遊戯王の歴史 2010年の総括

2019年6月27日

【前書き】

 【第7期の歴史8 TG ハイパー・ライブラリアン 制限以上禁止未満と言われた存在】の続きになります。ご注意ください。

 第7期突入から10ヶ月が経過し、2010年が終わりを迎えました。カードプールの更新量は564種類であり、丁度デュエルターミナル1弾分の前年増しとなっています。

 ゲームバランスについては年間を通してデザイナーズデッキが猛威を振るっており、開発側のプッシュがそのままメタゲームに影響する環境が訪れていたことは否めません。しかし、カテゴリに依存しないプレイヤーメイドのデッキが衰退したわけではなく、それらが混在する複雑なメタゲームが展開されていた時代です。

 この記事では、そうした一連の時代の流れを大まかに解説いたします。

 

遊戯王の歴史 2010年

 2010年に起きた出来事を時系列順にまとめていきます。

 

【ライトロード】と【次元エアトス】の時代

2010年1月21日 デュエルターミナル「-トリシューラの鼓動!!-」稼働

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 遊戯王OCG最強格のシンクロモンスターとも言われる「氷結界の龍 トリシューラ」が誕生しています。

 これまで「ミスト・ウォーム」1択だった9シンクロの新規というだけでも注目を集めていましたが、そもそも単純にカードパワーが飛び抜けて高かったため、間もなく環境屈指のパワーカードとしての地位を確立しています。

 また、【インフェルニティ】や【ガエルシンクロ】などを中心に「氷結界の龍 トリシューラ」を連打するコンボも猛威を振るい、これ以降の半年間を文字通りの「トリシュ地獄」へと引きずり込んだ悪名高いカードです。

上記と同日 Vジャンプ付録カード誕生

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上記と同日 「遊戯王5D’s DUEL TERMINAL アクセラレーションガイド4」販売

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2010年1月23日 劇場版『遊戯王~超融合!時空を越えた絆~』公開

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2010年2月18日 ゲームソフト「遊戯王5D’s WC2010」販売

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(※ゲーム同梱カードから3種類、攻略本同梱カードから1種類、計4種類の内訳です)

 【インフェルニティ】などで活躍した「ヘルウェイ・パトロール」が誕生しています。

 

【インフェルニティ】と【旋風BF】の時代

2010年2月20日 レギュラーパック「THE SHINING DARKNESS」販売

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 【インフェルニティ】最強のサポートである「インフェルニティガン」が誕生しています。

 現在の基準に照らし合わせてすら壊れカードの域に足を踏み入れているカードであり、2010年当時においてはもはや理解不能に近いカードでした。これまでファンデッキ級の強さに過ぎなかった【インフェルニティ】を一気にトップメタにまで導いており、強いを通り越して明らかに調整ミスであるという批判も少なからず噴出しています。

 さらに、「インフェルニティガン」をサポートする「インフェルニティ・インフェルノ」も同パックから現れるなど、まさに2010年環境におけるデザイナーズデッキ優遇の風潮を代表する事例だったのではないでしょうか。

 一方、【ガエル】界隈では「粋カエル」の参戦に伴って「イレカエル」が極悪カードに変貌を遂げており、これにより【ガエルシンクロ】を筆頭に各種【ガエル】デッキが頭角を現すことになります。

 中でも「マスドライバー」を利用した【マスドラガエル】は先攻1キルデッキとしては非常に完成度が高く、実際に【ガエルシンクロ】のサイドスイッチギミックを搭載した同デッキが当時の世界大会を制しました。

 その他、同環境で【インフェルニティ】のメタデッキとして活躍した【神光の宣告者】の存在も目を引きます。

 単純なデッキパワーではそれほど優れていたわけではありませんが、その代わり「聖なるあかり」をメインから標準搭載できるといった強みもあり、環境の一角に立ち位置をキープしていたデッキです。

上記と同日 Vジャンプ付録カード誕生

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2010年3月1日 第27回制限改訂

 第6期4回目となる制限改訂が実施されています。

 「光の援軍」「ライトロード・サモナー ルミナス」の2枚が制限カード行きとなり、前環境のトップデッキであった【ライトロード】が大幅に弱体化しています。オネスト」や「ネクロ・ガードナー」、「カオス・ソーサラー」といった周辺カードへの規制もあり、これ以降は中堅勢力の一角にまで勢いを後退させました。

