています。
2002年1月25日 「ザ・ヴァリュアブル・ブック4」販売
書籍同梱カードとして2枚の新規カードが現れています(全1212種)。しかし、どちらもコレクションアイテムとしての側面が強い性能となっていました。
【現世と冥界の逆転】の時代
2002年3月21日 「Pharaonic Guardian -王家の守護者-」販売
レギュラーパックから新規カードが52種類誕生しました(全1264種)。
「悪夢の蜃気楼」や「ダスト・シュート」などの禁止カードが現れています。
前者は「サイクロン」とのコンボが発見されたことで大流行しましたが、後者はハンデス三種の神器が現役だったためにほとんど注目されませんでした。
また、「無謀な欲張り」や「太陽の書」といった危険なコンボパーツが現れたことで各種先攻1キルデッキが大幅に強化されています。
中でも【現世と冥界の逆転】の強さは群を抜いており、これ以降の環境は他のデッキを押しのけて環境トップに君臨することになりました。
その一方で、「首領・ザルーグ」や「ピラミッド・タートル」などの優秀な下級モンスターも生まれています。
しかし、当時の暗黒環境を生き残れる性能ではなく、活躍の機会は第3期まで持ち越すこととなりました。
2002年3月21日 「STRUCTURE DECK-ペガサス・J・クロフォード編-」販売
ストラクチャーデッキから新規カードが6種類誕生しました(全1270種)。
いずれも「トゥーン」カテゴリの新規カードとなっており、初期の「トゥーン」に比べて大きく使い勝手が改善されていたのが特徴です。
遊戯王OCG史上初となるカテゴリ専用カード「トゥーンのもくじ」が現れたほか、中には「トゥーン・ヂェミナイ・エルフ」などの単体でも優秀なモンスターも含まれていました。
【トマハン】と【デビフラ1キル】の時代
2002年5月1日 第10回制限改訂
第2期最後となる制限改訂によって大規模な規制が行われ、これまで幅を利かせていた先攻1キルデッキが壊滅的なダメージを負っています。
【現世と冥界の逆転】や【宝札エクゾディア】の関連パーツが軒並み潰されており、これ以降は先攻1キルデッキの構築がほぼ不可能なカードプールに変化しました。
汎用カードの規制も多かったため、【八汰ロック】も全体的にデッキパワーを落としています。しかし、いずれも致命的なダメージではなく、第3期でも引き続き主流デッキの一角として存在感を示していくこととなりました。
また、環境のデフレが図られた影響で【トマハン】などの中速デッキも次第に頭角を現していきました。
2002年5月16日 「新たなる支配者」販売
第3期最初のレギュラーパックが販売され、55種類の新規カードが誕生しました(全1325種)。
「魂を削る死霊」という、戦闘破壊耐性とハンデス効果を持った強力な新人が誕生し、【トマハン】が地力を堅実に高めています。
種族的にも恵まれており、「ヴァンパイア・ロード」とともに「ピラミッド・タートル」の有力なリクルート先として猛威を振るうことになりました。
「名推理」によって【デビフラ1キル】が大きく強化を受けたことも出来事としては見逃せません。
これまでよりも高速でコンボを決められるようになったほか、全体的にデッキとしての安定性も上がっており、当時の環境における主流デッキの一角として浮上しました。
さらに、遊戯王最初のデザイナーズデッキである【墓守】が成立しています。
厳密には【トゥーン】という先人が存在しますが、そちらは単なるシリーズカードという印象が強く、やはり現在の価値観に照らし合わせると【墓守】が最初のデザイナーズデッキであったと考えた方が自然でしょう。
また、第3期突入とともにカードデザインが世界統一フォーマットに変更されています。
従来と比べてテキスト欄が大幅に拡大され、現在に通ずるテンプレートが形成されています。外見の変化以上に複雑な効果を記述できるようになった事実が大きく、間接的にゲームの奥行きを広げた変化となっていました。
2002年5月21日 Vジャンプ付録カード誕生
「ブレイドナイト」という強力な下級モンスターが現れています(全1326種)。
当時としては非常に高水準にまとまった性能を持ち合わせており、環境における有力なアタッカーとして台頭しました。
2002年6月20日 「DUELIST LEGACY Volume.1」販売
新規カードの収録はなく、「Magic Ruler -魔法の支配者-」「Pharaoh’s Servant -ファラオのしもべ-」「Curse of Anubis -アヌビスの呪い-」の3パックから合計137種類の既存カードが再録されています。
内容自体は豪華でしたが、収録数が膨大であり、このパックから狙ったカードを集めるのは困難でした。
2002年7月 「LIMITED EDITION 4」応募企画実施
「遊戯パック」「マリクパック」からそれぞれ3種類ずつ、計6種類の新規カードが現れています(全1332種)。
いずれも環境に影響を及ぼすようなカードではありませんでしたが、原作漫画で活躍の機会があったカード達であり、ファンにとっては価値の高いカードとなっていました。
2002年7月4日 「遊戯王デュエルモンスターズ7 決闘都市伝説」販売
ゲーム同梱カード4種類、うち3種類が新規カードであり、また同攻略本(上巻)から1種類、計4種類の新規カードが現れています(全1336種類)。
「F・G・D」や「究極竜騎士」など、遊戯王OCGでも象徴的な大型モンスターが誕生しました。
2002年7月18日 「ユニオンの降臨」販売
レギュラーパックから新規カードが54種類誕生しました(全1390種)。
「マジック・キャンセラー」や「群雄割拠」など、将来的に【ジャマキャン】のキーカードとして活躍する優秀なカードが誕生しています。
