遊戯王の歴史 2005年の総括
【前書き】
【第4期の歴史25 ダンディライオン激動の生涯 生け贄、シンクロ、リンクまで】の続きとなります。ご注意ください。
第4期突入から20ヶ月が経過し、2005年が終わりを迎えました。カードプールの更新量は289種類と前年とほぼ変わらずの推移であり、安定したペースで時代が進んでいることが分かります。
ゲームバランスも一部を除けば比較的健全に整備されているなど、ここ数年では最高に近い状況です。そしてそれは開発側の調整能力向上の表れだったのではないでしょうか。
この記事では、そうした一連の時代の流れを大まかに解説(※)いたします。
(※詳細についてはリンク先の個別記事をご確認ください)
遊戯王の歴史 2005年
2005年に起きた出来事を時系列順にまとめていきます。
【遊戯王の歴史 2000年の総括】
【遊戯王の歴史 2001年の総括】
【遊戯王の歴史 2002年の総括】
【遊戯王の歴史 2003年の総括】
【遊戯王の歴史 2004年の総括】
【遊戯王の歴史 2005年の総括】
【遊戯王の歴史 2006年の総括】
【遊戯王の歴史 2007年の総括】
【遊戯王の歴史 2008年の総括】
【遊戯王の歴史 2009年の総括】
【遊戯王の歴史 2010年の総括】
【遊戯王の歴史 2011年の総括】
【遊戯王の歴史 2012年の総括】
【遊戯王の歴史 2013年の総括】
【遊戯王の歴史 2014年の総括】
【サイエンカタパ】とそれ以外の時代
2005年1月20日 「ストラクチャーデッキ-灼熱の大地-」販売
新たに1種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2028種類に増加しました。
2005年2月24日 「THE LOST MILLENNIUM」販売
レギュラーパックから新たに57種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2085種類に増加しました。
「心変わり」の後継カードとして「洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前)」が現れています。
後世では【帝コントロール】などで大々的な活躍をするパワーカードですが、当時はそれほど評価が振るわず、一部の相性の良いデッキで細々と使われる程度でした。
【変異カオス】と【ガジェット】の時代
2005年3月1日 第17回制限改訂
「魔導サイエンティスト」の禁止カード化によって【サイエンカタパ】が完全解体されています。
同時に多数の汎用カードが一斉に禁止カード行きとなり、これまでの【スタンダード】のデッキ構築理論「単体で強いカードだけでデッキを組む」という考え方が成立しなくなりました。これ以降はカード間のシナジーを活かしたデッキが勢力を拡大していっています。
その筆頭が【変異カオス】です。
デッキ自体の強さに加え、上記のような環境のデフレの流れを受けての躍進であり、以降半年間に渡り環境の最大勢力として存在感を示し続けました。
2005年3月4日 「遊☆戯☆王R」第1巻販売
書籍同梱カードとして新たに1種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2086種類に増加しました。
2005年3月17日 「ストラクチャーデッキ-海竜神の怒り-」販売
新たに1種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2087種類に増加しました。
2005年4月21日 Vジャンプ付録カード
新たに1種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2088種類に増加しました。
2005年5月26日 「CYBERNETIC REVOLUTION」販売
レギュラーパックから新たに60種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2148種類に増加しました。
遊戯王前半期最強のアタッカー「サイバー・ドラゴン」が誕生し、当時の現役プレイヤーに大きな衝撃を与えています。
これによって「先攻絶対有利」とも言えるゲームバランスに変化が訪れるなど、このカードの参入が及ぼした影響は計り知れません。
また、この時期は「突然変異」が現役を務めていたため、「魔人 ダーク・バルター」への変身の種、または逆に相手の「魔人 ダーク・バルター」を戦闘破壊する手段としても活躍がありました。
2005年6月15日 「ストラクチャーデッキ-戦士の伝説-」販売
新たに3種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2151種類に増加しました。
後世で【エアブレード】や【ドグマブレード】などのブレード系デッキのキーカードとなる「神剣-フェニックスブレード」が誕生しています。しかし、この時期は効果的な活用法が少なく、それほど注目されていない状況でした。
