遊戯王の歴史 2006年の総括

2018年12月7日

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【前書き】

 【第5期の歴史15 最強の儀式魔法「高等儀式術」 【デミスドーザー】の心臓】の続きになります。ご注意ください。

 第5期突入から8ヶ月が経過し、2006年が終わりを迎えました。カードプールの更新量は323種類と微増している形であり、推移としては非常に安定していることが分かります。

 ゲームバランスについては下半期の加速が著しく、ある程度のインフレが発生してしまっていたことは否めません。しかし、第3期以前の暗黒期に比べれば遥かに整った環境が成立しており、それは遊戯王OCGというカードゲームが成熟期に入ったことの表れだったのではないでしょうか。

 この記事では、そうした一連の時代の流れを大まかに解説いたします。

 

遊戯王の歴史 2006年

 2006年に起きた出来事を時系列順にまとめていきます。

 

【閃光ガジェット】の時代

2006年2月16日 レギュラーパック「ENEMY OF JUSTICE」販売

 新たに60種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2376種類に増加しました。

 「次元の裂け目」「マクロコスモス」「閃光の追放者」などの全体除外カードが誕生しています。

 これにより【黄泉帝】を筆頭に墓地利用系デッキが相対的に弱体化したほか、【ガジェット】の派生形である【閃光ガジェット】が勢力を拡大し始めることになりました。

2006年2月23日 ゲームソフト「遊戯王DMエキスパート2006」販売

 ゲーム同梱カードから3種類、攻略本同梱カードから1種類、計4種類の新規カードが誕生しています。遊戯王OCG全体のカードプールは2380種類に増加しました。

2006年3月1日 第19回制限改訂

 第4期最後となる制限改訂が実施されています。

 「ヴィクトリー・ドラゴン」「サイバーポッド」「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」が一斉に禁止カード指定を受けるなど、【MCV】に始まるマッチキル系デッキの撲滅を強く意識した規制が入りました。

 また、当時の主流デッキ【黄泉帝】に対する圧力として、「黄泉ガエル」「ダンディライオン」「遺言状」も無制限カードから一気に制限カード行きとなっています。

 さらに、「貪欲な壺」も制限カードに指定され、これをキーカードとする【リクルーターカオス】【雑貨貪欲ターボ】などのデッキが弱体化もしくは解体を余儀なくされました。

 その他、「強欲な壺」「同族感染ウィルス」「ブラック・ホール」などの凶悪な汎用パワーカードが同時に禁止カード行きとなっています。特に「強欲な壺」は現在でも禁止カードのまま動いておらず、そして今後も動くことはないと思われる永年禁止カードです。

2006年3月16日 「ストラクチャーデッキ-烈風の覇者-」販売

 新たに3種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2383種類に増加しました。

 

【バブーン】の時代

2006年3月20日 Vジャンプ付録カード誕生

 定期購読特典カードから新たに2種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2385種類に増加しました。

 「森の番人グリーン・バブーン(エラッタ前)」の誕生により【バブーン】が成立、間もなくメタゲーム上位へと躍り出ています。

 【獣族】全体を1枚で大幅に強化した驚異的なモンスターであり、特に「スキルドレイン」を組み合わせた【スキドレバブーン】は選考会でも上位にまで勝ち残るほどの活躍を見せました。

 しかし、複数の要因からトップメタには至らず、純構築としては2番手のまま全盛期を終えてしまったことは否めないデッキでもありました。

2006年4月21日 Vジャンプ付録カード誕生

 書籍同梱カードから新たに1種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2386種類に増加しました。

 

2006年5月18日 レギュラーパック「POWER OF THE DUELIST」販売

 新たに59種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2445種類に増加しました。

 「キメラテック・オーバー・ドラゴン」「未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)」「オーバーロード・フュージョン」の誕生により、後攻1キルデッキ【未来オーバー】が成立しています。