 他方では、【ライトロード】のメタデッキでありながら主流デッキ並の勢いを誇った【酒ネクロ】に対する圧力も見られます。

 というより、キーカードであった「ネクロフェイス」「馬頭鬼」「異次元からの埋葬」「おろかな埋葬」「闇の誘惑」が一斉に制限カード指定を受けるなど、枚数そのものに関して言えば【ライトロード】以上に厳しい規制が加わっていました。もちろん、これらは【酒ネクロ】のみを意識した規制だったわけではありませんが、それを踏まえても【酒ネクロ】への強い警戒が現れていた改訂です。

 こうした環境の変動により、前環境からの続投組である【旋風BF】が間もなく環境トップに名乗りを上げています。

 単純なデッキパワーの高さもさることながら、同じくトップメタであった【インフェルニティ】に対して有利を取りやすかったことが大きく、主流デッキとメタデッキの双方の側面を併せ持つアーキタイプとして存在感を示していくことになりました。

2010年3月20日 「STARTER DECK(2010)」販売

新規:5/全体:4224

 「ジャンク・デストロイヤー」や「シンクロン・エクスプローラー」など、将来的に【クイックダンディ】や【ジャンクドッペル】を中心に活躍するカードが誕生しています。

上記と同日 Vジャンプ定期購読特典

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上記と同日 「PREMIUM PACK 12」一般販売開始

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(※前年末にジャンプフェスタ会場内で先行販売されていたパックです)

2010年4月17日 レギュラーパック「DUELIST REVOLUTION」販売

新規:80/全体:4306

 遊戯王OCGを代表する手札誘発カードである「エフェクト・ヴェーラー」が誕生しています。

 当時存在していた手札誘発カードの中では段違いの汎用性を誇っており、参入直後から多くのデッキで採用実績を残していくことになります。特にこの時期は「氷結界の龍 トリシューラ」が猛威を振るっていたため、その対策としても重宝されていました。

 ただし、当時は【インフェルニティ】が流行していた関係でメタカードとしては「D.D.クロウ」の方が効力が高く、手札誘発枠としてはそちらが優先される傾向にありました。

 他方では、第7期環境における筆頭ドローソースとして活躍する「強欲で謙虚な壺」の参戦も大きな出来事の一つです。

 実質デメリットなしのドローソースとして運用できる【メタビート】ではもちろんのこと、【インフェルニティ】や【レスキューシンクロ】などの主流デッキにおいてすら使われていたパワーカードです。

2010年4月21日 Vジャンプ付録カード誕生

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2010年4月27日 デュエルターミナル「-ヴァイロン降臨!!-」稼働

新規:30/全体:4337

 新カテゴリである【ヴァイロン】や【ラヴァル】、【ジェムナイト】などが成立しています。しかし、いずれも当初はファンデッキ級の強さに過ぎず、環境レベルで注目されることはありませんでした。

2010年4月30日 「遊☆戯☆王GX(第7巻)」販売

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上記と同日 「遊☆戯☆王5D’s(第1巻)」販売

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2010年6月19日 ストラクチャーデッキ「ドラグニティ・ドライブ」販売

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 「竜の渓谷」を筆頭に優秀な【ドラグニティ】サポートが誕生しています。これによりデッキパワーがようやく実戦レベルにまで向上し、数は少ないながらトーナメントシーンで結果を出すこともありました。

2010年7月17日 レギュラーパック「STARSTRIKE BLAST」販売

新規:80/全体:4424

 遊戯王OCG最強格のチューナー「グローアップ・バルブ」が誕生しています。

 デュエル中に一度しか使用できないという制約はあるものの、実質ノーコストで蘇生可能なチューナーというのは2010年当時としては破格の性能であり、これ以降シンクロデッキではほぼ必須級のカードとしての地位を築き上げています。