2005年6月30日 「ジャンプヒーローズ」販売
書籍同梱カードとして新たに1種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2152種類に増加しました。
2005年7月 選考会
日本代表4名中3名が【変異カオス】を使用するなど、当時の【変異カオス】の圧倒的な支配力を窺わせる結果に繋がっています。しかし、残りの1名は【ガジェット】で勝ち上がっており、【変異カオス】全盛期においてもポテンシャルの高さを示していました。
2005年7月21日 「遊戯王DM NIGHTMARE TROUBADOUR」販売
ゲーム同梱カードとして新たに3種類のカードが誕生しています。また同日販売の攻略本からも1種類の新規カードが現れ、遊戯王OCG全体のカードプールは2156種類に増加しました。
2005年8月 「エターナルRパック」販売
Vジャンプ応募者全員サービスパックから新たに4種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2160種類に増加しました。
シンクロ時代以降に躍進を遂げる「召喚僧サモンプリースト」が誕生していますが、この時期はカードプールに恵まれず、あまり注目されていないカードでした。
2005年8月6日 第3回世界大会開催
順当に【変異カオス】が優勝を飾っていますが、海外では「浅すぎた墓穴」の裁定が日本国内のものと異なっていたため、【デッキ破壊1キル】が地雷的に準優勝を果たしています。
2005年8月11日 「ELEMENTAL ENERGY」販売
レギュラーパックから新たに57種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2217種類に増加しました。
優秀な展開効果持ちアタッカー「ハイドロゲドン」が参入し、大きな注目を集めています。
特に【ガジェット】に対しては強烈に作用するモンスターであり、以降は有力アタッカーの1体として環境で活躍し続けることになりました。
また、遊戯王屈指の優良ドローソースである「貪欲な壺」が誕生し、様々なデッキで活用法が試されています。
その結果【リクルーターカオス】に加え、その派生デッキである【雑貨貪欲ターボ】が成立しています。8月中は【変異カオス】の陰に隠れていましたが、9月以降の環境では主流デッキの一角として存在感を示し始めるデッキです。
そんな中、「サイバー・ブレイダー(エラッタ前)」のロック能力に目を付けた専用デッキとして【トランス】が開発され、当時の現役プレイヤーを戦慄させています。(実際の流行期は9月中頃)
時間切れによるマッチキルを狙った【TOD】の走りであり、これにより署名運動にまで発展した騒動が起こりました。
2005年8月25日 「ザ・ヴァリュアブル・ブック8」販売
書籍同梱カードとして新たに2種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2219種類に増加しました。
遊戯王前半期最強クラスのアタッカー「死霊騎士デスカリバー・ナイト」が誕生しています。
これまでにない性質でありながらも高いカードパワーを持った優秀なアタッカーであり、新アーキタイプ【サイカリバー】成立のきっかけとなりました。単体で優秀なカードを優先的に採用していくなど、かつて主流デッキの代表を務めていた【グッドスタッフ】の後継とも言える存在です。
【マッチキル】の時代
2005年9月1日 第18回制限改訂
【変異カオス】に対する規制を中心に様々な調整が行われ、当時の環境に整備の手が入っています。
これによりメタゲーム最大勢力の座は【ガジェット】に受け継がれる格好となり、次第に「遊戯王屈指の強アーキタイプ」として知名度を上げていきました。
その他【リクルーターカオス】や【サイカリバー】といった新勢力の台頭も手伝い、以降の環境はビートダウン優勢の時代へと移り変わっています。
2005年9月中旬 【マッチキル】系デッキの台頭
しかし、9月中頃に【トランス】が成立したことを皮切りに、「ヴィクトリー・ドラゴン」を利用した【マッチキル】系デッキが本格的に牙をむき始めました。
【MCV】の成立はその極限とも言える事態であり、今なお語り継がれるほどの絶対的な悪名を轟かせています。実際のところ、当時のメタゲームに明確な影響を及ぼしていたのは【Vドラコントロール】の方でしたが、マッチキルと聞けばこのデッキの名前が思い浮かぶプレイヤーも少なくないのではないでしょうか。
2005年9月21日 Vジャンプ付録カード誕生
書籍同梱カード、定期購読特典カードとして新たに3種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2222種類に増加しました。
2005年9月22日 「ストラクチャーデッキ-魔法使いの裁き-」販売
新たに3種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2225種類に増加しました。