 これにより「マクロコスモス」などの墓地メタカード、「和睦の使者」などの防御カードがサイドデッキに標準搭載されるようになりました。また、素で墓地メタ能力を備える【閃光ガジェット】が更なる注目を集め、やがては一大勢力として台頭しています。

 しかし、「次元融合」投入型の場合は墓地メタにも一定の耐性があるなど、一筋縄ではいかないアーキタイプとなっていました。

2006年6月22日 「ストラクチャーデッキ-恐竜の鼓動-」販売

 新たに8種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2453種類に増加しました。

2006年7月2日 2006年度選考会

 日本代表プレイヤーの4名中3名が【閃光ガジェット】を使用するなど、【ガジェット】天下とも言える環境が広がっていました。(残り1名は墓地メタ型の【サイカリカオス】)

 しかし、【未来オーバー】や【バブーン】もベスト8圏内に食い込んでおり、墓地利用系デッキの脅威も大きなものだったことが窺えます。

2006年7月31日 週刊少年ジャンプ付録カード誕生

 新たに1種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2454種類に増加しました。

 後の環境で【オーシャンビート】の中核をなす「E・HERO オーシャン」が誕生しています。しかし、2007年3月までは「E・HERO エアーマン」が無制限カードであり、これをあえて使い回す必要性が薄かったため、少なくともトーナメントレベルでは意識されていないカードでした。

2006年8月6日 第4回世界大会

 優勝はイタリア、使用デッキは【ダークカオス】でした。

 

【チェーンバーン】の時代

2006年8月10日 レギュラーパック「CYBERDARK IMPACT」販売

 新たに60種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2514種類に増加しました。

 サイコロの出目に左右されるものの、優秀な万能除去能力を備えた下級モンスター「スナイプストーカー」が誕生しています。

 しかし、この時期は環境的に強みを発揮できる状況ではなく、全盛期は半年後に持ち越す形となっていました。

 また、同パックから「連鎖爆撃」「積み上げる幸福」「チェーン・ブラスト」などが誕生したことで【チェーンバーン】が成立し、環境有数の地雷デッキとして猛威を振るい始めています。

 特にこの頃は【ロックバーン】が大幅に弱体化していたため、その代替デッキとして注目が集まった形です。9月以降の環境では【ロックバーン】も消滅寸前となり、バーンデッキと言えばほぼ【チェーンバーン】を指すようになりました。

 

【エアブレード】の時代

2006年8月19日 Vジャンプ付録カード誕生

 新たに1種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2515種類に増加しました。

 第5期最強クラスの下級アタッカー、「E・HERO エアーマン」が誕生しています。

 当時の水準を大きく超える能力を秘めており、この参入以降はほとんどのデッキがこれを3積みするまでになりました。

 さらに、事実上の専用デッキとして【エアブレード】が開発され、間もなくトップデッキとして君臨しています。また、これをきっかけとして「ダスト・シュート」や「マインドクラッシュ」などのハンデスカードに注目が向かい、やがては必須カードと言われるほどに採用率が激増しました。

2006年8月24日 「ザ・ヴァリュアブル・ブック9」販売

 新たに2種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2517種類に増加しました。

 「封印の黄金櫃」が誕生し、強力な汎用サーチカードとして環境を席巻しています。

 当時のゲームスピードにおいては2ターンのタイムラグは大きなデメリットではなかったため、【サイカリエアゴーズ】などの【グッドスタッフ】系デッキにおいてすら採用圏内に入るほどの汎用性を発揮していました。

 一方、「ネクロフェイス」は普通のデッキに入るカードではありませんが、それ自身をキーカードとする専用デッキがいくつも考案されています。

 中でも「魂吸収」「デビル・フランケン」などを組み合わせた【ネクロフラ】は侮れないデッキパワーを秘めており、数は少ないながらトーナメントシーンで結果を残すこともありました。

 

