遊戯王の歴史 2012年の総括
・前書き
・遊戯王の歴史 2012年
・【TG代行天使】【甲虫装機】【HEROビート】の時代
・【甲虫装機】の時代
・【海皇水精鱗】【代償マシンガジェ】の時代
・【ゼンマイ】【暗黒界】の時代
・【ヴェルズ】【炎星】の時代
・まとめ
【前書き】
【第8期の歴史12 ヴェルズ・ケルキオン参戦 【ヴェルズ】環境上位へ】の続きとなります。ご注意ください。
第8期突入から10ヶ月が経過し、2012年が終わりを迎えました。カードプールの更新量は486種類であり、第6期突入以後においては初めて500種類を割った形となります。
しかし、ゲームスピードの高速化は前年以上に顕著なものとなっており、もはやOCG環境のインフレは誤魔化せないほどに表面化していたと言えるでしょう。一応、いわゆる暗黒期のようにゲーム性そのものが崩壊していたわけではありませんが、少なくともインフレを前提としたゲームバランスが組み上がっていたことは確かです。
この記事では、そうした一連の時代の流れを大まかに解説(※)いたします。
(※詳細についてはリンク先の個別記事をご確認ください)
遊戯王の歴史 2012年
2012年に起きた出来事を時系列順にまとめていきます。
【遊戯王の歴史 2000年の総括】
【遊戯王の歴史 2001年の総括】
【遊戯王の歴史 2002年の総括】
【遊戯王の歴史 2003年の総括】
【遊戯王の歴史 2004年の総括】
【遊戯王の歴史 2005年の総括】
【遊戯王の歴史 2006年の総括】
【遊戯王の歴史 2007年の総括】
【遊戯王の歴史 2008年の総括】
【遊戯王の歴史 2009年の総括】
【遊戯王の歴史 2010年の総括】
【遊戯王の歴史 2011年の総括】
【遊戯王の歴史 2012年の総括】
【遊戯王の歴史 2013年の総括】
【遊戯王の歴史 2014年の総括】
【TG代行天使】【甲虫装機】【HEROビート】の時代
2012年1月上旬 「V JUMP EDITION 6」
「超弩級砲塔列車グスタフ・マックス」が誕生しています。
この時点では重さの関係で扱いにくいカードでしたが、この直後に現れる【聖刻】では「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン(エラッタ前)」から容易にエクシーズ召喚できたため、2012年3月~9月環境においては実質火力5000のフィニッシャーとして猛威を振るうことになりました。
2012年1月7日 「GOLD SERIES 2012」
「発条機雷ゼンマイン」が誕生しています。
カード名の通り【ゼンマイ】に属するモンスターですが、そもそも汎用ランク3エクシーズとしても極めて高いカードパワーを持っていたため、これ以降は年単位に渡ってエクストラの必須枠として活躍していくカードです。
2012年1月21日 Vジャンプ付録カード
2012年1月24日 デュエルターミナル「-破滅の邪龍 ウロボロス!!-」
「ヴェルズ・オピオン」が誕生しています。
2012年環境を代表するメタモンスターにして、遊戯王全体でも高い知名度を誇るパワーカードであり、参入当初から【ヴェルズラギア】の中核をなすカードとして頭角を現しています。反面、【甲虫装機】の存在がネックとなったために大々的な活躍は難しい状況にありましたが、それでも【聖刻】などを1枚で詰ませる制圧力は強烈の一言で、いわゆる「オピオンゲー」という概念を根付かせた恐るべきカードです。
他方では、将来的に【代償マシンガジェ】のキーカードを務める「ブリキンギョ」など、トーナメントレベルで実績を残した有望株もこの時に現れています。
上記と同日 「遊戯王ZEXAL DT オーバーレイガイド2」書籍同梱カード
2012年2月3日 「遊☆戯☆王ZEXAL(第2巻)」書籍同梱カード
「No.50 ブラック・コーン号」が誕生しています。
現在の価値観ではやや物足りないカードパワーですが、当時のランク4としては破格のカードパワーを持っていたため、使い勝手の良い除去要員として多くの採用実績を残しています。