2005年10月13日 「遊戯王GX めざせデュエルキング!」販売
ゲーム同梱カードとして新たに2種類のカードが誕生しています。また同日販売の攻略本からも1種類の新規カードが現れ、遊戯王OCG全体のカードプールは2228種類に増加しました。
2005年10月13日 「DUEL DISK」販売
上記と同日、商品同梱カードとして新たに1種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2229種類に増加しました。
2005年10月20日 「デュエリストパック十代編・万丈目編」同日販売
新たに10種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2239種類に増加しました。
「リロード」のほぼ上位互換である「打ち出の小槌」が誕生し、【MCV】などのコンボデッキ界隈で大いに注目を浴びています。
しかし、同日に大会規定の変更が行われたことで遅延系コンボに対する目が厳しくなり、この共演が実現することはありませんでした。
その一方で、肝心の【Vドラコントロール】は全くの無傷という状況であり、以降の環境でも引き続き猛威を振るっています。
【黄泉帝】の時代
2005年11月17日 「SHADOW OF INFINITY」販売
レギュラーパックから新たに60種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2299種類に増加しました。
遊戯王を代表する自己再生モンスター「黄泉ガエル」が誕生しています。
これにより【黄泉帝】が成立し、以降の環境では主流デッキの一角として多くの結果を残しています。特に【Vドラコントロール】相手に有利を取れる点は高く評価され、間接的に暗黒時代脱出のきっかけにもなりました。
2005年12月1日 「ACADEMY DUEL DISK」販売
商品同梱カードとして新たに2種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2301種類に増加しました。
2005年12月8日 「ストラクチャーデッキ-守護神の砦-」
新たに3種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2304種類に増加しました。
2005年12月12日 週刊少年ジャンプ付録カード誕生
書籍同梱カードとして新たに1種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2305種類に増加しました。
2005年12月17日 Vジャンプ付録カード誕生
書籍同梱カードとして新たに1種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2306種類に増加しました。
OCGトップクラスのトークン生成能力を誇る「ダンディライオン」が誕生しています。
その性能から様々な時代で活躍を見せることになるカードであり、当時に限っても【獅子黄泉帝】を生み出すなどの多大な影響を及ぼしていました。
2005年12月17日~18日 ジャンプフェスタ2006開催
会場限定で「PREMIUM PACK 9」が先行販売され、新たに10種類のカードが誕生しています。遊戯王OCG全体のカードプールは2316種類に増加しました。
【まとめ】
年度冒頭は【サイエンカタパ】の脅威に晒されている格好でしたが、3月の制限改訂で大規模なカードプールの調整が入り、ひとまずの治療が済んでいます。
その後は【グッドスタッフ】が消えたこともあって環境がデフレを起こし、結果【変異カオス】の隆盛へと繋がっていきました。その裏では【ガジェット】も頭角を現し始めるなど、まさしく新時代の幕開けとも言える流れが生まれていたと言えるでしょう。
やがて9月の改訂で【変異カオス】が解体されると【ガジェット】が最大勢力となり、それに追随する形で【リクルーターカオス】【サイカリバー】といった新勢力が立ち上がっています。
ところが、時を同じくして【トランス】や【MCV】、【Vドラコントロール】などのマッチキル系デッキも鎌首をもたげ、当時の現役プレイヤー達を阿鼻叫喚の渦に叩き落としました。ルール改訂によって前者2デッキに対しては圧力がかかっていますが、【Vドラコントロール】を抑えることはできず、あわや暗黒時代一歩手前のところまで事態が悪化しています。
その時、新勢力として現れた【黄泉帝】がこの状況を打ち破る鍵となり、純粋にゲーム上の話だけで環境を健全化の方向へと導きました。これは非常に驚くべきことであり、まさに英雄的と言っていい活躍です。
このように、一部に綻びが見え隠れする不穏な年ではありましたが、それでも全体的には真っ当なゲームバランスが成立していた時代でもあったのではないでしょうか。
ここまで目を通していただき、ありがとうございます。
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