制限改訂2012年3月 トリシュ禁止行き シンクロ時代の終わり

2019年8月1日

【前書き】

 【第7期の歴史30 【聖刻リチュア】全盛期到来 ガストクラーケが3枚積めた時代】の続きになります。ご注意ください。

 【聖刻】という強大な新勢力の参戦により、以降の環境は更なるゲームスピードの高速化を迎えることを余儀なくされました。また、これを【リチュア】と組み合わせた【聖刻リチュア】という地雷デッキの影もちらつき、これらの存在が第8期初頭環境のインフレの一端を担っていたことは間違いありません。

 度重なるカードプールの激変によってゲームバランスのインフレがいよいよ無視できなくなっていく中、続く3月に第7期最後となる制限改訂が行われることになります。

 

制限改訂 2012年3月1日

 2012年3月1日、遊戯王OCGにおいて31回目となる制限改訂が行われました。

 禁止カードに指定されたカードは以下の56枚です。

グローアップ・バルブ 無制限
スポーア 無制限
氷結界の龍 トリシューラ 制限
ダスト・シュート 制限
イレカエル
ヴィクトリー・ドラゴン
混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前)
キラー・スネーク(エラッタ前)
黒き森のウィッチ(エラッタ前)
ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前)
混沌の黒魔術師(エラッタ前)
サイバーポッド
サウザンド・アイズ・サクリファイス
処刑人-マキュラ
聖なる魔術師
ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)
月読命
D-HERO ディスクガイ(エラッタ前)
デビル・フランケン
同族感染ウィルス
ファイバーポッド
フィッシュボーグ-ガンナー
魔導サイエンティスト
メンタルマスター
八汰烏
レスキューキャット(エラッタ前)
悪夢の蜃気楼
いたずら好きな双子悪魔
王家の神殿(エラッタ前)
押収
苦渋の選択
強引な番兵
強奪
強欲な壺
心変わり
サンダー・ボルト
次元融合
生還の宝札
洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前)
大寒波
蝶の短剣-エルマ
天使の施し
ハーピィの羽根帚
早すぎた埋葬
ハリケーン
マスドライバー
突然変異
遺言状
王宮の弾圧
王宮の勅命(エラッタ前)
現世と冥界の逆転(エラッタ前)
死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)
第六感
刻の封印
破壊輪(エラッタ前)
ラストバトル!

 

 制限カードに指定されたカードは以下の59枚です。

神秘の代行者 アース 無制限
TG ストライカー 無制限
E・HERO エアーマン
オネスト
カオス・ソルジャー -開闢の使者-
剣闘獣ベストロウリィ
クリッター(エラッタ前)
真六武衆-シエン
ゾンビキャリア
ダーク・アームド・ドラゴン
ダンディライオン
TG ハイパー・ライブラリアン
デブリ・ドラゴン
深淵の暗殺者
N・グラン・モール
ネクロフェイス
氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前)
封印されしエクゾディア
封印されし者の左足
封印されし者の左腕
封印されし者の右足
封印されし者の右腕
フォーミュラ・シンクロン
BF-月影のカルート
BF-疾風のゲイル
冥府の使者ゴーズ
馬頭鬼
メタモルポット
ローンファイア・ブロッサム
異次元からの埋葬
インフェルニティガン
大嵐
おろかな埋葬
黒い旋風
原初の種
高等儀式術
死者蘇生
スケープ・ゴート
精神操作
増援
月の書
手札抹殺
貪欲な壺
光の援軍
ブラック・ホール
未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)
名推理
モンスターゲート
闇の誘惑
リミッター解除
六武の門
ワン・フォー・ワン
異次元からの帰還
神の宣告
聖なるバリア -ミラーフォース-
停戦協定
転生の予言
光の護封壁
マジカル・エクスプロージョン

 

 準制限カードに指定されたカードは以下の25枚です。

マシュマロン 制限
ライトロード・サモナー ルミナス 制限
Reborn Tengu 無制限
緊急テレポート 制限
紫炎の狼煙 制限
レベル制限B地区 制限
激流葬 制限
血の代償 無制限
カードガンナー
召喚僧サモンプリースト
大天使クリスティア
D-HERO ディアボリックガイ
トラゴエディア
ネクロ・ガードナー
氷結界の虎王ドゥローレン
王家の生け贄
連鎖爆撃
デステニー・ドロー
光の護封剣
魔法石の採掘
おジャマトリオ
神の警告
奈落の落とし穴
マインドクラッシュ
魔法の筒