また、破壊以外の除去という性質も高評価を受けており、「交響魔人マエストローク」などを後腐れなく処理するカードとしても活躍していました。
【甲虫装機】の時代
2012年2月18日 レギュラーパック「GALACTIC OVERLORD」
「甲虫装機 グルフ」が誕生しています。
単純に初動要員が増えたことはもちろん、何より相手フィールドにカードがない状態でも動き出せるようになったことが大きく、これ以降の【甲虫装機】はデッキの安定性が各段に向上しました。加えて、ランク4~5エクシーズを自在に展開できる土壌も整い、有利な状況での攻め手の確保から不利な盤面の切り返し、あるいはコンボスタート前の下準備に至るまでをこなせる対応力も手にしています。
結果として、この直後の制限改訂を境に【甲虫装機】1強環境が組み上がってしまっており、2012年9月までの半年間を虫地獄に叩き落とすことになりました。
一方、新進気鋭のアーキタイプである【聖刻】の躍進も目を引きます。
カテゴリそのものの地力の高さもさることながら、当時は無制限カードだった「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン(エラッタ前)」を絡めたワンキルコンボが脚光を浴び、次第に環境屈指のパワーデッキとして頭角を現していっています。これにより「聖刻龍-トフェニドラゴン」を警戒した「トフェニケア」と呼ばれるプレイングも浸透するなど、環境に対しても大きな影響を及ぼしていました。
ところが、こうしたビートダウン界隈の出来事とは別に、この【聖刻】ギミックを悪用した【聖刻リチュア】と呼ばれるデッキが考案されてしまったことについては触れておかなければなりません。
一言で言えば「イビリチュア・ガストクラーケ」と「セイクリッド・トレミスM7」を駆使して連続ハンデスを狙うコンボデッキの一種であり、性質上は疑似的な先攻1キルデッキとも言える凶悪なハンデスデッキです。純粋なハンデス能力では【ゼンマイハンデス】の後塵を拝しているデッキでしたが、環境的に細かな優位点を持っていたことが追い風となり、地雷デッキの一角として脅威を振り撒いていくことになります。
その他、これ以降のワンキル環境成立の一因となった「カードカー・D」「ナイト・ショット」などの汎用カードも輩出するなど、総じてメタゲームに多大な波及をもたらしたレギュラーパックだったと言えるでしょう。
2012年2月21日 Vジャンプ付録カード
2012年2月下旬 「光の創造神 ホルアクティ」プレゼントキャンペーン
「光の創造神 ホルアクティ」が誕生しています。
遊戯王DMにおける重大な役割を担った存在であり、ファンアイテムとしては今なお最大級の注目を受けている人気の高いカードです。
2012年3月1日 第31回制限改訂
第7期4回目となる制限改訂が実施されています。
これまで9シンクロの筆頭として名を馳せた「氷結界の龍 トリシューラ」の禁止カード化を筆頭に、様々な部分でOCG環境に影響を与えた改訂です。
最も影響が大きかったのはやはり【TG代行天使】に対する規制であり、「神秘の代行者 アース」「TG ストライカー」の2枚を同時に失ったことで大打撃を被っています。このうち、「TG ストライカー」は「TG ワーウルフ」「TG ラッシュ・ライノ」と組み合わせた出張要員としても活躍していたため、実質的にはこれを利用していた各デッキに対しても被害が及んでいました。
【TG代行天使】が環境から消えたことの影響は大きく、具体的には【甲虫装機】を抑える枷がなくなったことでそのシェアが更なる拡大に向かい、結果的にゲームバランスの劣悪化を招いてしまった格好です。もちろん、【TG代行天使】に対する規制そのものは妥当な話だったのですが、逆に【TG代行天使】にしか対処しなかったことが失敗に繋がったと言えるでしょう。
2012年3月17日 「スターターデッキ(2012)」
「交響魔人マエストローク」が誕生しています。