しかし、肝心の「おジャマトリオ」が誕生していなかったため、この時期はそれほど注目されていませんでした。
2002年8月4日 DM7攻略本(下巻)販売
書籍同梱カードとして新規カードが1枚誕生しました(全1391種)。
2002年8月22日 「DUELIST LEGACY Volume.2」販売
新規カードの収録はなく、「青眼の白龍伝説-LEGEND OF BLUE EYES WHITE DRAGON-」「幻の召喚神-PHANTOM GOD-」「暗黒魔竜復活-REVIVAL OF BLACK DEMONS DRAGON-」の3パックから合計137種類の既存カードが再録されました。
遊戯王OCG屈指の悪名を轟かせる「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」がアルティメットレア仕様で再録されています。
2002年9月19日 「黒魔導の覇者」販売
レギュラーパックから新規カードが53種類誕生しました(全1444種)。
「魔導戦士 ブレイカー」「魔導サイエンティスト」「同族感染ウィルス」の3大巨頭が現れ、当時の下級モンスターの採用基準が大変動を起こしています。
とりわけ「魔導サイエンティスト」のカードパワーは人知を超えており、この影響で基本的にモンスターが生存できない環境が訪れることになりました。サーチャーやリクルーターも信頼性を大きく落としており、それによって【トマハン】が勢力を縮小させてしまったほどです。
反面、「魔導サイエンティスト」の象徴とも言える【サイエンカタパ】はカードプールの関係上この時点では成立せず、誕生の瞬間は2003年の後半を待つ形となります。
2002年10月4日 「ザ・ヴァリュアブル・ブック5」販売
「デビルズ・サンクチュアリ」「メタル・リフレクト・スライム」といった優良カードが書籍同梱カードとして誕生しています(全1446種)。
不意打ちで3000の壁となる「メタル・リフレクト・スライム」は当初から高く評価され、環境においても一定の存在感を示していました。
一方、「デビルズ・サンクチュアリ」もまずまずの性能を誇るカードではありましたが、真価を発揮できる環境ではなく、活躍の機会は将来に持ち越すこととなっています。
2002年11月1日 「遊☆戯☆王キャラクターズガイド 真理の福音」販売
遊戯王OCG最大の謎カードである「友情 YU-JYO」に加え、その関連カードである「結束 UNITY」が書籍同梱カードとして誕生しています(全1448種)。
おおよそカードゲームらしからぬ異質な効果を持っていたため、一部のプレイヤーに「公式デュエルでは使用不可」と思いこまれるケースもありました。
【ジャマキャン】と【ギアフリード1キル】の時代
2002年11月21日 「ガーディアンの力」販売
レギュラーパックから新規カードが53種類誕生しました(全1501種)。
「おジャマトリオ」の参戦によって【ジャマキャン】が成立し、当時の環境における主流デッキの一角として浮上しています。
【メタビート】系列デッキの中で明確な結果を残した最初のデッキであり、事実上その開祖とも言える存在です。当時の常識を覆すデッキ構成やプレイングは遊戯王OCGのゲームバランスに様々な面で影響を及ぼしました。
凶悪なコンボパーツである「蝶の短剣-エルマ」もこの時に誕生しています。
これによって【ギアフリード1キル】が成立していますが、実際には先攻1キルに特化したデッキではなく、ビートダウンデッキに無限ループを搭載する構築がなされているケースが大半でした。
さらに、「異次元の女戦士」や「魔鏡導士リフレクト・バウンダー」といった優良アタッカーも現れています。
単純にカードパワーも高めでしたが、何より属性面で【カオス】とシナジーする事実が大きかったため、活躍の機会も【カオス】全盛期の2003年を待つこととなりました。
2002年12月4日 遊☆戯☆王(第31巻)販売
書籍同梱カードとして「ファラオの審判」が現れています(全1502種)。
カードイラストに原作主人公の片割れとなるキャラクターが原作者直々に描き下ろされており、芸術的な美しさのカードに仕上がっています。
2002年12月12日 「DUELIST LEGACY Volume.3」
新規カードの収録はなく、「Thousand Eyes Bible -千眼の魔術書-」「Spell of Mask -仮面の呪縛-」「Labyrinth of Nightmare -悪夢の迷宮-」の3パックから合計136種類の既存カードが再録されました。
「ブレイドナイト」がアルティメットレア仕様が再録されていたため、「ブレイドナイト」の熱狂的なファンには垂涎もののパックとなっていました。
【まとめ】
2002年冒頭から【八汰ロック】【先攻1キル】が脅威を振り撒く環境が訪れており、3月に完全体【現世と冥界の逆転】が現れたことでその状況は極みに達しました。【エクゾディア】(第1期)に匹敵する暗黒時代の到来であり、この時期の遊戯王OCGは明らかにゲームとして成立していなかったと言えるでしょう。
その後、第2期最後の制限改訂で大規模な規制が入ったことでゲームバランスの調整が図られ、こうした末期的な状況はある程度改善の兆しを見せています。環境のデフレが起こった影響により【トマハン】や【デビフラ1キル】が隆盛し始めるなど、メタゲームにも一定の変化が現れていました。
それ以降はカードプールの拡大によって順当にメタゲームが変遷していっています。終盤では【ジャマキャン】や【ギアフリード1キル】といった新勢力も台頭してきており、これまでとは一味違う複雑なゲームバランスが成立していたのではないでしょうか。
ここまで目を通していただき、ありがとうございます。
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