【エアゴーズ】の時代

2006年9月1日 第20回制限改訂

 第5期1回目となる制限改訂が実施されています。

 「カオス・ソーサラー」の禁止カード化を筆頭に、様々な部分に影響の及ぶ規制が行われました。

 【カオス】が完全消滅、【バブーン】が大きく衰退し、【未来オーバー】も少なからずダメージを負っています。一方で、当時のトップデッキの筆頭であった【ガジェット】は事実上のノータッチという状況でもあり、以降の環境は【ガジェット】の支配下に置かれるかに見えました。

 しかし、実際に環境トップを取ったのは【エアブレード】、また【ダークゴーズ】【サイカリエアゴーズ】などの【エアゴーズ】系デッキでした。

 良くも悪くも安定している【ガジェット】では環境のインフレについていくことができず、間もなく勢力を後退させたことによる結果です。

 その他、完全に意図は不明ですが「ヴィクトリー・ドラゴン」がなぜか唐突に制限カードに復帰し、多くのプレイヤーに衝撃を与えています。

 一応、カードプールの変化によって【Vドラコントロール】や【MCV】の構築は困難になっていましたが、「ヴィクトリー・ドラゴン」の抱える問題は明らかにそこではなく、これによってマッチキル絡みの問題が再燃してしまうことになりました。

2006年9月 アルティメットセブンパック配送開始

 新たに4種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2521種類に増加しました。

2006年9月4日 「遊☆戯☆王R(第3巻)」販売

 書籍同梱カードから新たに1種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2522種類に増加しました。

 遊戯王OCGの定石にまで影響を及ぼした大型新人、「冥府の使者ゴーズ」が誕生しています。

 第5期当時はもちろんのこと、その後のシンクロ期においてすら長らく現役を務めていたパワーカードであり、参入直後から必須カードの立ち位置を確立しました。これにより俗に言う「ゴーズケア」の概念が広く浸透することになるなど、カード1枚の影響力とは思えないほどの変化を生み出したカードです。

2006年9月14日 「ストラクチャーデッキ-機械の叛乱-」販売

 新たに8種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2530種類に増加しました。

 「グリーン・ガジェット」「レッド・ガジェット」「イエロー・ガジェット」の3種が同時に再録されたため、これまで高額デッキとされていた【ガジェット】が比較的安価に構築できるようになりました。

上記と同日 「遊戯王DM GXタッグフォース」販売

 ゲーム同梱カードから3種類、攻略本同梱カードから1種類、計4種類の新規カードが誕生しました。遊戯王OCG全体のカードプールは2534種類に増加しています。

2006年9月20日 Vジャンプ付録カード誕生

 定期購読特典カードから新たに2種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2536種類に増加しました。

2006年10月26日 デュエリストパック3種同日販売

 「十代編2」「ヘルカイザー編」「エド編」それぞれのパックから5種類ずつ、計15種類の新規カードが誕生しました。遊戯王OCG全体のカードプールは2551種類に増加しています。

 「十代編2」から、優秀な墓地肥やし能力を持ち、またアドバンテージを失わないアタッカーでもある「カードガンナー」が誕生しています。

 2007年には環境屈指のパワーカードとして猛威を振るうモンスターですが、当時はこれ以上に優先すべきカードが多く、相対的に今一つ目立たない位置にありました。

 一方、「エド編」に収録されていた「デステニー・ドロー」が及ぼした影響は大きく、これにより【デステニーブレード】や【デステニービート】などの【デステニー】系デッキが開発されています。

 しかし、これらのデッキも結局のところは【エアゴーズ】系デッキであり、メタゲーム上位の勢力図は依然として動いていない状況でした。

2006年11月2日 「遊☆戯☆王GX(第1巻)」販売

 書籍同梱カードから新たに1種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2552種類に増加しました。