2012年当時としては飛び抜けたカードパワーを持っていた汎用ランク4エクシーズであり、参入直後から早々にエクストラの必須枠として定着しています。これにより、守備力1800を境目とした「マエストライン」の概念も成立するなど、2012年のみならず第8期全体を通して有力アタッカーとして活躍していました。
上記と同日 「PREMIUM PACK 14」一般販売開始
(※前年末にジャンプフェスタ会場内で先行販売されていたパックです)
2012年3月21日 Vジャンプ定期購読特典
2012年4月14日 レギュラーパック「RETURN OF THE DUELIST」
「ギアギガント X」が誕生しています。
2012年当時としてはもちろん、現在の基準においても通用するカードパワーを備えた優秀な【機械族】サポートであり、参入直後から【代償マシンガジェ】を中心に採用実績を残しています。というより、これ以降の【代償マシンガジェ】の躍進は「ギアギガント X」による功績と言っても過言ではなく、まさに2012年環境における【代償マシンガジェ】を象徴していたカードです。
一方、同じく新たなランク4エクシーズを得たことで躍進した勢力としては【アライブHERO】が挙げられます。
「H-C エクスカリバー」の参戦を受けて【HEROビート】から派生したアーキタイプであり、当時のワンキル環境にも合致したコンセプトを持っていたことから流行が進んだ格好です。これまでは評価が低かった「ヒーローアライブ」と「E・HERO バブルマン」を活かした独特な構成も脚光を浴び、将来的にはこれが4軸系の【HEROビート】の雛形にもなっています。
ただし、派生元である【HEROビート】にとっても「H-C エクスカリバー」は相性の良いカードだったため、当時の環境ではどちらの型でも必須カードの扱いを受けていました。
2012年4月21日 Vジャンプ付録カード
2012年4月23日 「ナンバーズガイド」書籍同梱カード
2012年5月12日 再録パック「DUELIST EDITION Volume 1」
上記と同日 再録パック「DUELIST EDITION Volume 2」
2012年6月4日 「遊☆戯☆王5D’s(第4巻)」書籍同梱カード
2012年6月16日 ストラクチャーデッキ「-海皇の咆哮-」
新テーマである【海皇】が成立しています。
「水属性モンスターの効果を発動するために墓地へ送られる」という独特な条件で効果を発揮するカード群であり、この1ヶ月後に現れる【水精鱗】とは設計段階からシナジーするようにデザインされているテーマです。条件付きとはいえ標準的に0:1交換を取りに行ける共通効果を持つというのは2012年当時としては衝撃であり、それを裏付けるように来期環境ではトップメタの一角として花開くことになります。
しかし、この時期は【甲虫装機】対策として「マクロコスモス」などの墓地メタが広く流行していたため、メタゲームにおいてはやや逆風の立場に置かれていました。
その一方で、永久禁止カードの1枚である「氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前)」を使用可能だったという強みもあり、全盛期には及ばないながらも健闘を見せていた時代です。
2012年7月21日 レギュラーパック「ABYSS RISING」
上記で触れている【水精鱗】を筆頭に、【魔導書】や【マドルチェ】などの中堅カテゴリに対するプッシュも行われています。特に【魔導書】は「魔導教士 システィ」を始めとする有力なサポートを得たことで環境にも徐々に姿を見せるようになり、年末には環境デッキの一角に数えられるまでに成長を遂げる(※)テーマです。
(※ただし、2013年には【神判魔導】として悪名を馳せるテーマでもあります)
その他、「禁じられた聖衣」などの優秀な汎用カードや、「ガンマンライン」によって一時代を築いた「ガガガガンマン」など、トーナメントレベルで名を残した優良カードを輩出していました。
上記と同日 Vジャンプ付録カード
「炎星侯-ホウシン」が誕生しています。