 さらに、「ローンファイア・ブロッサム」「ダンディライオン」「スポーア」を絡めた【植物シンクロ】ギミックの中核としても活躍するなど、総じて第7期環境のシンクロデッキ全般の勢いを支えていたカードです。実際、このギミックの成立から間もなく【レスキューシンクロ】【植物猫】として復権を遂げており、メタゲームに対しても多くの影響を及ぼしていたことが窺えます。

 その他、「フォーミュラ・シンクロン」や「調律」などの優秀なシンクロサポートもこの時に現れていました。

2010年8月3日 デュエルターミナル「-インヴェルズの侵略!!-」稼働

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 前弾のDTシリーズと同様、環境目線では内容の薄いタイトルでしたが、ガスタの静寂 カーム」の誕生によって「メンタルマスター」の無限ドローコンボが発見され、少なからず話題を呼んでいます。

上記と同日 「遊戯王5D’s DUEL TERMINAL アクセラレーションガイド5」販売

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2010年8月上旬 「V JUMP EDITION」配送開始

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2010年8月9日 週刊少年ジャンプ付録カード誕生

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2010年8月20日 「ザ・ヴァリュアブル・ブック13」販売

新規:2/全体:4463

2010年8月21日 Vジャンプ付録カード誕生

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【旋風BF】と【デブリダンディ】の時代

2010年9月1日 第28回制限改訂

 第7期1回目となる制限改訂が実施されています。

 インフェルニティガン」「氷結界の龍 トリシューラ」の2枚が一気に制限カード行きを宣告され、【インフェルニティ】が大きく弱体化しました。デッキコンセプトの柱であったガンループギミックが完全に崩壊したため、これまでの勢いが嘘のように環境上位から姿を消しています。

 さらに、同じく「トリシュ地獄」の土台を務めた【ガエルシンクロ】も「イレカエル」の禁止カード化によって解体されており、全体的にワンキル・ループコンボを強く意識した改訂内容となっていました。

 その他、長らくパワーカードとして活躍していた「レスキューキャット(エラッタ前)」が遂に禁止カード指定を下されるなど、環境に対して切り込んだ規制も行われています。

 こうしたカードプールの変動により、【旋風BF】などの既存勢力のほか、新勢力として【クイックダンディ】を始めとするシンクロデッキが徐々に浮上を果たすことになります。

 この時点ではまだ【旋風BF】の影に隠れがちな状況でしたが、ほどなく【デブリダンディ】へと派生することで主流デッキの一角にまで成長を遂げたアーキタイプです。

2010年9月上旬 「V JUMP EDITION 2」配送開始

新規:3/全体:4467

2010年9月16日 ゲームソフト「遊戯王5D’s TAG FORCE 5」販売

新規:4(※)/全体:4471

(※ゲーム同梱カードから3種類、攻略本同梱カードから1種類、計4種類の内訳です)

 一時期【クイックダンディ】で使われることもあった「フルール・ド・シュヴァリエ」が誕生しています。

2010年9月18日 「EXTRA PACK Volume 3」販売

新規:40/全体:4511

 【六武衆】最強のサポートカードである「六武の門」が来日しています。この時点ではまだ【真六武衆】が現れておらず、真価を発揮できる状況ではありませんでしたが、将来的には環境屈指の壊れカードとして悪名を馳せるカードです。

2010年9月21日 Vジャンプ定期購読特典

新規:2/全体:4513

2010年10月4日 「遊☆戯☆王GX(第8巻)」販売

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2010年10月16日 デュエリストパック「-遊星編3-」販売

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上記と同日 デュエリストパック「-クロウ編-」販売

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 【BF】のみならず、将来的に多くのデッキで活躍するパワーカード「BF-精鋭のゼピュロス」が誕生しています。

 

【六武衆】の時代

2010年11月13日 レギュラーパック「STORM OF RAGNAROK」販売

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 「真六武衆-キザン」を筆頭とする【真六武衆】の誕生により、【六武衆】が一気に環境屈指のパワーデッキに変貌を果たしています。

 直前に現れていた「六武の門」の存在もこの躍進の後押しとなり、最終的には【旋風BF】すら凌駕するシェアを築き上げるに至っています。単純なワンキル性能の高さはもちろん、真六武衆-シエン」を軸にしたコントロール性能の高さも対処の幅を狭めており、2010年上半期の【インフェルニティ】に勝るとも劣らない脅威を振り撒いていました。