 

 無制限カードに緩和されたカードは以下の1枚です。

リビングデッドの呼び声

 

 以上が当時コナミから下された裁断となります。変動15枚、うち規制強化が8枚、規制緩和が7枚となっており、通常の改訂と比べて10枚以上カードの移動が少ないという非常に小規模な改訂です。

 しかし、当時の環境で猛威を振るっていたパワーカードを中心に、比較的妥当なところに規制の手が入っており、枚数は少ないながらもその分狙いが定まった改訂だったと言えるでしょう。

 

【TG代行天使】への規制

 当時の環境トップの筆頭であった【TG代行天使】への規制として、「神秘の代行者 アース」「TG ストライカー」の2枚が同時に制限カード行きとなっています。

 神秘の代行者 アース」は【代行天使】の中核となる重要なモンスターであり、余程の理由がない限りはフル投入確定クラスの必須カードだったため、これが制限カード行きとなったことによるダメージは極めて深刻でした。純粋なアドバンテージ・ソースとしてはもちろん、メインデッキから用意できるチューナーという役割や、「マスター・ヒュペリオン」の召喚コストとしての働きなど、これまで【代行天使】というデッキを成り立たせていた複数の強みが一気に失われてしまったからです。

 また、同じく強力なアドモンスターである「創造の代行者 ヴィーナス」へのアクセス手段が減ってしまった点も苦しく、総じてデッキコンセプトレベルで大打撃を被ってしまったことは否めません。

 加えて、「TG ストライカー」への規制による被害も無視できず、これによって【TG】ギミックを柔軟に運用することができなくなり、その結果として「カオス・ソルジャー -開闢の使者-」を採用するのが難しくなるなど、連鎖的にデッキコンセプトが崩壊に向かうことになりました。

 そのため、これ以降【TG代行天使】はトーナメントレベルの強さを維持することが非常に困難になっており、環境上位からは間もなく姿を消してしまうことになります。

 

【シンクロ召喚】への規制

 これまで最強の9シンクロとして名を馳せていた「氷結界の龍 トリシューラ」が遂に禁止カード指定を下されています。

 第6期終盤に現れて以来、あらゆるシンクロデッキ共通のフィニッシャーの役割を担っていたカードであり、事実上のエクストラの必須枠として活躍していたモンスターです。このカードの存在により、シンクロデッキでは9シンクロ用の展開ギミックの用意がほぼ義務化してしまっており、実質的には「氷結界の龍 トリシューラ」の存在がシンクロ界隈を牛耳っているかのような状況に陥っていました。

 また、【インフェルニティ】を筆頭に各種ループギミックのパーツとして悪用されることも少なくなく、コンボカードとしても一部で脅威を振り撒いていたことも無視できません。

 加えて、エクシーズ期に入って1年が経過している(※)という背景もあり、このタイミングでの禁止カード指定は比較的妥当な判断だったと言えるでしょう。

(※いわゆる商業上の都合です)

 他方では、同じく【シンクロ召喚】の強力なサポートであった「グローアップ・バルブ」「スポーア」の2枚が同時に禁止カード行きとなったことも特筆すべき事項に数えられます。

 2010年下半期の時点から【植物シンクロ】ギミックの中核を担い続けたカードであり、直近の環境においても【ジャンクドッペル】のギミックの1つとして活躍していました。流石に全盛期の頃と比べると出張ギミックとしての勢いはかなり衰えていましたが、それでも単純にカードパワーが高すぎたことは間違いなく、今後の影響を見据えるという意味でも禁止カード指定はやむを得ない措置だったのではないでしょうか。

 もっとも、「グローアップ・バルブ」はともかくスポーア」の方はコンボ前提のカードであり、単体のカードパワーは禁止級の性能には届いていなかったため、禁止カードにするほどではないという声も少なからず上がっていました。

 実際、次回改訂である2012年9月には制限カードに、その次の2013年3月には無制限カードに復帰するという経緯を辿っており、結果論としてはやや過剰な規制であったと言えます。

 その他、海外環境において猛威を振るった「Reborn Tengu」(※)に対する規制も入っています。

If this face-up card leaves the field: Special Summon 1 “Reborn Tengu” from your Deck.