当時は唐突に現れた謎の【炎属性】サポートという扱いでしたが、将来的には【3軸炎星】のエースモンスターとして活躍することになるカードです。
上記と同日 「最強Vジャンプフェスタ2012」プロモカード
2012年7月30日 週刊少年ジャンプ付録カード
「炎星師-チョウテン」が誕生しています。
「炎星侯-ホウシン」と同様、2013年初頭頃に【3軸炎星】のキーカードとして名を馳せるモンスターです。しかし、当初は蘇生可能な【炎星】が自分自身しか存在せず、活用のしようがない状況に置かれていました。
2012年8月上旬 「V JUMP EDITION 7」
2012年8月3日 「遊☆戯☆王ZEXAL(第3巻)」
2012年8月4日 最強ジャンプ付録カード
「炎星皇-チョウライオ」が誕生しています。
2012年8月11日 再録パック「DUELIST EDITION Volume 3」
上記と同日 再録パック「DUELIST EDITION Volume 4」
2012年8月21日 Vジャンプ付録カード
上記と同日 「ザ・ヴァリュアブル・ブック15」書籍同梱カード
「No.69 紋章神コート・オブ・アームズ」が誕生しています。
これ自体は扱いにくいコピーカードに過ぎませんが、ビートダウン軸の【ゼンマイ】においては「発条空母ゼンマイティ」を再利用する有力な手段になり得たため、特に「ゼンマイウォリアー」型の【ゼンマイ】では必須枠として定着しています。
【海皇水精鱗】【代償マシンガジェ】の時代
2012年9月1日 第32回制限改訂
第8期1回目となる制限改訂が実施されています。
【甲虫装機】や【ゼンマイハンデス】を筆頭に、当時猛威を振るっていた危険性の高いカードに対して全面的に規制が入っており、ゲームバランスの正常化を強く意図した改訂内容に仕上がっていました。実際に9月以降の環境は従来のボード・アドバンテージ重視のゲームバランスにシフトしているため、このタイミングでようやくある程度のインフレの抑制がなされたことが分かります。
その結果、これ以降の環境トップに躍り出たのが【海皇水精鱗】と【代償マシンガジェ】の2大巨頭です。
直前の環境においても既に好成績を残していた勢力ですが、規制の影響をほぼ受けなかったことで相対的にトップクラスのデッキパワーを持つようになり、自然とトップメタの後釜に収まったという流れです。これにより、9月以前とは真逆の中速環境が到来し、メタゲームもそれを前提とした形で構築されていくことになりました。
2012年9月15日 デュエリストパック「-カイト編-」
2012年9月21日 Vジャンプ定期購読特典
【ゼンマイ】【暗黒界】の時代
2012年10月13日 「EXTRA PACK 2012」
「魔界発現世行きデスガイド」や「ゼンマイシャーク」を筆頭に、OCG環境を大々的に動かしたカードが来日しています。
これにより、【ゼンマイ】や【暗黒界】などの既存勢力が大幅に強化されたほか、【ガイド兎】などの海外環境で猛威を振るったアーキタイプも確立するなど、当時のメタゲームが急激に様変わりを迎えた格好です。特に【ゼンマイ】は最終的には【海皇水精鱗】【代償マシンガジェ】を押しのけて環境トップに立ったほどであり、名実ともに第8期中期環境を代表する有力デッキとして名を馳せていくことになりました。
また、「魔界発現世行きデスガイド」と「クリッター(エラッタ前)」を組み合わせた「ガイドクリッター」出張ギミックなども流行しており、総じて環境を激変させたカードプール更新だったと言えるでしょう。
その他、変わったところでは【チェーンビート】などのユニークなデッキも考案されています。
トーナメントシーンにおいては地雷デッキの域を出ない勢力でしたが、【ゼンマイ】の先攻展開に部分的に対抗できるといった独自の強みもあり、数は少ないながら結果を出すこともあったデッキです。
2012年11月17日 レギュラーパック「COSMO BLAZER」
新カテゴリである【炎星】が成立しています。