2010年11月20日 「デュエルディスク 遊星Ver. DX 2010」販売

新規:5/全体:4612

2010年12月1日 デュエルターミナル「-オメガの裁き!!-」稼動

新規:30/全体:4642

2010年12月11日 ストラクチャーデッキ「ロスト・サンクチュアリ」販売

新規:5/全体:4647

 ストラクチャーデッキから「マスター・ヒュペリオン」や「神秘の代行者 アース」などの強力な新規サポートが現れ、【代行天使】が環境入りを果たしています。

 純粋に環境クラスのデッキパワーを持っていたことに加え、ストラク3箱で9割方デッキが完成するという手軽さが好評を博し、カジュアル層にも安価デッキとして親しまれていたカテゴリです。

 ただし、この時点では「創造の代行者 ヴィーナス」と抜群の相性を誇るエクシーズ召喚システムが未実装だったため、全盛期ほどの安定感はありませんでした。

2010年12月13日 週刊少年ジャンプ付録カード誕生

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 【ジャンクドッペル】の代名詞とも言える「TG ハイパー・ライブラリアン」が誕生しています。

 シンプルに強力なドロー効果、5シンクロとしては最高峰のステータス、種族や属性面でも優遇を受け、さらにはシンクロ素材の縛りすら存在しないなど、当時としては明らかに強すぎるデザインのカードでした。当時の週刊少年ジャンプが1日でほぼ売り切れるほどの販促効果を生み出しており、OCG環境のみならず現実世界に対しても少なからず騒動を及ぼしています。

 また、「フィッシュボーグ-ガンナー」や「メンタルマスター」を用いたループギミックに悪用されることも多く、単純なカードパワー以上にコンボパーツとしても危険性を放っていたカードです。

2010年12月18日 Vジャンプ付録カード誕生

新規:1/全体:4649

2010年12月18~19日 「ジャンプフェスタ2011」開催

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(※「PREMIUM PACK 13」から10種類、プロモカードから5種類、計15種類の内訳です)

 【アライブHERO】や【アライブ剣闘獣】を成立させた「ヒーローアライブ」を筆頭に、【M・HERO】の中核「マスク・チェンジ」や、変わったところでは一時期【ノーデン1キル】に悪用された「重爆撃禽 ボム・フェネクス」など、OCGでも名の知れたカードが現れていました。

2010年12月29日 「遊☆戯☆王5D’s(第2巻)」販売

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【まとめ】

 2010年冒頭は前年末からの流れを引き継ぐ形で【ライトロード】を中心としたメタゲームが展開されていましたが、その直後から「トリシュ地獄」に端を発するゲームバランスの悪化が発生しています。中でも「インフェルニティガン」を得た【インフェルニティ】の躍進は凄まじいものがあり、前環境からの続投組でこれに対抗できたのは【旋風BF】だけでした。

 その後は【インフェルニティ】と【旋風BF】の2強環境がしばらく続き、その後ろを中堅勢力や各種メタデッキが追いかけるという形でメタが推移していくことになります。その流れの中で【レスキューシンクロ】【植物猫】として復権を果たすといった動きも起こっており、特に環境トップから一段降りた場所での鍔迫り合いが激しい時代だったと言えるでしょう。

 一方、2010年9月の改訂を通り過ぎてからはこうした激動の様相も落ち着きを見せ、徐々にコントロール色の強いゲームバランスへと移行が進んでいます。こうした流れはメタビート型の【旋風BF】の流行、また「ドリル・ウォリアー」のサルベージを軸にした【クイックダンディ】の参戦などといった結果に現れており、改訂以前と以後では全く別の世界が広がっていたと言っても過言ではありません。

 しかし、年末になると「六武の門」と【真六武衆】という2つの武器を手にした【六武衆】が突如環境トップに現れ、再び環境の勢力図が大きく変動を迎えています。その裏では【代行天使】という新勢力も参戦の気配を見せるなど、様々な面で来年度の波乱を予感させる状況を示していたのではないでしょうか。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。