(※日本版では「輪廻天狗」にあたるカードです)

 海外先行カードの1枚であり、日本国内ではまだ誕生していないカードでしたが、それを考慮しても規制しなければならない程度には暴れていたということでもあり、こうした異例の決定に向かったものと思われます。以降は遠い未来である2018年4月に至るまで準制限カードの位置を動いておらず、長らく本来の力を発揮できない状況に置かれていたため、実質的には来日に7年もの月日を費やした浦島太郎的なモンスターであったとも言えるでしょう。

 いずれにしても、この時の改訂で【シンクロ召喚】界隈が大きな被害を被ったことは間違いなく、これ以降はシンクロデッキ全般が徐々に衰退の道を辿ることになりました。

 

一部の凶悪パワーカードへの規制

 当時の環境において支配的な採用率を誇った「ダスト・シュート」が禁止カード指定を下されています。

 純粋にハンデスカードとして凶悪な性能を持っていたことに加え、この時期の環境がいわゆる「伏せ環境」だったことも採用率の高さに拍車をかけており、結果的に当時の環境上位デッキにおいて100%に近い使用率を叩き出すという異様な状況を生み出していました。

 このような致命的な状況が容認されるはずもなく、このタイミングでの禁止カード行きは至極当然の流れ(※)であったと言えます。その後は今日に至るまで一度もその位置を動いておらず、また今後も規制緩和の見込みは薄いカードです。

(※というより、カードパワー的にはむしろ規制が遅すぎた面もあります

 一方、同じく現在禁止カードである「血の代償」がここで準制限カード行きとなったことも大きな出来事の1つです。

 【代償ガジェット】のキーカードとして有名なカードであり、実際に当時においても【ガジェット】の専用サポートのような扱いを受けていたカードですが、カードプールの増加に伴ってそれ以外の用途が増加し始めていたことも間違いありません。そのため、コンボカードでありながら単体のカードパワーの高さも徐々に注目を集めており、そうした背景もまた「血の代償」の規制入りを後押ししていたのではないでしょうか。

 これにより、【代償ガジェット】は少なからずデッキの爆発力を落としましたが、この改訂に前後して相性の良いカードを複数獲得していたこともあり、むしろ3月以降はより一層勢いを増していくことになります。

 

各種カテゴリサポートの規制緩和

 一方、こうした規制強化の流れとは逆に、過去に流行した各種カテゴリサポートの規制緩和も目立ちます。

 【ライトロード】の「ライトロード・サモナー ルミナス」を筆頭に、【六武衆】の「紫炎の狼煙」や、【サイキック族】の「緊急テレポート」など、往年のパワーカードが一斉に準制限復帰を果たしています。

 とはいえ、いずれも他のサポートがあってこそ輝くというタイプのカードであり、それ1枚で環境を動かすほどの存在ではなかったため、3月以降のメタゲームに大きな影響を与えることはありませんでした。

 一応、【六武衆】に関してはこの規制緩和が復権の後押しとなった側面もありますが、これもどちらかと言うと同時期に優秀なランク4エクシーズを獲得していた影響の方が大きかったため、やはり直接的にメタを動かしたわけではなかったと言えます。

 

過去のパワーカードの規制緩和

 他方では、「激流葬」を筆頭にパワーカードとして名を馳せた面々の規制緩和も見逃せません。

 中でも「マシュマロン」は第4期~第5期を中心に【スタンダード】の必須カードとして活躍していたカードであり、これが規制緩和されたことはOCGの歴史的には大きな意味を持っていたと言えるでしょう。流石に第8期を目前に控えた当時において復権を果たすことはありませんでしたが、主に古参プレイヤーの間では話題になることも少なくなかった改訂です。

 ちなみに、ここで規制緩和されたカードのうち、激流葬」「リビングデッドの呼び声」の2枚は直後の環境においても大々的に活躍しており、時代の変化に晒されながらもカードパワーが色あせていない(※)ことを実績として示しています。

(※というより、元々どちらも緩和前から第一線で活躍していたカードです)

 

【後編に続く】

 こうしたカードプールの大変動により、これ以降のメタゲームは急激な変化を迎えることになります。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。