この時点ではカードプールの関係で【3軸炎星】が成立しておらず、いわゆる【4軸炎星】しか構築できない状況でしたが、逆に【4軸炎星】のパーツは当パックだけでほぼ出揃っていたため、参入直後から早々に実績を残していっています。とりわけ2013年初頭環境における活躍が顕著だったアーキタイプであり、これもまた第8期中期環境を形作った勢力の1つです。
他方では、これまで中々芽が出ずにいた【魔導書】が遂にトーナメント入りを果たすなど、中堅界隈で起こった出来事も目を引きます。
将来的にはかの悪名高い【征竜魔導】環境を築き上げる曰く付きのカテゴリですが、この時期は健全に強い環境デッキとして一定の存在感を示していました。
【ヴェルズ】【炎星】の時代
2012年11月23日 デュエリストセット「Ver.ダークリターナー」
「ヴェルズ・ケルキオン」が誕生しています。
【ヴェルズ】にとっては待望のアドバンテージ・ソース兼展開要員であり、これまでは不足気味であったカテゴリの地力を大幅に改善したカードです。エースモンスターである「ヴェルズ・オピオン」を1枚で展開できることに始まり、「侵略の侵喰感染」の存在によってその「ヴェルズ・オピオン」から間接的にサーチできること、また単純にアドバンテージ源として優秀であることなど、複数の強みによって【ヴェルズ】を環境上位に導いています。
反面、根本的に展開の線が細いことからビートダウンデッキとしては強度にやや不安を抱えていたデッキでもありましたが、元々【メタビート】的なコンセプトを主軸にしていたこともあり、これ以降は環境を代表するメタデッキとしてのポジションを確立していくことになりました。
結果として、【ヴェルズ】に有利を取れる【炎星】が徐々にシェアを拡大するなど、【ヴェルズ】を中心とした環境推移も盛んに引き起こされています。
上記と同日 デュエリストセット「Ver.ライトニングスター」
「セイクリッド・ソンブレス」が誕生しています。
上記の「ヴェルズ・ケルキオン」とは対をなすデザインのカードであり、【ヴェルズ】と同様に【セイクリッド】が大きく強化されています。流石に【ヴェルズ】ほど大々的に実績を残すことはありませんでしたが、2012年末~2013年初頭環境において少なからず実績を残していました。
2012年12月8日 ストラクチャーデッキ「-炎王の急襲-」
新カテゴリである【炎王】が成立しています。
この時点ではまだサポートが出揃っていなかったために目立った活躍はありませんでしたが、種族的に【炎星】と相性が良かったという追い風もあり、2013年初頭環境においてはまずまずの好成績を残していたアーキタイプです。
2012年12月21日 Vジャンプ付録カード
「No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンド」が誕生しています。
当時としては珍しい制圧効果持ちの汎用ランク4エクシーズであり、生きる「デモンズ・チェーン」としてエクストラの採用候補に収まっています。
ただし、当時のゲームバランスでは第9期以降のように制圧目当てに出すのは費用対効果がやや悪く、余裕がある場合にのみ先置きするという感覚で運用される傾向にありました。
2012年12月22日 週刊少年ジャンプ付録カード
2012年12月22~23日 「ジャンプフェスタ2013」開催
(※「PREMIUM PACK 15」から10種類、プロモカードから10種類、計20種類の内訳です)
【3軸炎星】の「獣神ヴァルカン」、【海皇水精鱗】の「アーマー・カッパー」など、直近の環境で採用実績を残した優良カードが誕生しています。
特に「アーマー・カッパー」は能動的に「海皇の重装兵」のトリガーとなれる稀有な存在でもあり、地味ながら堅実に【海皇水精鱗】の対応力を高めたカードです。
【まとめ】
2012年環境は前年末の混乱を引き継ぐ形で不穏なスタートを切っていましたが、この時点ではまだ【甲虫装機】が完成していなかったこと、また【TG代行天使】が存命だったこともあり、ある程度はバランスの取れた環境が成立していました。しかし、その裏では【ゼンマイハンデス】や【聖刻リチュア】などの凶悪なハンデスデッキも跋扈するなど、年度初頭から既に綻びが見え隠れしていたことが窺えます。