 強力な盤面制圧能力を持つ「光と闇の竜」が誕生し、間もなく【ライダー】系デッキが考案されています。

 しかし、ゲームスピードが高速化していた当時の環境では思うような活躍が望めず、しばらくの間は中堅クラスをさ迷う日々が続いています。

2006年11月16日 レギュラーパック「STRIKE OF NEOS」発売

 新たに60種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2612種類に増加しました。

 凶悪なバウンス効果を持つ下級モンスター「N・グラン・モール」が誕生しています。

 当時の基準においては反則的とすら言える疑似除去性能を備えたモンスターで、このカードの参入によって【お触れホルス】などの大型モンスターを主軸とするデッキが衰退の道を辿ったほどです。

 一方で、当時の環境を席巻していた「E・HERO エアーマン」や「冥府の使者ゴーズ」相手には効力が薄かったこともあり、カードパワーの高さに反して採用枚数は抑えられる傾向にありました。

 また、墓地メタを兼ねる回収札として脚光を浴びた「転生の予言」も当パック出身のカードです。

 純粋に汎用カードとしても優秀なカードでしたが、同名カードを回収し続けることで意図的にエキストラターンに突入、マッチキルを狙うなどの用途に悪用されてしまったため、およそ8年間に渡って制限カード指定を受け続けることになりました。

 その他、【儀式召喚】の強力なサポートである「高等儀式術」も誕生しています。

 後の環境では【デミスドーザー】の中核として名を馳せるカードですが、ダストマイクラセットによるハンデスが猛威を振るう当時は儀式召喚を決めることすら難しく、カジュアルデッキの域を出ない状態でした。

2006年11月30日 「遊戯王DM GX SPIRIT SUMMONER」販売

 ゲーム同梱カードから3種類、攻略本同梱カードから1種類、計4種類の新規カードが誕生しました。遊戯王OCG全体のカードプールは2616種類に増加しています。

2006年12月11日 週刊少年ジャンプ付録カード誕生

 書籍同梱カードから新たに1種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2617種類に増加しました。

2006年12月14日 「ストラクチャーデッキ-閃光の波動-」販売

 新たに8種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2625種類に増加しました。

2006年12月16日 Vジャンプ付録カード誕生

 新たに1種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは2626種類に増加しました。

2006年12月16日~17日 ジャンプフェスタ2007開催

 会場内で「PREMIUM PACK 10」が先行販売、またプロモーションカード3枚が配布されました。

 限定パックから10種類、プロモカードから3種類、計13種類の新規カードが誕生しています。遊戯王OCG全体のカードプールは2639種類に増加しました。

 

【まとめ】

 2006年初頭は前年の流れを引き継ぐ形でメタゲームが展開されており、【黄泉帝】や【リクルーターカオス】、【雑貨貪欲ターボ】などの墓地利用系デッキが蔓延する環境が広がっていました。しかし、間もなく「閃光の追放者」を手に入れた【閃光ガジェット】が台頭したことにより、そうした安易な墓地依存には一定のリスクが付き纏うようになっています。

 続く3月の改訂で「ヴィクトリー・ドラゴン」が禁止カード化するとマッチキル界隈の問題も落ち着きを見せ、遊戯王OCGのゲームバランスは次第に健全化へと向かっていきました。

 しかし、第5期冒頭に【未来オーバー】が現れると状況が一変、これまでの「コントロール色の強い中速環境」から「ワンショットが頻発する高速環境」への移行を招いてしまった格好です。これにより後攻1キルの存在を意識したサイドを組むことが半ば常識と化すなど、プレイヤーは常にワンショットを警戒したゲームメイクを強いられるようになりました。

 一方、2006年下半期は【エアゴーズ】系デッキの天下であり、多数のパワーカードが飛び交うインフレ環境が到来しています。【チェーンバーン】などのキルターンの速い地雷デッキも猛威を振るうなど、この時期のOCG環境が非常に危ういバランスにあったことは否定できません。

 しかし、前書きにも結論を述べている通り、かつての暗黒時代には遠く及ばない変動に過ぎず、全体としては健全なメタゲーム変遷の範疇に収まっていたのではないでしょうか。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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