その傾向は2012年3月改訂を境に決定的なものとなり、間もなく【甲虫装機】を頂点としたワンキル環境が構築されることになりました。環境全体のゲームスピードの高速化を筆頭に、除去過多による伏せカードの信頼性の低下、疑似的な先攻1キルデッキの流行、そしてそれらに伴う手札誘発の必須化など、いわゆる末期環境を成立させる要素が一通り揃ったゲームバランスが組み上がってしまった格好です。
とはいえ、【ヴェルズラギア】や【HEROビート】などの各種【メタビート】も実績を残しているため、往年の暗黒期に足を踏み入れるほど致命的な状況だったわけではありません。ワンキル環境を前提としつつも「ワンキルを通すための駆け引き」が盛んに行われていた時代であり、とりわけ「冥府の使者ゴーズ」「トラゴエディア」などの手札誘発系の防御カードが存在感を放っていた時期でもあります。
その後、2012年9月改訂で大規模なカードプール調整が入るとともに環境が整備され、以降は一転して中速環境に移行が進んでいっています。直前のワンキル環境とはまさに真逆とも言えるゲームバランスであり、特に【海皇水精鱗】【代償マシンガジェ】などのボード・アドバンテージ獲得に長けたデッキが活躍していた時代です。
ところが、10月中頃に海外出身カードが来日したことで再びメタゲームが一新され、【ゼンマイ】を筆頭に次々と新勢力が名乗りを上げることになります。事実上の群雄割拠環境の到来であり、それに伴ってゲームバランスも更なる複雑化を迎えていった形です。
さらに、年末には【炎星】や【ヴェルズ】などの追加の勢力も加わるなど、下半期に集中して新勢力の参入が起こっていることが分かります。
結論としては、上半期は【甲虫装機】や【ゼンマイハンデス】を中心としたワンキル環境、下半期は各勢力それぞれの躍進による群雄割拠環境といった様相であり、方向性は異なるものの年間を通して活発的なゲームバランスが成立していたのではないでしょうか。
ここまで目を通していただき、ありがとうございます。
ディスカッション
コメント一覧
征竜魔導を直前に控えた2012年の環境は遊戯王の歴史でもかなり良環境だと思います。
記事を読んで当時を懐かしく振り返せました。
コメントありがとうございます。
個人的には9月以降の中速環境が特に強く思い出に残っています。ギアギガントXを先攻で立ててアドゲーに持ち込むのが好きでした。
いわゆる「ゲートボール」と呼ばれる、昔の制限リスト(2012/9〜2013/3)で遊戯王を楽しむフォーマットがこの時期の遊戯王環境のカードプールですよね。
(一応ゲートボールについての詳細な記事貼っておきます。)(https://ziraiken.wordpress.com/2018/04/07/ゲートボールは何故流行ったか/)
他に類を見ない群雄割拠の良環境で、当時一緒にプレイしてたプレイヤーは口を揃えてこの時期の遊戯王が一番楽しかったと言ってますね。
今の遊戯王の悪口を言うわけではないですが、ほどよく遊戯王独特の駆け引きが味わえたのはこの時代が一番なのかなと。
コメントありがとうございます。
2012年9月~はボード・アドバンテージ重視の環境で、趣深いゲームバランスが組み上がっていた時代でした。
ゲートボールは非常に面白い遊び方だと思います。昔仲間内で似たようなことをやっていた記憶もあり、思い出補正も含めて楽しい競技です。
この頃(2012年下半期)の遊戯王、本当に楽しかったです。
征龍魔導環境で引退し、マスターデュエルで復帰しましたが、現在の環境のスピードとインフレ具合に困惑しました。
遊戯王全体の歴史で見れば稀有な時代だったんですね。
コメントありがとうございます。
当時は主に代償マシンガジェを握っていましたが、前期はともかく後期は多種多様なデッキに選択肢があり、ゼンマイやチェーンビート、4軸炎星、魔導書など、とりあえず色々なデッキに手を出していた記憶があります。最終的には征竜魔導に滅ぼされてしまいましたが、個人的にも思い入れのある時代の1つでした。